妊娠初期に出血や腹痛のような生理症状があるのはなぜ?妊娠初期症状と生理症状の違いを解説
PROFILE
1 妊娠初期の着床出血と生理の違い
2 妊娠初期の症状と生理前の症状の違い
3 妊娠したかも?と思ったらやっておきたいこと
妊娠初期の着床出血と生理の違い
妊娠初期に経験する出血は、着床出血と呼ばれています。生理予定日付近で出血するため、生理と勘違いする女性も少なくありません。妊娠に早く気づくためには、着床出血と生理の違いを把握しておくことも大切です。
着床出血とは
まずは、妊娠に伴う出血の着床出血について説明します。受精卵が子宮内膜に入り込む際に、子宮内膜の血管を傷つけてしまうことがあり、このときに起こる出血が着床出血です。
着床出血は、生理予定日とほぼ同じ時期に起こるケースがほとんどで、生理が来たと勘違いする女性も少なくありません。ただし、すべての妊娠した女性が必ず着床出血を経験するとは限りません。
着床出血が起こる割合は、約4人に1人です。生理予定日とほぼ同じ時期に出血がなくても、妊娠している可能性があります。着床出血と生理では、色や出血量、出血が続く期間、腹痛の程度・感じ方等に違いがあります。
色の違い
着床出血と生理の違いの一つは、血液の色です。着床出血の場合、血液の色に個人差はあるものの、ピンク色や茶色のケースが多い傾向にあります。色が薄い理由は、そもそも出血量が少ないことが関係しています。
また、着床出血の色は、出血の時期によって変動するのが一般的です。新しい時期の出血はピンク色、古い時期の出血は茶色になります。一方、生理の経血は赤から褐色のケースがほとんどです。
生理の場合、ときに血の塊が出ることもあります。血の塊は、子宮内膜の組織です。通常、子宮内膜の組織は酵素の働きによって溶かされ、サラサラになった状態で排出されます。ただし、一時的に混ざる程度であれば心配する必要はありません。
出血量や出血が続く期間
次に、着床出血と生理の出血量や出血が続く期間の違いを見ていきましょう。
着床出血の出血量は少量です。おりものの量に近く、下着が汚れる程度なので、パンティライナーで十分です。出血が続く期間は比較的短く、1~2日程度で、長くても3~4日程度で止まります。
一方の生理の出血量は、個人差があるものの、1回当たり20~140ml程度だといわれています。出血が続く期間にも個人差がありますが、3~7日程度が一般的です。ただし、生理の出血量や出血が続く期間は、毎回同じだとは限りません。ホルモンバランスの変化の影響を受けやすいため、多少変動することがあります。
※参考:大宮駅前婦人科クリニック
腹痛の違い
着床出血と生理はどちらも腹痛を伴うことがありますが、その程度や感じ方に違いがあります。
着床出血の場合、比較的痛みが軽く、生理痛ほど強くない傾向にあります。痛みの特徴は、「チクチク」と感じることです。これは、受精卵が子宮に着床する際に、子宮内膜が少し傷つくことが原因です。
一方の生理の場合、個人差はありますが、痛みの程度が強い傾向にあります。痛みの特徴は、鈍痛や「ズキズキ」と感じることです。これは子宮内膜が剥がれ落ちる際に、プロスタグランジンと呼ばれるホルモンが分泌されることで、子宮が収縮するためです。着床出血の腹痛は、生理に比べて痛みが軽く、鈍痛やズキズキ感はほとんどありません。
妊娠初期の症状と生理前の症状の違い
妊娠初期と生理前の症状は似ているものも多く、自分で判断するのは難しいものです。しかし、いくつかのポイントを押さえておくことで、どちらかを判断しやすくなります。
妊娠初期の症状
まずは、妊娠初期に現れる症状を見ていきましょう。妊娠初期にはおりものの変化や強い眠気等、次のような症状が現れます。
● 腹痛や下腹部痛
● 腰痛
● 乳房の張り
● めまい
● 立ちくらみ
● 食欲の変化
このように、妊娠初期にはさまざまな身体的・精神的症状が現れます。妊娠初期の症状は生理前の症状に似ており、確定的な症状もないため、間違いやすいのが実情です。また、上記のような症状は、妊娠したすべての女性に現れるとは限りません。
妊娠初期の症状は個人差があるため、どのような症状がどのように現れるかを把握しておくことも大切です。なお、妊娠初期に現れやすい症状の詳細は、こちらの記事で解説しているのでぜひチェックしてみてください。
妊娠初期症状にはどんなものがある?生理前との違いもチェック
生理前の症状
次に、生理前に現れる症状を見ていきましょう。生理前には腹痛やイライラ等、次のような症状が現れます。
生理前に現れる身体的・精神的症状は、月経前症候群(PMS)と呼ばれています。月経前症候群の症状は妊娠初期の症状と似ており、毎回同じ症状が同じ程度で現れるとは限りません。
月経前症候群の症状が強く現れると、「妊娠しているのでは」と疑うこともあるでしょう。しかし、妊娠しておらず、心身に現れた諸症状が月経前症候群だった場合、間もなく生理が始まります。
妊娠初期症状と生理前の症状の違い
ここまでで解説したとおり、妊娠初期の症状と生理前の症状は非常に似通っている部分が多く、自分で判断するのは容易ではありません。
それを判別しやすい材料となるのは、基礎体温です。基礎体温とは、生命を維持するために必要な最低限のエネルギーしか使っていない状態における体温のことです。女性の場合、ホルモンバランスの分泌量によって基礎体温が変動します。
基礎体温は、低温期と高温期に分かれるのが一般的です。生理が始まってから排卵までの期間は低温期になり、排卵後から次の生理が始まるまでの期間は高温期となります。生理予定日以降も高温期が続いている場合、妊娠している可能性があります。
妊娠初期と生理前の症状の見極めに迷ったら
妊娠初期と生理前の症状は似通っているものの、基礎体温を測る習慣があれば、見極められる可能性があります。ただし、基礎体温はホルモンバランスや生活習慣等の影響を受けやすく、必ず正確だとは限りません。
妊娠初期なのか生理前なのかの見極めに迷った場合は、自分で判断せず、医師に相談することをおすすめします。医師はさまざまな症状から総合的に判断し、妊娠の有無を正確に診断することが可能です。
妊娠が確定した場合、今後の生活や健康管理についての適切なアドバイスを受けられます。妊娠に関する不安や疑問を医師に相談することで、精神的な不安の軽減にもつながるでしょう。
妊娠したかも?と思ったらやっておきたいこと
妊娠初期は、母体の過ごし方が胎児の発育に大きく影響します。母胎と胎児の健康を守るためには、早い段階で妊娠に気づき、適切なケアをすることが大切です。自分に現れる症状によって妊娠の可能性が疑われる場合は、医療機関を受診する前にやっておいたほうが良いことがあります。
妊娠検査薬を使用する
妊娠が疑われるときには、妊娠検査薬で検査してみましょう。妊娠検査薬は、尿中に含まれるhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)の濃度で妊娠の有無を判定する検査薬です。受精卵の着床後は、着床状態を維持するためにhCGの分泌量が増加します。
hCGは生理予定日を過ぎた頃から急激に増加し、妊娠検査薬で判定できるようになります。ただし、検査のタイミングが早すぎると、hCGの分泌量が少なく、誤判定につながりやすいので注意が必要です。妊娠検査薬は、生理予定日から1週間後を目安に使用しましょう。
出血時の状態をチェックしておく
妊娠のサインは、着床出血という形で現れることがあります。出血が見られる場合、その状態をチェックしておくことが大切です。出血の状態は、今後の妊娠経過に大きく関わってくるためです。
チェックすべき出血の内容は、次のとおりです。
● 色
● 量
● 期間 等
着床出血の場合、生理よりも色が薄く、少量で、出血期間が短い傾向にあります。出血が見られたときには、いつどのような症状があったかをメモしておきましょう。そうすることで、医療機関を受診する際に医師に正確に情報を伝えられます。
なお、出血量が多い場合や激しい腹痛を伴う場合は、緊急性が高い可能性があります。出血の状態が異常だと思ったときには、我慢せずに迷わず医療機関を受診するようにしましょう。