妊娠中期の過ごし方のポイントと注意点とは。既存の制度もフル活用
PROFILE
1 妊娠中期はいつからか
2 妊娠中期の過ごし方のポイント6選
3 妊娠中期にやっておきたいこと
4 妊娠中期を過ごす際の注意点
5 妊娠中期の働き方で役立つ制度
6 妊娠中期は体調が落ち着いても無理せず過ごそう
妊娠中期はいつからか
妊娠中期とは、妊娠14週0日目から27週6日目までに該当します。月数で数えると、妊娠4カ月目の半ばから7カ月目の終わりまでをいいます。
医学用語ではありませんが、一般的に安定期と呼ばれる期間は妊娠16週から妊娠27週までの期間が当てはまります。この時期は比較的体調も安定しているとされますが、早産のリスクもあるため、引き続き体調には注意が必要です。
妊娠中期の母体の体調の変化と胎児の成長を、月ごとに見ていきましょう。
月数 | 胎児の成長 | 母体の変化 |
---|---|---|
妊娠4カ月目(妊娠14週0日目~15週6日目) | 胎盤が完成しはじめる | つわりが少しずつ落ち着く |
妊娠5カ月目 | ・盛んに動き始める ・おなかを蹴るような動きが見られる | ・体重が増え始める ・乳房が大きくなる ・皮下脂肪が付きやすくなる |
妊娠6カ月目 | ・より活発に動く ・エコー検査で顔かたちや性別が分かることもある ・耳が聞こえるようになる | ・腰痛が始まる ・胎動を感じる |
妊娠7カ月目 | ・成長がさらに進む ・まぶたが開くようになる ・身長が30cmほどになる | ・おなかがさらに大きくなる ・妊娠線ができることもある ・日常生活が難しくなることも ・妊婦検診が2週間に1回になる |
妊娠初期に比べるとつわりや倦怠(けんたい)感が落ち着き、心身共に比較的安定する時期です。出産後の支度を進めやすくなりますが、胎児の安全と健康を考えつつ、無事に出産を迎えられるように体を整えていきましょう。
※参考:働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート
妊娠中期の過ごし方のポイント6選
妊娠中期は胎児の成長に必要な栄養素や酸素、血液が増加するため、母体の健康を守ることも重要となります。ここでは、妊娠中期を元気に乗り越えるための過ごし方のポイントを6つ紹介します。
栄養バランスのとれた食事で体調維持
健康的に妊娠中期を過ごすためにも、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。妊娠中期は胎盤が完成し始め、食べたものが胎児へ影響を及ぼすといわれているからです。
実際の食事で妊娠前よりも増やしたい栄養素は、次の4つです。
● 鉄分
● 葉酸
● カルシウム
● タンパク質
バランスよく補うには、主菜(タンパク質の豊富なおかず)と副菜(野菜中心のおかず)、果物を妊娠初期より多くとるよう心がけましょう。1日あたりの食品ごとの目安量については、農林水産省の食事バランスガイドを参考にするのも手です。
反対に、避けたい食事には塩分や脂質が高い食事が挙げられます。外食やインスタント食品を購入する際は、塩分や脂質を確認してとり方を見なおしてみましょう。
妊娠中期にNGの食べ物
アルコール、生魚・生卵・生肉・ナチュラルチーズは妊娠中期もNGです。
アルコールは水銀と同じく、胎盤を通じて胎児に影響を及ぼします。
また、免疫力が低下しているため、生魚等を食べた際に食中毒の可能性が高まります。食中毒になると体力の低下だけでなく、胎児への影響も懸念されるため、安全を考慮して避けましょう。
体重増加は誰でも起きる
妊娠中期は妊娠初期と比べると、胎児の成長が進み、体重が増加する時期です。しかし、体重増加が急激に進むと、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病等病気のリスクが高まります。
妊娠期間の体重増加の目安は、国立健康・栄養研究所によると、妊娠前の体格(BMI)によって異なります。
● やせ(18.5未満):12kgから15kg
● 普通(18.5 以上 25.0 未満):10kgから13kg
● 肥満(25.0以上30.0未満):7kgから10kg
● 肥満2度以上(30.0以上):上限5kgを目安に個別対応
※参考:国立健康・栄養研究所
胎児の成長の過程にもよりますが、妊娠の経過にあわせて徐々に増加していくことが望ましいとされます。体重が1カ月で数kgも増えたといった場合には、主治医に相談してみましょう。
※参考:国立健康・栄養研究所
※参考:妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針
軽い運動で運動不足とストレスを解消
医師から禁止されていなければ、軽い運動を行ってみましょう。気分転換のほか、運動不足の解消、出産に向けた体力づくりにも効果的です。
日本臨床スポーツ医学会の「妊婦スポーツの安全管理基準」によると、運動強度の目安には、次のような内容が挙げられています。
● 心拍数で150bpm以下の「ややきつい」と自覚するくらいの運動
● 連続して運動をする際は「やや楽である」以下の運動を目指す
運動の内容は、ウォーキングやマタニティーヨガ、マタニティースイミング等、ゆっくりと行える有酸素運動がおすすめです。散歩や軽い家事等、日常で行えるものから取り組んでみましょう。
頻度は、1回につき60分程度のものを、週に2~3回が目安となります。運動習慣がない場合は、1回15分くらいの運動からはじめ、無理なく進めることが大切です。水分補給も忘れないようにしましょう。
注意したい運動は、おなかに直接圧力がかかるもの、他の選手との激しい接触によるケガや転倒のリスクがあるものです。例えば、バーベルを使うような激しい筋トレやバスケットボール等が挙げられます。
また、運動を行う際におなかの張りを感じたら、すぐに中断してください。体調が悪いときは無理をしないことも重要です。
代行も活用して家事負担を軽減
体調が悪いとき、パートナーに頼れないときは、家事代行サービスを活用して家事の負担を減らしましょう。
妊娠中期は比較的体調が落ち着く時期とされますが、つわりが続く場合もあります。妊娠中期は腹部がさらに大きくなってくるため、動きに制限がかかりがちです。
結果として、風呂の掃除や料理、買い物等、毎日の家事が辛く感じられるかもしれません。家事に時間を取られてしまうと、自分と胎児のための体調管理が難しくなります。
まずはパートナーと家事の分担について、積極的に話し合ってみましょう。妊娠中からさまざまな家事に対応してもらうことで、お互いに産後の役割分担がイメージしやすくなります。
そのうえで、体調がすぐれない、パートナーも仕事が忙しいといった場合には、家事代行を検討してみましょう。家事代行に依頼する場合は、自分が負担が大きいと感じる家事を依頼するのがおすすめです。
辛いときは無理をせず、周囲の人や代行サービスによる手助けを活用して、体調管理に役立てていきましょう。
おなかの負担を和らげて休息・睡眠
体を休めるときの姿勢は、おなかの負担を和らげ、胎児にとっても危険が少ない横向きの姿勢を心がけましょう。
特に左側を下にする向きがおすすめです。子宮が背骨や背中の筋肉、大静脈、肝臓を圧迫し、血流を妨げるのを防いでくれます。横向きで寝る習慣がない場合は、枕やクッション等を使って、自分が楽に眠れる横向きの姿勢を探してみましょう。
注意したいのは、うつ伏せやあおむけの姿勢です。うつ伏せになって眠ると、寝難いばかりか、おなかに圧がかかります。
また、あおむけの姿勢は仰臥位低血圧症候群をおこすことがあります。子宮が下半身の血液を心臓に送るための静脈を圧迫し、心臓から全身に送り出す血液の量が減ることで血圧が下がってしまい、症状がおきるというものです。
血圧が低下すると、めまいや吐き気、呼吸困難、意識障害などがおこることもあります。横向きの姿勢を心がけましょう。
※参考:日本救急医学会・医学用語解説集
日頃から妊娠線のケア
妊娠線の予防を始めるのであれば、妊娠中期がおすすめです。
妊娠線とは、胎児の成長に伴い体形が変化することで体にできる赤紫色の線のことです。一度妊娠線ができてしまうと、完全には元に戻ることはなく、産後も残ってしまいます。
早い人は妊娠中期から現れ始めるため、予防したい場合は早めにケアを行いましょう。
肌の保湿力の低下も妊娠線の原因となるため、オイルやクリームを活用した肌の保湿やマッサージがおすすめです。
おなかだけでなく、お尻や太もも、胸、二の腕も妊娠線ができやすい場所です。クリームやオイルで保湿しながら、手のひらで撫でるようにマッサージをしていきましょう。
できてしまった場合も、皮膚科や形成外科で治療が可能です。胎児に直接影響が及ぶ訳ではありません。
性生活では感染症の予防
妊娠中期になると、体調に無理のない範囲であれば性生活を再開できます。
ただし、妊娠中期も後半となると、おなかが大きく前に出てくるため、圧迫するような姿勢は避けましょう。挿入も浅めにして、負担がかからないようにすることも大切です。
また、妊娠中は免疫力が低下しています。菌の侵入を防ぐためにも、コンドームを使って感染症の予防を行ってください。
なお、場合によっては医師から性生活を禁止されることもあります。切迫流産や早産の可能性がある、出血や痛み、感染症といった症状がある際には、無理のない性生活を心がけることが大切です。
※参考:春日部市公式ホームページ
妊娠中期にやっておきたいこと
普段はすぐ取り組めることでも妊娠後期に入ると難しいこと、反対に妊娠中期にしかできないこともあります。ここでは妊娠中期にやっておきたいことを詳しく解説します。
歯科検診
歯科検診を受け、虫歯や歯周病がないか確認してもらいましょう。
妊娠中はつわりや体調不良で歯を磨けない、食事をこまめにとるといった行動により、歯や口の中が汚れがちです。さらに、女性ホルモンには歯周病菌の増殖を助ける働きもあります。
また、妊娠後期になると、抜歯を伴う歯の治療が難しくなります。あおむけの姿勢が続くと子宮が大動脈を圧迫して気分が悪くなったり、早産の可能性が高まったりするためです。
産後になると、今度は育児に忙しくて歯科検診が受けられない等、通院自体が難しくなります。
そのため妊娠中期が、歯の治療に望ましいとされます。あおむけの姿勢も行いやすく、体調に注意しながらほとんどの歯科治療を進められるからです。
市区町村によっては、歯科検診が無料で行える妊婦歯科検診受診券の配布や、妊婦を対象とした歯科検診を実施しています。まずはお住まいの地域に問合せてみましょう。
※参考:板橋区公式ホームページ
マタニティー旅行
マタニティー旅行を計画しているのであれば、妊娠中期が比較的安心して行える時期です。旅行でストレスを発散し、体と心をリラックスさせるといったメリットもあります。
しかし、流産や早産、ケガ等のトラブル、旅先で入院するリスクについても考えておかなくてはなりません。
万が一に備え、母子手帳や健康保険証、おくすり手帳等、病院を受診できる用意をしてください。持病や現在の治療内容等特記事項や、緊急連絡先が分かるものを持ち歩くことも大切です。
移動は体に負担をかけない手段を選び、のんびりと無理せず過ごせる計画を立てましょう。
また、海外旅行は避けた方がよいとされます。時差や気候、食事の違いはもちろん、医療体制も異なるからです。
心配な場合は産後、落ち着いたタイミングで旅行を改めて計画することをおすすめします。
マタニティーフォト
妊娠中の今を写真に残すマタニティーフォトを計画する場合は、妊娠中期がおすすめです。
妊娠7カ月目(妊娠24週目)に入ると、おなかもはっきりと大きくなり、胎児の存在が強く感じられるようになります。
また、体調不良になるリスクが少なく、妊娠後期と比べると身体的な負担が軽い時期です。予定通りのスケジュールやポーズで、マタニティーフォトの撮影を行いやすいといえます。
撮影する方法には、自宅でのセルフ撮影、自宅に出張カメラマンを招いての撮影、フォトスタジオでの撮影などがあります。自宅でのセルフ撮影の場合は、体調や時間を気にせずに、何度でも撮りなおしができるため、体調面に不安がある方や小さいお子様がいる方、妊娠週数ごとに複数回撮影したい方に向いています。自宅での撮影の良さを活かしつつ、撮影技術にもこだわりたい方は、出張カメラマンに依頼するのがおすすめです。自宅等での気軽なセルフ撮影が挙げられます。自然体で撮影することで、ナチュラルな雰囲気のマタニティーフォトを撮影できるでしょう。
仕上がりの具体的なイメージがついていたり、世界観を作り込んだ写真を残したいという人、あるいは天候面で不安があったりという場合は、フォトスタジオでの撮影がおすすめです。マタニティーフォトに対応したスタジオであれば、たとえばマタニティードレスといった衣装、花冠やベール等の小道具も借りられます。
出産に向けた準備
体調が落ち着いている妊娠中期に、出産に向けた準備を進めていきましょう。
自治体等が行う出産や子育てに関する知識を学ぶ両親学級への参加は、妊娠中期がおすすめです。赤ちゃんのケアを実践的に学ぶほか、参加者同士の交流を通じてお互いの悩みを語り合えます。
また、妊娠中期になると、エコー検査でタイミングが良ければ胎児の性別がわかります。性別に合わせたベビー用品も選べるようになるので、ベビー用品の購入を進めていきましょう。
里帰り出産を検討する場合は、出産可能な病院を調べたり、通院中の病院に意向を伝えたり、転院の手続きが必要です。遠方に里帰りする必要がある場合、体調が落ち着いているこの時期に転院を行うとよいでしょう。
また、職場復帰を検討している場合は、幼稚園や保育園の情報収集もおすすめです。
産後を見越して、できる範囲で用意を進めていきましょう。
妊娠中期を過ごす際の注意点
体調が落ち着き、胎児の成長を実感できる妊娠中期ですが、リスクも付きまといます。日頃の生活から心がけたい注意点を詳しく解説します。
服装はサイズに余裕のあるものを選ぶ
妊娠中期も後半となると、おなかが前に突き出し、バストやヒップが大きくなります。衣服を選ぶ際は妊娠後期のことも考え、サイズのゆったりとしたものを選びましょう。
トップスやボトムスを選ぶ際は、おなか周りがゆったりとしていて、ボタン等でサイズを調節できるものがおすすめです。トップスなら授乳口があるもの、前開きのものを選ぶと、産後も活用できます。
併せて、インナーや下着も買い替えが必要となる場合があります。肌が敏感になるほか、バストやヒップのサイズが変わってしまうこともあるからです。
足元は転倒のリスクを下げるため、スニーカー等安定したものを選びます。基本的には、ハイヒールのように踵の高い靴は避けましょう。
ただし、人によっては平らな靴が良いとは限りません。2~3cmほどのヒールがある靴を履くことで、足にかかる負担が減り、こむらがえりが改善されたという報告もあります。こむらがえりで眠りにくいという人はヒール部分が太く、安定性がある靴を選択するのも手です。
※参考:研究論文:ヒールの高さが妊婦歩行に与える影響
体重が増えてもダイエットはしない
妊娠中は胎児が成長した分、体重が増加します。体重が増えたからといって、激しい運動をしたり、食事を抜いたりするようなダイエットはしてはいけません。
急激に体重を減らしてしまうと、早産や低出生体重(2,500g未満)等のリスクを高める可能性があります。低体重で生まれた子の場合、成人後に肥満や2型糖尿病等の生活習慣病のリスクが高まる可能性があることも。
体重が増加した場合は、まずは体重管理が必要か医師に相談しましょう。そのうえで、医師から指導があった場合には、軽い運動や食べ方の工夫により、望ましい体重増加に近づけていきます。
食べ方の工夫
食べ過ぎてしまわないよう、1日3食、よく噛んで食べることが大切です。歯応えのある根菜や、食物繊維が豊富なきのこや海藻を活用し、満足感を得られるようにしましょう。
野菜がたっぷりと入ったスープを食事の最初に食べておくと、食べ過ぎをふせぎやすくなります。
働いている妊婦さんの場合、食事をつい外食やインスタント食品に頼ることもあるかもしれません。一日を振り返ってみて、野菜が足りなかったな、と思ったら次の食事に冷凍野菜を足してみる等、無理のない範囲から改善してみましょう。
※参考:厚生労働省
不調はすぐ医師に相談
妊娠中期に起こりうる不調には、貧血や便秘、痔といった普段の生活でも起こりうるものから、切迫早産や妊娠糖尿病等妊娠期特有のものまでさまざまです。中にはちょっとした体調不良だからと、我慢してしまうこともあるかもしれません。
いずれにしても重要なのは、不調を我慢せずに医師へ相談することです。我慢してしまうと、取り返しのつかないことになる恐れもあります。気を付けたい症状は次の4つです。
● 月経痛のようなおなかの痛みや張りが規則的に続いている(子宮収縮)
● 膣から出血が見られる
● おりものの色やにおいの変化、膣のかゆみがある
● 発熱している
おなかの痛みや張りが出た場合、まずは安静にしてみましょう。変化が見られなければ、すぐに病院へかかってください。
また、妊娠中期は出血する可能性が低い時期です。切迫早産等、異常の可能性が考えられるため、同じようにすぐ病院にかかる必要があります。
おりものの色やにおいの変化は、早産の可能性のほか、感染症が疑われます。感染症によっては、分娩の際に赤ちゃんに感染するリスクがあるため、早めに医師へ相談しましょう。
さらに、免疫力が低下しているため、感染症で発熱する恐れもあります。発熱状態が長時間続くと、胎児に影響を与える可能性もあり、受診が必要です。
不調を感じたら、自分と胎児、どちらの命も大切にするために、早めに医師へ相談しましょう。
妊娠中期の働き方で役立つ制度
労働基準法第65条により、出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から産前休業をとることができます。産前休業に入るまでの間、妊婦検診や体調不良のため休みを取る機会があるかもしれません。安心して働くために活用できる2つの制度について解説します。
男女雇用機会均等法の母性健康管理の措置
男女雇用機会均等法における母性保護規定により、事業者には妊産婦のための保健指導や健康診査を受ける必要な時間の確保が定められています。
これにより、妊娠中や産後1年以内の女性労働者は、申出によって勤務時間内であっても移動時間や待ち時間等を考慮したうえで、受診するための時間を確保してもらえます。
健康診査の頻度は、妊娠中期が該当する妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24週から35週までは2週間に1回です。状態によっては、医師からの指示でさらに多くの回数を受診しなくてはなりません。
また、この診査の頻度等によって、不当に降格や不利益な契約の変更等を行うことは男女雇用機会均等法において禁止されています。
ただし、注意点として休みを与えるわけではなく、正確には診査を受けるための時間の確保となります。給与の減額を避けるために少しだけ働く等、勤め先の対応や自分の意向を確認しておきましょう。
また、仕事内容が体調や母体、胎児への影響が懸念される場合は、母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)を通じて、医師から自身の状態について雇用者へ伝えることもできます。受診時に医師へ相談してみましょう。
※参考:働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート
※参考:厚生労働省
健康保険の傷病手当金
傷病手当金とは、病気やケガによる休業中に、被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。妊娠中期に起こりうるトラブルでも、受取れる場合があります。
健康保険に加入していれば、正社員に限らず、パートやアルバイト等、雇用形態や勤続期間に左右されません。ただし、夫の扶養に入っている配偶者は傷病手当金を受け取れません。また国民健康保険加入者に傷病手当金は給付されないことは覚えておいてください。
妊娠している人が傷病手当を受取れる対象となりうるのは、次のような内容です。
● 切迫早産
● 切迫流産
● 重度のつわり
● 妊娠高血圧症候群
治療を行う場合、場合によっては高額な医療費がかかります。そんな時、傷病手当金が受け取れると、医療費の自己負担の軽減が可能です。
前提として、業務外のケガや病気により療養が必要になり、連続して3日以上休業した場合、休業4日目から受け取ることができます。支給額は、休む前の1日あたりの給与日額の約3分の2が対象ですが、休んでいる期間に事業主から支給額より多くの給与を受け取っていないことが条件です。
また、医師からの診断書のほか、給与が支払われていないことを書類で証明してもらったうえで、申請となります。退院後や自宅療養が終わってからの申請となるため、対象となる場合は勤め先での対応を確認しておきましょう。
※参考: 全国健康保険協会
妊娠中期は体調が落ち着いても無理せず過ごそう
妊娠中期に入ると、つわりも落ち着き、体調がよいと感じられる時期です。おなかも大きくなりはじめ、マタニティー旅行やマタニティーフォトといった、妊娠中ならではの体験を行うのもよいでしょう。
体調が落ち着いていることも多いため、産後に備えた準備や歯科検診を受けておくことも大切です。
一方で、早産や切迫流産等、トラブルが起きる可能性もあります。何か不安なことがあれば、すぐ医師や看護師等に相談し、妊娠中期を無理せず過ごしていきましょう。