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妊娠と出産

妊娠中期はなぜ安定期?母体と胎児の変化や注意点を解説

公開日:2024.07.02
更新日:2024.07.02
妊娠中期はなぜ安定期?母体と胎児の変化や注意点を解説
妊娠時期には、大きくわけて初期・中期・後期の3種類があります。妊娠生活を快適に過ごし、無事に出産を迎えるためには、母体と胎児にどのような変化が起きるかを把握しておくことも大切です。 これから妊娠中期を迎える女性の中には、母体と胎児がどのように変化していくのか不安な人も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、妊娠中期における母体と胎児の状態について解説します。 おなかが大きく膨らむ妊娠後期を迎える前に、押さえておきたいポイントがいくつかあります。妊娠中期にやっておいたほうが良いことや注意すべきことも併せて解説するので、妊娠後期までに備えておきましょう。

PROFILE

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専門家/エキスパート 阿部 一也
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業/現在は板橋中央総合病院勤務/専門は産婦人科
INDEX

1 妊娠中期とは妊娠14週~27週のこと

2 妊娠中期の母体と胎児

3 妊娠中期の体調の変化

4 妊娠中期にやっておいたほうが良いこと

5 妊娠中期に注意すべきこと

6 妊娠中期の特徴を把握して快適に過ごそう

妊娠中期とは妊娠14週~27週のこと

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妊娠時期は、最終月経の開始日を基準に初期・中期・後期の3種類に分類されています。初期は最終月経の開始日から数えて0~13週まで、後期は28週以降を指します。中期は、初期と後期のちょうど中間にあたる14~27週までです。

妊娠中には、安定期と呼ばれる時期があります。安定期の明確な定義はありませんが、妊娠中期を迎えた16週頃を指すケースがほとんどです。妊娠中期が安定期とされる理由は、いくつかあります。

妊娠初期は胎児の染色体異常が原因で、流産リスクが高い傾向にあります。全ての流産・死産のうち、9割近くが妊娠初期に起こっているのも現状です。また、妊娠初期にはつわりの症状が出やすく、重症化するケースも少なくありません。

妊娠中期に入るとつわりの症状が落ち着き、妊娠初期よりも過ごしやすくなる人も多い傾向にあります。また、妊娠中期には胎盤が完成し、流産リスクが低減することから、安定期と呼ばれているようです。

妊娠中期の母体と胎児

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妊娠中は、胎児の成長とともに母体にさまざまな変化が表れます。母体の変化は日々の生活や仕事に影響を及ぼすこともあるため、どのように変化するのかを把握しておくことが大切です。

子宮が大きくなり始める

妊娠中期に入ると子宮が大きくなり始めるため、妊娠初期に比べておなかの膨らみが目立つようになります。子宮の大きさの目安は、次のとおりです。

● 妊娠16~19週頃:25cm程度
● 妊娠20~23週頃:30cm程度
● 妊娠24~27週頃:38cm程度

妊娠中期の間に、子宮のサイズが十数cm程度大きくなります。妊娠16~19週頃の大きさは、オレンジ1個分くらいです。これが、妊娠20~23週頃になると30cm程度までに成長します。

妊娠後期を迎える頃になると子宮がさらに大きくなり、メロン1個分くらいのサイズになります。胎児の成長とともに母体の体型が変化するため、おなかを締め付けないよう、ゆとりのある服を着るようにしましょう。

また、子宮が大きくなることで母体の胃を圧迫するため、おなかの張りや胸のつかえ等の症状が表れることもあります。

つわりが終わる

妊娠初期には、つわりと呼ばれるさまざまな症状に悩まされる女性も少なくありません。つわりの主な症状は、次のとおりです。

● 吐き気
● 倦怠感
● 強い眠気
● においに敏感になる 等

つわりの症状や程度、期間には個人差があります。つわりが始まるのは、妊娠5週頃です。妊娠8~11週頃にピークを迎え、その後徐々に治まっていくのが一般的です。人によっては重症化し、入院治療を余儀なくされることもあります。

妊娠初期から出産までの期間、つわりの症状に悩まされる女性もいるようです。現時点で、つわりの原因は解明されていません。しかし、女性ホルモンの増加や栄養不足等が原因だと考えられています。

胎動を感じ始める

妊娠中期を迎える頃の胎児は、内臓の完成が近づき、爪や髪、産毛が生え始めます。子宮内の羊水の量も増え、胎児が活発に動くようになるため、母体が胎動を感じやすくなる時期です。

胎動を感じる場所は、妊娠時期によって異なります。妊娠中期の16~19週頃は、臍下付近の下腹部に胎動を感じます。妊娠20~30週頃になると、へそ付近の子宮底で胎動を感じるようになります。

胎動の感じ方には個人差がありますが、おなかを蹴られたり、おなかを押されたりするような感覚を覚える人もいるようです。妊娠24週以降は、胎動を感じる位置がさらに上がり、臍上まで移動します。

妊娠中期の体調の変化

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妊娠中は、胎児の成長とともに母体にさまざまな体調の変化が表れます。妊娠中期に表れやすい代表的な体調の変化は、次のとおりです。

● 便秘や痔になる
● 胃痛や胸焼けが起こる
● 貧血になりやすい
● 体重の増加
● おなかの張り
● 腰痛
● 肌トラブル
● 気分の不安定

それでは、妊娠中期に表れやすい体調の変化を詳しく見ていきましょう。

便秘や痔になる

時期にかかわらず、妊娠中は便秘や痔になりやすいといわれています。これは、妊娠によって女性ホルモンの動きが変化するためです。妊娠すると、プロゲステロンと呼ばれる女性ホルモンの分泌量が増えます。

プロゲステロンには、大腸の蠕動(ぜんどう)運動を抑制する働きがあります。さらに妊娠中期になると、子宮が大きくなることで腸が圧迫されるため、便秘になる可能性が高くなるというわけです。

また、妊娠中期は、胎児の成長にともなって子宮が増大する時期です。子宮が増大すると、直腸から肛門周囲の血管が圧迫されて血流が悪くなることで、うっ血を引き起こしやすくなります。これにより、妊娠中期は痔になりやすいといわれています。

胃痛や胸焼けが起こる

妊娠中期以降は子宮が増大することで、母体にさまざまな不調をもたらすことがあります。代表的な不調は、胃痛や胸焼けです。妊娠中にはプロゲステロンが多く分泌されることで、胃の消化機能が低下します。

さらに胎児の成長とともに子宮が増大し、胃が圧迫されることで胃の不調を引き起こしやすくなります。ただし胃の不調は、妊娠初期のつわりで見られる症状の一つです。妊娠中期以降にも同様の症状が続く場合は、逆流性食道炎を引き起こしている可能性があります。

逆流性食道炎とは、食べ物や胃酸が食道に逆流する疾患です。逆流性食道炎が疑われる場合は、小分けにして食事を取る、食後は横にならない等の対策が必要です。症状が出たときには水を飲み、胃酸を流すようにすると良いでしょう。

貧血になりやすい

女性には生理があり、鉄分をはじめとする血液成分の排出量が多いため、妊娠中以外でも貧血になりやすい傾向にあります。特に妊娠中は、貧血を引き起こしやすい状態なので注意が必要です。

妊娠すると、胎児の発育のために多くの鉄分を供給しなければならず、血液量が増加します。血液量と共に赤血球も増えますが、それ以上に血漿(けっしょう)と呼ばれる水分も多くなるため、全体の血液が薄くなります。

妊娠中の貧血は無症状のケースが多いものの、息切れや倦怠感等の症状が表れることも珍しくありません。妊娠中はヘム鉄や非ヘム鉄が多く含まれた食品を積極的に摂取し、貧血対策をしておきましょう。

体重の増加

妊娠中に体重が増加するのは、自然なことであるといえます。妊娠すると、胎児の成長にともなって胎盤が形成され、羊水や血液量も増えるためです。つわりが治まる妊娠中期以降は、体重が増加する人が多い傾向にあります。

しかし、体重が増え過ぎないようにするために注意が必要です。体重増加量の目安は、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所が次のように示しています。

妊娠前の体格

BMI

体重増加量の目安

低体重

18.5未満

12~15kg

普通体重

18.5以上25.0未満

10~13kg

1度の肥満

25.0以上30.0未満

7~10kg

2度以上の肥満

30.0以上

~5kg

※出典元:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「妊娠中の適切な体重増加量について」

妊娠中期以降の体重増加量が多い場合、妊娠高血圧症候群を引き起こすリスクがあるので注意が必要です。

おなかの張り

おなかの張りは、妊娠初期でも見られる症状です。妊娠中期以降は、妊娠初期に比べておなかが張りやすい傾向があります。おなかが張る原因は、胎児の成長とともに子宮が収縮・増大することです。

胎児が成長する際には、子宮が徐々に大きくなります。この時に反射的に収縮することがあり、おなかの張りにつながるのです。おなかの張りは一時的なもので、数分程度で治まるケースがほとんどといわれています。

ただし、無理に動くと症状が悪化する可能性があります。そのため、おなかの張りを感じた場合は、横になって安静にすることが大切です。痛みや出血等のおなかの張り以外の症状があるときには、胎児に影響が出るリスクがあるため、すぐにかかりつけ医に相談するようにしましょう。

腰痛

妊娠中は、時期にかかわらず腰痛が起きることがあります。腰痛の原因は、妊娠時期によって異なります。妊娠初期の腰痛は、ホルモンバランスの変化によって引き起こされるケースがほとんどです。

妊娠中期の腰痛は、胎児の成長とともに子宮が大きくなることが原因です。子宮が大きくなると、重心が前にかかりやすくなります。それにより、体のバランスをとるときに反り返った姿勢をしてしまうため、腰への負担が大きくなるのです。

なお、腰痛の痛みは、利き手や利き足側に強く表れることが多いようです。これは利き手や利き足は頻繁に使うため、より負担がかかりやすいことが原因といわれています。妊娠中期に腰痛がある場合は、できるだけ腰に負担をかける行動を控え、前かがみにならないようにしましょう。

肌トラブル

これまでは肌の調子が良かった場合でも、妊娠を機に肌トラブルを経験する女性も少なくありません。妊娠中は時期にかかわらず、肌トラブルが起きやすい状態です。その背景には、ホルモンバランスの変化が大きく関係しています。

妊娠すると新陳代謝が活発になり、エストロゲンやプロゲステロンと呼ばれる女性ホルモンの分泌量が増えます。特に妊娠中期はホルモンバランスが変化しやすく、ニキビや吹き出物ができやすい時期です。

肌が敏感になれば、普段使用している化粧品が肌荒れの原因になることもあります。また、プロゲステロンにはメラニンの生成を促す働きがあり、色素沈着しやすくなるため、日焼けにも注意しましょう。

気分の不安定

妊娠中は、時期にかかわらず情緒不安定に陥りやすい傾向にあります。妊娠初期は快適に過ごせていても、妊娠中期に入ると気分が不安定になることもあるでしょう。気分が不安定になる原因の一つは、ホルモンバランスの変化です。

妊娠すると、ホルモンバランスが急激に変化します。心身がホルモンバランスの急変についていけない場合、気分が不安定になることがあります。強いストレスや体力低下、睡眠不足等が原因となり、いわゆるマタニティブルーに陥る女性も少なくありません。

妊娠中期は、すべての時期をとおして比較的体調が安定しやすい時期です。体調が良いときには、ウォーキングをはじめとする軽い運動を取り入れ、ストレスを溜めないよう心がけましょう。

妊娠中期にやっておいたほうが良いこと

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ホルモンバランスの影響や胎児の成長等により、妊娠中期になると体調にさまざまな変化が表れます。無事に出産を迎えるためにも、妊娠中期の間にやっておいたほうが良いことをいくつか紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

妊婦歯科検診を受ける

妊娠中期には、歯科検診を受けておきましょう。妊娠中はホルモンバランスの変化により、口内に歯周病菌が繁殖しやすい環境になります。また、妊娠初期につわり症状できちんと歯磨きができていない場合、虫歯のリスクも高まります。

歯科検診を受ける際には、自治体の制度を利用するのも手段の一つです。多くの自治体では、妊婦歯科検診受診券を配布しています。費用は自治体によって異なりますが、無料のケースがほとんどです。

妊娠初期はつわりで気分が悪くなりやすく、きちんと歯科検診を受けられない可能性もあります。妊娠後期に入るとさらにおなかが大きくなり、診察台に仰向けになることが苦しく、難しい場合もあります。そのため、比較的体調が安定しやすい妊娠中期に歯科検診をうけておきましょう。

職場との相談・調整

近年は、出産後も働き続ける女性が増えています。今の仕事を続ける場合は、産休や育休が必要になるため、職場への相談が必要です。しかし妊娠後、職場に報告するタイミングに迷う女性も少なくありません。

妊娠中期は安定期に入るため、この時期に職場に相談する女性が多い傾向があります。職場に相談する際にはまず妊娠の事実を伝え、休職と退職のどちらの意向があるかをはっきりさせましょう。

妊娠の報告は、人事部と直属の上司にするのが一般的です。休職の場合は、産休や育休に入る時期や期間等を相談します。長時間労働や肉体労働の場合、体に負担がかかりやすいため、産休に入るまでの業務内容についても相談しておきましょう。

保育園や育児サービスを調べる

共働き世帯が増える一方で、保育園に入ることができず、仕事復帰の延期を余儀なくされる女性が多いのも現状です。早期の復職を希望する場合は、早い段階で保育園を見つけておく必要があります。

また、急用で子供の預け先が見つからない可能性もあるため、利用できる育児サービスを把握しておくことも大切です。地域の保育園や育児サービスの中には、事前に見学できるところもあります。

保育園や施設の見学は、比較的体調が安定している妊娠中期に済ませる人が多い傾向があります。出産時期によっては産後すぐに保育園の申込みが必要になるため、早めに準備しておくと安心です。

妊娠中期に注意すべきこと

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最後に、妊娠中期に注意すべきことを紹介します。特に注意したほうが良いとされていることは、次のとおりです。

● 栄養バランスに気を付ける
● ヒールの靴は避ける
● 体調が良ければ安静にしすぎない

それでは、各注意点を詳しく見ていきましょう。

栄養バランスに気を付ける

時期にかかわらず、妊娠中は貧血になりやすい傾向があります。特に妊娠中期は胎盤が完成し、胎児の発育のために多くの鉄分の供給が必要になるため、鉄欠乏性貧血になりがちです。鉄欠乏性貧血になると、息切れや倦怠感等の症状が表れることもあります。

妊娠中期の鉄欠乏性貧血を防ぐためには、栄養バランスの良い食事の摂取を心がけることが大切です。特に、肉の赤身やほうれん草等の鉄分が多く含まれた食品を取り入れましょう。

また、妊娠中期はつわり症状が落ち着き、食欲が戻る傾向にあります。食事を摂取し過ぎると、適正な体重増加量を超過するおそれがあります。体重が増え過ぎないよう、食事の摂取量も調整しましょう。

ヒールの靴は避ける

妊娠中は、ヒールのある靴は避けたほうが良いといわれています。理由はいくつかありますが、その一つがむくみを悪化させる可能性があるためです。
妊娠中はむくみやすい傾向にありますが、ヒールを履くと足首が動かず血流が悪くなり、さらにむくみやすくなります。また、ヒールを履くことで骨盤が前傾になり、体のバランスをとるために腰痛の原因となる反り腰になりがちです。

妊娠中期は胎児の成長とともにおなかが大きくなるため、体型が変化します。かかとの細いヒールは体の重心が崩れやすく、転倒のリスクが高くなります。このようなリスクを避けるためにも、妊娠中期にはヒールを避け、かかとがフラットな靴を選びましょう。

体調が良ければ安静にしすぎない

妊娠中はホルモンバランスの影響や胎児の成長等により、体調が不安定になりがちです。体調が悪いときには安静に過ごし、体をできるだけ動かさないようにしましょう。一方で、運動不足による悪影響もあるので注意が必要です。

運動不足は、むくみや便秘、体重増加を引き起こす可能性があります。体調が良く、医師から安静指示がない場合は、適度な運動を心がけることも大切です。医師から制限されていなければ、激しい運動でなければ体を動かすこと自体は問題ありません。

体を動かす習慣がない場合は、ウォーキングやヨガ等の軽い運動から始めるのも良いでしょう。踏み台昇降は、ウォーキングに近い有酸素運動の効果があるといわれています。スポーツジムの中には、妊婦向けのエクササイズコースを設けているところもあります。

妊娠中期の特徴を把握して快適に過ごそう

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妊娠時期は、最終月経の開始日を基準に初期と中期、後期の3つに区分されています。妊娠中期は、最終月経の開始日から14~27週までのことです。この時期になるとつわりの症状が落ち着き、体調が安定してくるようになります。

胎児の成長とともに子宮が大きくなり始め、体型の変化を感じるようになるでしょう。妊娠中期に入ると、妊娠初期にはなかった胎動を感じる人もいるようです。体調が安定しやすい時期ではあるものの、貧血や体重増加等の症状が出ることもあります。

妊娠後期に入るとおなかがふくらんで動きにくくなるため、妊娠中期の間に歯科検診や職場への報告を済ませておく必要もあります。適度な運動や栄養バランスのとれた食事を心がけ、妊娠中期を快適にすごしましょう。

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