もしかして更年期うつ?原因・症状・セルフチェックと対処法を徹底解説

PROFILE


1 更年期うつとは?心の不調が起きるメカニズム
2 更年期うつの主な症状とセルフチェック
3 更年期うつの原因と悪化させやすい要因
4 更年期うつを軽減するセルフケアと生活習慣
5 更年期うつに関する疑問を医師に確認
更年期うつとは?心の不調が起きるメカニズム
40代から50代の女性に多く見られる「更年期うつ」は、ホルモンバランスの変化と深く関係しています。
女性ホルモンの減少と脳の関係

更年期に入ると、卵巣の機能が徐々に低下し、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌量が急激に減少します。
エストロゲンは、気分を安定させたり、ストレスに対処したりする役割を担う神経伝達物質「セロトニン」や「ドーパミン」の働きにも関わっているのです。
そのため、エストロゲンの分泌が減少すると、心のバランスが崩れやすくなり、不安感やイライラ、気分の落ち込み等さまざまな「心の揺らぎ」が現れることがあります。
更年期障害と更年期うつの違い
更年期障害は、ホルモンの変動によって一時的に現れる不調で、ホットフラッシュ(ほてり)、めまい、発汗、倦怠(けんたい)感、情緒の不安定等、体と心の両面に症状が出ます。
一方で更年期うつはうつ病の一種であり、心の不調が長期間続き、日常生活に支障をきたすレベルにまで悪化するケースもあります。特徴は、ホルモンの変化だけでなく、性格やライフステージのストレス等複数の要因が重なって起こるという点です。
40代~50代に多い「心の症状」の特徴
更年期世代の女性に現れやすい心の症状には、以下のようなものがあります。
● 理由もなく気分が落ち込む
● ちょっとしたことで涙が出る
● イライラしやすくなる
● 不安感が強くなる
● やる気が起きない、無気力になる
● 人と会いたくなくなる、孤立したいと感じる
これらの症状は、環境の変化や人間関係、家庭や仕事のストレスとも結びつきやすく、「自分のせいかも」と感じる方もいるでしょう。
しかし、それは心と体が変化の時期を迎えている自然な反応なのです。

更年期うつの主な症状とセルフチェック
心の変化に気づいたとき、「更年期うつかもしれない」と感じても、すぐに病院を受診するのは勇気が必要ですよね。
まずは、自分自身の心と体にどんなサインが出ているのかを、やさしく見つめてみることから始めてみましょう。
ここでは、更年期うつに見られやすい心と体の症状、そして簡単にできるセルフチェックの方法を紹介します。
心の症状
更年期うつでは、ホルモンの変動によって感情のコントロールが難しくなり、さまざまな「心の不調」が現れることがあります。以下のような症状が続いていないか、意識してみてください。
● 理由もなく気分が落ち込む
● ふと涙が出てしまうことが増えた
● これまで楽しめていたことに関心が持てない
● ちょっとしたことでイライラしてしまう
● 不安感が強く、落ち着かない
● 自分自身や家族に申し訳ないと感じる
これらの症状は、心が出しているSOSのサインかもしれません。

体の症状
更年期うつの特徴の一つは、心の症状だけでなく、体にもさまざまな不調が現れることです。以下のような体の症状が気になる場合も、注意する必要があります。
● 夜なかなか眠れない、何度も目が覚める
● 朝起きても疲れが取れていない
● 理由もなく体がだるい、重い
● 動悸(どうき)や息苦しさを感じる
● 頭痛や肩こりが慢性的に続いている
これらの不調は、病院で検査しても「異常なし」と言われることも多く、「気のせいかも」と我慢してしまう方もいます。

セルフチェックリストで自分の状態を確認
「もしかして更年期うつ?」と感じたときに、簡単に自分の状態を確認できるセルフチェックリストを活用してみましょう。
以下のような項目に当てはまる数を見てみるだけでも、自分の心と体に向き合うきっかけになります。
● 以前より怒りっぽくなったり、ちょっとしたことでイライラする
● くよくよ悩むことが増え、気持ちが沈みやすい
● 疲れやすい、いつもだるさを感じている
● 今まで楽しめていたことに、あまり興味が持てなくなった
● 気分が落ち込んだり、憂うつになる
● 寝つきが悪くなった、途中で何度も目が覚める、または眠りすぎてしまう
● 食欲がない、または食べすぎてしまう
● 「自分はダメな人間だ」と責めたり、無力感に襲われることがある
いくつかの項目が当てはまる方は、更年期うつのサインかもしれません。

参考:厚生労働省 抑うつ尺度
更年期うつの原因と悪化させやすい要因
更年期うつは、ホルモンバランスの変化だけでなく、日々の生活環境や性格的な傾向等、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こります。
ここでは、更年期うつを引き起こしやすい代表的な要因について解説します。
ホルモンバランスの急激な変化
女性は更年期に入ると、卵巣の機能が徐々に低下し、女性ホルモンの一つである「エストロゲン」の分泌量が大きく減少します。このホルモンは、感情や気分を安定させる役割も担っており、急激な減少は心にまで影響を及ぼします。
エストロゲンの低下によって、脳内の神経伝達物質、例えば「セロトニン」や「ドーパミン」等の働きも不安定になるのです。その結果、気分の落ち込みやイライラ、不安感といった症状が現れやすくなります。
心理的ストレス
更年期は、女性の人生のなかでも大きな変化が重なる時期です。仕事では責任のある立場を任されるようになったり、家庭では子育ての終わりや親の介護が始まったりと、心身ともに負担の大きいライフステージを迎えます。
また、パートナーとの関係や老後への不安等、人間関係や将来に関する悩みも増えがちです。こうした多方面からのストレスが積み重なることで、心のバランスを崩しやすくなり、更年期うつのリスクが高まります。
性格的傾向
更年期うつには、性格的な傾向も関係しているといわれています。特に、きちょうめんで真面目、責任感が強く、いわゆる「頑張り屋さん」なタイプの方は、自分を追い込みやすく、ストレスをうちにため込んでしまう傾向があります。
「ちゃんとしなきゃ」「もっと頑張らなきゃ」と無意識に自分を追い詰めてしまうことで、心が疲弊し、うつ状態に陥りやすくなるのです。
更年期うつを軽減するセルフケアと生活習慣
更年期うつの症状をやわらげるには、心と体のバランスを整えることが大切です。
ここでは、更年期うつの緩和に役立つ生活習慣と、自分をいたわるためのセルフケアの方法を紹介します。
規則正しい睡眠とリズムを整える
睡眠は、心身の回復に欠かせない大切な時間です。
朝はなるべく決まった時間に起きて、カーテンを開けて太陽の光を浴びるようにしましょう。光には体内時計をリセットし、気分を安定させる働きがあります。
また、夜はスマートフォンやパソコン等の強い光を避け、ゆったりとした気持ちで眠りにつく工夫も効果的です。
バランスのとれた栄養
心と体の健康には、毎日の食事も大きな役割を担っています。特に更年期の女性には、ホルモンバランスに働きかける栄養素を意識して取り入れることが大切です。
例えば、
● 大豆製品(イソフラボン)
● ビタミン類
● マグネシウム
● 鉄分
● 亜鉛
等があげられます。
ホルモンバランスを整えるおすすめのレシピは、こちらの記事でもご覧いただけます。
生理痛改善には食事が重要!15分でできるワンパン温活レシピ
軽い運動や散歩
気分転換になるような軽いウォーキングやストレッチだけでも、血流が良くなり、自律神経のバランスが整いやすくなります。体を動かすことで脳内の「セロトニン」が活性化し、気分が明るくなる効果も期待できます。
「気分がのらない日」もあると思いますが、そんなときは、窓を開けて外の空気を吸うだけでも十分。無理せず、自分のペースで取り入れてみてください。
アロマや瞑想等でリラックス
心を落ち着ける時間を持つことは、更年期うつの緩和におすすめです。
例えば、アロマオイルの香りを楽しむ、ゆっくり深呼吸をする、3分間瞑想する等、気持ちがゆるむようなリラックス法を、日常に取り入れてみましょう。
ポイントは、「これをすれば気持ちが落ち着く」と感じられる自分なりの方法を見つけること。日々の生活のなかでほっと一息つける時間を大切にしてください。
更年期うつに関する疑問を医師に確認
更年期うつにまつわる実際に多くの女性が抱える疑問について、医師にお伺いしました。
更年期うつを疑ったら何科を受診すればいい?

どんな治療法があるの?
