尿漏れ改善や腰痛予防に期待ができる「ケーゲル体操」ってどうやるの?

PROFILE

1 ケーゲル体操ってなに?
2 ケーゲル体操のメリット
3 ケーゲル体操の実践方法
4 ケーゲル体操の効果を高めやすくするトレーニング①
5 ケーゲル体操の効果を高めやすくするトレーニング②
ケーゲル体操ってなに?

I’m OK?編集部:ケーゲル体操という言葉自体あまり聞き馴染みがないですが、どういうものですか?
美波さん:一般的には膣トレという言葉の方がメジャーかもしれません。ケーゲル体操や膣トレというのは、骨盤底筋群という筋肉を鍛えること。骨盤底筋群というのは、骨盤の下にある小さい筋肉の集まりです。ケーゲル体操自体は1940年代にアメリカの産婦人科医が提唱したトレーニング方法で、その医師の名前から、ケーゲル体操と呼ばれています。

I’m OK?編集部:骨盤底筋群にはどんな役割があるのでしょうか?
美波さん:骨盤底筋群の大きな役割は以下の4つです。
● 膀胱や直腸、子宮などの内臓をを支える機能
● 排尿を助ける機能
● 姿勢を維持する機能
● スムーズな性交のための性機能
ケーゲル体操のメリット
I’m OK?編集部:今まであまり意識したことがない筋肉ですが、特に女性にとっては大切な機能がたくさんあるんですね…。ケーゲル体操で骨盤底筋群を鍛えることには、どんなメリットがありますか?
美波さん:骨盤底筋が一番ダメージを受けやすいのは妊娠・出産です。お腹の中で大きくなる赤ちゃんの重さを支えたり、出産したりという時に、骨盤底筋が伸びたり断裂したりしてしまうことがあります。また、骨盤底筋は若いときには平均で9cmぐらいの厚みがありますが、加齢とともにこれが3cmほどに薄くなってしまうこともわかっています。その結果起きるのが尿漏れです。また、一部の性交痛なども骨盤底筋の影響で起こることがあります。
そのため、尿漏れの改善はもちろん、骨盤底筋によって内臓をしっかり支えてあげることで姿勢が良くなることもあるので、腰痛予防などにも良いといわれています。
I’m OK?編集部:実際に、尿漏れに悩んでいる日本人女性は25%以上もいるという論文を読みました。また、慢性的なものでないものを含むと、20代でもかなり多くの女性が尿漏れの経験があるという説も聞いたことがあります。若いうちから是非取り組んでおきたいトレーニングといえそうですね。

ケーゲル体操の実践方法
では、ここからは美波さんに具体的なケーゲルトレーニングの方法を教えてもらいました。2週間ほど続けることで、少しずつ変化を実感できるとのことなので、隙間時間を使って続けてみてください。

1. 仰向けになり、足の裏を付けて、膝を開く。お腹に軽く手を当てて、呼吸とともに空気によるお腹の膨らみを感じられるようにしておく。
2. 息を吸うとともに、お腹が膨らみ、骨盤底筋が下がり、膣のあたりも膨らませるようなイメージで動かす。
3. 息を吐く際に、膣を締め、連動してお腹の内側の筋肉やみぞおちまで絞っていくようなイメージで動かす。これを15回繰り返す。
美波さん:ちょっと写真や映像ではわかりにくい運動ですが、一番わかりやすいのはお風呂上がりなどに裸の状態で自分の膣の部分に手を当ててやってみることです。息を吸うときに骨盤底筋が下がるので膣周辺の皮膚がペタっと手に当たる間隔がわかるはず。最初はわかりにくくても、日々続けていくことでわかるようになっていきます。
ケーゲル体操のポイント

美波さん:体の内側の筋肉なので、慣れていない人にはわかりにくいものです。動かしているイメージをしながらゆっくり動かすことが大切。膣にだけ力を入れるのではなく、息を吐くときに、布をきゅーっと上につまんでいくようにみぞおちあたりまで締めていくイメージをしてください。逆に息を吐くときには、風船が膨らんでいくように、膣からみぞおちまでお腹を大きく使って膨らませていきましょう。
ケーゲル体操の効果を高めやすくするトレーニング①
美波さん:ケーゲル体操はとにかく慣れるまで、しっかり動かせているかわかりにくいという難点があります。ここからは、他の部分の筋肉を動かすことで骨盤底筋を連動して動かしたり、より骨盤底筋を動かしやすくしたりするためのトレーニングを2つ紹介します。

1. 仰向けになり、左足を曲げ、右足の膝の横にくるぶしをぴったりとくっつける。

2. このとき、両方の腸骨と恥骨の3点が平行になり、腰の下には手が一枚ぐらい入る姿勢をキープし、吸う息とともにお腹を大きく膨らませる。

3. 息を吐くのと同時に、左足の足の裏を床にぎゅっと押しつけながら、左右の足の膝を交差させるイメージで内ももに力を入れる。
4.左右の足を入れ替え、それぞれ10回ずつ行う。
美波さん:私は寝る前にベッドの中で行うこともあるトレーニングです。ベッドのように下が柔らかいところでは、曲げている足の裏をぎゅっと下に押し付けることを意識してください。呼吸を止めないように呼吸とともに動かすことも重要なポイントです。慣れてきたら、左右10回ずつを3セットできると理想的です。
ケーゲル体操の効果を高めやすくするトレーニング②

1. 両ひざを自分の骨盤幅の2倍ぐらいに開いてつき、両足の裏は立たせてかかとを付け、鼠径部に軽く手を当て、お腹を膨らませるイメージで、大きく息を吸う。

2. 息を吐きながら、手を挟み込むように鼠径部を曲げる。このとき、頭の上から吊られているイメージで、頭からお尻までは一直線になっていることを意識する。

3. できる人はそのままお尻がかかとにつくまで動かす。

4. 一度お腹を大きく膨らませるように息を吸って、息を吐きながら、太ももが床と垂直になる位置までゆっくりと体勢を戻す。

5. 最後にみぞおちと腰を丸めるようにして、恥骨を前に出すことで、お尻の横の部分の筋肉が収縮するのを感じるように動かす。1~5までを15回繰り返す。
美波さん:初めのうちは3の姿勢はつらいと感じるかもしれません。その場合はお尻がかかとにつかなくても、2の姿勢まででOKです。背中が丸まらない位置で止めてください。