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カラダとココロ

ブレスト・アウェアネスってなに?自分のために習慣化したい「健康のためのバストケア」

公開日:2025.09.19
更新日:2025.09.19
ブレスト・アウェアネスってなに?自分のために習慣化したい「健康のためのバストケア」
ブレスト・アウェアネスという言葉を聞いたことはありますか?ブレスト・アウェアネスというのは、自分の乳房の状態を日頃から意識して、変化に気が付きやすくするための生活習慣のことで、実は女性が自分自身の健康を守るためにとても大切なことです。 そこで、クレアージュ東京 レディースドッククリニック 乳腺外科顧問の田村 宜子医師にお伺いしたブレスト・アウェアネスの重要性や、4つのポイントを紹介します。

PROFILE

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クレアージュ東京 レディースドッククリニック 乳腺外科顧問 田村宜子医師 田村宜子
乳がん診療が専門で、診断から手術・薬物療法・放射線治療など治療方針の決定と手術・薬物治療に従事し、日々患者さんと向き合って治療を行っている。
INDEX

1 乳がんのいま:女性の誰にとっても“遠くない”病気

2 セルフチェックだけじゃ不十分?「ブレスト・アウェアネス」という考え方

3 ブレスト・アウェアネスの4ステップ

4 ブレスト・アウェアネスを上手に習慣化するには?

乳がんのいま:女性の誰にとっても“遠くない”病気

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出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)

I’m OK?編集部:年齢別の乳がんのり患率を見ると、30代後半から顕著に増加していくことがわかります。企業や行政の検診の対象となるのも40代以降が多いですが、乳がんは20代や30代でも気にかけたほうが良いものですか?

田村医師:グラフの通り、乳がんは30代前半以前にり患するのは稀だというのは事実です。一方で、もちろん実際に乳がんになった人には、いわゆる若年層と言われる20代の方もいれば30代前半の方もいます。闇雲に怖がる必要はあまりないのですが、若年層だと検診の対象年齢でないからこそ発見が遅れ気味になったり、仕事、結婚、金銭面など、若年層で乳がんにり患するとライフプランに大きく影響したりという側面もあります。
乳がんり患者数は年々増加していますが、乳がんは早期発見であれば予後が良いというのも特徴。たとえばステージ1で発見されれば、10年生存率は90%を超えるんです。だからこそ、若いうちから闇雲に怖がるのではなく、年齢問わず、自分の胸に変化があればすぐに気が付くことができる習慣を身につけることが大切なんです。

セルフチェックだけじゃ不十分?「ブレスト・アウェアネス」という考え方

I’m OK?編集部:最近では「ブレスト・アウェアネス」という言葉を聞くようになりましたが、これは乳がんのセルフチェックのことですか?

田村医師:セルフチェックとブレスト・アウェアネスは少し違いますね。セルフチェックだと不十分というよりは「セルフチェック=乳がんを見つけるためのこと」と考えてしまうと、かえって見つかりにくくなってしまうことがあるんです。たとえば「セルフチェック=しこりを見つける」と考える人は多く、しこりが見つからないと不安になったり、やり方が間違っているような気がして続けられなかったりする人がいます。

I’m OK?編集部:確かに私自身も、セルフチェックと聞くたびになんとなく触って確かめてみたことはありますが、よくわからないしそれっきりになってしまっていますね…。

田村医師:そうなんです!自分の胸の普段の状態を理解していないと、異常があるかどうかはなかなか比較しにくいんです。それだけでなく、しこりとして現れることが多いのは確かですが、乳がんのサインはしこりだけではありません。そういうものを見逃さないためにも、気が向いたときにセルフチェックをするのではなく、とりあえず日頃から自分の胸に関心を持つ習慣をつけて、変化があればまずは受診しましょう、というのがブレスト・アウェアネスというものです。

ブレスト・アウェアネスの4ステップ

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出典:BC Tube

1. 自分の乳房の状態を知る

I’m OK?編集部:自分の乳房の状態を知る、というのはどうしたらいいですか?

田村医師:入浴時に体を洗う時や寝る前に仰向けになった時に、自分の胸を触ってみたり、鏡で色や形を見てみたりしてください。顔のスキンケアと同じような感覚で、とお伝えすることが多いのですが、毎日やる必要があるというわけではありません。月に1度ぐらいの頻度を目安に習慣化できると良いですね。

2. 乳房の変化に気を付ける

I’m OK?編集部:注意したほうが良い胸の変化というのはどんなことですか?

田村医師:よく言われるしこりもそうですが、ぎゅっとしぼってもいないのに乳頭から血のような赤い分泌物が出て下着に付いたり、乳頭や乳輪にただれが出たりという場合には、すぐに受診することをお勧めします。そのほかには乳房のへこみやくぼみが出ることもあります。すべてが乳がんのサインということではなく、乳房の病気というのは乳がんだけではないので、乳がんではないけれどもなんらかの異常がある、ということに気が付くきっかけになるかもしれません。

3. 乳房の変化に気付いたら

I’m OK?編集部:乳房の変化に気付いたときにはどうしたら良いですか?

田村医師:胸のことであれば専門は乳腺外科というものがあります。乳腺外科は乳がんのことだけを見るわけではないので、胸の変化はなんでも相談できる場所として知っておいてください。あるいは、婦人科やレディースクリニックのようなかかりつけ医に相談するのも良いでしょう。専門医でないと診察ができないということではなく、一般的には必要があれば専門医を紹介してもらうことができます。信頼しているかかりつけ医がいるのであれば、もちろん内科への相談でも良いので、とにかくそのままにしないこと!これに尽きます。

ブレスト・アウェアネスを上手に習慣化するには?

I’m OK?編集部:ブレスト・アウェアネスを上手に習慣化するにはどんな工夫がありますか?

田村医師:足や腕にボディクリームを塗るときなどに、一緒に胸まで塗るようにすると、取り入れやすいかもしれません。毎日だと大変であれば、週末のスペシャルケアとして取り入れるというのも良いでしょう。また、「生理が終わったらすぐに」というように決めてしまい、手帳やカレンダーにシールを貼るようにしたり、月経アプリと一緒に日付管理をしたりという方法もあります。
あと、重要なのは考え方。やらなければいけないこと、と気負いすぎると、負担が大きくなってなかなか続かない人が多いと思います。あくまでも自分の体のケア、といったように、少しラフに考えましょう。

I’m OK?編集部:そのほかに何か注意点はありますか?

田村医師:月に1度の習慣にするという観点でいえば、胸が張っていないときのほうが変化がわかりやすいというのと、胸が張っているときは触るのも痛いという人も少なくありません。一般的には生理前や生理中、排卵日前後は胸が張りやすいのですが、胸が張る時期というのも人によって違います。まずは自分の胸が張りやすいのがいつなのかを知ることから始めてみてください。いつもの状態を知るという意味で、自分の胸が張っているのはどんな状態なのか、張っていないとどんな状態なのか、知っておくことが大切です。そのため、まずはいろんな観点で自分の胸に興味を持ってみて、自分の体のことが理解できてきたら、あとは胸が張りにくいときに定期的に触ってみる、という習慣が付けられると理想的です。

それから、ピルや不妊治療で使う薬、あるいはメンタルヘルス系の一部の薬ではホルモンに影響する薬を使用しています。ホルモン剤を服用すると胸が張ったり乳頭からの分泌物が出たりしやすくなることがあるので、薬の服用をきっかけとした変化の可能性があれば、処方された医師に相談してみてください。

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