妊娠初期にもおすすめの運動は?メリットや注意点を知り安全に取り組もう
PROFILE
1 妊娠初期も運動自体は可能
2 妊娠初期の運動の5つのメリット
3 妊娠初期におすすめの運動2種
4 妊娠初期に運動する際の5つの注意点
5 妊娠初期でも可能な運動で心身の健康を保とう
妊娠初期も運動自体は可能
妊娠初期は激しい運動は避けたほうが良いといわれています。とはいえ運動が絶対にNGというわけではありません。
ただし妊娠中の運動は運動の強度に気を付け、体調を考慮しながら行う必要があります。
妊娠初期の運動の5つのメリット
妊娠初期の運動は次の5つのメリットがあります。
● 体力や筋力を維持できる
● ストレス発散になる
● 血行が良くなる
● 体重が増えすぎるのを防ぐ
● 便秘の予防になる
まずはメリットを詳しく見ていきましょう。
体力や筋力を維持できる
適度な運動は、出産に向けて体力や筋力を維持できるメリットがあります。出産は長時間にわたることが多く、大きな体力を使います。体力は出産を乗り越えるエネルギーとなるので、維持しておいて損はありません。
また、筋力の維持は出産前後の尿漏れ予防に効果的です。おなかの中の赤ちゃんが大きくなってくると骨盤底筋に負荷がかかり、膀胱等を圧迫します。しかし鍛えておくことで骨盤底筋の強度が上がり、尿漏れ等を防いでくれます。
また、産後もお母さんは育児で奔走することになるので、体力・筋力を維持しておいたほうが疲れにくくなります。
ストレス発散になる
妊娠初期の運動は身体的・精神的なストレス発散にも役立ちます。
人は動かなすぎると体のこわばり等、身体的なストレスを抱えてしまいます。しかし運動を行うことで体がほぐれ、身体的ストレスが解消しやすいです。
また、運動は精神的ストレスにも効果があります。運動を行うと分泌されるセロトニンやエンドルフィンは心を安定させる効果があるため、精神的ストレスの軽減が期待できます。好きなことをしてもイライラや不安な気持ちが晴れない場合は、特に体を動かしてみるのがおすすめです。
血行が良くなる
妊娠初期は体を気遣うあまり、活動量が減って血行不良になることが多いです。さらに進行すると、血行不良からむくみや冷え、腰痛等につながることもあります。
しかし運動を行えば血行が良くなり、血行不良から起きていた体調不良も改善が可能です。妊娠初期から血行を良くしておけば、これから先の血行不良も予防ができます。
体重が増えすぎるのを防ぐ
妊娠初期の運動はお母さんの体重が増えすぎるのも防いでくれます。
赤ちゃんの分まで栄養を取らないといけないといえど、極端に体重が増えすぎると高血圧や糖尿病になる恐れがあります。胎盤が赤ちゃんへ栄養を送れなくなることもあるので太りすぎは危険です。
運動を行っておけば適度なエネルギー消費ができるので、極端な体重増加を予防することができます。
ただ妊娠初期はつわり等で思うように食べられるとは限らないので、体重管理に神経質になりすぎないでください。あくまでも無理のない範囲で体重管理をしていきましょう。
便秘の予防になる
適度な運動はお母さんの便秘予防にも良いといわれています。
実は妊娠初期以降は、運動量が減って腸の動きが悪くなったり、プロゲステロンというホルモンの影響で便秘になりやすくなります。プロゲステロンは体の中に水分を溜める性質があるため、便を固くしてしまうのです。
また、つわり等によって水分が取りにくくなってしまうこともあるため、体内の水分がさらに枯渇して便秘になることもあります。しかし運動をしておくことで腸を刺激してくれるので、少しでも腸の動きや排便を助けることができます。
妊娠初期におすすめの運動2種
適度な運動は体や精神に良い影響をもたらしてくれます。しかし妊娠初期はつわり等の影響もあるため、選ぶ運動は無理せずにできる軽いものが適しています。
そこで、ここからは妊娠初期におすすめな運動を2種類ご紹介します。
ウォーキング
ウォーキングはすぐに始められるおすすめの運動です。体への負担が少ないため、妊娠初期の方でも無理せずに行えます。種類としては有酸素運動なので、体脂肪の燃焼にも効果的です。また、歩くことで気分をリフレッシュする効果も期待できます。
例えば仕事帰りや空き時間等に、散歩感覚で出歩くだけでもウォーキングになります。まずは短時間から始めて、体調の様子を見ながら続けていきましょう。
運動量の目安 | |
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運動の頻度 | 週に1~3回(体調を考慮しながら増やす) |
ウォーキング時間 | 1回20~30分 |
ストレッチ
ストレッチも妊娠初期の方に向いている運動です。
ストレッチは固まってしまった筋肉のこわばりをほぐし、血行を良くする効果があります。特に肩周りのこりや脚のむくみ等も解消しやすくなるのでおすすめです。
また、ウォーキングよりも体力を必要としないので、外に出る元気がない妊娠初期の方でも無理なく取り入れられます。
運動量の目安 | |
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運動の頻度 | 毎日がおすすめ(入浴後や寝る前等が良い) |
ストレッチ時間 | 10~15分 |
ストレッチ例 | 【肩のストレッチ】 両肘を曲げて握った拳を胸の前に置き、ゆっくり息を吐きながら肘を後ろに引いて肩甲骨を寄せる。肩甲骨を寄せたまま肘を下げて力を抜く。(4~5回繰り返す) 【首のストレッチ】 頭頂部を片手で横から押さえ、頭を掴んでいる手のほうに手の重みでゆっくりと倒していく。少しキープしたらゆっくり首を戻し、反対も同様に行う。 【足首のストレッチ】 座りながら片足をもう片方の膝の上に置き、置いた足の指に手の指を差し込んで握る。ゆっくりと時計回りに足首を回し、回し終えたら逆回しに動かす。反対の足も同様に行う。 |
妊娠初期に運動する際の5つの注意点
妊娠初期の運動はお母さんの健康維持のためにとても良いことです。ただ運動する際はお母さんや赤ちゃんのために、注意しておきたいポイントが数点あります。
注意点をまとめたので、まずは運動を始める前に確認しておきましょう。
体調変化に気を付ける
妊娠初期に運動をする際は、特に体調の変化に注意が必要です。
妊娠初期はホルモンの影響で体調不良になりやすいため、大した運動をしていないのに体調に変化が起きることもあります。運動中に急激な息切れや気分の悪さ等を感じたら、一旦休んで様子を見るようにしてください。
また、運動前にすでに体調不良がある日は、無理に体を動かすべきではありません。無理をして具合が悪くなってしまったら元も子もないため、体調優先で考えてください。
他にも、次のような症状が見られる場合は運動を控えましょう。
● おなかの張り・・・何らかの理由で子宮が収縮している
● 性器出血・・・流産の危険の可能性がある
上記に加え、すでに切迫流産、前置胎盤等医師から運動を止められている場合は絶対安静が必要です。必ず指示に従うようにしましょう。
水分をこまめに摂取する
運動を行うときは水分をこまめに摂取することも忘れないようにしてください。
妊娠初期はホルモンやつわりの影響で水分不足になりがちなため、運動によって脱水症状になる可能性があります。脱水症状になってしまうと、吐き気や頭痛等、さまざまな体調不良も引き起こす恐れがあるので注意が必要です。
そのため、大して汗をかかないと思っても、必ず手の届く所に水分を用意してから運動を行うようにしてください。
なお、水分摂取の目安としては、運動30分前に200~500ミリリットル、運動中は15~20分ごとに100~200ミリリットル飲むのがおすすめです。感覚としては、喉が渇いたと感じる前に飲み物を飲むのがコツです。
強度の高い運動をしない
妊娠初期に強度の高い運動をするのは、お母さんや赤ちゃんの負担になってしまうので避けるようにしてください。強度の高い運動は、次のものが挙げられます。
● 高負荷の筋力トレーニング(重量がある重りを使用するもの)
● 接触の可能性が高いバスケットボール・サッカー等
● ジャンプする運動
上記以外にも、他の人とぶつかる可能性が高い運動についても危険なので避けてください。
運動習慣がない人が急に始めない
もし妊娠以前から運動の習慣がなかった人は、無理に運動を始めないようにしてください。もともと運動をしていない人が急に運動を始めると、体への負担が大きい場合があります。体調が不安定な妊娠初期では、特に負担が増えすぎるとよくありません。
なお、運動をしていなかった人は、妊娠中期以降に運動を始めるのがおすすめです。体調も落ち着いてくるので、様子を見ながらウオーキング等軽い運動から始めてみてください。
服装を考慮する
妊娠初期は体調を崩しやすいため、運動する際の服装にも気を付け、体温管理をしておきましょう。妊娠中は極端に汗をかいて脱水になるのを避けたほうが良いので、汗をかくための厚い服等はおすすめできません。
運動をする際は汗を吸湿して発散してくれる動きやすい服がおすすめです。汗が乾かない服だと体の冷えにつながるので避けるようにしましょう。
また、ウオーキング等の出歩く運動では、転倒防止のために滑りにくく歩きやすい靴を選んでください。安全が第一です。
妊娠初期でも可能な運動で心身の健康を保とう
妊娠初期の適度な運動は溜まりがちなストレスを解消しつつ、血行不良の改善や体力維持もできたりと、お母さんの心にも体にも良い効果が期待できます。運動不足による太り過ぎや便秘の予防にもなるため、体が動かせそうな時は運動を日常に取り入れていくのをおすすめします。
ただし妊娠初期は体調がうつろいやすく、慎重に動かないといけない時期でもあるので無理のない軽い運動を中心としてください。ご紹介したウオーキングやストレッチのような負荷が少ないものがおすすめです。
適度な運動で心と体の健康を保っていきましょう。