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カラダとココロ

その不調、我慢してやり過ごしていませんか?職場や家族と共有するためのポイントを医師が解説

公開日:2025.07.01
更新日:2025.07.01
その不調、我慢してやり過ごしていませんか?職場や家族と共有するためのポイントを医師が解説
I’m OK?編集部では、PMSや生理、更年期など、女性特有の健康課題による悩みや、それに直面したときの過ごし方について、15~64歳女性1,000人にアンケートを実施しました。7割以上の女性が生理や更年期のような女性特有の健康課題による不調を経験していることがわかりました。 このような不調は女性特有のものであるだけでなく、同じ女性でも症状の有無や大小に個人差があります。そのため、同じ女性同士であっても自身の不調を相談しにくく、なんとか我慢してやり過ごしてしまうことにもなりがちです。 女性特有の健康課題による不調が日常に影響するときの解決策や、周囲への共有方法について一度立ち止まって考えてみませんか?

PROFILE

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専門家/エキスパート 阿部 一也
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業/現在は板橋中央総合病院勤務/専門は産婦人科
INDEX

1

2 不調時に家族や周りを頼れている人は全体の3割以下

3 女性特有の健康課題による不調は日常に影響

4 女性特有の健康課題で仕事がつらい場合

5 パートナーとの共有方法

女性特有の健康課題というのは、PMSや生理による不快症状、更年期症状などのことを表します。中には症状が一時的なものも多く、多くの女性がそれを自身の我慢で乗り越えています。

しかし、たとえば生理中の2日間の症状であったとしても、年間に数えると一般的に24日間=約3週間以上もつらさを抱えているということになります。症状が重たい場合はもちろん医療機関を受診するのが最善ですが、ちょっとした不調であれば周囲のサポートなどで負荷を減らすこともできるでしょう。

女性特有の健康課題による不調が日常にどう影響を与えるかということや、その解決策について、板橋中央総合病院の医長である阿部一也医師にお話を伺いました。

不調時に家族や周りを頼れている人は全体の3割以下

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アンケートによると、そもそも女性特有の健康課題の経験がある人は全体の7割以上。さらに、その中でも不調時に家族や身の回りの人に頼っているという人は22.5%でした。たとえば仕事や育児にはできるだけ影響を出したくないと考える人でも、日常的な家事の部分でサポートがあれば、体や心への負担は大なり小なり軽減されることもあるでしょう。

しかし、周囲の人に頼っていると回答したわずか約2割の人でも、その相談相手の多くは母や姉妹といった同性の家族や、同性の友人という結果になりました。同性の家族と同居していない人や、すぐに頼れる同性の友人が近くにいない人は、なおさら不調を相談できる相手が見つけられず、自身で不調を抱え込んでいる可能性もあります。

女性特有の健康課題に関する不調は、女性にとって孤独に乗り越えなければならない悩みのひとつともいえるかもしれません。

女性特有の健康課題による不調は日常に影響

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では、女性特有の健康課題による不調は、女性の生活にどの程度影響を与えるのでしょうか。アンケートでは、女性特有の不調によって仕事や学業、私生活に影響が出た経験を聞いたところ、いずれも半数以上の人が影響が出たことがあると回答しました。もちろん、影響が出た経験がないとする人でも、不調を自身の我慢によって仕事や学業に影響しないよう頑張っているという結果であるケースも考えられます。

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本来は女性特有の健康課題による不調を感じたときに、すぐに相談できる婦人科があることがベストです。しかし、特に若年層になるにつれて、かかりつけの婦人科医を持つ人は少ないため、LINEやアプリで相談できる医療機関などを見つけておくのも良いと思います。

女性特有の健康課題で仕事がつらい場合

特に仕事面では、責任感や立場的なことを鑑みて、女性特有の健康課題による影響を出したくないと考えている女性も多いようです。そこで、これらの不調の際にどうしたら仕事をいつものように乗り越えられるのか、阿部医師にアドバイスを伺いました。

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環境にもよりますが、女性特有の健康課題で仕事がつらいと感じるのであれば、周囲へ不調を共有することを推奨します。職場でどのように立ち振る舞うか、周囲がどのようにサポートするかが重要にはなりますが、不調の共有によってお互いが我慢をせずに行動できて負担の軽減につながることは少なくありません。

生理やPMSの場合

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不調の内容によっても対処法は異なります。腹痛や頭痛といった痛みがつらいのか、情緒が安定しないといったように精神的につらさを抱えているのか、など人によって症状が違います。人によっては市販の痛み止めで対応できる痛みだったり、婦人科でピルを処方してもらうことで症状が改善することも考えられます。ただし、症状がつらい場合に一番良いのは職場の理解を得ることです。どんなに病院の治療や薬で対応しても、症状が100%消失するとは限りません。月経困難症などの場合は、診断書を発行できることもあります。そういったものをうまく活用しながら、まずは女性スタッフや産業医に相談したり、専門家のスタッフに来てもらって職場での周知をしてもらうというのもおすすめです。

更年期症状の場合

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更年期症状の場合にも、基本的には生理やPMSと同様です。しかし更年期症状の場合は、PMSや生理痛と異なり月経前や月経中だけにとどまらず、長期的に不調を感じる人もいます。PMSや更年期症状には、いずれもホルモンバランスの変動が影響すると考えられています。そのため、食事や栄養、運動、日頃のストレス解消などをうまく取り入れることで改善が見られることもあるので、まずは試してみても良いでしょう。

パートナーとの共有方法

家事や育児といった日常生活においては、不調時にパートナーに頼ることができるのが理想です。特に女性特有の健康課題による不調は、一時的なものであることも多いため、だからこそ、そのときだけでもサポートが得られれば乗り越えやすくなるものです。また、これらの不調はホルモンバランスによる影響が大きいと考えられていて、ストレスというのもホルモンバランスに大きな影響を与える要素です。そのため、頻度が高い不調を一人で抱えなければならないことがストレスになってしまうと、余計に悪循環にもなりかねません。

女性同士であってもなかなか相談しにくいことを、パートナーに相談するためのポイントはどのようなことでしょうか?

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婦人科に付き添ってもらって、医師から症状や対策を説明してもらうことも可能です。しかし、理解しあうというためにはその前段階の準備が大切だと考えます。 たとえば細かく症状を伝えることができなくても、体がしんどいことや家事がつらいことを伝え、どんなことをしてほしいかを詳しく伝えられるようにできると相手にもわかりやすくなります。直接言いにくいという場合は、パートナーと共有できるアプリなどを探してみてください。生理周期が共有できたり、不快症状の記録が共有されたりというものもあります。 男性は理解がない、症状がない人は理解してくれない、と思ってしまう人がいるのですが、実際には純粋にわからないから何をサポートしてよいのかもわからないだけ、ということもあるんです。言わずにわかってもらうことよりも、まずはどんなことをしてくれたら助かるか、というのを共有することが重要です。

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