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カラダとココロ

【増田美加さんインタビュー】乳がん当事者として思う、女性が自分のからだを守るために必要なこと

公開日:2026.01.09
更新日:2026.01.14
【増田美加さんインタビュー】乳がん当事者として思う、女性が自分のからだを守るために必要なこと
増田美加さんは、女性の医療や健康、ヘルスケアなどについての執筆や講演を行う「女性医療ジャーナリスト」として長年ご活躍されています。乳がんサバイバーでもあり、乳がんをはじめとした女性のがんや生理、更年期など、女性ホルモンに関連するさまざまな不調を取材し続けています。女性であれば誰にでも起こり得ることだからこそ、正しい知識で自分の体を守ってほしい、と語る増田さんに、ご自身の経験を通して女性が自分の体を守るために大切なことをお伺いしました。

PROFILE

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女性医療ジャーナリスト 増田 美加
女性の医療、健康を専門に執筆、講演を行なう。乳がんサバイバーでもあり、乳がんや乳がん検診の啓発活動も積極的に行っている。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長、一般社団法人日本フェムテック協会理事、特定非営利活動法人日本医学ジャーナリスト協会会員。著書に『医者に手抜きされて死なないための患者力』(講談社)ほか多数。
INDEX

1 女性ならではの医療の悩み

2 30年の取材で見てきた「乳がんと女性」

3 がんサバイバーとしての経験

4 女性が自分を守るために

女性ならではの医療の悩み

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I’m OK? 編集部:増田さんが特に女性医療に焦点を当ててお仕事をされてきたのは、どうしてですか?

増田さん:大学院を修了したあと、出版社で発達障害の子どもやその親、教育者向けの書籍や教材の編集を専門とした仕事をしていました。その後、年齢を重ねるに従って自分自身の体と心も含めた女性の健康に強い興味・関心を持つようになりました。今では、より多くの女性が長く働くようになり、社会の理解が進みつつあることから、女性特有の病気や不調、健康課題が注目され、制度もいろいろと見直されるようになりました。しかし、30年ほど前は、男性中心に作られた社会の中で、女性の体と心の健康は今よりずっと放置されていたように思います。女性ならではの健康の悩みを、女性にも男性にももっと知ってもらわないと社会が変わらないと痛感し、女性医療を専門に活動しています。

I’m OK? 編集部:日本の女性医療ならではの課題というのはどんなことがありますか?

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増田さん:昔に比べて、健康面で女性が働きやすくなるような制度は増えました。妊娠や不妊、出産に関する補助なども手厚くなっています。でも、例えば企業が従業員に行う定期健康診断の検査内容などを見てみると、女性に必要な健診項目が十分に盛り込まれているとは言えません。また日本では、更年期障害の治療のファーストチョイスであるホルモン補充療法(HRT)や、低用量ピルの使用率が欧米に比べてとても低いという事実があります。これは、日本人全体が健康やその対処法についての知識が少ない=ヘルスリテラシーが低い現状にあるからです。日本は諸外国と比較してヘルスリテラシーが低いという国際調査データもあります。これは日本の健康教育が非常に遅れていて、女性も男性も性差に基づく自分の体と心について学校教育を含めて学んだ経験がある人がほとんどいないからなのです。

30年の取材で見てきた「乳がんと女性」

I’m OK? 編集部:女性医療ジャーナリストとして、ご自身が乳がんになる前から、乳がんのことも扱ってきたということですよね。30年という時間の中で、乳がんの治療なども変わりましたか?

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増田さん:とても変わりました。がん治療は30年どころか、10年前と比較しても格段に進歩しています。特に乳がんは治療法が進歩し、生存率が90%以上と、亡くならないがんになりました。医療技術の進化でより早期発見できるようにもなっています。万が一、進行したがんで見つかっても治療法の選択肢が増えて、生存率も高くなっています。
乳がん当事者の悩みも、時代とともに変わりました。治るがんが増え、働きながら治療できる時代になったことで、治療と仕事の両立に関する悩みが増えています。抗がん剤の副作用による脱毛や肌や爪などの悩みがより一層深刻になり、外見のケア(アピアランスケア)の重要性がますます増加しています。

がんサバイバーとしての経験

I’m OK? 編集部:増田さんご自身の乳がん発覚の経緯や闘病についても聞かせてください。

増田さん:乳がんは40代になると罹患率が増えることから、40歳から2年に1度のマンモグラフィによる乳がん検診が推奨されています。私も40歳から乳がん検診を受け始め、43歳のときにマンモグラフィで乳がんが見つかりました。

I’m OK? 編集部:自覚症状などはなかったのですか?

増田さん:全くありませんでした。体調の変化もなければしこりもない。通常しこりとしてわかるのは2cmぐらいになった乳がんです。私の場合、見つかったのは、しこりになる前の悪性の石灰化(白いツブツブ)でした。マンモグラフィ(レントゲン)を通して見ないと目では見えないのが石灰化です。その石灰化の範囲はわずか5mm。ステージ0期の非浸潤がんという、超初期の乳がんでした。

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出典:公益財団法人 がん研究振興財団 がんの統計2022

I’m OK? 編集部:お仕事柄、乳がんに関する知識も豊富ですよね。実際ご自身が乳がんになって、どんなことを思いましたか?

増田さん:確かに早期発見なら多くの場合が治ることなどは知っていましたが、それでも「私、死ぬのかな」とか「胸がなくなるのかな」という不安は一番によぎりました。ショックも大きかったし、怖かったです。

I’m OK? 編集部:確かに、「がん」と聞くと、治療がとてもハードだという印象があります。

増田さん:そうですよね。抗がん剤で髪の毛が抜けたり、乳房を切除したりという印象が強いと思います。でも私の場合は、3泊4日の入院手術で、切除したのは3センチ×3センチの円柱形ぐらいです。乳輪に沿って切ったので、1年後に傷はなくなりましたし、乳房にへこみが残ることもなく、手術前の胸とほぼ変わらない状態。抗がん剤やホルモン剤も行わず、治療はその入院手術ですべて終了しました。早期発見だからこそ、体への負担は最小限で軽い治療で済みました。定期的な乳がん検診とブレスト・アウェアネスで多くの場合、早期で発見できるのが乳がんです。

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女性が自分を守るために

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I’m OK? 編集部:乳がんという病気を経験して、そして女性医療ジャーナリストという仕事を通して、今女性が自分の健康を守るために重要なことはどんなことだとお考えですか?

増田さん:時代の変化とともに、、科学や医療が進化し、遺伝子解析も進み、新たな検診法も確立し、予防が可能な病気が増えました。子宮頚がんはその良い例で、子宮頚がんのHPV検診とHPVワクチンを併用することで90%以上予防が可能になっています。また、新しいがん治療薬も続々と生まれ、再発しても選択できる薬剤が増えました。その一方で、新薬は高額になり、患者負担額も増加しています。
そして、今後ますます、知識こそが必要な備えとなるでしょう。乳がんは、最も多くの日本人女性が罹患し、ほかのがんに比べて比較的若い年齢でもなりやすいがんです。しかし早期発見できれば命も乳房も失わずに、がんになる前と変わらず、元気で自分らしい人生を送れるケースも多いです。そのためには、正しい知識をもって早期発見のための精度の高い乳がん検診の方法を知ってほしいです。日本女性は欧米人に比べて、乳腺の密度が濃く(欧米人は脂肪性の乳房が多い)、「高濃度乳房(デンスブレスト)」といってマンモグラフィでは、しこりがあっても見えないタイプの乳房の人がいます。しこりがあったとしても「異常なし」と結果が返って来てしまうのです。マンモグラフィを受けたら、自分が高濃度乳房か、脂肪性の乳房かを聞いてみてください。もし、高濃度乳房ならマンモグラフィに乳房超音波検査を組み合わせることをお勧めします。

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がんに限らず、人間ですから誰もが病気になる可能性はあります。できる予防はしっかりしてほしいです。がんでいえば、国が推奨する5大がん検診(胃がん、肺がん、大腸がん、子宮頚がん、乳がん)はとてもエビデンスレベルの高い検診です。せめて、この5つの検診だけは受けましょう。ほかのがんは、早期発見ができないものがほとんどです。医療情報でいえば、日頃から信頼できるエビデンスの高い情報を参考にすることを心がけましょう。例えば、がんなら国立がん研究センターの「がん情報サービス」がおすすめです。がん検診についても詳しく紹介されています。ヘルスリラテシーを高めておくことが自分の体を守ることにつながると思います。

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