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妊娠と出産

妊娠時の出血はいつまで続く?時期別の起こりうる出血を解説

公開日:2024.06.21
更新日:2024.06.21
妊娠時の出血はいつまで続く?時期別の起こりうる出血を解説
妊娠を希望している人の多くは、ささいな体の変化に敏感になりがちです。生理を迎える頃に出血があり、本当に妊娠しているのか気になる人もいるのではないでしょうか。妊娠の自覚症状は、高温期の継続や腹部の違和感等さまざまです。 人によっては、少量の出血で妊娠に気づくこともあります。一方で妊娠初期の出血の場合、生理と勘違いする人も少なくありません。妊娠中は、中期以降にも出血することがあります。 妊娠中の出血の中には、母体や胎児に危険が伴うものもあるので注意が必要です。そこで本記事では、妊娠時に起こりうる出血を初期・中期以降・後期以降の時期別に解説します。

PROFILE

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専門家/エキスパート 阿部 一也
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業/現在は板橋中央総合病院勤務/専門は産婦人科
INDEX

1 妊娠初期に起こる着床出血と生理の違い

2 妊娠初期に起こりうるその他の出血

3 妊娠中期以降に起こりうるその他の出血

4 妊娠後期以降に起こりうるその他の出血

5 妊娠時の出血に関する受診の目安

6 少量の出血でも不安があれば連絡を

妊娠初期に起こる着床出血と生理の違い

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妊娠しなかったときには、不要な子宮内膜が剥がれ落ち、血液と共に生理として排出されます。女性の中には、生理が来ないことで妊娠に気づく人も少なくありません。しかし、妊娠していても、生理と同時期に着床出血という形で少量の出血が起こることがあります。

着床出血が起こる理由

受精卵が着床する際には、絨毛が子宮内膜の血管を傷つけてしまうことがあります。このときに、少量の出血を伴うことがあります。これが着床出血です。着床出血は、危険性のある出血ではありません。

妊娠初期に起こる出血のうち、多くが着床出血です。しかし、全ての妊婦が経験するとは限らない症状です。着床出血は、妊婦の4人に1人程度の割合で起こるといわれています。

そのため、着床出血がなくても、「妊娠しなかった」と落胆する必要はありません。生理が来ず、妊娠が疑われる場合は、市販の妊娠検査薬を試して確認してみると良いでしょう。
※参考:DNA先端医療株式会社

生理と着床出血は色や期間が異なる

着床出血と生理は、同じようなタイミングで起こります。そのため、少量の出血があることで、着床出血あるいは生理のいずれかと勘違いする人も少なくありません。どちらかを見分けるためには、色や期間が参考になります。

着床出血の場合、個人差はありますが一般的には赤色や茶色等の血液よりもピンクや薄い茶色、淡い赤色が特徴といわれています。出血量は生理よりも少量で、1~2日程度でおさまる傾向にあります。

一方で、生理の色は赤や暗赤のような濃い色が特徴です。出血量は多く、レバー状になった血の塊が出ることも珍しくありません。期間は3~7日程度で、着床出血に比べて長いのが一般的です。

妊娠初期に起こりうるその他の出血

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妊娠初期には、着床出血以外の出血が起きることがあります。着床出血以外に起こりうる出血は、次のとおりです。

● 子宮外妊娠(異所性妊娠)
● 絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)
● 早期流産
● 胞状奇胎
● 切迫流産

上記が原因の出血は、母体や胎児に危険が伴うので注意が必要です。それでは、妊娠初期に起こりうる着床出血以外の出血を詳しく見ていきましょう。

子宮外妊娠(異所性妊娠)

子宮外妊娠とは、子宮内膜以外の場所に受精卵が着床した妊娠のことです。本来とは異なる場所に着床するため、異所性妊娠と呼ばれることもあります。子宮外妊娠が起こりやすい場所は、次のとおりです。

● 卵管
● 卵巣
● 腹膜
● 頸管 等

上記のうち、最も多い子宮外妊娠の場所は卵管です。卵管妊娠は、子宮外妊娠の約95%を占めるともいわれています。子宮外妊娠では、通常の妊娠と同様の症状が現れることも珍しくありません。

着床出血のように、少量の不正出血を伴うこともあります。しかし、子宮外妊娠を放置すると、卵管や卵巣が破裂し、大量出血が起きるリスクが高まります。大量出血の結果、出血性ショックで死亡に至るケースもあるため、早期発見・治療が必要です。基本的には、月経開始予定から1週間前後にあたる妊娠5週目あたりに妊娠判定のための受診をしていれば、子宮外妊娠の可能性は同時に病院で検査するものです。まずは生理が遅れたらしっかり受診することが重要になります。

絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)

妊娠初期の出血は、絨毛膜下血腫の可能性もあります。絨毛膜下血腫とは、胎嚢の周囲に血腫ができた状態のことです。胎盤は、母体側から見て脱落膜・絨毛膜・羊膜の3層で構成されています。

脱落膜と絨毛膜の間で出血が起きると、血の塊ができて絨毛膜下血腫になります。多くの血液は自然に吸収されるため、血腫ができても必ず絨毛膜下血腫と診断されるわけではありません。

しかし、血腫が大きくなると子宮内圧が上がり、子宮収縮によって血液が押し出され、出血するようになります。現時点では、絨毛膜下血腫の原因は明らかになっていません。絨毛膜下血腫は、すべての妊娠の約0.5~22%で起きるといわれています。
※参考:佐野産婦人科

早期流産

妊娠しても、必ず出産に至るとは限りません。妊娠確認後の約15%は、流産が起こるといわれているのが現状です。妊娠12週未満までの初期に起こるものは早期流産と呼ばれており、流産全体の約80%を占めるといわれています。

妊娠初期に流産に至ると、出血をはじめとする諸症状が見られます。出血の色は、鮮紅色または暗赤色が特徴です。子宮が収縮するため、出血の他に腹部の痛みを伴うこともあります。

早期流産の原因の半数は、染色体異常です。染色体異常の場合は、母体に原因があるわけではないため、防ぎようがありません。そのため、万が一早期流産に至っても、自身を責める必要はありません。
※参考:NPO法人SIDS家族の会

胞状奇胎

妊娠初期には、胞状奇胎が原因で出血が起きることがあります。胞状奇胎とは異常妊娠の一つで、子宮内で正常に受精できなかった受精卵が増殖した状態のことです。全妊娠のうち、500分の1の頻度で起きるといわれています。

胞状奇胎の原因は精子と卵子の受精異常だと考えられていますが、明らかになっていないのが現状です。胞状奇胎に至った場合、出血や腹痛、吐き気等の症状が見られることがあります。

超音波検査で子宮内に特徴的な像があれば、妊娠2~3カ月の時期に診断可能です。超音波での診断が難しいときには、血液検査を実施し、hCGと呼ばれる妊娠性ホルモンの値を参考にすることもあります。
※参考:名古屋大学医学部産婦人科

切迫流産

切迫流産とは、妊娠22週未満で流産の危険性がある状態のことです。流産と診断された場合、妊娠の継続は難しいのが現状です。一方の切迫流産は流産と異なり、妊娠を継続できる可能性があります。

切迫流産の主な自覚症状は、出血と腹痛です。約20%の確率で、妊娠初期に少量の出血が見られることもあります。切迫流産と診断された場合は、母体を安静にすることが大前提です。

現時点では、妊娠12週までの切迫流産に対する有効な薬剤はありません。また、切迫流産は妊娠中期以降でも起こる可能性があります。妊娠中期以降では、腹痛が顕著に出やすいといわれています。
※参考:日本産科婦人科学会

妊娠中期以降に起こりうるその他の出血

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流産は、全体の約80%が妊娠12週までの初期に起こるといわれています。しかし、妊娠初期を超えても決して安心できるわけではありません。妊娠中期以降でも、次のような原因で出血が起こることがあります。

びらんやポリープ
常位胎盤早期剥離
細菌性腟炎
子宮頸管無力症

それでは、妊娠中期以降に起こりうる出血とその原因を詳しく見ていきましょう。

びらんやポリープ

妊娠中期以降は、子宮腟部びらんや子宮頸管ポリープが原因で出血することがあります。子宮腟部びらんとは、子宮頸部の内側を覆う子宮頸管粘膜が広がり、ただれた状態のことです。

びらん状の部分は薄い皮膚で覆われているだけなので、ささいな刺激で炎症や出血が起きやすくなっています。妊娠中期以降に子宮腟部びらんになると、少量の出血を伴うことがあります。

子宮頸管ポリープとは子宮頸部の組織が増殖し、キノコ状の良性腫瘍が形成された状態のことです。痛みを感じないにもかかわらず、出血しやすい状態なので、性交時や運動後に出血することがあります。これらの疾患は、妊娠後期以降でも起こる可能性があります。

常位胎盤早期剥離

常位胎盤早期剥離とは、通常よりも早い段階で胎盤が子宮壁から剥がれてしまう状態のことです。妊娠20週以降になると、常位胎盤早期剥離が起こるリスクが高まります。常位胎盤早期剥離が起きると、胎児の成長の遅れや死亡に至ることもあります。


常位胎盤早期剥離の主な症状は、出血や腹痛等です。痛みが強く出血量が多い場合、母体がショック状態を引き起こす可能性があります。常位胎盤早期剥離が起きる確率は、出産1,000件に対して6件程度です。

常位胎盤早期剥離も、妊娠後期以降でも起こることがあります。妊娠が満期のときに起こり、母子共に危険な状態だと判断されたときには、早期分娩が選択されることも珍しくありません。
※参考:参加医療保障制度

細菌性腟炎

腟内の衛生状態が悪いと細菌性腟炎となり、妊娠中期や後期以降に出血が起きる可能性があります。細菌性腟炎とは、腟内で常在菌が繁殖することで起こる疾患です。腟内には、ガードネラ菌や大腸菌、腸球菌等の常在菌が存在しています。

常在菌は異常に増殖し、細菌性腟炎を引き起こすと、おりものの量が増える傾向にあります。腟内が炎症を起こし、出血しやすい状態となっているため、不正出血という形で症状が現れることもあります。


妊娠中は免疫力の低下に伴い、ささいなことで腟内の常在菌が増殖しやすいため、良好な衛生状態を維持することが大切です。また、細菌性腟炎は切迫早産のリスクが高まるため、おりものや出血等の異常に気づいたときには早めに受診するようにしましょう。

子宮頸管無力症

子宮頸管無力症とは出産時に胎児の出口となる子宮頸管が緩み、開いている状態のことです。現時点で原因は解明されていませんが、何らかの感染や体質が関係していると考えられています。


子宮頸管無力症になると、出血や腹痛、腹部の張り等の症状が現れます。しかし、自覚症状が乏しいケースも多いのが現状です。子宮口が開いていることに気づかないと、流産や早産に至るリスクもあります。

妊娠12週以降の場合は子宮頸管縫縮術を実施し、子宮頸管を縛り、流産や早産を予防することも可能です。なお、子宮頸管無力症も、妊娠後期以降でも起こる可能性があります。

妊娠後期以降に起こりうるその他の出血

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妊娠初期や中期以降の出血の中には、母体や胎児への危険が伴うものも少なくありません。また、無事に妊娠後期を迎えても、細菌性腟炎や子宮頸管無力症等が起きる可能性もあります。一方で妊娠後期以降の出血の中には、出産に近いことを知らせてくれるものもあります。

おしるし

出産が近づくと、おしるしと呼ばれる出血が起こることがあります。出産間近になると子宮頸部が徐々に開き、子宮壁に張り付いている卵膜が子宮壁と共に剥がれます。このような出産の準備段階で起こる出血をおしるしといいます。

おしるしは、出産前に必ずあるとは限りません。おしるしを伴わず、陣痛が始まることもあります。また、おしるしがあっても、陣痛が始まるまでに数日かかることもあります。

おしるしの出血量は、少量程度です。色は茶色や茶褐色、ピンク色等さまざまです。腟内の粘液と混ざって出血するため、少し粘り気があります。妊娠9カ月以降に少量の出血があれば、出産が近いと判断できるでしょう。

妊娠時の出血に関する受診の目安

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妊娠時には、心配不要の出血とリスクがある出血があります。後者の場合、万が一に備えて早めに産婦人科を受診したほうが良いでしょう。ここからは妊娠時の出血に関する受診の目安を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

妊娠中の出血は量や色、頻度等を確認することが大切

受診の目安は、次の点を総合的に見て判断すると良いでしょう。

● 出血量
● 出血の色
● 出血頻度
● 出血以外の症状の有無 等

トイレットペーパーやおりものシートにつく程度の少量の出血でも色が気になる、頻度が多い等、不安がある場合はかかりつけ医に連絡し、指示を仰ぎましょう。

鮮血で出血量が多い、生理痛に似た強い腹痛等の症状がある場合は、すぐにかかりつけ医を受診する必要があります。生理2日目以上の出血、3日以上持続する出血の場合も受診してください。妊娠中のストレスは、胎児に影響を与える可能性もあり、出血がストレスになりかねないため、判断に迷った場合はかかりつけ医に連絡し、不安を解消するようにしましょう。

少量の出血でも不安があれば連絡を

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妊娠中には、着床出血やおしるし等の心配が不要な出血もあります。その一方で、早期流産や前置胎盤等のリスクの高い出血もあります。妊娠中に出血があった場合は、量や色、頻度等を確認し、受診するかを判断しましょう。

母体や胎児へのリスクが高い出血の場合、放置することで最悪の事態を招くことにもなりかねません。自己判断が難しいときには、迷わずかかりつけ医に相談し、対処することが大切です。

特に初めての妊娠の場合、出血以外にもさまざまな不安がつきものです。妊娠に関する不安があるときには、かかりつけ医の他、自治体の窓口でも相談できます。妊娠中のストレスは母体や胎児にも影響する可能性があるため、出産までにできるだけ不安を解消しておきましょう。

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