妊娠6カ月の赤ちゃんやお母さんの体重は?体調の変化も解説
PROFILE
1 妊娠6カ月の赤ちゃんの様子
2 妊娠6カ月の母体の変化
3 妊娠6カ月ごろに注意すべきこと
4 妊娠6カ月の過ごし方のポイント
5 妊娠6カ月は無理せずマイナートラブルを乗り切ろう
妊娠6カ月の赤ちゃんの様子
妊娠6カ月のときの赤ちゃんは、おなかの中でどのように過ごしているのでしょうか。ここでは、妊娠6カ月の赤ちゃんの大きさや成長具合について詳しく紹介します。
妊娠6カ月目の赤ちゃんの大きさ
妊娠週数別の赤ちゃんの望ましい体重をグラフ化したものを、胎児発育曲線といいます。母子手帳にもグラフがのっており、グラフに記録することで発育状態を確認できるため、名前を見たことがある方もいるかもしれません。
胎児発育曲線とは、理想的なタイミング(妊娠37週~41週6日目)に、理想的な体重(2,500~3,999グラム)で生まれた赤ちゃんの成長を元に計算された推定体重の平均から作られたグラフです。超音波検査で調べた赤ちゃんの体の大きさから求められています。
この胎児発育曲線を元にすると、妊娠6カ月目の赤ちゃんの体重は約210~733グラムです。週数別にみると、次のようになります。
週数 | 体重 |
---|---|
20週目 | 210~416グラム |
21週目 | 262~512グラム |
22週目 | 320~618グラム |
23週目 | 386~733グラム |
※参考:日本産科婦人科学会「胎児計測と胎児発育曲線について:」
妊娠6~7カ月目の赤ちゃんは、1日あたり約10~18グラムずつ体重が増えるといわれています。それだけ赤ちゃんが活発に成長している時期であり、成長にも個人差が出てきます。
身長は頭殿長(頭からおしりまでの長さ)は、20~25センチメートルまで大きくなります。妊娠23週目には身長25センチメートル前後と、さらに大きくなるでしょう。
身近なモノに例えると、妊娠20週目の赤ちゃんはお母さんの手のひら大で、体重は果物のリンゴくらいです。その後ぐんぐん成長し、妊娠23週目に入るとメロンくらいの大きさにまで成長します。
妊娠6カ月の赤ちゃんの成長具合
体も脳も活発に成長し、赤ちゃんの顔立ちや性別も分かり始める時期です。ほとんどの器官が発達していくものの、まだ母体の外で生きていくための呼吸の機能や体温調節機能については未完成です。おなかの中で育っていく時期といえます。
この時期の成長具合として、胎動を感じやすくなります。胎動とは、おなかの中の赤ちゃんが動いた時に、体が子宮にぶつかることでお母さんが感じとる動きのことです。妊娠6カ月目は足の骨がしっかりと出来上がり、筋肉もつくため、ポコポコとした小さな胎動が次第におなかの中をキックするような大きなものに変わっていきます。
エコー検査(超音波検査)の際に、赤ちゃんの体の向きによっては股の周囲が確認でき、性別がはっきりと分かることもあるようです。髪の毛や眉毛も生え、目や鼻が開くことで赤ちゃんの顔立ちもはっきりと見えてくるようになります。
また、妊娠20週目頃からは、赤ちゃんの眠りのリズムが規則的になるタイミングです。おなかの中で赤ちゃんが動く胎動を通じ、その動きが伝わることもあるかもしれません。
そして妊娠6カ月目の後半は、聴覚が発達する時期です。お母さんの心音や声、おなかが鳴る音等も聞こえるとされます。おなかの外で何か音が聞こえると、おなかの中で寝ている赤ちゃんが起き、胎動を感じることもあります。
妊娠6カ月の母体の変化
妊娠6カ月目の最初の週は、妊娠期間の折り返し地点といえます。赤ちゃんが活発に成長する分だけ、母体の変化も大きい時期です。具体的な母体の変化を知って、対処に生かしていきましょう。
体重増加と体型の変化
妊娠初期に比べると、体重増加と体形の変化が起こります。赤ちゃん自身の体重が増え、赤ちゃんが過ごしやすいように子宮内の羊水の量も増えるほか、胸や胎盤、血液、脂肪等の量が増加するためです。
おなかが大きく前にせり出し、子宮の高さがへその高さくらいまでせりあがります。仰向けで寝るのは苦しくなる時期です。
また、おなかが前にせり出すことで重心が前に傾きます。バランスを取ろうとして腰を反らしてしまい、腰痛や背中の痛みといったマイナートラブルが起きるお母さんも少なくありません。
体重については、妊娠6カ月目の体重増加は1カ月あたり1キログラム、ゆるやかな体重増加が理想とされます。急激に増加してしまうと、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病等、体重増加による病気を招く恐れもあるため、注意が必要です。
ただし、増えたからといって自己判断でのダイエットは避けましょう。妊娠中の体重管理はダイエットと違い、お母さんの健康を守り、赤ちゃんの成長を妨げないことが目的です。妊娠前の体重やお母さんの体調、赤ちゃんの成長等を加味して取り組みます。
「1カ月で体重が何キロも増えてしまった」「体重があまり増えていない」等、体重の変化について心配なことがある場合は主治医へ相談しましょう。
なお、妊娠前のBMI(体格指数)を元にした、妊娠中の体重増加の目安は、以下のとおりです。
妊娠前の体格(BMI) | 体重増加量指導の目安 |
---|---|
低体重(18.5未満) | 12~15キログラム |
普通体重(18.5以上25.0未満) | 10~13キログラム |
肥満(1度、25.0以上30.0未満) | 7~10キログラム |
肥満(2度以上、30.0以上) | 個別対応、上限5キログラムが目安とされる |
※参考:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所
体格分類は、日本肥満学会の肥満度分類に準じています。
なお、BMIの計算には、次の式を活用します。
妊娠前のBMI=「妊娠前の体重(キログラム)」÷(「身長(メートル)」×「身長(メートル)」)
実際に計算してみて、気になる場合は主治医に相談してみましょう。
子宮の圧迫が増える
赤ちゃんの成長により子宮が大きくなることで、血管や臓器が圧迫され、さまざまな症状を感じることがあります。代表的な症状をみていきましょう。
血圧の上昇・低下
動悸・息切れ
頻尿
足のむくみ
こむらがえり
胃もたれや胸やけ
おなかの後ろ側には、足から心臓へ血液が戻る大きな血管(大静脈)があります。この血管が子宮に圧迫されて血液循環が悪くなるほか、肺が圧迫されて、動悸や息切れの症状がでることもあります。
血圧についても、注意が必要です。妊娠20週以降から分娩後12週までに高血圧が続く場合、妊娠高血圧症候群と診断されます。最悪の場合、妊娠を維持できなくなる恐れがあるため、急な血圧の変化がないか自宅でも血圧の値を見ていく必要があります。
反対に、人によっては骨盤の中の血管が圧迫され、血圧が低下することもあるようです。
また、膀胱が子宮に圧迫されることで、トイレが近くなる人も珍しくありません。夜中に何度も目が覚めてしまう可能性があります。ただし、頻尿だからといって水分を控えてしまうと血液の循環がわるくなってしまうので、水分はしっかり取るように心がけましょう。
妊娠でおなかが大きくなることによる立ち方の変化や下半身の血流が悪くなることで、足の筋肉に負担が増え、足がつったり、むくんだりする人も多いようです。弾性ストッキングの活用や寝るときに足を少し高くして寝る等、工夫が必要になってきます。
また、子宮によって胃が圧迫され、胸やけや胃もたれを感じるケースもあるようです。つわりのときのように、食事のしづらさを感じる人もいるでしょう。妊娠初期と比べると必要な栄養も増えるため、こまめに消化しやすい食事を取り入れることも大切です。
※参考:杏林大学医学部付属病院 KYORIN UNIVERSITY HOSPITAL
乳腺が発達し始める
妊娠6カ月目になると、出産に向けて乳腺が発達し始め、乳房が大きくなります。少しずつ乳頭マッサージや保湿等、乳房のケアを始めたい時期です。
乳頭(乳首の先端)を刺激すると、乳汁分泌が起きることがあります。新陳代謝も活発になるため乳頭の先端に垢や乳汁による汚れが目立つようになり、人によっては乾燥してつまりが生じたり、亀裂が生じてしまうかもしれません。
また、乳房が張って大きくなる過程で、妊娠線ができることもあります。妊娠線とは、急におなかや太もも、乳房が大きくなることで、表皮の皮膚の伸びにその下の組織が付いていけず、皮膚に赤みを帯びた線ができることです。痛みはないものの、かゆみを伴います。
予防には、入浴後のクリームやオイルによる保湿と、乳頭や乳輪のマッサージが効果的です。赤ちゃんが母乳を吸いやすく、かつ、母乳が出やすくなる効果も期待できます。
ただし、乳頭のマッサージを行うと、子宮を収縮させる効果も持つオキシトシンというホルモンが分泌されます。そのため、おなかの張りを招いてしまう可能性もあり、注意が必要です。乳頭や乳房のケアをはじめてもよいか、主治医や助産師に事前に相談しましょう。
妊娠6カ月ごろに注意すべきこと
赤ちゃんがすくすくと成長し、母体にも大きな変化が起きてくる妊娠6カ月ごろに注意したいのは「食事」と「運動」です。つわりがなくなることで栄養不足が改善されたり、体を動かしやすくなったりする反面、無理をしてしまう場合があります。
注意したいポイントをご紹介しますので、参考にしてください。
栄養バランスの良い食事
さまざまな食材を1日3食の中で摂取し、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
妊娠6カ月目が該当する妊娠中期は、妊娠初期に比べると必要なエネルギー摂取量が250キロカロリー追加され、1日に必要なカロリーは約2,230キロカロリーとなります。確かに体重が増えすぎるのは良くありませんが、赤ちゃんにとって必要な栄養が増える時期でもあるため、バランスの良い食事は重要です。
食生活で心がけたいポイントは、次の5つです。
● 主食・副菜・主菜がそろった和食中心の食事を心がける
● よく噛んで消化を助ける
● ビタミン・ミネラルが豊富でローカロリーな野菜を多めに取る
● 骨や歯の形成に重要なカルシウムや鉄分を積極的に補給する
● 脂肪分や塩分が多めな加工食品・市販品は控えめにする
「主食(ごはんや麺、パン等)」「副菜(味噌汁等野菜系のおかずや汁物)」「主菜(肉や魚等のおかず)」の3つのバランスについては、厚生労働省の「食事バランスガイド」を活用するのも手です。どのような食材を摂取していけばよいのか、それぞれの適量をイラストでわかりやすく示しています。
また、注意して補いたいのは、鉄分やカルシウム。どちらも摂取量が減りがちな栄養素です。摂取量が不足しないようにするためには、次のような方法があります。
● 食パンをライ麦パンに変えてみる
● 大豆の水煮やミックスビーンズをトッピングする
● おやつに季節のフルーツや焼き芋、枝豆等栄養価の高い食材を選ぶ
適正な体重管理やサプリメントの活用については、主治医に相談しつつ、しっかり栄養を取ることを心がけましょう。
体調が良ければ適度な運動を
体調が良い日で、主治医からも問題がないと許可をもらえたら、適度な運動に取り組んでみましょう。体重管理や腰痛緩和、血流の改善、気分転換、ストレスの緩和といった効果が期待できます。
具体的な運動の内容については、たとえば、次のようなものが挙げられます。
ウォーキング
水泳
ヨガ
ストレッチ
骨盤底筋群のエクササイズ
普段から運動習慣がない場合は、1回15~30分と短時間の運動から始め、徐々に運動量を増やしてみましょう。長くても1回につき1時間ほどが目安です。
運動に使う靴は、歩きやすく、転びにくい靴を選びましょう。体の重心が後ろに下がりすぎないよう、3センチくらいまでのローヒールの靴を履くと、反り腰を予防しやすくなります。
ただし、無理は禁物です。おなかが大きくなる時期のため、バランスを崩して転倒するリスクもあります。そのため、運動経験がある方の場合でも、体をぶつけ合うような激しい動きや腹筋を使う動作は避けましょう。
また、長時間の運動も危険となります。運動中に子宮収縮が起きてしまったり、体調が悪くなったりするかもしれません。
こまめに休憩をはさみ、体調の変化を感じたらすぐに中断するようにしましょう。水分補給も定期的に行うと、脱水症状を防ぎやすくなります。喉が渇く前に、運動中は15~20分ごとに100~200ミリリットルほど飲み物を飲むことがコツです。
また、体調によっては、運動すべきでないタイミングもあります。
● おなかが張った感じがある
● 出血している
● 切迫流産や切迫早産の可能性を指摘されたとき
● 妊娠糖尿病等、異常を指摘されたとき
妊娠中期はおなかが大きくせり出し、運動不足に陥ることもあります。適度な運動は大切ですが、これまでの経過が問題なくとも体調の悪化が起きるかもしれません。体調が悪くなったりしたときのために、携帯電話や母子手帳等は常に持ち歩いておくと安心です。
妊娠6カ月の過ごし方のポイント
初めて妊娠した人にとっては、体調が落ち着いている妊娠中期のうちにやっておいたほうが良いことを知りたいという人もいるかもしれません。ここでは「やっておいて良かった」と思えるような妊娠6カ月の過ごし方のポイントを紹介します。
両親学級に参加する
体調が落ち着いているタイミングで、病院や自治体が開催する両親学級への参加がおすすめです。
両親学級とは、妊婦とそのパートナーを対象とした妊娠・出産・育児に関する勉強の場です。妊婦と赤ちゃん双方に関連した知識や赤ちゃんのお世話の体験、専門家への相談等、会場によって勉強の内容はさまざまです。
両親学級への参加は、赤ちゃんが産まれた後の生活がイメージしやすくなるのも、大きなメリットです。両親学級への参加を通じて、育児や家事の分担について話し合う場にしてみましょう。
また、パートナーと共に出席することで、パートナーに対し、親となる自覚を促せます。
妊娠しているお母さんは赤ちゃんが次第に大きくなる様子を胎動や体の変化で実感できますが、パートナーは育児に対するイメージが難しいことがあります。そこで両親学級で基礎知識や赤ちゃんの抱き方、おむつ替え等を体験することで、実際の育児への理解を深めやすくなるでしょう。
また、妊娠中の体調や気持ちの変化について、妊婦とそのパートナー双方が知識を深めることにも役立ちます。パートナーと協力しあえると体調管理もしやすくなるでしょう。
外出の際は母子手帳と健康保険証を携帯
運動や買い物等、外出の際には安心して移動できる用意が大切です。母子手帳や健康保険証、おくすり手帳、携帯電話等を持ち歩くようにしましょう。
妊娠6カ月目はつわりも落ち着き、体調に問題がなければ仕事を続けることも可能です。買い物や旅行等にも行きやすく、外出しやすい時期といえます。このタイミングで里帰り出産に備え、出産する病産院に受診しておくと安心です。
ただし、安定した時期であっても、かかりつけの医療機関にすぐ受診できないような距離を移動する旅行は推奨されていません。少しでも安心して過ごせるよう、旅行先や外出時でトラブルが起きたときに備えて母子手帳や健康保険証、おくすり手帳等を携帯しましょう。
また、高血圧等の持病、体調面での特記事項があれば、忘れずに記入しておくことも大切です。
ベビー用品の準備を始める
妊娠6カ月目になると、赤ちゃんの性別がエコー検査でわかるようになります。ベビー用品の準備を進めておくのもおすすめです。
必要最低限、用意しておけばよいものや、買わずに家にあるもので活用できるもの等、情報収集を進めておきましょう。買い物の際にパートナーと一緒にいくと、産後にも買い足す必要が出たときに情報を共有しやすくなります。
妊娠6カ月は無理せずマイナートラブルを乗り切ろう
妊娠6カ月とは、妊娠20週0日目から23週目のことです。赤ちゃんの体重は約210~733グラムで、23週目のころには身長約30センチメートルにまで成長します。
母体の変化も大きく、おなかが大きく前にせり出し、妊婦らしい体つきになる時期です。体重は妊娠6カ月の間に1キログラムほど増加します。また、少しずつ腰痛や背中の痛み、足のむくみ、仰向けで寝るのが苦しいといった、マイナートラブルが起き始めるでしょう。
栄養不足にならないよう、毎日の食事を大切にしつつ、体調が良ければ適度な運動を心がけます。体調が落ち着き外出もしやすくなるため、両親学級への参加やベビー用品の用意を始めるのもおすすめです。
ただし、無理をしすぎないことが大切。外出時は健康保険証や母子手帳、おくすり手帳等を持ち歩き、おなかの張り等を感じたらこまめな休憩を取るようにしましょう。