PMSの改善ってできるの?セルフケアから医療機関での治療方法まで解説
PROFILE
1 PMSの症状を改善させる方法
2 医療機関で行うPMSの主な治療方法
3 PMSの改善でよくある疑問
PMSの症状を改善させる方法
PMSをセルフケアで改善させるためには、次の5つがポイントになります。
● PMS対策の栄養素を取り入れる
● 適度な運動を行う
● カフェイン・アルコール・喫煙を避ける
● リラックスを心がける
● 自身の体を理解する(症状の記録)
各項目ごとに要点を詳しく解説していきます。
食事で改善効果のある栄養素を取り入れる
PMSの症状を軽減したいとき、普段の食事にプラスして上記の栄養素を取り入れることをおすすめします。これらの栄養素は特にホルモンバランス、精神、体調を整える作用が期待できるものです。
摂取することで身体的・精神的な体調不良を軽減し、また生理に向けて不足する栄養素を補完して生理中も過ごしやすい体づくりを目指します。
なお、各栄養素から期待される作用は次のとおりです。
PMS改善に役立つ栄養素 | 期待される作用 |
ビタミンB6 | ホルモンや体の代謝を助ける 女性ホルモンのバランスを整える 神経伝達物質を作る(精神的な安定) |
ビタミンB1 | ホルモンや体の代謝を助ける 神経の作用を助ける 他のビタミンB群の作用を高める |
ビタミンB2 | |
鉄分 | 血を作る(貧血防止) 酸素を体へ運ぶ |
ビタミンD | 代謝を助ける 免疫を強める 精神的症状の軽減 |
カルシウム | 精神的な安定 |
マグネシウム | ホルモンバランスを整える 筋肉の緊張をほどく 腹痛・頭痛の緩和 精神的な安定 |
また、鉄の吸収をよくするためにビタミンCを含む野菜やフルーツを一緒に摂取するのもおすすめです。
適度に運動をする
PMSの改善には適度な運動も取り入れてみましょう。特にウォーキングやジョギング、水泳等の「有酸素運動」がおすすめです。
日々の中で有酸素運動を適度に行うことで代謝を促し、副交感神経を優位にしてストレスを緩和させることが期待できます。
15分以上運動を続けると、幸せ物質の「セロトニン」や快楽物質の「βエンドルフィン」等も分泌されるため、リフレッシュ作用も高いです。
さらに体を動かすことで血行もよくなるため、PMSで起こりやすいむくみの軽減にも役立ちます。
最低、週に1回1時間程度でもよいので、自分が続けやすい有酸素運動で始めてみてください。時間を分けて行っても問題ありません。
▼次の記事ではPMS対策の骨盤矯正トレーニングを紹介しています。運動のバリエーションとして気になる方はぜひご覧ください。
今すぐ挑戦!PMS対策におすすめの骨盤矯正トレーニング3選
カフェイン・アルコール・喫煙を控える
PMSの症状に悩んでいる期間は、カフェイン・アルコール・喫煙は控えてください。
カフェインやアルコールはむくみや精神的症状を悪化させる原因になり、喫煙はホルモンバランスを崩しやすくなるためです。
普段から嗜好品として楽しんでいるという人でも、PMS中や生理中の摂取は避けるようにしましょう。
リラックスを心がける
PMSの症状はストレスがあると悪化しやすいため、可能な限りリラックスする時間を取ることも心がけてください。最も簡単なのは深い呼吸をすることです。また、アロマもリラックスには効果があります。
PMSの期間はストレスを感じるものから離れる、もしくは要因を無くすことが重要です。趣味を楽しむ等好きなことをして気分転換やストレスの解消も同時に行ってみてください。
症状を記録して傾向を把握する
PMS改善には自分の症状を理解することも大事です。そこで症状を「PMS日記」として記録し、傾向を分析してみましょう。
PMS日記は、次のような項目を記録します。
日付
生理周期
経血量(少ない・普通・多い)
体重
基礎体温
症状(生理前1週間)
これらの記録によって、たとえば「いつも○日前から頭痛が始まる」「○日前は症状が酷いから無理しないようにしよう」といった分析ができるようになります。
何がいつ頃に起きるのか傾向を把握できるだけで不安が減り、あらかじめ備えられるようになるのでおすすめです。
生活に支障がでる場合は受診
生活習慣の改善を試みても症状の変化が見られなかったり、それ以前に生活に支障が出るほどの症状がある場合は病院への受診を検討してください。
PMSは放置してしまうと、身体的症状が悪化するケースやうつ病を併発する場合があります。気になる症状がある場合は、早めに治療を受けることが大切です。
病院での治療を受ければ、投薬治療や医師の指導等で症状の軽減が期待できます。より適切なセルフケアのアドバイスをもらうことも可能です。少しでも日常生活を阻害する要素があるのなら、我慢する必要はありません。「つらい」と感じた時は、一度医療機関で相談しましょう。
なお、PMSは婦人科または産婦人科で治療を受付けています。
医療機関で行うPMSの主な治療方法
PMSの治療は主にカウンセリングか投薬治療のいずれか、もしくはその両方を組み合わせて行います。ただ、投薬の種類に関しては、本人の症状や相談内容にあわせ、適切なものを選んでいく形です。
ここからは受診を少し身構えてしまう方に向け、PMSの治療にはどのような方法があるのか解説します。
カウンセリング
PMSで精神的症状が強くみられる場合は、カウンセリングによる治療を行います。
カウンセリングでは「認知行動療法」という治療方法がとられるのが一般的です。自身の不安を理解し、対処方法を学ぶことで不安を和らげます。
特に精神的症状がきついという人は、話を聞いてもらうだけでも精神的な負担が軽減し、症状が緩和することがあります。
低用量ピルの処方
身体的・精神的な症状が強い場合は、特に生理前のホルモンバランスの変動が激しいことが考えられます。
この場合はホルモンバランスの変動抑制効果のある「低用量ピル」が処方されることが多いです。ホルモンバランスを整え、体と心に現れる症状全般を和らげます。
なお、低用量ピルには種類があり副作用が出ることもあるため、体質によって合う・合わないがあります。服用の際は医師と相談しながら体に合う低用量ピルを探していく形になるでしょう。
PMS治療に用いられるピルの種類 |
ルナベル、ルナベルULD、ヤーズフレックス配合錠、ヤーズ配合錠等 |
▼PMSの際のピルの服用については、次の記事でも解説しています。
PMSはピルで改善するの?服用における注意点や購入方法を解説
漢方薬の処方
PMSの治療では漢方薬を用いることもあります。
漢方薬は直接症状に作用するものではありませんが、副作用を抑えながら体質を改善して緩やかに体調を整えてくれるものです。
細かな症状にあわせて組み合わせて処方ができるため、体質にあわせた治療が行えます。
PMS治療に用いられる漢方薬の種類 |
当帰芍薬散、五苓散料、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、加味逍遥散、女神散、抑肝散等 |
抗うつ剤の処方
PMSの精神的症状に対しては、症状を和らげるために抗うつ薬を服用する選択肢も視野に入ってきます。
心のバランスを崩しやすい生理前の6日間だけ抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を使用することで症状を和らげます。
なお、精神的症状が重い場合は別途に心療内科もしくは精神科にも受診して、処方を受けるケースもあります。
PMS治療に用いられる抗うつ薬の種類 |
レクサプロ、ジェイゾロフト(セルトラリン)、パキシル等 |
PMSの改善でよくある疑問
ここからは、PMSの改善について板橋中央総合病院の医長である阿部 一也医師に回答していただきました。