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妊娠と出産

妊娠5カ月で気をつけることは?赤ちゃんの様子や母体の変化も解説

公開日:2024.07.19
更新日:2024.07.19
妊娠5カ月で気をつけることは?赤ちゃんの様子や母体の変化も解説
妊娠5カ月は妊娠16週目から19週目にあたり、医学的には妊娠中期が始まるタイミングです。胎児も母体もどんどん変化していくので、どのようなことに気を付けるべきか疑問に思っている方もいるでしょう。 そこで今回は、妊娠5カ月の赤ちゃんの様子や母体の変化について解説したうえで、注意すべきことを紹介します。妊娠5カ月頃に気になりやすい疑問にも回答するので、参考にしてみてください。

PROFILE

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専門家/エキスパート 阿部 一也
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業/現在は板橋中央総合病院勤務/専門は産婦人科
INDEX

1 妊娠5カ月の赤ちゃんの様子

2 妊娠5カ月の母体の変化

3 妊娠5カ月の過ごし方のポイント

4 体調が良ければ適度な運動を

5 妊娠5カ月頃に注意すべきこと

6 妊娠5カ月目によくある質問とその回答

7 過ごし方や注意点を押さえ、妊娠5カ月を健康的に乗り切ろう

妊娠5カ月の赤ちゃんの様子

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妊娠5カ月は医学的な分類で妊娠中期に該当し、妊娠生活も折り返しとなる時期です。このときの赤ちゃんはどのくらいの大きさでどのように成長しているのか、確認しましょう。

妊娠5カ月目の赤ちゃんの大きさ

妊娠5カ月目の赤ちゃんは、どんどん大きくなっていきます。体長は妊娠16週目から19週目にかけて約19〜24cmになり、体重は110〜250gほどで、グレープフルーツ1個分ほどの重さに。赤ちゃんが胎盤よりも大きく成長するので、母親のおなかの膨らみが目立つようになります。

妊娠5カ月の赤ちゃんの成長具合

妊娠中期にあたる妊娠5カ月目は、妊娠初期に形成された体の器官が発達する時期です。各部位がどんどん成長し、働く機能が備わっていきます。体は4頭身になり、爪や髪の毛、眉毛も生えてくる頃です。


臓器の動きも活発になり、肝臓では血液を作り始めます。へその緒には血液がしっかりと流れ、胎盤から酸素や栄養が取り込まれるように。腎臓や膀胱もほぼ完成し、赤ちゃんは羊水を飲んだりおしっこをしたりするようになります。


さらに腕や足ができ、骨格や筋肉が発達するので、手足を動かせるようになるのもこの頃。関節が動くようになって全身を自由に動かせるため、子宮壁に手足が当たったときに胎動を感じられます。運動機能中枢を司っている脳の前頭葉も発達してくるので、親指と他の指を別々に動かす等といった器用な行動も見られるでしょう。


妊娠5カ月目の最後のほうには、赤ちゃんがおしゃぶりを始めます。吸引反射(吸啜反射)と呼ばれる行動で、生まれてからおっぱいを強く吸うための練習です。


また、妊娠5カ月頃の赤ちゃんは神経回路や聴覚が発達するので、音が聞こえるようになります。外の音に反応して、体を動かすこともあるでしょう。赤ちゃんに呼びかけたり、音楽を聴かせたり、絵本を読んだりする胎教も可能になる時期です。

妊娠5カ月の母体の変化

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妊娠16週目からは、一般的に安定期とも呼ばれる時期です。妊娠初期にみられていたつわりやだるさ、熱っぽさといった身体的な不調や、イライラやうつ状態のような精神的な不調が、妊娠5カ月頃から落ち着いてきます。そのようななかで母体がどう変化するのか、確認しましょう。

体重増加と体型の変化

妊娠5カ月頃には、子宮が大人の頭ほどの大きさになります。それに伴い、おなかの膨らみがだんだんと目立つように。おなかだけでなく、乳房やお尻も大きくなり、母体は全体的に皮下脂肪がついてふっくらとした体型に変わっていきます。


妊娠中は、赤ちゃんの成長や母体の変化により、体重が増えるのが基本です。しかし、太りすぎると妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を発症するリスクが高まるため、注意しなければなりません。妊娠5カ月頃はつわりが落ち着き、食欲旺盛となって体重が増えすぎる方もたくさんいます。2週間で0.5〜1kgの増加となるよう、体重管理が必要です。

マイナートラブルが増え始める

妊娠中期にあたる妊娠5カ月頃には、妊娠中ならではのマイナートラブルが増え始めます。不調が発生する理由を知り、適切な対策をして乗り越えましょう。

腰痛

妊娠5カ月頃からおなかが大きくなってくるので、妊婦はどうしてもおなかを突き出して腰を反った姿勢になりがちです。その結果、腰や背中に痛みを感じることも少なくありません。妊娠中期から後期にかけてどんどんおなかが大きくなるため、腰痛や背中の痛みは悪化する傾向があります。


また、中腰や前屈み等の姿勢を取ると腰に負担をかけてしまうので、できるだけ避けましょう。長時間立ち続ける、座り続ける等同じ姿勢を取ることでも腰痛は悪化するため、こまめに姿勢を変えてみてください。寝るときは固めの寝具を使うと、腰への負担を軽減できます。

貧血

妊娠すると、自分の体だけでなく赤ちゃんにも栄養と酸素を与えることになります。そのため、妊娠中は妊娠前よりも体に流れる血液量が1.5倍に増加します。しかし、液体の血しょうが増える一方で赤血球があまり増えないので、妊娠中は貧血になりやすいです。貧血になると、動悸やめまい、たちくらみ、頭痛等のトラブルにつながるケースもあります。


貧血を予防するためには、鉄分の摂取が必要です。鉄分が多く含まれる赤身肉やレバー、ひじき、あさり、小松菜、大豆製品等を食べましょう。植物性食品に含まれる非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒に摂取すれば吸収率が上がるので、ブロッコリーやパプリカ、レモン、オレンジ等も組み合わせて食べるのがおすすめです。

便秘、頻尿、痔

妊娠5カ月頃は子宮が大きくなってくるので、腸や膀胱を圧迫し便秘や頻尿を招いてしまうこともあります。また、子宮が血管を圧迫することで血液循環を悪化させ、痔を引き起こすケースも少なくありません。妊娠中に便秘が悪化して、痔につながることもあります。


便秘が気になるときは、水分や食物繊維を意識的に摂取しましょう。便を柔らかくしたいときは果物や海藻類、にんじん、キャベツ等に含まれる水溶性食物繊維を、便の量を増やしたいときは根菜類やきのこ類、豆類等に含まれる不溶性食物繊維を取ってください。便秘や痔になっているときは、おなかに力を入れすぎないことも大切です。頻尿の場合は、我慢せずこまめにトイレへ行く習慣をつけましょう。

むくみ

妊娠中は血液量が増えるうえに、子宮が血管を圧迫して血流が悪くなるため、むくみやすくなります。


ストレッチや有酸素運動等を取り入れると、血流が改善されてむくみ解消につながります。ぬるめのお湯につかり、お風呂から上がったら足先から体の中心に向かって流すようにマッサージをするのも効果的です。塩分を控えた食事を心がけ、塩分排出を促すカリウムを含む海藻類やほうれん草、キウイ等を食べるのもいいでしょう。

妊娠線

妊娠5カ月頃はおなかが大きくなるため、妊娠線ができやすい時期です。おなかが大きくなると皮膚の表面は伸びますが、真皮や皮下組織は伸びについていけないので裂けてしまい、妊娠線ができます。


妊娠中は乳房やお尻、太もも等にも急激に脂肪がつきやすいため、おなか以外の部位に妊娠線ができることもあります。できた直後の妊娠線は赤みがあって目立ちますが、出産後は白っぽくなるので次第に目立たなくなるでしょう。ただし、一度できてしまうと完全には消えません。


妊娠線は、できないように予防するのが大切です。急な体重増加を抑えながら、皮膚の乾燥を防いで柔軟性を高めましょう。一般的な保湿クリームではなく、妊娠線予防用のクリームを使うのもおすすめです。

胎動を感じ始める

妊娠5カ月頃になると、胎動を感じ始める方もいます。胎動とは、手足ができて活発になった赤ちゃんの動きのことです。最初はおなか周りの神経が少し動いたり、サワサワとした感覚があったり、人によって感じ方は異なります。


妊娠5カ月頃から胎動を感じる方もいますが、遅ければ妊娠7カ月頃に初めて胎動を感じるケースもあります。妊娠5カ月で胎動が感じられなくても、超音波検査や胎児の心拍監視装置を使った健診で問題がなければ心配ないでしょう。

妊娠5カ月の過ごし方のポイント

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妊娠5カ月になると、妊娠初期にみられた体調不良も治まってくるので、次第に過ごしやすくなるでしょう。元気で動きやすい時期だからこそ、健康的な過ごし方を意識してやるべきことを進めるのがおすすめです。

栄養バランスの良い食事をする

妊娠5カ月頃にはつわりがなくなり、食欲が回復する方も多いです。そのため、人によっては食べ過ぎてしまい、適正な体重管理の範囲を超えて体重が増加することも。その一方で、体重増加を気にしすぎるあまり栄養不足になる方もいます。


正しく体重管理ができているかどうかを医師に相談しながら、赤ちゃんのためにもしっかりと栄養を取ることを心がけましょう。厚生労働省が「妊産婦のための食事バランスガイド」を公表しているので、チェックしてみてください。


妊娠中は主食でエネルギーを摂取しながら、副菜でビタミンやミネラルを補いましょう。なかでもビタミンB群に分類される葉酸が豊富に含まれるブロッコリーやほうれん草、カルシウムが取れるモロヘイヤや乳製品、マグネシウムが摂取できるひじきや枝豆等がおすすめです。


肉や魚、大豆、卵等の主菜に関しても、適量に摂取しましょう。赤身肉や小松菜に多く含まれる鉄分も、貧血防止のために取っておきたい栄養素です。


参考:厚生労働省

体調が良ければ適度な運動を

妊娠5カ月になると体調が落ち着き、健やかに過ごせるようになる方は多いです。出産に向けて体力をつけたり、むくみ等のマイナートラブルを防止したりするためにも、体調が良ければ適度な運動を取り入れましょう。


日本臨床スポーツ医学会 産婦人科部会は、妊婦スポーツの安全管理基準を公表しています。妊娠が正常で胎児の発育に問題がないという前提で、以下のような運動がおすすめされています。


真夏の炎天下に外で行わない運動
平坦な場所でできる運動
全身を使う有酸素運動
競技性が高くなく、転倒や相手との接触がない運動
仰向けにならない、おなかに圧が加わらない運動


運動強度は心拍数で150bpm以下、きついとまでは感じない程度が推奨されています。週2〜3回、1回60分以内の運動を積極的に取り入れてみましょう。まずは部屋や自宅周辺でできるストレッチやウォーキングから始め、調子が良ければマタニティーヨガやマタニティースイミング等の教室に参加してみてください。


ただし、おなかの張りを感じるときや出血があるときは、運動を中止しましょう。運動時は伸縮性に優れたウエアを着用し、締め付けが強い衣類は避けてください。


参考:日本臨床スポーツ医学会 産婦人科部会

妊婦歯科検診を受けておこう

妊娠中期とされる妊娠5カ月頃に、歯科検診を受けておくのもおすすめです。妊娠中は女性ホルモンのエストロゲンが増え、歯周病菌のエサとなるため歯のトラブルが起こりやすくなります。また、つわりで歯磨きができない、吐いて胃酸によるダメージを受ける等の理由で、歯や歯茎に問題が起こることもあるでしょう。


歯や口のトラブルは胎児にも悪影響を与えるので、妊娠中は歯科検診を受ける必要があります。歯科検診を受けるべき時期は決まっていませんが、妊娠5カ月頃はつわりが落ち着き、おなかも服を着ていれば目立たない程度の大きさです。出産が近づきどんどんおなかが大きくなる前に歯医者へ行ったほうが、比較的リラックスして検診を受けられるでしょう。


妊娠中は、いつ何が起きるかわかりません。突然の入院で歯医者へ行くタイミングがなくならないよう、早めに歯科検診を受けて治療を進めるのが大切です。

仕事上の手続きを確認

妊娠5カ月頃は一般的に安定期と呼ばれ、体調が落ち着き流産のリスクも大きく下がります。この時期に、仕事上の手続きを進めておきましょう。


産休は出産予定日を含む6週間前から8週間後まで取得できるため、会社の人事や総務等に手続きの相談をしてください。育休も子どもが1歳6カ月または2歳になるまで取得可能なので、担当部署に申請しましょう。


基本的には、妊娠や出産に関わる仕事上の手続きについては、職場に報告したあと担当者から説明を受けられます。提出が必要な書類がある場合は、期限を守って出すようにしてください。

体調優先で無理しない

妊娠5カ月頃は安定期とも呼ばれる時期で、体調は比較的落ち着いています。だからといって、無理をしてはいけません。


妊娠5カ月でつわりが終わる人は多いですが、出産までつわりが続くケースもゼロではありません。妊娠中期に入ってもイライラやうつ状態が続く、食欲が出ない等つらい症状がみられることもあります。


そのため、適度な運動やバランスのいい食事等を意識する前に、無理せず体調を優先させることが大切です。

妊娠5カ月頃に注意すべきこと

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妊娠5カ月頃は体調が安定しやすいといっても、妊娠中はいつ何が起きるか予測できません。以下の注意点を押さえて、無理なく過ごせるようにしてください。

締め付けず動きやすい服を選ぶ

妊娠5カ月頃からおなかが大きくなり始めるので、マタニティーウエアを用意するのがおすすめです。


マタニティーウエアは妊娠中の短期間しか使用しないため、無駄だと感じる方もいるでしょう。しかし、単純におなかが大きい時期でも着られるサイズという以外にも、マタニティーウエアにはいくつものメリットがあります。


マタニティーウエアを着用すれば体を締め付けずに済むので、赤ちゃんを圧迫してしまう危険性がありません。締め付けによって気分が悪くなることもないため、妊娠中でも快適に過ごせるでしょう。さらに、マタニティーウエアは必要な箇所が伸びる仕様なので、普通の服よりも動きやすいです。妊娠中の大敵である冷えを予防できるのも、メリットといえます。


締め付けずリラックスできるインナーや、おなかが大きくなってもはきやすいボトムスは、特にマタニティーウエアに切り替えるのがおすすめです。

ヒールの靴は避ける

妊娠5カ月頃に限った話ではありませんが、妊娠中はヒールの靴はできるだけ避けたほうがいいでしょう。妊娠中はおなかが大きくなり、バランスを取るのが難しくなるため転びやすくなります。ヒールの靴は特に不安定なので、細いヒールやハイヒールは避けるのが無難です。


妊娠中は転倒を防止するために、サイズの合う靴を履きましょう。靴底に滑り止めがついている靴も、転倒防止に役立ちます。着脱しやすく、疲れを感じにくい靴を履くことも、妊娠中の体に負担をかけないコツです。

外出の際は母子手帳と健康保険証、現金を携帯する

妊娠5カ月頃は体調が安定するため、通常の外出だけでなく、旅行を楽しむ方もいます。そもそもかかりつけの病院へすぐ行けないような場所への旅行はあまり推奨されていませんが、それでも旅行をする場合は母子手帳と健康保険証を持ち歩いてください。


母子手帳には妊娠中の経過が簡単に記載されるので、かかりつけ以外の病院を受診しなければならないときに簡易的なカルテとして役立ちます。知らない場所で突然病院へ行くことになっても、母子手帳と健康保険証があれば安心でしょう。かかりつけの病院以外でも適切な治療を受けられるよう、持病や体調面での特記事項等があれば必ず母子手帳に記載しておいてください。


また、外出先で必ずキャッシュレス決済が対応可能とも限らないので、万が一緊急で医療機関にかかる際のことを考慮して、現金を持っておくようにすると安心です。

妊娠5カ月目によくある質問とその回答

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妊娠5カ月頃の過ごし方について理解したとしても、妊娠中は細かいことが気になってしまうものです。妊娠5カ月目に関するよくある質問にお答えするので、回答を確認しておきましょう。

性別はわかる?

妊娠5カ月頃になると、超音波検査で赤ちゃんの性別がわかり始めます。外性器の形を確認できれば性別が判明しますが、赤ちゃんの姿勢やへその緒の位置によっては見えづらく、断定できないケースも。


事前に赤ちゃんの性別を知っておきたい方もいますが、生まれるまで知らないままにしておきたい方もいるでしょう。性別告知の方針は病院によって異なりますが、事前に伝えておけば出産まで知らずにいることも可能です。

自転車に乗ってもいい?

安定期といわれる妊娠5カ月頃であっても、自転車に乗ることはあまり推奨できません。


自転車に乗ること自体が、胎児や母体に悪影響を及ぼすわけではありません。通院や子どもの送迎等に自転車が必要なケースもあるでしょう。しかし、おなかが大きくなると歩行時でもバランスが取りにくくなります。歩行より転倒リスクが高い自転車の運転は、妊娠中は避けたほうが安心です。

過ごし方や注意点を押さえ、妊娠5カ月を健康的に乗り切ろう

妊娠5カ月頃は妊娠初期よりも不調が治まるため、過ごしやすい時期といえます。しかし、妊娠中は何が起きるか予測できないため、注意点を押さえて過ごすことが大切です。妊娠5カ月頃に適度な運動やバランスのいい食事をすれば、その後の妊娠生活にも良い影響を与えられます。決して無理をしない範囲で生活を整え、快適な妊娠生活を送れるようにしてください。

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