生理中の知っておきたい基礎知識!よくある症状や過ごし方とは
PROFILE
1 生理とは
2 生理中のよくある症状と原因
3 生理中の過ごし方とは
4 生理中に注意したい2つの症状
5 生理と付き合っていく際の疑問
6 生理中は無理せず体を温めて過ごそう
生理とは
生理は、一定の周期で繰り返される子宮内膜の出血です。
子宮内膜は約1カ月に1回の排卵にあわせて膨らみ、受精卵を受け止める準備をします。しかし、卵子が受精しない場合、厚くなった子宮内膜は不要になるため、血液とともに剥がれ落ちます。その際の、3日〜7日ほど続く出血が生理です。
生理は、脳の指令で卵巣から分泌されるエストロゲンと、プロゲステロンの2種類の女性ホルモンが影響して起こります。一般的には、10歳から50歳くらいの女性の体に、約1カ月の周期で繰り返されます。
生理中のよくある症状と原因
生理中には次の症状がみられます。
● 子宮の伸縮による生理痛
● 複数の原因による倦怠感
● ホルモンバランスの変化でイライラ・情緒不安定
● 出血とプロゲステロンの増加による眠気
● プロゲステロンが水分を溜め込み胸のハリ
● ホルモンバランスの変化による肌荒れ・ニキビ
これらの症状は、主にホルモンの分泌量の変化によって引き起こされています。それぞれを詳しく解説していきます。
子宮の伸縮による生理痛
生理中は、子宮の収縮が原因の腹痛や腰痛など生理痛が起こりやすくなります。
生理中の子宮は、プロスタグランジンという物質に促されて、不要になり剥がれ落ちた子宮内膜を体外へ排出しようと収縮します。しかし、プロスタグランジンの分泌量が多く、子宮が収縮しすぎると、腹部や腰等が痛むことがあるのです。
また、子宮が未熟なことが原因で、生理痛が重くなる場合もあります。未熟な子宮は出口が狭いことがあり、強く収縮させて子宮内膜の排出を促さなければなりません。収縮が強くなるほど子宮の負担は大きくなるため、痛みも強くなります。
生理が始まって間もない10代の女性の多くが生理痛に悩むのは、この要因が大きいと考えられます。
▼生理痛に関する詳細は、こちらの記事でも紹介しています。
生理痛の症状がひどいときはどうする?痛みを和らげる4つの方法を紹介
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複数の原因による倦怠感
生理中は、だるさや疲れ等の倦怠感を感じやすい時期でもあります。
生理前や生理中は、女性ホルモンの分泌が大きく変化します。それにより、感情の調節に関わる脳内物質のセロトニンやガンマアミノ酪酸が影響を受け、心身の不調を感じる場合があるからです。
また、血液の排出により、貧血や脱水症状を起こしやすくなっているため体が重く、疲れを感じることも多いでしょう。さらに、普段から生理に対して煩わしさや嫌悪感を抱いていると、生理開始と同時に気分が落ち込み、やる気が起きない状態になる場合もあります。
このほか、ビタミンやカルシウムの不足が関係するとも考えられますが、生理中の倦怠感の原因ははっきりとしていないのが実態です。
ホルモンバランスの変化によるイライラ・情緒不安定
生理前・生理中はイライラしたり、気分が落ち着かないと感じたりすることがあるでしょう。
特に、生理前は情緒が不安定になり、心身に不調を感じやすくなります。これは、感情をコントロールする作用があるエストロゲンの分泌量が、排卵を期に急激に減少するのが主な原因です。
また、生理前・生理中はホルモンバランスの変化から、脳への負担が増加します。通常よりも負担が増えると脳はリラックスできず、理由もなくイライラしたり、気持ちが不安定で落ち込みやすい状態になるのです。
生理中に仕事や勉強が忙しく、ゆっくり休める時間がとれなかったり、生活が不規則になったりすると、脳のストレスはさらに増加します。そのため、バランスの調整がうまくできず、生理が終わるまで心身の不調が継続することもあります。
出血とプロゲステロンの増加による眠気
生理前や生理中は、普段よりも強く眠気を感じることがあるでしょう。
生理前は、女性ホルモンであるプロゲステロンの分泌量が増加することにより、眠気をもたらす物質のアロプロゲステロンが多く生成されます。これにより、いつもよりも眠気を感じやすい状態となります。
また、生理中は血液の排出によって貧血気味となり、眠気が引き起こされることもあるでしょう。体中に酸素を運ぶ血液が不足した結果、脳の活動が低下して判断力や集中力が落ち、頭が働かずにぼーっとした状態になります。
さらに、生理のストレスや緊張から夜に熟睡するのが難しくなることも、日中に眠気を感じやすい原因の1つです。
プロゲステロンが水分を溜め込み胸のハリ
生理前や生理中は、胸のハリを感じることもあります。
排卵後に多く分泌されるプロゲステロンの作用で、生理前や生理中の体は水分を溜め込みやすくなります。子宮内膜に水分を集めて厚くし、受精卵が着床しやすい状態を作るためです。この水分を溜め込む働きは、胸も影響を受けます。乳腺と乳腺の間に水分を蓄えて乳房全体の水分量が増加するために、胸のハリや圧迫感、痛みを感じるのです。
ただし、胸のハリはほとんどの場合で生理が始まると軽減し始め、生理が終わるころには元の状態に戻るのが一般的です。
ホルモンバランスの変化による肌荒れ・ニキビ
生理中は、肌荒れやニキビ等に悩むという人も少なくありません。
生理を引き起こすエストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンは、肌の状態にも強く影響を及ぼします。エストロゲンは肌の組織を強くして整える作用があり、プロゲステロンは皮脂分泌を増やす作用があります。
生理が終わってから排卵までの期間はエストロゲンの分泌量が増加するため、肌は良好な状態を保ちやすくなります。しかし、次の生理が始まるとエストロゲンの分泌量が減少し、肌トラブルが発生しやすい状態となります。
また、生理前にはプロゲステロンの分泌の増加により、皮脂分泌が増えてニキビや吹き出物に悩む場合もあるでしょう。さらにプロゲステロンはメラニン生成の促進作用もあるため、シミやくすみ等も起こりやすくなります。
生理中の過ごし方とは
ここでは、生理中の体や心の負担を軽減する過ごし方を見ていきましょう。
● 市販薬で生理痛を軽減
● 無理をしないで休む
● 体を温めて過ごす
● 鉄分や大豆製品を意識した食事
生理中も普段と変わらずに過ごすための重要なポイントです。
市販薬で生理痛を軽減
腹痛や腰痛等の生理痛は、市販薬の使用で軽くなる場合があります。
痛みを我慢したまま日常生活を送るのは困難で、大きなストレスです。市販薬の使用で痛みを軽減して負担を抑えることで、通常に近い状態で過ごせることもあります。
なお、生理痛に効き目があるのは、主に次の成分です。市販薬を選ぶ際の参考にしてください。
● イブプロフェン
● ロキソプロフェン
● アスピリン
● アセトアミノフェン
市販薬を使用しても効果が感じられず、生活に支障が出るほどの痛みが続くような場合は、医療機関で診察を受けるようにしましょう。
無理をしないで休む
生理中に辛さを感じる場合は、無理をしないで体を休ませることも重要です。
基本的に生理中のさまざまな不調は、時間の経過とともに改善していきます。外出を控えて自宅でゆっくりとリラックスして過ごすうちに、痛みや倦怠感が落ち着くこともあるでしょう。
その際、バランスのよい食事や十分な睡眠を心がけて過ごし、好きな音楽や香りを楽しむのもおすすめです。
なお、すべての労働者は、生理休暇の取得が認められています。生理休暇は労働基準法の第68条で定められた法定休暇であり、契約社員やパート、アルバイト等の雇用形態に関係なく、すべての女性が利用できると定められています。
参考:e-Gov法令検索 労働基準法
体を温めて過ごす
生理中は体を温めて血流をよくすることを心掛けましょう。
生理中は血液の流れが悪くなり、骨盤内に静脈の血が溜まりやすくなっています。体を温めると血行がよくなり、骨盤内の血流を改善できるため、強い子宮収縮を抑えて生理痛を軽減できます。
生理中はシャワーだけで済ませるという人もいるかも知れませんが、立ちくらみやめまい等がない場合は20分程度の入浴もおすすめです。清潔なお湯に入って、リラックスしながらじっくりと体を温めましょう。
また、ストレッチやヨガ等の軽い運動も、気分転換をしながら体を温められます。筋肉をほぐしながら血流を改善して、生理痛を緩和できることがあります。
鉄分や大豆製品を意識した食事
生理中は鉄分を豊富に含むものや、大豆製品を積極的に摂取しましょう。
生理中は出血により鉄分が失われている状態です。鉄分は血液中の赤血球を作るのに欠かせないもので、不足すると鉄欠乏性貧血を招く可能性があります。
特に、肉類や魚介類に含まれるヘム鉄は、体に吸収されやすいので積極的にとり入れましょう。その際、ビタミンCを含む野菜や果物も一緒にとると、吸収率がアップします。
また、イソフラボンを含む大豆製品もすすんで摂取しましょう。イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きがあり、イライラや憂鬱な気分を緩和し、生理痛を和らげる効果が期待できます。
そして、普段は我慢している好物を食べるのもおすすめです。生理中は体も心も負担を感じやすいため、好きなものを食べて気分を上げ、自分を労うのも大切です。
▼生理中の貧血に関する詳細は、こちらの記事でも紹介しています。
生理の度に貧血になるのはなぜ?原因から食べ物による対処法まで解説
生理中に注意したい2つの症状
生理期間が極端に短い、または長い場合や、日常生活が送れないほどの強い痛みがある場合は、専門家へ相談してみましょう。
生理期間が極端に短い・長い
生理期間が極端に短い、または長い場合は、生理が正常な状態ではない可能性があります。
一般的に生理の出血が続く期間は3日~7日です。2日以内で終わる状態は過短月経と呼ばれ、子宮の病気や無排卵周期症、甲状腺ホルモンの分泌異常等の可能性があります。
また、出血が8日以上続くような状態は過長月経と呼ばれ、子宮筋腫や子宮腺筋症、無排卵周期症等の可能性があります。どちらの場合も専門家に相談してみましょう。
さらに、出血量が極端に少ない、または多いのも注意が必要です。おりものシートに血がつく程度の少量の出血で生理が終わるような状況は過少月経、生活に支障がでるような多量の出血がある状況は過多月経と呼ばれます。これらも子宮の病気が原因の場合があるため、専門家への相談がおすすめです。
日常生活に支障が出る生理痛
生活に大きな影響を与えるような強い生理痛がある場合は、注意が必要です。子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症等の可能性があるので、専門家に相談しましょう。
痛みの感じ方は人によって異なりますが、次のような場合は、高いレベルの痛みと判断できます。
● 立ち上がれない
● 座っていられない
● 外出ができない
また、市販薬を飲んでも痛みが治まらず、日常生活に支障が出る場合や、不安がある場合も専門医に相談した方がよいでしょう。
生理と付き合っていく際の疑問
ここでは生理の気になることや、よくある疑問にこたえていきます。
生理中にやってはいけないことはあるか?
生理中は、次のことに注意が必要です。
● 激しい運動
● 体を冷やすこと
● 喫煙
● 酒の飲み過ぎ
軽い運動は体を温めて生理痛を緩和する効果がありますが、激しい運動は体に負担をかけ、生理中の体調不良を悪化させる可能性があります。また、体を冷やすと血行が悪くなり、子宮の伸縮性が低下して生理痛が悪化する場合があるので、できるだけ避けましょう。
タバコの煙に含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があるため、子宮の血行が悪くなって生理痛を悪化させる可能性があります。さらに喫煙は女性ホルモンの分泌を抑える作用があり、生理不順や女性特有の病気の原因になる場合もあるので、普段から注意が必要です。
そして、生理中の飲酒量にも注意しましょう。生理中は経血によって体内の血液量が減少しているため、血液中のアルコール濃度が上がって酔いやすくなります。脱水や貧血を招き、頭痛やめまい等を引き起こす可能性もあります。
生理中に体重は増える?
一般的に、生理前は1キロ~3キロほどの体重の増加があるでしょう。
排卵後に多く分泌されるプロゲステロンの作用で、生理前や生理中は体に水分を溜め込みやすく、むくみやすい時期です。
さらに、プロゲステロンは、血糖調節作用があるインスリンの分泌にも影響を与えます。そのため、生理前は血糖値が下がって空腹を感じたり、甘い食べ物を食べたくなったりすることが増え、体重が増加しやすくなることも。
ただし、生理前や生理中の体重の増加は、あまり気にする必要はありません。食事内容や生活習慣に基本的な乱れがなければ、生理が終わると徐々に元に戻ります。
病院以外で生理の相談はどこに?
生理の相談は、病院以外でも対応しています。
政府が全国に配置している「性と健康の相談センター」では、保健師や医師等に生理の悩みを無料で相談できます。厚生労働省の公式サイトから、各地の相談窓口を検索可能です。
また、保険会社が相談窓口を設置しているケースもあります。自分の加入している保険会社のサイトから、サービス窓口を確認してみましょう。
参考:厚生労働省 性と健康の相談センター事業の概要
生理中は無理せず体を温めて過ごそう
生理中は腹痛や腰痛、倦怠感やイライラ等の症状を伴うことが少なくありません。普段どおりの生活が難しくなることも多く、体も心もストレスを感じやすい状態です。
生理中は、体をゆっくりと休めるのが理想的な過ごし方です。痛みがあるときは市販薬を使用しながら体を温めて過ごし、鉄分や大豆製品を積極的に摂取すると、負担を軽減できます。
なお、生理の期間が極端に短い、または長い場合や、日常生活が送れないほどの強い痛みがある場合は注意が必要です。子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症の可能性もあるので、一度婦人科を受診しましょう。