いつまで続く?更年期に起こるホットフラッシュ..対処法を徹底解説
PROFILE
1 ホットフラッシュの症状概要
2 ホットフラッシュの治療方法
3 更年期症状と更年期障害の違い
4 つらいホットフラッシュはいつまで続く?
5 更年期のホットフラッシュに関するよくある質問
ホットフラッシュの症状概要
女性は更年期を迎えるとホルモンバランスの変化により、心身にさまざまな不調が表れます。その症状は多種多様で、個人差があります。中でも、多くの女性が経験するのは「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状です。
ホットフラッシュとは、のぼせやほてり、発汗等が突然起こる更年期特有の症状です。これまでに経験したことがない不調を感じ、ホットフラッシュなのではないかと不安を抱えている女性も多いのではないでしょうか。ここからは、ホットフラッシュの具体的な症状を解説します。
ホットフラッシュの症状例
ホットフラッシュは、何の前触れもなく現われる顔や上半身の熱感です。熱を感じることで顔がほてることが多いため、ホットフラッシュと呼ばれています。上記のように、ホットフラッシュの症状は多岐にわたります。症状の程度には個人差があり、大量の発汗やのぼせ等により、仕事や家事等の日常生活に支障が出るケースも珍しくありません。
ホットフラッシュは、何の前触れもなく突然起こることが特徴です。基本的には決まった予兆がないことが多く、突然自分に現われる症状に戸惑う女性も少なくありません。
ただし、タイミングや状況によってはホットフラッシュが起こりやすくなる女性もいます。ホットフラッシュを経験した女性にアンケート調査を実施した結果、そのタイミングに次のような共通点があることがわかりました。
I’m OK 編集部によるアンケート結果からは、外出時やストレスを感じたとき等にホットフラッシュが起こる女性が多いことがわかります。一方で、就寝中のようなリラックスした状態のときにホットフラッシュが起こる女性もいるようです。
【調査概要】 調査方法:インターネットアンケート 調査対象:更年期症状のホットフラッシュを経験したことがある女性 アンケート母数:107人 実施日:2024年9月23日~2024年10月7日 調査実施主体:I'm OK? Magazine 調査会社:はなさく生命保険株式会社 |
ホットフラッシュの要因
ここからは、ホットフラッシュの要因について詳しく見ていきましょう。
更年期によるホットフラッシュの要因で大きいものは、多くの更年期症状と同様に、ホルモンバランスの変化です。更年期になると卵巣機能が低下するため、それに伴って女性ホルモンであるエストロゲンが減少します。エストロゲンは、身体の恒常性に大きく影響します。恒常性とは、身体の状態を一定に維持する仕組みです。
エストロゲンには血管の収縮や拡張をコントロールし、自律神経を安定させる働きがあります。更年期を迎えてエストロゲンの分泌量が減少することで、自律神経が乱れ、ホットフラッシュが起こるというわけです。
また、ホットフラッシュが起こる要因は、ホルモンバランスの変化だけではありません。暖かい部屋に入る、ドライヤーや衣類用アイロンを使用する、熱い飲み物を飲むといったように、体が温まることがトリガーになる可能性もあります。
ホットフラッシュの治療方法
ホットフラッシュは、更年期の多くの女性が経験する症状の1つです。症状の出方によっては、仕事や家事等の日常生活に支障を来す可能性があります。しかし、ホットフラッシュは病院で治療することが可能です。更年期を快適に過ごすためには、どのような治療があるかを把握しておくことも大切です。
ホルモン補充療法(HRT)と漢方薬が中心
ホットフラッシュに対しては、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬、プラセンタ療法等の複数の治療方法があります。このうち、特に効果的な治療方法はホルモン補充療法です。
ホルモン補充療法とは、卵巣機能の低下によって分泌量が減少したエストロゲンを補充し、症状を和らげる方法です。ホットフラッシュの頻度や程度を軽減するだけでなく、骨密度の維持や心疾患のリスク低下の効果も期待できます。
ホットフラッシュには、漢方薬が使用されることもあります。漢方薬は副作用が少なく、ホットフラッシュの他、更年期に伴う諸症状の緩和にも効果的です。症状に合わせて、ホルモン補充療法と漢方薬が併用されることもあります。
ホットフラッシュ経験者に聞いた対処法
突然の発汗やほてりは日常生活に支障を来すおそれもあるため、対策をしたいと考える女性も多いでしょう。ホットフラッシュを経験した多くの女性は、万が一に備えてさまざまな対策をしています。
ホットフラッシュを経験した女性へのアンケート結果からは、次のような対策をしている方が多いことがわかりました。
①汗をかいた時にいつでも着替えられるよう、着替えを持ち歩いている
ホットフラッシュのタイミングは不安定で、職場や外出先で突然起こるリスクがあります。外出先で突然ホットフラッシュが起きると、汗で衣服が濡れたり、身体が冷えたりしてしまう可能性があります。
大量の発汗に備え、次のような対策をしている女性も多いようです。
● 常に着替えを持ち歩いている
● 着替えを職場に置いている
● 通気性の良い衣服に着替える 等
汗で濡れた衣服を着替えることで、清潔感を維持できます。汗をかいた後、身体が冷えてしまうのを防ぎ、体調の悪化を避けられます。
冷えピタを持ち歩き、首やおでこに貼っている
ほてりや発汗等の症状を和らげるためには、クーリングが効果的です。ホットフラッシュを経験した女性の中には、ほてった身体を冷やすために次のような対策をしている女性も多いようです。
● 保冷剤で顔を冷やす
● ウェットティッシュで冷感する
● 涼しい部屋で休む
● 保冷剤を持ち歩き、ほてりを感じたらその部分にあてる
● 小型の扇風機を持ち歩く 等
上記の他、暑い季節に家を出る際に、氷を口に入れて体温が下がるようにしているといった声も寄せられました。
就寝時はベッドパッドを敷く
ホットフラッシュのタイミングは不安定なので、就寝時に突然起こる可能性もあります。発汗による不快感を防ぐために、寝具を工夫している女性もいるようです。
ベッドパッドを敷くことで、寝汗によるマットレスの汚れやカビを防ぎ、清潔な状態を維持できます。吸水性の高いベッドパッドを使用すると、寝汗を素早く吸収するため、マットレスへの浸透を防ぐことが可能です。
更年期を快適に過ごすためには、規則正しい生活を心がけることが大切です。睡眠不足はホルモンバランスに影響を与えるてホットフラッシュへの要因になるため、十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。
大判タオル3枚以上と保冷剤を持ち歩く
ホットフラッシュによる汗の量は多く、ハンカチや小さいタオルでは対処できない可能性があります。アンケート結果からは突然のホットフラッシュに備え、大きめのタオルや保冷剤を持ち歩く女性が多いことがわかりました。
● タオルを多めに持ち歩く
● タオルとハンカチを2~3枚持ち歩く
● フェイスタオルを持ち歩く
● ハンドタオルと保冷剤を持ち歩く 等
ほてりや発汗には汗を拭くだけでなく、冷やすことも重要です。保冷剤をタオルで包み、ほてりを感じる場所にあてると、汗をおさえられます。近年は猛暑が続いており、夏場は汗をかきやすいため、他の季節よりも多めにタオルを持ち歩くようにしましょう。タオルと保冷剤の併用は、熱中症対策にも役立ちます。
更年期症状と更年期障害の違い
更年期に、加齢を原因として体に起こるさまざまな不調を、更年期症状と呼びます。この更年期症状がつらい場合や、日常生活を送るのに支障がある状態になってしまうと、それは更年期障害だといえます。
更年期というのは、一般的には45歳~55歳ぐらいまでの期間を表します。40代後半が最もホットフラッシュが起きやすく、55歳以降ではあまり起きなくなるようです。
つらいホットフラッシュはいつまで続く?
一般的には、更年期といわれる45歳~55歳ぐらいの人は、最もホットフラッシュが出やすい時期です。ただし、症状の強さ同様に個人差が出やすいので一概にはいいきれません。
更年期のホットフラッシュに関するよくある質問
ここからは、板橋中央総合病院医長の阿部 一也医師に話を伺いました。