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妊娠と出産

妊娠初期は出血しやすい。原因やリスクを知り適切な対処を

公開日:2024.05.24
更新日:2024.05.24
妊娠初期は出血しやすい。原因やリスクを知り適切な対処を
妊娠初期に突然、下着に血の跡を見つけて驚いてはいませんか?赤ちゃんに何か問題が起きたのかもと不安になりますよね。 実は出血は、妊娠で体が変化する過程で起きやすいとされています。出血したからといって、赤ちゃんに何かあったとは限らないので慌てないでください。 ただ出血量が多かったり、他の症状もある場合は流産の兆候であるケースもあるため注意が必要です。 本記事ではそんな妊娠初期の出血で不安を抱えている方に向け、出血の原因について解説します。注意が必要な他の症状についても解説するので、まずは落ち着いて見極めていきましょう。

PROFILE

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専門家/エキスパート 阿部 一也
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業/現在は板橋中央総合病院勤務/専門は産婦人科
INDEX

1 妊娠初期の出血は異常とは限らない

2 妊娠初期の出血に伴うよくある症状

3 妊娠初期に起こりやすい出血の原因

4 妊娠初期の異常な出血の原因とリスク

5 気になる症状があれば早めに相談しよう

妊娠初期の出血は異常とは限らない

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妊娠初期の出血は異常とは限りませんが、なぜ起こるのでしょうか。

妊娠初期は出血が起こりやすい

妊娠初期は赤ちゃんのために胎盤をつくるため、子宮内膜の血管を破ってしまうことがあります。破けた血管は自然とふさがりますが、血が腟を通って排出されることがあるのです。

これを「着床出血」と言います。

着床出血の初期の出血は、約30%の妊婦さんが経験しており、珍しいことではありません。出血があった人は流産する可能性が高くなるわけでもないので安心してください。着床出血の場合は、出血の有無では流産の確率は変わらないといわれています。

※参考:三軒茶屋ARTレディースクリニック

出血が流産のサインであるケースもある

一方で妊娠初期は流産しやすいともいわれています。妊娠初期の流産は約8割が染色体が原因であり、流産になる時点で母体側の治療では止められないことがほとんどです。

なお、注意が必要なサインは、強い腹痛を伴う出血がある、もしくは出血量が多い場合です。出血量が多い場合は子宮内に血液の一部が溜まった「絨毛膜下血腫」、腹痛を伴う場合は「早期流産」が起きていることもあります。

症状の特徴が一致する場合はまずは受診している産婦人科に問合せ、指示を仰ぎましょう。

妊娠初期の出血に伴うよくある症状

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妊娠初期に出血がある方は、他の症状にも悩んでいることがあります。一般的に他の症状はどのようなものがみられているのでしょうか。

ここでは出血に伴うよくある症状について紹介します。

おりものに少量の血が混ざる

下着に少量の血がにじむ程度の出血に加え、おりものに少量の血が混ざることがあります。症状は1〜4日続き、出血は収まります。これらの症状は、一般的に着床出血が原因としてみられており、深刻なものではないことが多いです。

ただし出血量が多かったり、血が混じったおりものが続いたりする場合は別の要因が隠れている可能性もあるため注意が必要になります。

軽度の腹痛や下腹部痛

出血とともに軽度の腹痛または下腹部の痛みが見られることもあります。これは一般的には妊娠が進み、子宮が大きくなることで起こる痛みです。

ただし前述のとおり、痛みが強い場合は流産等の可能性も考えられます。強い症状が見受けられる場合は、すぐに医師へ相談しましょう。

妊娠初期に起こりやすい出血の原因

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出血の症状や傾向についてわかったところで、気になるのが出血の原因です。ここからは各症状を引き起こす一般的な原因について、より詳しく解説していきます。

着床出血

着床出血は、妊娠3週目〜4週目あたりに子宮内膜に受精卵が着床することで起こる出血です。着床した後、受精卵は胎盤を作るために絨毛で子宮内膜を破るため、血管を傷つけて出血が起きることがあります。

ただ出血量はペーパーに少し付く程度で、ごくごく少量であることが多いです。血液の色はピンク〜赤褐色や茶色がみられています。

なお、着床出血は全ての人に起きるわけではありませんが、一定数の妊婦さんに起こると言われています。しかし着床出血は自然と回復するため、過度な心配はいりません。

特徴

● 妊娠3週目〜4週目に起こる

出血量の目安

● ペーパーに少し付く程度の少量出血

血の色

● ピンク

● 赤褐色

● 茶色

絨毛膜下血腫

絨毛膜下血腫は着床出血のあと、血液が排出されずに絨毛膜と子宮筋層の間に溜まり、血の塊(血種)ができてしまった状態です。

小さい場合は妊娠12週までに子宮に吸収されることが多いですが、大きくなると血腫から血が漏れ、少量の出血または大量出血を起こすこともあります。出血量によっては貧血等の懸念があるので、安静にすることが必要です。

また、血腫による出血は、妊娠中期で止まることが多く、出血量も多くなければ治療の必要がないものとしてみられています。しかし妊娠16週以降も出血が続き、血腫が成長している場合は、流産を起こす危険が出るため治療を行います。

特徴

● 妊娠12週までに見られる

出血量の目安

● 少量出血または大量出血

血の色

● 鮮血

● 赤褐色

子宮頚部びらん

子宮頚部びらんとは、女性ホルモンの影響を受けて子宮口がただれてしまう症状です。ただれてしまうことで少量の出血を引き起こすことがあります。しかし子宮頚部びらん自体は生理現象として起きるものなため、異常ではありません。

ただ子宮頚部びらんが起きていると性交や内診の際にも出血が起きることがあります。発症していると炎症が起きた場合にさらに出血しやすくなるため、炎症を落ち着かせるために投薬治療や簡単な処置を行うことになります。

特徴

● おりものに血が混じることがある

● 性交や内診で出血することがある

出血量の目安

● 少量出血

血の色

● ピンク

● 赤褐色

● 茶色

妊娠初期の異常な出血の原因とリスク

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出血量が多かったり、多量の出血が続いたりする場合は別の原因が隠れていることがあります。そこで、ここからは異常な出血のケースで考えられる原因とリスクについてご紹介します。

情報を見ると不安が大きくなってしまうかもしれませんが、知識があることで異常に気がつくこともあります。可能性の1つとして情報を蓄えておきましょう。

子宮外妊娠

子宮外妊娠(異所性妊娠)とは、本来着床すべき子宮ではなく、卵巣や卵管等の子宮外に着床してしまうことです。最初は少量の出血から、徐々に出血量が増えていく特徴があります。まれに腹痛も伴う場合もありますが、多くの場合は自覚症状がありません。

しかし妊娠が進むと着床した器官が耐えられず、大量出血を起こすことがあるため、放置するのは危険です。出血量によっては母体に危険が及ぶため、早期発見が重要になります。

もし子宮外妊娠が確定した場合は妊娠の継続を中止する処置として、主に手術、時として薬物療法を行います。子宮外に着床した場合は胎児が成長できないため、妊娠を継続するのが不可能になるからです。

なお、子宮外妊娠は検査ですぐわかるので、継続的に産婦人科で診察を受けていれば発見することができます。一般的に妊娠6週以降になっても胎嚢が見られない場合は子宮外妊娠の可能性があるでしょう。

特徴

● 少量出血から徐々に出血が増えていく

● まれに腹痛を伴う

出血量の目安

● 少量~大量の出血

血の色

● 鮮血

● 赤褐色

胞状奇胎

胞状奇胎とは、胎盤をつくる絨毛細胞が異常増殖してしまう異常妊娠の1つです。子宮内にぶどうのような粒状の細胞が多数できてしまい、胎児が成長できなくなってしまいます。

ただ出血症状は軽く、少量の出血かおりものに血が混ざる程度です。加えて途切れ途切れ出血や血混じりのおりもの、腹痛や重いつわりのような症状も併発することがあります。

また、胞状奇胎は、子宮外妊娠と同じく妊娠の継続ができないため、なるべく早く処置を受けなければいけません。発覚が遅くなると子宮内の除去組織が増えるため、手術のリスクが高まる恐れがあります。

なお、一般的に胞状奇胎は妊娠4~11週でエコーや血液検査によって見つけることができます。定期健診等でも見つけられる可能性が高いので、しっかり受診をしておきましょう。

特徴

● 妊娠4~11週に検査でわかる

出血量の目安

● ごく少量の出血

● おりものに少量の血が混ざる程度

血の色

● 赤褐色

● 茶色

切迫流産

切迫流産とは、妊娠22週未満で流産の危険がある痛みや出血が起きた状態のことです。切迫流産の診断は「流産をした」という意味ではなく、流産の危険がある状態を指しています。そのため、流産を招かないように医師により継続した治療や指導が必要ですが、妊娠は継続できるケースも多いです。

また、出血量は少量から普通のナプキンが真っ赤に染まる程度等、人によってさまざまです。ただ多くの場合で下腹部の膨張感と痛みを伴うことが多いので、注意して症状を見ておきましょう。

特徴

● 妊娠22週未満に起こる

● 腹痛と膨張感を伴う

出血量の目安

● 少量~大量の出血

血の色

● 鮮血

● 赤褐色

早期流産

早期流産(初期流産)は、妊娠12週までに起こる流産のことで、出血や腹痛の症状を伴って起きることがあります。

出血量は少量の人もいれば、夜用ナプキンが真っ赤に染まるほどの大量出血を起こす人もいます。また、腹痛も人によって症状がない場合もあれば、強い腹痛を自覚する人もいたりと、かなり症状の差があるのが特徴です。

そのため、人によって早期流産に気がつかないケースも珍しくありません。

特徴

妊娠12週までに起きる

出血量の目安

少量~大量出血

血の色

鮮血

子宮頚管ポリープや子宮頸がん

子宮頚管ポリープや子宮頸がんは、妊娠初期の出血で発覚しやすいことで知られています。

子宮頚管ポリープ

子宮頚管ポリープは、子宮頚管にできる「ポリープ(腫瘤)」のことです。ポリープができると内診・性交・排便等、力が入る際に出血しやすくなります。しかしポリープは良性が多く、大きくならない場合は妊娠に影響はないので過度な心配はいりません。

ただ、もしポリープが肥大化し炎症等も引き起こした場合は流産の危険が出てくるため、医師による経過観察あるいは切除が必要です。

子宮頸がん

一方で子宮頸がんは子宮頸部にできる「がん」です。子宮頸がんの出血はポリープと違い、出血量が増えていく傾向があります。がんは迅速に治療できないと、後に手術のリスクが上がる恐れがあるので早期治療が必要です。

なお、妊娠の継続は状態によって異なります。継続可能なケースもあるのでなるべく早く診断や治療を受けることが重要です。

子宮頚管ポリープ

子宮頸がん

特徴

● 内診・性交・排便でも出血する

においがある・茶色い・水っぽいおりものが増える

粘液の分泌が増える

出血量の目安

● 少量の出血

少量から出血が増えていく

血の色

● ピンク

● 赤褐色

● 茶色

鮮血

赤褐色

気になる症状があれば早めに相談しよう

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妊娠初期は病気や異常でなくても少量なら出血することは珍しくないため、まずは落ち着いて他の症状もないか整理してみましょう。

症状を整理する時は、出血量や頻度、おりもの等の分泌物等も観察してください。腹痛や吐き気等の症状もあれば注意が必要です。

早期流産の可能性や絨毛膜下血腫等、経過観察もしくは治療が必要なこともあるので、不安に感じた場合は早めにかかりつけの産婦人科で相談してください。

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