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カラダとココロ

乳がんのセルフチェック完全ガイド​

公開日:2025.09.19
更新日:2025.09.19
乳がんのセルフチェック完全ガイド​
2021年度の国立がん研究センターの統計によると、乳がんは女性がり患するがんの中で最も数が多いものです。今や女性の9人に1人がり患するがんではあるものの、早期発見によって90%以上が治る病気でもあり、早期発見のための検診受診や日頃の対策が、り患後の予後を握るポイントになります。 そこで、乳がんのセルフチェックについて、その重要性などをクレアージュ東京 レディースドッククリニック 乳腺外科顧問の田村 宜子医師に伺い、セルフチェックの方法をわかりやすく紹介します。

PROFILE

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クレアージュ東京 レディースドッククリニック 乳腺外科顧問 田村宜子医師 田村宜子
乳がん診療が専門で、診断から手術・薬物療法・放射線治療など治療方針の決定と手術・薬物治療に従事し、日々患者さんと向き合って治療を行っている。
INDEX

1 乳がんのセルフチェックの重要性

2 セルフチェックのベストタイミングと必要なもの

3 HOW TO 完全ガイド

4 しこり以外にココを確認!

5 セルフチェックでのよくある失敗や勘違い

6 もしも変化に気付いたら

乳がんのセルフチェックの重要性

I’m OK?編集部:乳がんにり患した人の中で、セルフチェックで乳がんに気が付いた人の割合は半数以上になるというデータもあるようですが、乳がんを発見するために、セルフチェックというのはやはり重要なものですか?

田村医師:重要だと思います。まず、検診で見つかる乳がんの多くはセルフチェックではわからない段階のものです。しかし、少数ではあるものの「中間期がん」といって、1年に1度や2年に1度という、推奨される検診頻度の合間に急に成長するがんがあります。
それからこちらも少数ではありますが、行政の助成がある検診や企業での乳がん検診の対象にならない20代、30代という年齢でも、乳がんにり患する可能性がゼロではありません。日頃から自分のバストに気を向ける習慣をつけておくことで、こういう乳がんに早く気が付く可能性が増えるでしょう。

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田村医師:ただし、乳がん検診の受診率の平均は、乳がんが増えてくる40代以降を見ても日本全国で50%を超えていない状況。検診が推奨される年齢であればセルフチェックを習慣にすることと検診の受診、どちらもとても重要です。

セルフチェックのベストタイミングと必要なもの

I’m OK?編集部:セルフチェックはいつ、どんな頻度でやるべきですか?
田村医師:乳がんのセルフチェックというより、乳癌学会では今はブレスト・アウェアネスという習慣を提唱しているのですが、これはまた別の機会に詳しくお話させてください。

▼ブレスト・アウェアネスの詳細はこちらの記事をご覧ください。
ブレスト・アウェアネスってなに?自分のために習慣化したい「健康のためのバストケア」

田村医師:乳がんのセルフチェック、という観点で言うのであれば、推奨されるのは生理や排卵日付近の胸が張りやすいときを避けて、月に1度の頻度で確認することです。これは胸が張っていないときでないと気が付きにくいからなのですが、実際には胸が張りやすい時期というのは人によってだいぶ異なります。胸が張っていないときがわかりやすい、と覚えておいてください。

必要なものは特にないのですが、ボディクリームなどを使ったほうがやりやすいという人もいます。

HOW TO 完全ガイド

乳がんのセルフチェックでは、主に次のようなポイントがあります。

● 鏡で見る
● 立った状態で触る
● 腕を挙げて触る
● 仰向けで触る
● 乳頭からの分泌物のチェック

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「2分でできる乳がんセルフチェック」を動画でも確認!
BC Tube : 2分でできる乳がんセルフチェック

I’m OK?編集部:たとえば妊娠中や授乳期には検診を受けたくても対象にならないことがありますよね?妊娠中や授乳期の場合、更年期の場合などで何か違いはありますか?

田村医師:大切なことをお伝えしておくと、妊娠中や授乳中にマンモグラフィを受けても、母体や授乳に何か悪影響があるということではありません。ただし、検診でもなかなか発見しにくいなどの理由もあり、確かに対象としていない機関が多いです。そのまま第二子、第三子の出産が続く場合などは、対象の年齢に入っていても長期間検診を受けていないという人が出てくるので、この場合はセルフチェックがさらに重要になりますね。

妊娠中、授乳中などは、胸が張っていないときでないと本当にわかりにくいです。搾乳後や授乳後などの胸が一番やわらかいときに触るようにしてください。また、40代以降の更年期に入ってくると、胸が張る時期に個人差が大きくなります。まずは気負いすぎず自分の体に目を向けて、胸が張りにくい時期を知り、月に1度のタイミングで続けるようにするのが良いと考えます。

しこり以外にココを確認!

I’m OK?編集部:セルフチェックでは、しこり以外にも確認することがありますか?

田村医師:乳頭部分の皮膚がただれたようになる乳頭のびらん、血が混ざった乳頭からの分泌物などが乳がんの症状として現れることがあります。しこりがなくても起きることがあるので、これらの症状があれば受診してください。

セルフチェックでのよくある失敗や勘違い

I’m OK?編集部:そのほかに、セルフチェックの際に間違えやすいことや勘違いしがちなポイントはありますか?

田村医師:まず、しこりを探そうとしすぎてしまう人がいます。しかし、しこりがないのが普通の状態。大切なのは「いつもと違う」ということに気が付けるかどうかです。そのためには、セルフチェック自体をしこりを探すものと考えず、まずは自分の普段の状態を知り、変化があれば受診、なければまた次の機会に確認する、と考えてください。

また、胸が張るというのは胸全体が張るということではなく、乳腺自体が硬いかどうかということ。乳腺自体は張りやすいものですが、その中の一部だけがしこりのようになっているか、という問題です。強く押しすぎたり、一点だけを押しすぎたり、あるいは表面をなでるように軽く触るだけではなかなか気が付けません。縦に圧力をかけるような力ではなく、ある程度の力で横に触ってみたときに、一部だけが違うかどうかを確認してみてください。言葉で説明するのは難しいのですが、のし餅の中の豆を探すようなイメージとお伝えすることもあります。

もしも変化に気付いたら

I’m OK?編集部:もしもしこりに気が付いたり、いつもと違う変化に気が付いた場合は、実際にはどうしたらいいですか?

田村医師:絶対にそのままにせず、クリニックや病院を受診してください。もちろん検査の結果乳がんではなかったということもたくさんあるし、胸に関するほかの病気や症状であるという場合もあるので、それに気が付けるということをポジティブに考えてほしいです。

胸のことであれば、一番の専門は乳腺外科です。まずは乳腺外科という選択肢があるということを知っておいてほしい。ただ、やはりあまり馴染みのない方や近くにないという方もいると思うので、自分の体の変化を相談できるかかりつけのレディースクリニックをみつけておくと安心です。もちろんかかりつけの内科や婦人科でも、必要があれば専門機関を紹介してくれるのですが、専門機関につながるまでにその分時間がかかってしまうこともあるので、特定の病気の心配や症状については、専門性が高いところに相談する方が近道になるということも覚えておいてください。

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