妊娠中期の頭痛はどうして起きるの?一般的な原因と緩和方法を解説
PROFILE
1 妊娠中期の頭痛で自己判断の服薬はしないで
2 妊娠中期の頭痛の一般的な原因
3 妊娠中期の注意すべき頭痛について
4 妊娠中の頭痛の緩和方法
5 妊娠中期の気になる頭痛は医師に相談しよう
妊娠中期の頭痛で自己判断の服薬はしないで
辛い頭痛があると、市販薬で早く止めたいと思うところでしょう。しかし、妊娠中は市販薬を自己判断で服用することは避けてください。
妊娠していない時は服用しても問題ない薬も、妊娠中の場合はお母さんや赤ちゃんに悪影響があることがあります。
また、妊娠前に医師から処方されたものであっても同様です。妊娠する前の体の状態にあわせて処方された薬なので、処方薬でも服用は避けましょう。
ただ、妊娠がわかった後につわり等に対して処方されたものなら、服用できる可能性があります。一度医師に問題ないかを確認してから、服用してください。
妊娠中期の頭痛の一般的な原因
妊娠中期で起きる頭痛の原因は、一般的に次のようなものが考えられます。
● ホルモンバランスの変化
● 疲労やストレス
● 血圧の変化
● 妊娠中の食生活や水分摂取の影響
● 血行不良
まずは頭痛を引き起こす原因について見ていきましょう。
ホルモンバランスの変化
妊娠によるホルモンバランスの変化で、頭痛を引き起こすことがあります。
実は女性は妊娠によってプロゲステロン(黄体ホルモン)が増加し、ホルモンバランスが変化します。プロゲステロンの増加は自律神経に影響を与え、血管の収縮・拡張がうまくできなくなってしまいます。
血管がうまく働かないと、頭痛を引き起こすことがあるのです。妊娠中期でもプロゲステロンによる影響があるため、体調不良につながっているかもしれません。
疲労やストレス
頭痛が起きる原因は、疲労やストレスも考えられます。
妊娠中期になってくるとおなかが大きくなるために身動きが取れず、思うように体を動かせなくなってしまいます。疲れが取れにくい・熟睡できない等の疲労が蓄積することで、頭痛を引き起こすこともありえます。
このように溜まった身体的・精神的ストレスが自律神経の乱れを引き起こし、頭痛を起こしている可能性も考えられるのです。
血圧の変化
妊婦さんはホルモンの影響で妊娠中期以降、高血圧になりやすくなります。実は、この血圧の変化によって血管へ負荷がかかり、頭痛を起こすこともあるのです。
一般的に血圧の変化は妊婦健診で見つかりますが、妊娠中期になってから高血圧傾向が強く出ることもあります。また、高血圧傾向が収まらない場合、「妊娠高血圧症候群」として診断を受ける可能性があります。
「妊娠高血圧症候群」の場合は、放置すると妊娠・出産に影響を及ぼすため、治療が必要です。医師による生活習慣の指導や治療を受ければ、重症化するリスクは下げられるため、心配はし過ぎないでください。
妊娠中の食生活や水分摂取の影響
体内バランスの乱れによって、頭痛を起こすこともあります。例えば妊娠中期になってもつわりで食べられるものが限られる人は、体内の水分バランスが崩れやすいです。
摂取しなければならない水分が足りず、脱水症状として頭痛が起きやすくなります。栄養バランスも偏っていると体調不良を起こしやすいため、頭痛を起こす複合的な原因を抱えていることも考えられます。
また、つわりでなくても、大きくなった子宮の影響で食事がうまく取れなくなる人も珍しくありません。食欲不振があると、つわりと同じように体内バランスが崩れやすいため、脱水症状として頭痛が起きる可能性があります。
脱水の場合は、とにかく口からこまめに水分補給をすることが必要になります。
血行不良
妊娠中は血行不良が頭痛につながることもあります。妊娠中期はおなかが大きくなって行動が制限されるため、普段より運動不足になりやすいです。運動不足になると体が血行不良を起こしやすくなり、頭痛を引き起こします。
また、運動不足でなくても、大きくなった子宮が血管を圧迫している影響もあるかもしれません。子宮による血管の圧迫も血行不良になりやすいため、体のこわばりや頭痛につながっている可能性があります。
血行不良の傾向がある場合は運動や食べ物等、生活習慣の改善が回復の近道です。
妊娠中期の注意すべき頭痛について
妊娠中期に起きる頭痛は、心配し過ぎる必要がないものがほとんどです。
しかし、特定の頭痛の症状については、妊娠高血圧症候群の重症化、子癇(しかん)発作、脳出血等も懸念されるため注意が必要です。
ここからは注意すべき頭痛の症状についてご紹介します。
激しい痛みやその他の症状を伴う
まず症状で観察して欲しいのは、「痛みのレベル」と「その他の症状があるか」です。起きている頭痛は、経験したことがある痛みでしょうか。過去に経験のない激しい頭痛の場合は注意が必要です。
また、激しい頭痛に伴い、次の症状に当てはまる場合は緊急性が高い可能性があります。
● 目がちかちかする
● ろれつが回らない
● 手足のしびれ
● けいれん
● 嘔吐(おうと)
いずれかの症状が伴う場合は、すぐに病院に連絡をして指示を仰いでください。
不安があればまずは病院に連絡を
頭痛があっても、「そこまでの痛みはないと思うし、大丈夫そう」と思う方もいるかもしれません。しかし、頭痛の原因を個人で正確に特定することはできないため、不安があるなら病院へ相談することをおすすめします。
検査して何も見つからなくても損することはないので、出産までに万全を期すためにも医師へ相談しておきましょう。
妊娠中の頭痛の緩和方法
ここからは妊娠中の一般的な頭痛の症状を和らげる方法をご紹介します。医師から重篤なものではないと診断された方は、ぜひセルフケアを行って頭痛を和らげていきましょう。
まずはリラックスしやすい体勢で休息を取る
まずは一休みできる場所でリラックスしましょう。疲労やストレスが原因の頭痛の場合、とにかく休息を取ることが頭痛の回復に効果的です。
ゆっくりできるプライベート空間で座る、横になる等、自分がリラックスしやすい体勢で安静にしてください。
また、手持ち無沙汰になるかもしれませんが、一時スマホ等を見るのも休憩して、目を休ませてあげることも大事です。眼精疲労も頭痛の原因となるので、短時間でも目を閉じて目を休ませてあげましょう。
おでこやこめかみを冷やす
ストレスやホルモンの影響による片頭痛の場合は、おでこやこめかみを冷やすことで楽になることもあります。頭を冷却できるアイテムを用意し、休憩を取りましょう。保冷剤や保冷まくらなら、より効率的に冷やすことができるのでおすすめです。
頭を冷やしながら、しばらく安静にして体を休めてください。
ストレッチや簡単な運動
血行不良や運動不足が原因の頭痛の場合は、ストレッチや簡単な運動を行うのがおすすめです。ただし、妊娠中期になると身動きが取りづらいので、無理をせず強度の強くない動きを行うようにしましょう。
次に室内でもできる簡単なストレッチや運動の例をまとめたので、参考にしてください。なお、体の回復のために、ストレッチや運動を行う際はゆっくり深呼吸を繰り返し、酸素をたくさん取り入れることも意識しましょう。
ストレッチ例 | 運動例 |
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【股関節のストレッチ】 1. 脚を広げて床に座り、体の少し後ろで手をつく 2. 片膝を曲げ脚を内側に倒す 3. 倒した脚を今度は外側に倒す 4. 左右10回ずつ動作を繰り返す | 【踏み台昇降運動】 1. 壁・手すりがある場所に移動する 2. 歩くぐらいのスピードで台を踏み込む 3. 深呼吸をしながら5~10分続ける |
【肩回しストレッチ】 1. 両腕を肩の高さに上げる 2. 両手を肩関節に軽くのせる 3. リラックスしながら肩関節を起点に肩を回す | 【足踏み運動】 1. 壁・手すりがある場所に立つ 2. 太ももを床とやや平行になるぐらいで歩くスピードで足踏みする 3. 深呼吸をしながら5~10分続ける ※きつい人は椅子に座ってでも可 |
頭痛が起きている時だと刺激によって痛みが悪化することもあるため、頭痛が治まったタイミングでストレッチや運動を行ってください。
妊娠中期の気になる頭痛は医師に相談しよう
妊娠中期は体自体は安定しつつありますが、ホルモンの影響や体の変化によって頭痛が起きることは珍しくありません。疲労やストレスの蓄積、体内バランスの乱れ等が頭痛の原因となっていることも考えられます。
ただし起きている頭痛が、一般的な原因であると安易に断定するのは危険です。頭痛を起こしやすい条件がそろっていて、ありふれた原因に見えても、素人では危険な兆候を診断できません。辛い頭痛が起きた場合は、必ず一度医師に相談するようにしましょう。