妊娠中期の腹痛はどうしたら良い?痛みの原因と対処法、受診の目安も解説
PROFILE
1 妊娠中期は腹痛を感じやすい
2 妊娠中期の腹痛の主な原因と痛みの種類
3 体の動かし過ぎによる腹痛
4 妊娠中期の腹痛への対処法
5 妊娠中期の腹痛のFAQ
6 妊娠中期の腹痛は心配ないケースが多い
妊娠中期は腹痛を感じやすい
妊娠中期は、妊娠16週から27週までの期間を指します。この時期に腹痛を感じることは珍しくありません。腹痛の多くは妊娠中期特有のもので、主な原因は妊娠の進行に伴い、赤ちゃんが日増しに大きくなることです。腹痛の原因や痛みの種類は複数ありますが、ほとんどが一時的なものといえます。
妊娠中期は、つわりが落ち着き、おなかの赤ちゃんの存在を実感し始める時期です。一方、子宮の増大に伴う腹部の張りや痛みを感じることもあります。多くの場合、これらの痛みは心配ありませんが、不安な場合は医師に相談することをおすすめします。
妊娠中期の腹痛の主な原因と痛みの種類
妊娠中期の腹痛の主な原因と痛みの種類は、以下のとおりです。
● 消化器官の運動低下による腹痛
● 子宮の成長によるチクチクとした腹痛
● 胎動によるギューっとした腹痛
● 体の動かし過ぎによる腹痛
妊娠中期に感じる腹痛には、いくつかの原因があります。それぞれ特徴的な痛みの種類があるので、見分けるポイントを理解しておきましょう。腹痛の原因を理解することで、不安を和らげられます。また、症状によっては医師への相談が必要な場合もあります。妊娠中は、自分の体調変化に敏感になることが大切です。少しでも不安を感じたら、遠慮せずに周りの人に相談しましょう。
消化器官の運動低下による腹痛
妊娠中期は、女性ホルモンのプロゲステロンの分泌が増加します。プロゲステロンには、消化器官の運動を低下させる働きがあるため、胃もたれや便秘による腹痛が起こりやすくなります。食べ過ぎや脂っこい食事、刺激物の摂取等が原因となることもあるので、食生活に気をつけることが大切です。また便秘は腹痛だけでなく、痔の原因にもなるので注意が必要です。
子宮の成長によるチクチクとした腹痛
妊娠中期にみられるチクチクとした腹痛は、赤ちゃんの成長に伴い、子宮が大きくなる際に感じる痛みです。子宮の内側の円靱帯が引き伸ばされることで、チクチクやズキズキとした痛みを感じます。特徴として痛む場所は毎回異なります。この痛みは、子宮が大きくなることで起こる自然な現象であり、心配する必要はなく、安静にすることで痛みが和らぐこともあります。ただし、痛みが強く、日常生活に支障をきたす場合は、医師に相談しましょう。
胎動によるギューっとした腹痛
妊娠中期は、赤ちゃんが元気に動き回ることで、子宮の内側の靱帯を刺激し、腹痛を感じることがあります。ギューッとした痛みが特徴で、胃や膀胱、恥骨のあたりに痛みを感じる場合もあるでしょう。痛みを感じた際は、赤ちゃんの動きにあわせて、ゆっくりと深呼吸をしたり、体勢を変えたりすることで、痛みを和らげられるでしょう。
胎動は、赤ちゃんが順調に育っている証拠であり、喜ばしいことです。ただし、痛みが強すぎたり、頻繁に痛みを感じたりする場合は、医師に相談しましょう。
体の動かし過ぎによる腹痛
妊娠中期に、過度な運動や無理な姿勢を継続することで、腹痛が起こる場合があります。そのまま我慢を続けると、腰痛や股関節の痛みに発展するケースもあります。妊娠中は、体重が増加し、体のバランスが変化するため、普段より疲れやすいです。無理な運動は控え、体の疲れを感じたらすぐに休憩を取るようにしましょう。
体の動かし過ぎによる腹痛
妊娠中期の腹痛はほとんどの場合、心配ありません。しかし、中には医師の診察が必要なケースもあります。妊娠中期の腹痛の受診目安は、以下のとおりです。
● 出血を伴う腹痛
● 強い腹痛
● 規則的な間隔で感じる腹痛
● 嘔吐や下痢、発熱を伴う腹痛
特に強い痛みや出血を伴う場合、安静にしても改善しない場合などは受診をお勧めします。それ以外でも、妊娠中は少しでも不安を感じたら、遠慮せずにかかりつけ医に相談することが大切です。早期発見、早期治療が母子の健康を守ることにつながります。
出血を伴う腹痛
出血を伴う腹痛の場合、切迫流産や切迫早産の可能性が考えられるため、適切な処置を受ける必要があります。また、痔や膀胱炎、子宮膣部のトラブルによる出血の場合も受診しましょう。早急な処置が必要なケースもあるため、基本的に出血がある場合には、すぐにかかりつけ医に相談すると安心です。受診の際は、出血の量や色、痛みの程度等を詳しく伝えましょう。医師が適切な診断を下し、必要な治療を行ってくれます。
強い腹痛
安静にしても痛みが継続する場合や、眠れないような強い痛みがある場合は、虫垂炎や腎結石の可能性もあるため、医師に相談しましょう。また、胎盤が剥がれてしまう常位胎盤早期剥離の可能性もあります。いつもと違う痛みや強い痛みが続く場合は、安静にして様子を見るのではなく、すぐに医療機関を受診することが大切です。医師が詳しく診察し、必要な検査を行うことで、適切な治療方針を立ててくれます。
規則的な間隔で感じる腹痛
痛みが規則的な間隔で感じる場合、切迫早産の可能性があります。子宮収縮によって、定期的な腹痛が起こるのが特徴です。放っておくと、早産につながる恐れがあるため、早急に医師に相談しましょう。医師が子宮収縮の状態を確認し、必要に応じて安静や投薬等の処置を行います。また、定期的な検診で子宮頸管の状態をチェックし、早産のリスクを把握することも重要です。
嘔吐や下痢、発熱を伴う腹痛
嘔吐や下痢、発熱を伴う腹痛の場合は、ウイルス性またはストレス性の胃腸炎の可能性があります。妊娠中は免疫力が低下しているため、感染症にかかりやすくなります。また、脱水症状や子宮収縮による早産の危険性も高くなるため、注意が必要です。症状が重い場合や長引く場合は、早めに医師の診察を受けましょう。必要に応じて、点滴や薬物療法等の治療が行われます。また、赤ちゃんへの影響も考えられるため、定期的な検診で赤ちゃんの状態をチェックすることも大切です。
妊娠中期の腹痛への対処法
妊娠中期の腹痛への対処法は、以下の5つです。
● 安静にする
● 水分や食物繊維を摂取して体を温める
● 性行為を控える
● ゆったりとしたデザインの服を着る
● 痛みが続くなら医師に相談する
日常生活でできる対処法は、いくつかあります。妊娠中は、自分の体の変化に敏感になり、無理をせずに過ごすことが大切です。腹痛への適切な対処法を知り、安心して妊娠生活を送りましょう。
安静にする
腹痛を感じたら無理をせず、まずは安静に過ごして体を十分に休めましょう。できるだけ横になり、リラックスして過ごすことが大切です。安静にすることで、子宮の収縮を抑え、痛みを和らげることができます。また深呼吸して、緊張をほぐすことも効果的です。安静にしても痛みが続く場合や、強い痛みがある場合は、医師に相談しましょう。
水分や食物繊維を摂取して体を温める
ホルモンバランスの変化による、消化器官の運動低下が原因の腹痛の場合は、十分に水分をとり、以下のような食物繊維が豊富な食材を摂取しましょう。
● 野菜類
● 豆類
● きのこ類 等
このような食材を摂取することで便秘解消につながるので、腹痛が改善する場合が多いです。また食物繊維には、余分なコレステロールの吸収を抑制し、血糖値の調整をサポートするはたらきもあります。水分不足は便秘の原因にもなるため、こまめに水分を補給しましょう。また、体を温めることで、血行が促進され、腹痛を和らげる効果が期待できます。温かい飲み物を飲んだり、おなかに湯たんぽを当てたりするのもおすすめです。
性行為を控える
妊娠中期は性行為による子宮の収縮で、痛みが悪化する場合があります。そのため、腹痛があるときは性行為を控えるのが無難です。また、性行為によって子宮頸管が刺激され、早産のリスクが高まることもあります。妊娠中は、パートナーと相談し、お互いの体調や気持ちを尊重し合うことが大切です。性行為以外でスキンシップを取ったり、一緒に過ごす時間を大切にしたりすることで、パートナーとの絆を深められます。腹痛がある場合は、無理せずゆったりと過ごしましょう。
ゆったりとしたデザインの服を着る
締め付けのある服装をやめるだけでも腹痛が改善する場合があります。妊娠中は、おなかが大きくなるため、ゆったりとしたデザインの服を選ぶことをおすすめします。下着もマタニティ用に変えるとリラックスしやすい状態になり、体の冷えを予防できて腹痛が起こりにくくなります。また、肌触りの良い素材を選ぶことで、敏感になっている肌の刺激を和らげることができます。ファッションを楽しみながらも、体に負担をかけないような服選びを心がけましょう。
痛みが続くなら医師に相談する
安静に過ごしても腹痛が継続したり、痛みが強くなったりして、不安がある場合は、かかりつけ医に相談しましょう。医師が詳しく診察し、必要に応じて検査を行うことで、適切な治療方針を立ててくれます。妊娠中は、自分の体の変化に敏感になりやすいため、少しでも不安を感じたら、遠慮せずに相談することが大切です。医師とコミュニケーションを取ることで、安心して妊娠生活を送れます。
妊娠中期の腹痛のFAQ
妊娠中期の腹痛について、よくある質問は、以下のとおりです。
● 腹痛は赤ちゃんに影響する?
● 下痢や便秘でいきんでも大丈夫?
妊娠中は体の変化に敏感になりやすいですが、正しい知識を持つことで、安心して妊娠生活を送りましょう。
腹痛は赤ちゃんに影響する?
妊娠経過が順調で、ホルモンバランスの変化や子宮の成長等が原因の腹痛は、赤ちゃんに影響しません。これらの腹痛は、妊娠中の自然な変化によるもので、心配は不要です。ただし、強い痛みや出血を伴う場合は、早めに医師に相談しましょう。
下痢や便秘でいきんでも大丈夫?
妊娠が順調であれば、下痢や便秘でいきんでも問題はなく、流産や早産の心配をする必要はありません。妊娠中は便が硬くなりやすいため、便をやわらかくして排便をスムーズにするタイプの薬があります。医師に相談すると処方してもらえるので、我慢せずに相談しましょう。
妊娠中期の腹痛は心配ないケースが多い
妊娠中期は、消化器官の運動低下による腹痛や、子宮の成長による腹痛が起こりやすい時期です。ほとんどの場合、これらの腹痛は赤ちゃんへの影響の心配はありません。しかし出血があったり、強い痛みが継続したりする場合は、無理せずすぐにかかりつけ医に相談しましょう。早急に適切な処置を受けることで、安心して妊娠生活を送りましょう。