【インタビュー】育児真っ最中。若くして乳がんを経験したからこそ伝えたい“プレコンセプションケア”と乳がんについて
PROFILE
1 「まさか自分が──」若くして見つかった乳がん
2 次の一歩を踏み出せた理由
3 31歳という年齢、子育て中だからこその大変さ
4 若年性乳がんの大変さについて
5 未来の自分のためにできること
「まさか自分が──」若くして見つかった乳がん
I’m OK?編集部:丸橋さんの乳がんが分かるまでの経緯を教えてください。
丸橋さん:1人目の子供を妊娠、出産を経て、仕事に復帰しました。営業職で忙しく、初めての育児と仕事の両立に追われる日々でした。まだ子どもが小さいのでよく体調を崩していたのですが、自分もなんだか体調がすぐれない日が続いていて、よく考えたら27歳ぐらいまでは人間ドッグもしっかり受けていたのに、妊娠や出産を挟んで3年ぐらい受けていないことを思い出したんです。私の勤める会社では、1年に1回であれば会社の補助が出るので、久しぶりに人間ドッグを受け、そこで乳がん検診も受けた際に、乳房に14mmのしこりがあることがわかりました。31歳のときでした。
I’m OK?編集部:乳房の自覚症状があったわけではなく、まさに突然ということですか?
丸橋さん:そうですね。特にセルフチェックなどもやっていなくて、自覚症状は何もありませんでした。だから、再検査と言われてもまだ、まさか乳がんだとは思っていなかったんです。きっと違うだろうなって。
次の一歩を踏み出せた理由
I’m OK?編集部:ご自身もショックを受けたと思うのですが、どう気持ちを切り替えていきましたか?
丸橋さん:正直なところ、立ち止まっている時間がなかったんです。仕事でも部下を持っていたりとある程度のことを任されている中で、1カ月もたたずに手術の日が決まりました。子供はまだ1歳と手がかかる時期。仕事のことも子供のことも、誰かの手を借りないと何も進められない状態で、すぐに周囲に話さざるを得ませんでした。
もちろん乳がんだと言われた瞬間は「死んじゃうのかな」という不安はよぎりましたが、1歳の子を残して死ぬわけにはいかない。どういう治療があるのか、どう治していくのか、そこを考えるのは、自分にとっては自然なことでした。
31歳という年齢、子育て中だからこその大変さ
I’m OK?編集部:お子様やご家族がいるからこそ、必然的に前を向けたということですよね。逆に、その状況だからこその大変さはありましたか?
丸橋さん:もちろん、入院と手術に際して子供の面倒を見たりというのは夫と私で双方の両親に頼る必要もあり、大変でした。でも、それは時間がないながらも事前に色々と準備はできたのですが、想像と違ったのは術後です。まず、乳房再建手術を同時に行ったせいか、思ったより痛みがひどくて。すぐに子供に会いたい気持ちもあり、術後すぐにお見舞いに来ていいよと伝えていたのですが、あまりにも具合が悪そうにしている私を見て、子供が怖がってしまったんです。それに、1週間で退院はできるのですが、日常の中でも腕を上げることすらダメだと言われていたので、子供と一緒にお風呂に入れるようになるまでには半年もかかりました。
I’m OK?編集部:退院できても、すぐに元通りの日常に戻れるというわけではないんですね。
丸橋さん:はい。それから、漠然と2人目の子供の妊娠も考えてはいたので、5年間は妊娠ができない、と告げられたのはショックでした。まだ出産を考えているということを医師にも相談し、手術後すぐにホルモン療法を開始する前に受精卵を凍結することにしました。
I’m OK?編集部:治療がのちの妊娠や出産にも影響するということは知りませんでした。その後、2人目のお子様をご出産されたと伺いました。
丸橋さん:はい。手術の後に3年間ホルモン療法をして、そろそろ妊娠を考えたいと医師に相談したところ、今の状態であれば一度中断しても90%は大丈夫だろう、と仰っていただいて、凍結していた受精卵を使って妊娠、出産に至りました。
若年性乳がんの大変さについて
ここからは、専門医である森医師にもお話を伺いました。

I’m OK?編集部:若年性乳がんについて、どう考えたらよいですか?
森医師:若年性乳がん自体は乳がん全体の比率では、確かにごくわずかなので、無闇に恐れる必要はありません。しかし、5%という数であっても、それはもちろん0ではないという意味では、乳がんというのは若くても女性であればなり得るがんだということです。
また、丸橋さんのように、20代、30代というのはまだまだこれから女性のライフステージが大きく変わるときでもあります。経済状況なども踏まえると、少ない数ではありつつも、若年性乳がんだとライフプランに大きく影響したりと、当事者にとって負担がとても大きいという側面があります。
▼若年性乳がんについての詳細はこちらの記事も参考にしてください。
乳がんは他人事じゃない。若年性乳がんのリアル
I’m OK?編集部:では、若くても結婚前などには乳がん検診を受けるべきですか?
森医師:特に症状がなく、近親者に乳がんの方もいないようであれば、20代~30代の方の乳がん検診を勧める医学的根拠はありません。一方で、妊娠中や授乳期間中に乳がん検診の非対象としている施設もあるため、たとえば2人、3人と続けて妊娠・出産した場合に、40歳を超えても気が付いたら検診を受けていない期間がだいぶ開いてしまうということもあります。また、乳房超音波検査であれば妊娠中や授乳中でも受けられるのですが、通常時と比べると検診の精度が下がります。
そこで重要なのは、年齢に関わらず、ブレスト・アウェアネスです。そして、40歳未満でこれから結婚や妊娠を考えている方で、一度検診を受けておきたいと思うのであれば乳がん乳房超音波検査を受けておくと良いでしょう。
▼乳房超音波検査の体験談を見る
【乳房超音波検査体験漫画】検査の流れやマンモグラフィとの違いは?
▼ブレスト・アウェアネスの詳細はこちらの記事も参考にしてください。
ブレスト・アウェアネスってなに?自分のために習慣化したい「健康のためのバストケア」
未来の自分のためにできること
最後に丸橋さんと森医師に、これから結婚や妊娠も視野に入れている40歳未満の女性に向けてメッセージをいただきました。
丸橋さん:健康や病気のことは、いつ何があるかわかりません。私は仕事も大好きで、仕事やプライベートすべてを充実させたくて、そのために多少頑張りすぎることを無理していると思っていませんでした。でも、健康じゃなければ働き続けることも、プライベートを充実させることもできないと気が付きました。乳がんは誰でもなり得る病気です。早期で発見できれば90%が治るし、逆に気が付くタイミングによっては取り返しがつかないこともあります。未来の自分や家族のために、早期で知るためにこそブレスト・アウェアネスや、決められたタイミングでの定期的な検診はとても大切です。
森医師:出産後に母乳育児を長くしている人ほど乳がんリスクが減少するというデータがあることも覚えておくと良いかもしれません。(参考:がん対策研究所「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」)
今、乳がんは早期に発見できれば色々な治療法があります。早期発見のためには、ブレスト・アウェアネスが鍵になります。どんな世代の人でも、日頃から自分の乳房に関心を持ち、何か気になることがあれば、レディースクリニックや乳腺外科医を受診してください。