PMSで胸が痛い理由を徹底解説。対処法や受診の目安も紹介
PROFILE
1 PMSで胸が痛いのはなぜ?
2 PMSで胸が痛い時の対処法
3 PMSで胸が痛い時の受診の目安
4 PMSによる胸の痛みの発生を抑える方法
5 PMSの胸の痛みに関するよくある疑問
6 まとめ:PMSによる胸の痛みを軽減するための生活習慣
PMSで胸が痛いのはなぜ?
PMSではブラジャーがきつくなったり、胸が揺れたりすると痛みを感じる人も多いです。
なぜ胸が痛むのか原因がわからないと不安だと感じる人も多いでしょう。PMSで胸が痛い原因は、以下のようなものが考えられます。
● 胸の水分量が増加し圧迫されるから
● ホルモンに乳腺が刺激されるから
胸の痛みの原因を理解することで、不安を和らげることができます。それぞれ詳しく解説します。
胸の水分量が増加し圧迫されるから
生理前はプロゲステロンの分泌の増加により、乳腺の発達を促進し、乳腺間に水分が溜まります。これにより、胸が張って圧迫感や痛みを感じることがあります。プロゲステロンは基礎体温の上昇や子宮内膜の調整にも関与しており、これらの変化が生理前の身体の不快感に影響を与えることがあるのです。生理以外の時期にも胸の張りや痛みが続く場合は、他の健康問題の可能性があるため、医療機関で相談しましょう。
ホルモンに乳腺が刺激されるから
脳から分泌されるホルモンのプロラクチンは、乳腺の発達と乳汁産生に重要な役割を果たします。通常、授乳期に高まるこのホルモンは、PMSの期間にも増加し、乳腺の成長を促進します。
しかし、プロラクチンが過剰に分泌されると、胸の張りや痛みを強く引き起こすことがあるのです。この過剰分泌は、特定の薬剤の副作用や甲状腺機能の低下等によって生じることがあります。そのため、医療機関での検査を受ける際には、現在服用している薬について医師に詳しく伝えることが重要です。
胸の張りや痛みは、PMSだけでなく他の疾患のサインである可能性もあるため、症状が持続する場合は迅速な医療相談が重要です。このようにPMSにおける胸の痛みは、女性ホルモンの変動に密接に関連しており、適切な理解と対応が必要です。
PMSで胸が痛い時の対処法
PMSで胸が痛い時、すぐに実践できる対処法は、以下のとおりです。
● 普段よりも大きめの下着をつける
● 市販薬で痛みを和らげる
● マッサージで血行をよくする
それぞれ詳しくみていきましょう。
普段よりも大きめの下着をつける
PMSの期間にはプロゲステロンの作用でバストサイズが増加することがあります。このため、PMSの期間は普段よりも大きめの下着を選ぶことがおすすめです。具体的にはワイヤー入りのブラジャーを使用している場合、ノンワイヤータイプや一回り大きいサイズに替えることで、胸の締め付け感を軽減し、快適さを保つことができます。
またナイトブラを活用するのもおすすめです。ナイトブラは日中使用するブラジャーとは異なり、サイズの選択肢が少なく、通常S、M、Lの3つのサイズのみです。またナイトブラは伸縮性に富んだ素材で作られており、リラックスして着用できるよう設計されています。そのため、ナイトブラは体にフィットしつつも、よりゆったりとした快適な着心地を提供しています。自宅にいる時間は、就寝時間に限らずナイトブラを活用することで、締め付け感を軽減できるでしょう。このような対策をとることによって、PMS期間の胸のハリや不快感を和らげる助けとなります。
市販薬で痛みを和らげる
授乳や妊娠をしていない場合、PMSによる胸の張りや痛みには市販の鎮痛剤を利用することで体が楽になることがあります。また、漢方薬やカルシウム、ビタミンB6、マグネシウムを含むサプリメントも胸の張りを和らげるのに有効です。市販薬を試しても症状が改善しない場合、規則正しい生活習慣を心がけつつ、医療機関での相談を検討しましょう。
マッサージで血行をよくする
生理前の胸の張りや痛みは、リンパ液や血液の流れを改善することで軽減できる可能性があります。胸周りのマッサージは、リンパ液や血液の流れを促進し、老廃物の排出を助ける効果が期待できます。胸の張りや痛みを緩和するための具体的なマッサージ手法は、以下のとおりです。1つの動作は3秒〜5秒程度、左右交互に行いましょう。
1. ブラジャーのワイヤー部分に沿って、親指で胸を内側へ移動させながら乳腺をマッサージします。
2. 両手をにぎり、ブラジャーのワイヤーの形に沿いながら優しくなでるようにして老廃物を流します(3回~5回)。
3. 手を熊手状にして、ブラジャーのワイヤーに沿って大胸筋から胸をはがします。
4. 鎖骨の下を握りこぶしで押し付けながら回すようにマッサージします。
5. 脇の下をしっかりと掴みながらもみ、リンパ液の流れを良くします。
6. 片腕を上げ、脇の下のへこみがある部分を軽く揺らします。
7. 片方の手で胸を持ち上げ、もう一方の手でアンダーバストや谷間をマッサージします。
8. 握りこぶしで、脇の下から胸の下まで外側から内側に向かって押し付けて回すようにマッサージします。
このマッサージは特に入浴後等体が温まっている時に行うと効果的です。しかし、強すぎる圧をかけたり、長時間過度にマッサージしたりして、やりすぎると逆効果になることがあるため、注意が必要です。やりすぎてしまうと体の組織にストレスを与え、痛みや不快感を引き起こす可能性があります。心地よい強さと時間で行い、自分の体の反応をよく観察することが重要です。
PMSで胸が痛い時の受診の目安
PMSで胸が痛い時「どの程度の痛みの時に医療機関を受診すればよいのだろう」と思う人も多いのではないでしょうか。受診の目安となる症状は、以下のとおりです。
● 生理が終わっても痛みが続く
● 血液が混ざったような分泌液がある
● 腫れやしこりがある
上記の症状について、それぞれ詳しく解説します。
生理が終わっても痛みが続く
生理前に起こる胸の張りや痛みは、プロゲステロンというホルモンの影響によるものであり、PMSの症状の1つです。通常、生理が始まるとこれらの症状は自然と軽減します。しかし、生理が終わっても胸の痛みが続く場合、それは単なるPMSの範囲を超え、乳腺の病気の兆候である可能性があります。このような症状が持続する場合は、医療機関での相談や診察を検討しましょう。
血液が混ざったような分泌液がある
乳頭からの分泌液が透明や白濁色の場合は一般的ですが、血液が混ざっているような分泌液がある場合は注意が必要です。このような症状は乳管内乳頭腫や乳がん等の可能性があり、医療機関での詳しい検査が推奨されます。血液が混ざったような分泌液がある場合、胸のハリや痛みも、プロラクチンの過剰分泌が原因である可能性があるため、服薬状況を医師に伝えることも重要です。専門機関に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
腫れやしこりがある
胸の痛み、腫れ、またはしこりがある場合、これらはホルモンの変動によって乳腺が膨張し、その結果神経が刺激されることが原因で起こることがあります。特に生理前のホルモンの変動は、これらの症状を引き起こしやすいとされています。これらの症状はPMSの症状の1つとして見られることが多いですが、他の病気が潜んでいる可能性もあるのです。乳房の痛みと同時に胸が赤く腫れ、しこりを伴う疾患としては、乳腺炎や乳腺線維腺腫、乳がん等が挙げられます。痛みのみならず、乳房の腫れやしこりがあり、不安を感じる場合は専門医に相談しましょう。
PMSによる胸の痛みの発生を抑える方法
PMSによる胸の痛みの発生を抑える方法は、以下のとおりです。
● 普段の生活リズムを整える
● 栄養バランスのよい食事を心がける
● アルコールの過剰摂取を避ける
● 日頃から適度に体を動かす
すぐに実践できるものが多いため、ぜひ参考にしてみてください。
普段の生活リズムを整える
普段の生活リズムを整えることは、PMSに伴う胸の痛みを含む不快な症状を和らげるのに役立ちます。規則正しい生活はホルモンバランスを整え、PMSの影響を軽減できます。これには、十分な睡眠を確保することが大切です。成人の場合、一般的に6〜7時間前後の睡眠時間が目安です。ただし睡眠時間は季節や年齢によって変動するため、睡眠時間の長短にはこだわらなくても問題ありません。5時間未満の短時間睡眠の人や10時間以上の睡眠が必要な人もいます。睡眠時間にこだわり過ぎるとかえって不眠に陥ることがあったり、睡眠が浅くなったりすることがあります。そのため、睡眠は体が必要としている時間を意識し、自分に合った規則正しい生活を送れるようにするとよいでしょう。
栄養バランスのよい食事を心がける
胸の痛みを含むPMSの症状を緩和するためには、栄養バランスの良い食事を心がけることが重要です。特に効果がある主な栄養素はビタミンB6、カルシウム、マグネシウム、ビタミンEの4つです。これらの栄養素を含む食べ物や、効果をみていきましょう。
栄養素 | 含有食品 | 効果 |
---|---|---|
ビタミンB6 | カツオ、マグロ、レバー、バナナ | たんぱく質分解、エネルギー変換、神経伝達物質合成 |
カルシウム | いわしの丸干し、しらす干し、干しえび、牛乳、ヨーグルト、チーズ、モロヘイヤ、小松菜 | 骨や歯の健康、筋肉の収縮と弛緩の調整 |
マグネシウム | ナッツ類、さば、いわし、玄米、そば、わかめ、昆布、大豆 | 神経伝達の正常化、筋肉の動きの調整 |
ビタミンE | ブロッコリー、かぼちゃ、モロヘイヤ、赤ピーマン、アーモンド、ピーナッツ、いくら、たらこ、うなぎ、はまち | 神経の伝達に関与、精神不安定の改善 |
バランスの取れた食事を心がけることで、これらの栄養素を摂取できるといえます。また果物や野菜、牛乳、低脂肪の肉等をバランス良く摂取し、外食を減らして塩分摂取量を抑えることで、むくみを予防することも可能です。
アルコールの過剰摂取を避ける
生理前には、アルコールの摂取に注意が必要です。PMSの期間はプロゲステロンやエストロゲンという女性ホルモンが増加するため、肝臓でのアルコール代謝が遅くなり、お酒に酔いやすくなります。これにより、二日酔いやむくみが生じやすくなるため、生理前はお酒の量を控えめにすることがおすすめです。またスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学の研究によると、アルコール摂取はPMSのリスクを高めることが示されています。したがって、生理前は特にアルコールの過剰摂取を避け、バランスの良い食生活を心がけることが重要です。
参考:BMJ Open
日頃から適度に体を動かす
日常的に適度な運動を行うことは、PMSの症状を軽減するのに役立つと言われています。適度な運動量とは、週に合計60分、ややハードな有酸素運動を実施することです。この運動は、呼吸が早くなり、軽い汗をかく程度の強度で行います。
例えば週に3回20分ずつ、または週に2回30分ずつの運動をするか、平日に時間がない場合は週末に60分間の運動をするのがよいでしょう。具体的な運動方法はウォーキング、エアロビクス、水泳等が挙げられます。
全身運動は血行を改善し、リラックス効果をもたらします。体調が辛い時期には無理をせず、散歩等の手軽な運動から始め、ストレッチやヨガ等自分に合った運動を継続することが重要です。
適度な運動は、日々のストレスを減らし、全体的な心身の健康につながります。
PMSの胸の痛みに関するよくある疑問
PMSの胸の痛みに関してよくある疑問は、以下のとおりです。
● PMSの胸の痛みは何日間続く?
● 低用量ピルの服用で胸の痛みは悪化する?
● 乳がんは痛みを感じないのは本当?
疑問を解消することで不安を和らげることができるでしょう。それぞれ詳しく解説します。
PMSの胸の痛みは何日間続く?
生理前の1週間ほどで、プロゲステロンの分泌が増え、乳腺の発達を促すことにより胸の張りや痛みが生じます。この症状は生理が始まる2〜3日前に最も強くなる傾向がありますが、生理が始まると徐々に軽減します。このような胸の張りや痛みは通常、病気ではなく、PMSの一部です。しかし生理が始まっても胸の痛みが続く場合は、他の健康上の問題が原因である可能性があるため、医療機関の受診を検討してみましょう。
低用量ピルの服用で胸の痛みは悪化する?
低用量ピルの服用は、ピルに含まれるホルモンの影響によって胸のハリや痛みを引き起こす副作用がある可能性があります。多くの場合、継続的な服用によりこれらの症状は数カ月以内に改善されることが一般的ですが、症状が長引く場合や心配な点がある場合は、医師に相談してピルの種類を変更することを検討するとよいでしょう。また、市販薬を服用する場合は、既存の薬との相互作用を避けるために医師や薬剤師に相談することが重要です。
乳がんは痛みを感じないのは本当?
乳がんの初期段階では、ほとんど痛みが伴わないことが一般的です。多くの乳がんの場合、初期症状として乳房のしこり、乳頭からの異常な分泌物、乳頭のただれ等が見られますが、痛みは感じられないことが多いです。ただし、乳がんが進行すると痛みが生じることもあります。痛みがないからといって安心せず、乳房に異常を感じた場合は早めに医療機関に相談することが重要です。乳がんは早期発見が治療の成功に大きく影響します。痛みがない場合でも、他の症状に注意し、定期的な検診や医療機関で検査を受けることが推奨されます。
まとめ:PMSによる胸の痛みを軽減するための生活習慣
普段からの生活習慣がPMSによる胸の痛みを軽減するポイントです。バランスの取れた食事を心がけ、ビタミンB6、カルシウム、マグネシウム等の栄養素を意識的に摂取することが大切です。また適度な運動も重要で、ウォーキングや水泳等の全身運動は血行を促進し、リラックス効果も期待できます。生活リズムを整え、ストレスを適切に管理することで、PMSによる不快な症状を和らげることが可能です。このように、日々の小さな習慣が、PMSの症状を軽減するために重要だといえます。体調に不安がある場合には、無理をせず医療機関の受診も検討しましょう。