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カラダとココロ

女性ホルモンのバランスを整えるには?今すぐできるセルフケア&生活習慣の見直し法

公開日:2024.03.27
更新日:2025.05.09
女性ホルモンのバランスを整えるには?今すぐできるセルフケア&生活習慣の見直し法
最近、なんとなくイライラしたり、肌の調子が悪かったり、生理が不規則になっていませんか?それは、もしかしたら「ホルモンバランスの乱れ」が原因かもしれません。女性は、仕事や育児、環境の変化等で心身に負担がかかりやすく、ホルモンの分泌に影響を及ぼしがち。この記事では、あおば通りかずみクリニックの佐藤綾華医師にお話を伺い、女性ホルモンの基本から、ホルモンバランスを整えるための食事・生活習慣・セルフケアまで、今日から実践できる方法を分かりやすく解説します。

PROFILE

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専門家/エキスパート 馬場 敦志
筑波大学医学専門学類卒業/現在は宮の沢スマイルレディースクリニック(札幌市)院長として勤務/専門は産婦人科
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専門家/エキスパート 佐藤 綾華
2018/3北海道大学医学部医学科卒業 2018/4-2020/3石巻赤十字病院初期研修修了 2020/4-2021/3石巻赤十字病院産婦人科勤務 2021/4-2022/3東北公済病院産婦人科勤務 2022/5-2023/3東北大学病院産婦人科勤務 2023/4-2024/3仙台市内の婦人科クリニック等で勤務
INDEX

1 ホルモンバランスの乱れとは?

2 ホルモンバランスを整えるための生活習慣

3 ホルモンバランス改善に効果的なセルフケア

4 ホルモンバランスを整える際の疑問

ホルモンバランスの乱れとは?

ホルモンバランスの乱れは、女性の様々な不調につながります。では、ホルモンバランスが乱れるというのは具体的にどんな状態で、どんなことが原因となるのでしょうか。

女性ホルモンの役割

女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」があります。

エストロゲンは主に女性らしい体作りや妊娠に備えた体作り、自律神経に働きかけ心を健やかに保つ等、女性の体と心の健康を保つ役割があります。

一方、プロゲステロンは基礎体温を上昇させ、子宮内膜を整える等、エストロゲンが整えた体の状態を維持するために働くホルモンです。基本的には妊娠を維持するために働くホルモンとされています。

ホルモンバランスが乱れる主な原因は?

女性の体はとても繊細で簡単にホルモンバランスが乱れてしまうことがあります。特に影響を及ぼすことが多いとされるのは、次のような原因です。

● ストレス
● 睡眠不足
● 過度なダイエット
● 加齢

ストレスや睡眠不足は、脳の視床下部や脳下垂体に影響を与え、ホルモンバランスを乱れさせてしまうことがあります。自律神経や免疫系の機能の働きも弱めてしまうため、体調不良も招きやすくなり、体内バランスも崩れやすくなってしまいます。

また、過度なダイエットがホルモンバランスを乱れさせる原因であることも珍しくありません。実は極端なダイエットは、体が生命の危機だと勘違いし、生命活動を優先してしまいます。生命活動に不要なホルモンの分泌は止まってしまうことがあるのです。

外的要因以外では、加齢も原因になることがあります。女性のホルモン分泌は40歳以降に急激に減少するためです。これがいわゆる「更年期」にあたり、女性の体に大きな影響を与えています。

ホルモンバランスが乱れるとどうなる?

ホルモンバランスが崩れてしまうと、次のような症状を引き起こすため注意が必要です。

● 生理不順
● 更年期障害
● PMS
● 肌荒れ

以下でホルモンバランスの乱れがどのように影響を及ぼしているか、分かりやすくご紹介します。

生理不順

ホルモンバランスの乱れで懸念されるのが、「生理不順」です。正常なホルモン分泌がないと生理を起こす信号が子宮に送られなくなるため、生理が周期的に来なくなることがあります。生理不順は放置すると、妊娠にも影響を及ぼす恐れがあるため注意が必要です。

なお、生理不順は次のように症状の出方に種類があります。

過短月経

過長月経

無月経

頻発月経

生理の出血が少ない・3日以内で終わってしまう

生理の出血が多い・8日以上続く

妊娠していない状態で生理が3カ月以上来ない

生理周期が24日以内で短い

更年期障害

40代前後の方は加齢に伴ってエストロゲンの分泌が減り、ホルモンバランスが乱れることで「更年期障害」を起こす可能性があります。

更年期障害では、ほてり・動悸(どうき)・頭痛等の身体的症状、うつやイライラ感といった精神的症状等、複数の症状に悩まされることも珍しくありません。更年期障害の症状は個人差があるため、どの症状がどれくらい出るかは人により異なります。

更年期障害については以下の記事で解説しているので、詳しく知りたい方はあわせてご覧ください。
更年期によくある症状と対策とは?日常生活に支障があれば治療も検討しよう

PMS

30代までの女性の場合、「PMS」(月経前症候群)を発症することがあります。「PMS」は、生理が始まる3~10日前(黄体期)に身体的・精神的に不調を来す疾患で、ホルモンバランスの乱れが原因とされています。

PMSの症状も個人差がありますが、例えば身体的症状ではむくみや下腹部の痛み、眠気、食欲増加がみられ、精神的症状ではイライラ感や不安感、激しいうつ感等がみられます。人によっては生活がままならない状態に悩まされることも珍しくありません。

PMSについて気になる方は以下の記事も参考にしてください。

PMSとはなにかわかりやすく解説!セルフケアで体調を改善しよう

肌荒れ

ホルモンバランスの乱れによって、肌荒れを起こしてしまうこともあります。実は肌や髪等の潤いやハリを保ち、健康的な肌作りを助けているのは女性ホルモンです。

しかし、ホルモンバランスの乱れによって女性ホルモンが減少すると、男性ホルモンの過剰分泌が起きやすくなります。男性ホルモンの増加により皮脂分泌が増え、ニキビ等の肌荒れを起こしてしまうことがあるのです。

特に大人になっても定期的にニキビに悩まされる方は肌疾患の可能性もありますが、ホルモンバランスの乱れが原因の可能性もあります。

ホルモンバランスを整えるための生活習慣

ホルモンバランスを整えるためには、「食」「睡眠」「ストレス」に着目して生活習慣を改善していくことが重要です。

ここからは各生活習慣ごとに、ホルモンバランスを整えるポイントをご紹介します。

栄養バランスのとれた食事

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ホルモンバランスを整えるには、食事がとても重要です。正常な女性ホルモンの分泌を促すために、次の栄養素をバランスよく摂取することを心掛けましょう。

● 炭水化物
● ビタミン系(C・B群・E)
● ミネラル・食物繊維
● タンパク質・コレステロール
● カルシウム
● カリウム
大豆製品はエストロゲンと似た分子構造をした大豆イソフラボンも多く含まれているためおすすめです。食事だけでは補いにくい栄養素は、サプリメントも活用しましょう。

なお、摂取量の目安は、農林水産省の提示する食事バランスガイドを参考にするのもおすすめです。

▼次の記事では、生理痛改善にも役立つホルモンバランスを整えるためのレシピも公開しています。
生理痛改善には食事が重要!15分でできるワンパン温活レシピ

ストレス解消

ストレスはホルモンバランスの乱れに影響するため、溜め込まず日々の中で上手に発散しておくことも大切です。

例えば軽い運動や趣味に集中するのも良いでしょう。ストレスを発散し、気分転換にもつながります。入浴やアロマで心身をリラックスさせるのも効果的です。

また、物事の捉え方を見直してストレス軽減を図るのも手です。失敗ばかりに目を向けやすい方や、ネガティブな感情が噴出しやすい方はストレスが溜まりやすくなります。

運動やストレッチを始め、自分なりのストレス解消方法をいくつか持っておくのがストレスマネジメントの秘訣にもなるでしょう。自分の思考を客観的に振り返る時間を持ち、心を揺らがせていた事柄から一歩引いて物事を見てみましょう。感情的なエネルギーの浪費を減らすことで気持ちにゆとりが生まれ、ストレスを軽減できます。

ホルモンバランス改善に効果的なセルフケア

ホルモンバランスの乱れは、ある程度まではセルフケアによって改善することが可能です。ここからはホルモンバランスの乱れにお悩みの方に向け、おすすめのセルフケア法についてご紹介します。

まずはできることから始めて、体の調子を整えていきましょう。

アロマやハーブを使ってリラックス

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ホルモンバランスの改善のためのセルフケアでは、アロマやハーブを取り入れてみるのもおすすめです。アロマやハーブには精神を鎮静させるものや、女性ホルモンと似た効果が期待できるものがあります。気になる症状にあわせ、組み合わせたものをリラックスタイムに楽しむのも良いでしょう。

ツボ押しで症状に働きかける

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ホルモンバランスの乱れによる不調の改善に、上記のようなツボ押しも効果的です。ツボを押すことで血の巡り等を改善し、体の不調を整える効果が期待できます。

なお、ツボを押すときは、指の腹や手のひらで心地よいくらいの強さで押すとツボを刺激しやすく効果的です。硬いマッサージ器具等を使う際はあざになりやすいため、注意しましょう。

ピルの服用

生理が起きるサイクル等でホルモンバランスの乱れが激しい方は、ピルの服用も選択肢になってきます。エストロゲンやプロゲステロンを含む低用量ピルは、生理痛の軽減や生理不順の改善に効果的です。

ただし処方には医師の診察が必要なので、セルフケアで改善が難しい場合は産婦人科や婦人科で相談してみましょう。

漢方の服用

ホルモンバランスの改善には、漢方薬の活用も有効とされています。漢方は血流や内臓の働きを整えることで、体全体の調子の改善を目指すという考え方の治療法です。体の調子を整えることで、ホルモンバランスの改善も狙います。

ホルモンバランスを整える目的としては、「当帰芍薬散」や「加味逍遙散」等が良いとされ、月経不順やそれに伴う精神的な不調の改善に使われています。なじみがなく不安がある場合は、医師や漢方薬局等で相談してみてください。

ホルモンバランスを整える際の疑問

ここまで読んだ方の中には、自分にホルモンバランスの乱れが起きているかチェックしたいと感じた方もいるかもしれません。自分で乱れをチェックする方法と病院への相談タイミングについて解説します。

ホルモンバランスの乱れのチェック方法は?

生理は、ホルモンバランスが乱れていないかどうかの一つの指標になります。生理周期が乱れたり、無月経が起こったりというのはホルモンバランスが乱れているサインです。

また、更年期障害は簡易更年期指数(SMI)という簡単なテストでも定期的にセルフチェックできます。これは設定された10個の質問に対し、症状の程度を「強・中・弱・無」の4段階で判断するものです。

厚生労働省の「ヘルスケアラボ」等、オンライン上で簡易的にセルフチェックできるサイトがあるため、気になる方は試してみましょう。

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3カ月以上月経が来ないと無月経とされ、治療が必要です。月経不順で、周期を整えたい場合も治療することが可能です。

病院で相談したほうが良い?

セルフケアだけでは問題が改善しない、生理周期以外でも症状が出ている場合には、病院へ相談をしましょう。ホルモンバランスの乱れだけでなく、婦人科系の病気や糖尿病、高血圧、心疾患等が潜んでいる可能性もあるからです。


また、セルフケアがプレッシャーになり、かえってストレスの原因となる可能性もあります。「すでに症状があって不安」「セルフケアだけでは改善が難しい」と感じたら、無理せず病院へ相談してみましょう。

加齢によるホルモン減少への対処法は?

女性の場合、通常では閉経を起点に、ホルモンの分泌量は必ず少なくなっていくものです。更年期障害によって日常生活に支障を来す場合は治療が可能です。一般的に、更年期障害には漢方薬や女性ホルモン剤を使用します。加齢によるホルモン減少や更年期と似た症状に悩んでいる方は、婦人科や更年期外来を受診することで解決の糸口になるかもしれません。

また、適度な運動、バランスのとれた食生活、しっかりと睡眠をとることで症状が緩和する可能性があります。

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