【I'mOK? ANSWER】生理についてのモヤモヤを解消 生理痛への正しい対処法
PROFILE
1 ほぼ全ての女性が生理中に不調を感じている
2 ストレスは生理痛に大きく影響する
3 不調に合わせて対処法が異なる
4 受診の目安は「つらいと感じるか」
5 生理中に仕事や家事と向き合う方法
6 生理は“自分でコントロールする”時代
ほぼ全ての女性が生理中に不調を感じている
I’m OK?編集部が実施した独自アンケートによると、生理中に不調を実感している女性は、なんと99.7%。ほぼすべての女性がなんらかの不調を抱えていることがわかります。また、生理中の不調として最も多く挙げられたのがお腹や腰の痛みといった、いわゆる生理痛。次いで多くの女性が、生理前の気分の落ち込みについても悩みを抱えていることがわかりました。
さらに、生理痛に悩んで病院を受診したことがある人は10%にも満たず、残りの人は市販薬やセルフケアで対応したり、我慢してやりすごしていたりという現状も見えました。仕事を抱える女性では、その約半数が我慢して仕事にあたることへのつらさを感じているようです。
アンケートの結果からわかるのは、女性のほとんどが生理前や生理中に不調を感じるものの、なんとか我慢して乗り越えていること。生理という、毎月起こることに対して、多くの女性が我慢という対処法しか持っていないということです。
ストレスは生理痛に大きく影響する
今回は、生理痛が重たくなる原因や、生理中の不調との向き合い方について、産婦人科医の産婦人科医の鈴木美香先生に話を伺いました。
生理中の不調がひどくなる要因はありますか?
鈴木美香先生:
生理痛の程度は人によっても異なり、同じ人でも生理のたびに変わるというのも珍しいことではありません。原因も人それぞれではあるのですが、ストレスを感じていると普段よりも不調を感じやすくなる傾向があります。ただし、毎月生理痛がかなりひどい、といった場合には、何らかの病気が隠れている可能性も高いといえます。
不調に合わせて対処法が異なる
では、生理中の不調にはどう対処したら良いですか?
鈴木先生:
前提として、生理の不調がつらいと感じていたり、そのせいで家事や仕事に支障が出るようであればまずは一度婦人科を受診していただきたい、ということはお伝えさせてください。ただ、特に生理が不規則な場合など、不調を感じたからすぐ病院に行くということが難しい状況もありますよね…。
生理中の不調というのは本当に様々な症状があるので、それぞれに合わせて対処したほうが良いでしょう。たとえば腹痛や腰痛といった生理痛であれば、温めたり鎮痛剤を使用したりすると軽減できることが多いです。体のだるさ、とひと口にいっても、体がむくむことによるだるさなのか、貧血から来るだるさなのかなど、原因によって対処法が異なります。また、気分の落ち込みなど精神的なものであれば、婦人科ではピルや漢方を処方することもありますね。
日頃の生活の中で、生理前の不調を予防したり軽減したりする方法はありますか?
鈴木先生:
生理前の不調は、ホルモンの変化が原因です。日頃から睡眠などにおいて規則正しい生活をし、栄養バランスの整った食事を摂り、適度な運動をする習慣があると理想的です。また、気分の落ち込みやイライラするといった精神面の不調には、有酸素運動や、アロマテラピーのような自分なりのリラクゼーションが効果的です。
受診の目安は「つらいと感じるか」
生理中の症状がつらいようであれば一度受診したほうが良い、ということでしたが、どの程度のつらさが受診の目安になるのでしょうか?
鈴木先生:
生理に伴う不調には、月経困難症というものがあります。月経困難症の定義は、生理による症状に困っているかどうかということです。痛みやつらさは人それぞれ感じ方が異なるものですが、ご自身がつらいと感じたらそれは月経困難症といえます。どの程度の痛み、つらさが何日続く、という基準ではありません。ご自身が困っている、つらいと感じるということであれば、受診していただいてOKです。
病院では、どのような月経困難症に対してどのような対処法をとるのでしょうか?
鈴木先生:
もちろん市販の鎮痛剤と同じような成分の薬を処方することもあります。病院では扱える鎮痛剤の種類が豊富なので、ご自身に合った鎮痛剤を見つけられる可能性が高くなります。また、症状に合わせて漢方でのアプローチをしたり、ピルを使ったり、精神面での不調にはカウンセリングや抗うつ剤で対処することもありますね。もちろん、症状によっては検査を進めるうちに子宮筋腫といった思わぬ病気が見つかることもあるので、その場合は病気を治していくことになります。
生理中に仕事や家事と向き合う方法
職場や家庭で生理の不調を理解してほしい場合には、どのような方法がよいのでしょうか?
鈴木先生:
たとえば規則的に生理が来る人であれば、出張や大事な仕事の時期に生理になりそうであれば、事前にピルなどのホルモン剤で生理日を移動することも可能です。仕事においては、毎月休みが必要なほどの症状であれば、医学的には何らかの病気を懸念します。セルフケアや婦人科の受診で適切な対処法を試してみるなど、まずは自分で改善に取り組んだ上で、それでもつらいのであれば保健師や産業医など、できれば健康のサポートをしてくれる立場の人を経由して伝えてみるとスムーズかと思います。
家庭であれば、できるだけ症状やサポートしてほしいことを明確に伝えたほうが良いでしょう。言わなくてもわかってほしい、配慮してほしいと考える人も多いようですが、生理はどうしても女性にしか起こらないこと。さらに、人によって症状も異なるので、どうしたら自分がラクになるかを明確に伝えたほうが解決の近道といえます。
生理は“自分でコントロールする”時代
生理中の不調に悩んでいる女性が自分自身を労わるためのアドバイスはありますか?
鈴木先生:
今は、大学生のように早いうちからピルなどを使い、生理日を自分でコントロールしたり、月経困難症に対応したりという女性が増えました。鎮痛剤やピルの種類も増え、ご自身に合った対処法が見つかる可能性は以前より格段に高くなりました。生理中の症状や日程までも、生理は自分でコントロールする時代になったことを強く感じます。
通常毎月訪れるものだからこそ、ただ我慢して過ごすというのは非常に時間がもったいない。まずは生理の不調は我慢するしかないという概念を捨てて、自分でコントロールしよう!と思うことで、女性のQOL(=クオリティ オブ ライフ)向上に大きくつながるのではないでしょうか。