妊娠中期に出血したらどうすればいい?出血の確認方法や一般的な原因を解説
PROFILE
1 妊娠中期には出血は起こりにくい
2 妊娠中期に出血があった場合、確認したいこと
3 妊娠中期の出血の一般的な原因
4 妊娠中期の出血で注意すべき重大な状況
5 妊娠中期に出血したら医師へ相談しよう
妊娠中期には出血は起こりにくい
妊娠中期(14週~27週)は本来、出血は起こりにくいとされています。妊娠中期になると、赤ちゃんのための胎盤が作り終わり、母体の身体的症状が少なくなるためです。
この頃にはつわりも落ち着き、母体の変化としては赤ちゃんが大きくなる影響での体重増加等が見られるようになるぐらいです。子宮からの出血が起きやすい要素はあまりなく、出血が起こることは一般的ではありません。
ただ、出血があったからといって、必ずしも赤ちゃんへの影響があるとは限りません。重篤な状態かは個人で判断しにくいので、かかりつけの産婦人科に電話で指示をあおぎましょう。
妊娠中期に出血があった場合、確認したいこと
妊娠中期で出血があった時、次の5つの項目に沿って症状を観察してください。
● 腹部の状態
● 血液の状態
● 血液の色
● 血液の量
● 出血の頻度や回数、タイミング
これらの5つの情報をまとめて伝えれば、医師の判断もスムーズになります。各項目について、詳しく見ていきましょう。
腹部の状態
出血が起きた時、その他の身体的な症状について観察してみてください。
特に注意が必要なのは、次の2つの症状です。
● 腹痛
● おなかの張り(腹緊感)
腹痛やおなかの張りは、切迫流産、切迫早産、前置胎盤、常位胎盤早期剥離等の兆候の場合があります。特におなかの張りを感じる場合は、切迫流産や切迫早産の可能性が高くなります。さらに痛みも伴うようであれば、重度の切迫流産・切迫早産の可能性が考えられます。張り止めで経過観察になるということもあれば、入院して管理することになるケースもあります。出血とともにこれらの症状が見られる場合は、なるべく早く受診をすることがおすすめです。
血液の状態
出血した血の状態も見てみましょう。
例えば、レバー状にかたまりがあるような出血なのか、どろっとした出血なのか等、状態をより詳細に把握してください。
この際に注意が必要なのは、さらさらとした鮮血が止まらない場合です。さらさらとした鮮血の場合、切迫流産、切迫早産の懸念があるため、すぐに病院へ受診してください。
血液の色
血液の色も確認してください。血の色は茶褐色、または赤やピンクでしょうか。
赤やピンク色の鮮血の場合は、切迫流産や切迫早産が疑われます。普通は出ることはないので、赤やピンクの鮮血が見られる場合は少量でも注意が必要です。病院へ直接向かうより先に、まずはかかりつけの産婦人科に電話で状況を伝えて指示をあおぎましょう。
出血の頻度や回数、タイミング
出血の頻度や回数、タイミングについても、分かる範囲でメモしてください。これらの情報は、出血の継続や出血量を医師が把握するために役立ちます。
それぞれ、次のようにメモしていくと状態を整理しやすくなります。
● タイミング・・・トイレの時、立ち上がった時等
● 頻度・・・トイレのたび、1時間に何回、数日間等
● 回数・・・1日何回、現在まで何回等
分かる範囲でメモを取り、産婦人科に相談をしましょう。
妊娠中期の出血の一般的な原因
妊娠中期の出血は注意が必要ですが、一方で妊娠に影響がない場合もあります。ここからは、妊娠中期の出血で考えられる、一般的な原因についてご紹介します。
ただし、これらは一般的に見られるもので、原因の判断材料にはできません。あくまでも考えられる可能性として、どのようなものがあるのかの参考にしてください。
出血があったら、自己判断せずに必ず産婦人科で診断を受けましょう。
子宮頚管の変化による出血
妊娠中期の出血は、子宮頚管の変化が影響しているかもしれません。
妊娠中期になると子宮頚管が拡張し、血液量が増加します。さらに人によっては子宮頚管が緩んで柔らかくなるため、内部がデリケートな状態になります。この際、子宮頚部が腫れる「子宮頚部びらん」が起きると、出血が起きやすいです。
もしくは性交によって刺激を受け、子宮頚管の血管から出血している可能性もあります。妊娠中期は通常より子宮頚管がデリケートになっており、性交による影響を受けて出血しやすいためです。
また、出血の原因として「子宮頚管ポリープ」も懸念されます。子宮頚管にできてしまうポリープで、発症すると少量の出血やおりものの異常等が起きるのが特徴です。
ただし、ポリープの大半は良性が多く、妊婦でも発症することは珍しくありません。とはいえポリープも出血を放置すると細菌による影響で早産リスクが高まるため、医師による治療が必要です。
特徴 | 緊急性 | |
---|---|---|
子宮頚部びらん | ホルモンの影響で子宮頚部がただれる生理現象 | 生理現象なため過度な心配はいらない |
子宮頚管ポリープ | 子宮頚管にできてしまうポリープ | 出血が続く場合は治療が必要 |
体のホルモン変化による出血
体のホルモン変化によって、出血を起こしていることも考えられます。
お母さんの体は妊娠によってホルモンバランスが大きく変化します。ホルモンバランスが変化することで、子宮頚管はもちろん子宮内の血管、子宮自体も敏感になりやすいです。
デリケートな状態の子宮が「子宮頚部びらん」を始め、何らかの複合的な要因が重なったことで出血を起こすことがあります。
妊娠中期の出血で注意すべき重大な状況
妊娠中期に起こる出血では、緊急性が高い状況であることもありえます。ここからは懸念される重大な状況のケースについて、症状も併せて詳しく解説していきます。
流産の可能性や早産の兆候について
もし出血に加えて次のような症状がある場合は、注意が必要です。
● 夜間におなかが張る
● おりものがイヤな匂いがする
● 強い痛み・規則的な痛みがある
上記の症状がある場合は、流産や早産の兆候かもしれません。
一般的に流産は約80%が妊娠初期に起きるとされ、妊娠中期は流産する確率は低いです。また、早産でも初期に子宮頚管の長さ等を確認し、兆候を見つけられることも多いため対策を講じることができます。
そのため、妊娠中期は一般的に流産や早産が生じる可能性は低いと言えます。
しかし、原因がない、もしくは要因が発見されてなくても、流産や早産が起きないとは断言できません。何も理由がなくても、流産や早産が起きてしまうことはあります。
また、腹痛が激痛であり、腹部が硬い状態であれば、常位胎盤早期剥離という、母子ともに死亡するリスクのある重大な病気の可能性もあります。必ず受診し、診察を受けるようにしましょう。
もし出血と各症状が見受けられる場合は、すぐに病院へ相談してください。
※参考:切迫流産・切迫早産について【妊娠中の病気やトラブル】-おむつのムーニー 公式 ユニ・チャーム
子宮外妊娠や癌の兆候について
妊婦の出血については、子宮外妊娠や癌を心配する人もいるでしょう。
しかし子宮外妊娠については、妊娠初期に気がつく場合が多いため、妊婦健診を受けていれば妊娠中期に見受けられることはほとんどありません。
ただ癌については妊娠中期に見つかることも考えられます。例えば子宮頸がんは症状として「出血」があるため、気になる症状があるなら検査しておくと安心でしょう。
また、子宮頸がんは自覚症状が少ないといわれていますが、出血以外に次のような症状も見られることもあります。
● おりものが変化した/増える
● 下腹部の痛みがある
子宮頸がんについては、母子手帳に検査の補助券が付帯しています。妊娠初期にもらっているはずなので、活用して早めに検査を受けてみましょう。
妊娠中期に出血したら医師へ相談しよう
妊娠中期はこれまでに妊婦健診をしていれば、妊娠に影響する重篤な出血の可能性は低いです。しかし、本来は出血が起きない時期なため、少量でも出血があったら産婦人科へ相談をするようにしてください。
なお、出血が見受けられた際は治療を迅速に行ってもらうためにも、その他の症状の有無や、血液の状態、色、量、頻度等を確認しましょう。
ただし現時点で大量出血または赤やピンクのサラサラとした鮮血が止まらない場合は、流産や早産の可能性もあるため、ただちに病院へ連絡してください。
出血が多い場合は必要に応じて救急車を使って問題ないので、安全な方法で受診をしましょう。