【医師監修】妊娠中期の頭痛はどうして起きる?原因と和らげる方法を解説

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1 妊娠中期に頭痛が起こる主な原因
2 注意が必要な頭痛の見分け方
3 妊娠中期の頭痛を和らげる対処法
妊娠中期に頭痛が起こる主な原因
妊娠中期に頭痛が起こるのは、ホルモンバランスの変化や血圧の変動、ストレス等が影響しています。その主な原因を解説します。
ホルモンバランスの変化
妊娠すると、「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と呼ばれるホルモンが急激に増加します。このプロゲステロンは、妊娠を維持するために大切な働きをしてくれる一方で、自律神経に影響を与えることがあります。
自律神経は、血管の収縮や拡張、体温調整等をコントロールしているため、そのバランスが乱れると、血流に不安定さが生じ、結果的に頭痛が起こりやすくなるのです。
血圧の変動
妊娠中は血液量が増加し、それに伴って血圧も変動しやすくなります。特に妊娠高血圧症候群等、血圧が高くなる傾向があると血管にかかる圧力が増し、頭痛を引き起こすことがあります。
血圧が高い場合の頭痛は、放っておくと危険なサインのため、自己判断せずに早めに医師へ相談することが大切です。
ストレスや疲労の蓄積
妊娠中は、体だけでなく、生活環境や心の状態にもさまざまな変化が訪れます。「ちゃんと育っているかな」「出産は大丈夫かな」といった不安が、ストレスとなって心身に影響を与えるケースもあります。
こうしたストレスや疲労が蓄積すると、緊張型の頭痛や偏頭痛の原因になる場合があります。できるだけリラックスできる時間を作ることが大切です。
睡眠不足や生活リズムの乱れ
妊娠中期になると、お腹の張りや頻尿、精神的な不安等で眠りが浅くなりがちです。また、日中の疲れや夜間の不眠が続くと、生活リズムが崩れてしまうこともあります。
このような状況が続くと、自律神経が乱れ、頭痛を引き起こすケースがあります。毎日同じ時間に寝起きする習慣をつけたり、日中に短時間の仮眠を取り入れたりして、体のリズムを整えましょう。
運動不足による血行不良
妊娠中は、「お腹が張ったらどうしよう」と不安になって、無意識に体を動かす機会が減ってしまう方も多いです。
運動不足になると、血流が悪くなりやすくなります。その結果、体のすみずみに十分な酸素や栄養が行き渡らず、頭痛の原因になることもあります。
体調に合わせて、無理のない範囲で軽いストレッチやウォーキング等を取り入れることがおすすめです。
貧血による酸素不足
妊娠中は、赤ちゃんに必要な栄養を送るため、血液量が増加します。その一方で、鉄分が不足しやすくなり、貧血の症状が出やすくなるため、注意が必要です。
貧血になると、脳に送られる酸素が不足し、頭痛やめまい等の症状が現れることがあります。
注意が必要な頭痛の見分け方
妊娠中に起こる頭痛の多くは、ホルモンバランスの変化やストレス、睡眠不足等、妊娠特有の体の変化が原因とされています。
しかし、なかには注意が必要な「病的な頭痛」のサインであるケースもあります。次のような症状を伴う場合は、できるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。
● 突然、バットで殴られたような強い痛みに襲われる
● 視界がぼやける、もしくは光がまぶしく感じる
● めまいやふらつき、歩行が困難になる
● 手足のしびれやむくみがある
● 吐き気や嘔吐が頭痛と同時に起こる
● ろれつが回らない、言葉が出にくい
● 頭痛が長時間続く、もしくは何度も繰り返し起こる
もし「いつもと違う」「何かおかしい」と感じた場合は、自己判断せず、早めに医師に相談することが大切です。
妊娠中期の頭痛を和らげる対処法
妊娠中期に起こる頭痛は、体の変化による一時的なものが多く、生活習慣の見直しやちょっとしたケアで和らぐことがあります。
十分な休息と質の良い睡眠を確保する
妊娠中の体は、妊娠していないときよりも多くのエネルギーを使っており、自然と疲れやすくなっています。特に中期になると日中の活動量が増える一方で、夜間はお腹の張りや頻尿等で眠りが浅くなりがちです。
疲れがたまると頭痛が悪化する場合もあるため、静かな環境で体をしっかりと休めることが大切です。
軽いストレッチやウォーキング等の運動を行う

体を動かすと血流が促され、肩や首まわりのこりがほぐれ、頭痛の緩和につながります。特に妊娠中は、運動不足になりやすいため、無理のない範囲で日常に軽い運動を取り入れることが効果的です。
例えば、ゆっくりとしたウォーキングやストレッチ等は、体への負担も少なく、気分転換にもなります。天気の良い日には、近くの公園を歩いてみるのもよいでしょう。
栄養バランスの良い食事をとる

頭痛を予防するためには、食事からの栄養補給も重要です。妊娠中は鉄分やマグネシウム、ビタミンB群等が不足しやすく、これらが足りないことで頭痛が起こりやすくなることもあります。
鉄分を多く含むレバーや小松菜、マグネシウムを含むナッツ類、バナナ等を意識して取り入れることで、栄養バランスが整い、体調の安定にもつながるでしょう。
こまめに水分を補給する
妊娠中は体内の水分バランスが崩れやすく、脱水が原因で頭痛が起こるケースもあります。水分は、喉が渇いてから飲むのではなく、こまめにとることが大切です。また、水分補給は、むくみや便秘対策にも効果的です。
ただし、カフェインの多いコーヒーや紅茶、糖分が多い清涼飲料水はなるべく控えめにします。
頭や首を温める
頭が重く締めつけられるような「緊張型の頭痛」の場合は、首や肩まわりの筋肉のこりが原因になっていることがあります。
そのようなときは、温めることで血流を促し、痛みをやわらげる効果が期待できます。
蒸しタオルや市販の温熱シート等を使って、首や肩をじんわりと温めてみましょう。
医師に相談のうえで薬を使用する
「頭痛がひどくて日常生活に支障が出る」「ケアをしても痛みが続く」といった場合は、無理をせず、医師に相談してください。
妊娠中に服用できる薬は限られており、市販薬のなかには避けたほうが良い成分もあります。医師に相談のうえ、適切な薬を処方してもらうようにしましょう。