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妊娠と出産

【医師監修】臨月に吐き気を感じるのはなぜ?主な原因や対処法を解説

公開日:2025.09.10
更新日:2025.09.10
【医師監修】臨月に吐き気を感じるのはなぜ?主な原因や対処法を解説
臨月は赤ちゃんの成長が最終段階を迎える大切な時期です。この時期に「急に吐き気を感じるようになった」と戸惑う方がいますが、臨月の吐き気にはいくつかの原因があります。 本記事では、板橋中央総合病院 医長の阿部一也先生にお話を伺い、吐き気の主な要因やその対処法、気をつけたい症状、そして病院を受診すべきタイミングまでをわかりやすく解説します。

PROFILE

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専門家/エキスパート 阿部 一也
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業/現在は板橋中央総合病院勤務/専門は産婦人科
INDEX

1 臨月に吐き気を感じる主な原因

2 臨月の吐き気を和らげる対処法

3 臨月の吐き気で注意したいこと

4 病院を受診する目安

臨月に吐き気を感じる主な原因

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I’m OK?編集部のアンケートでは、出産を経験した女性の37,3%が、臨月に入ってから吐き気を感じたことがある、と回答しました。

臨月はホルモンの影響や内臓の圧迫、精神的な不安等、さまざまな要素が重なって吐き気が生じやすくなります。

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臨月期の吐き気の原因は、ほとんどがここで挙げられているものによります。ただし、中には妊娠高血圧症候群が影響している場合があります。お腹の右上が痛くなるようであれば注意が必要です。安静にしても良くならないのであれば、病院に連絡してみましょう。

【アンケートデータの調査概要】

調査方法:インターネットアンケート

調査対象:全国 出産経験のある女性

アンケート母数:303名

実施日:2025年7月1日~7月4日

ホルモンバランスの変化

出産が近づくと、妊娠を維持するために働いているホルモン「プロゲステロン」が増加します。
このホルモンには筋肉の緊張をゆるめる作用があるため、胃や腸の動きが鈍くなり、食べ物が停滞しやすくなります。
その結果、食後にムカムカしたり、吐き気を感じたりすることがあるのです。これは体が出産準備を進めているサインとも言えます。

胃腸の圧迫

臨月に入ると赤ちゃんの成長に伴って子宮がぐんと大きくなります。そのため、胃や腸等の消化器官が圧迫され、食べたものがスムーズに流れにくくなり、食後に胃もたれを感じたり、ムカムカしたりと不快感が続くことがあります。

精神的なストレス

出産が近づくと「もうすぐ赤ちゃんに会える」という喜びの半面、不安や緊張も高まります。そうした気持ちがストレスとなり、自律神経のバランスを崩すケースもあります。
自律神経が乱れると胃腸の働きも鈍くなり、吐き気につながることがあるため、安心できる時間を意識して持つことが大切です。

前駆陣痛・陣痛

前駆陣痛や本陣痛による子宮の収縮によって、吐き気を感じる方もいます。特に痛みや緊張が強くなると、吐き気がひどくなる場合があります。
落ち着いて深呼吸をする、呼吸を整えることで、症状が和らぐこともあるため、吐き気を感じた際には試してみると良いでしょう。

臨月の吐き気を和らげる対処法

日々の生活に小さな工夫を取り入れることで吐き気を軽減できる場合があります。

食事を見直す

吐き気があるときは、無理にたくさん食べようとせず、少量ずつこまめに取るようにしましょう。
例えば、おかゆやスープ等消化の良い温かいものや、胃に優しい食材を選ぶと負担が軽くなります。
また、空腹時間を作らない、起きてすぐ食べる等食事のタイミングを調整することも、吐き気を防ぐコツです。

水分をこまめにとる

水分が不足すると、体内のバランスが崩れて吐き気が強くなることがあります。のどが渇く前に、少しずつこまめに水や麦茶等を取るように心がけましょう。
冷たすぎるものは胃腸を刺激して吐き気を悪化させることがあるため、常温やぬるめのものがおすすめです。

十分に休息をとる

臨月は少しの動きでも息切れしたり、体力を消耗しやすかったりするため、意識してこまめに休息をとることが大切です。
例えば、横になってリラックスするだけでも、体への負担が軽減されます。

ゆったりとした衣類や下着を選ぶ

締めつけが強い服や下着は胃を圧迫し、吐き気を悪化させる原因になることがあります。肌に優しい綿素材や、ゆとりのあるマタニティーウエアを選ぶのが良いでしょう。
ゆったりとした衣類や下着は、血流が良くなり体が温まりやすいというメリットもあります。

ストレスを溜めない

ストレスが溜まると自律神経が乱れ、吐き気が強まることがあります。
小さなことでも「心地よい」と感じる習慣を取り入れましょう。
例えば、お気に入りの音楽を聴く、アロマを使う、ゆっくり入浴する等、リラックスできる時間を意識して持つことが大切です。

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病気を始め、処置を要する吐き気の場合は、ここで挙げた方法や薬の内服をしても改善しない場合があります。その際にはまず病院に連絡してみましょう。

臨月の吐き気で注意したいこと

臨月にみられる吐き気は自然な変化の一つですが、中には注意が必要なケースもあります。次のような症状があるときは、必要に応じて医療機関を受診しましょう。

脱水症状

吐き気が続くと水分が取れなくなり、脱水症状につながることがあります。
口の中が乾く、尿の量が減る、ふらつく等の症状が見られた場合は、水分不足のサインかもしれません。
こまめな水分補給を心がけるとともに、体調に変化があれば早めにかかりつけ医に相談しましょう。

栄養不足

食欲が低下して食べられない日が続くと、母子ともに必要な栄養が不足してしまうおそれがあります。
無理に食べようとせず、栄養価の高い飲み物や補助食品を取り入れるのも一つの方法です。

病院を受診する目安

吐き気があっても軽度で一時的であれば、生活習慣の工夫で乗り切れる可能性が高いでしょう。しかし、次のような症状が見られた場合には、すぐに医療機関を受診してください。

● 吐き気と同時に頭痛や手足のむくみ、視界がぼやける等の異常がある
● 食事がまったく取れず、水分も取れない状態が続いている
● 日常生活に支障を来すほど吐き気や体調不良が続いている

これらの症状は、妊娠高血圧症候群や重度の脱水症状の可能性があるため、放置せず専門の医師に相談することが大切です。

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つまり、吐き気以外の症状があるなら注意すべきです。前述したように、腹部右上の痛み、お腹全体が異常に硬い、発熱してる、血圧が高いなどの症状は緊急度が高いことがあり、まずはかかりつけ医に連絡の上、なるべく早く受診するのが望ましいといえます。また、症状がなくとも不安なことがあれば、かかりつけ医にまずは電話で相談してみましょう。

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