マグネシウムでPMSは改善できる?摂取方法や栄養素を解説
PROFILE
1 PMS緩和にはマグネシウムの摂取がおすすめ
2 マグネシウムで改善が期待できるPMSの症状
3 マグネシウムの多い食べ物
4 PMSの症状に効果のあるその他の栄養素
5 PMSの症状が軽減されない場合の対処法
6 まとめ:マグネシウムの摂取でPMSの日々がストレスフリーになる
PMS緩和にはマグネシウムの摂取がおすすめ
マグネシウムの摂取はPMSに伴うさまざまな症状の緩和に効果的です。女性の体内では、マグネシウムがホルモンのバランスを保つのに役立ち、PMS期間中の不快な症状を軽減します。生理周期におけるホルモンの変化に伴う身体的、精神的ストレスに対処するため、マグネシウムを豊富に含む食品を意識的に摂取することが推奨されています。
女性の体とマグネシウムが具体的にどのような関係性なのか、詳しくみていきましょう。
女性の体とマグネシウムの関係
女性の体では、生理周期に伴うホルモンの変動が起こります。特に排卵後から次の生理までの期間は、ホルモンバランスの変化により、多くの女性が体調の不安定さを経験しています。この時期には、プロゲステロンというホルモンの影響でエネルギー消費が増加し、結果としてビタミンやミネラルが不足しがちになります。
マグネシウムはミネラルの一種で、PMSに関連するさまざまな症状、例えばイライラや不安感、頭痛、腹痛等を緩和する助けとなります。このため、PMSの時期にはマグネシウムの摂取が特に推奨され、女性の体と心のバランスを支える上で重要な役割があるといえます。日常的な食事を通じて、またはサプリメントとしてマグネシウムを摂取することで、PMSの症状緩和に役立ちます。
PMSとマグネシウムの関係
PMSによって生じるさまざまな不快な症状は、女性ホルモンが大きく影響していると考えられています。
マグネシウムは女性ホルモンの分泌を促す働きがあるため、マグネシウムが不足するとPMSの症状を引き起こしやすくなります。したがって、マグネシウムを適切に摂取することで、ホルモンバランスを整え、PMS症状を緩和することが期待できるといえるでしょう。これにより、生理前の不快な症状を軽減し、日常生活の質を向上させることが可能になります。
マグネシウムで改善が期待できるPMSの症状
PMSは、多くの女性に影響を与える一連の症状です。これには精神的な不安定さ、下腹部の痛み等が含まれます。マグネシウムの摂取は、これらのPMSの症状を緩和する可能性があります。具体的には、以下のような症状を改善できる可能性が高いです。
● 便秘の改善:マグネシウムは腸の動きを活性化させ、便秘を緩和する効果がある
● 下腹部痛の緩和:マグネシウムは筋肉の収縮を調節し、PMSに関連する下腹部痛を軽減する
● 精神の安定:ストレスや情緒不安定さを和らげる効果があり、PMS期間中の心のバランスをサポートする
これらの効果について、さらに詳しく解説します。
便秘の改善
マグネシウムが不足すると、腸の働きが弱まることから、便秘につながりやすくなります。酸化マグネシウムは、一般的な便秘薬としても知られており、便の水分を増やして軟らかくし、排便をスムーズにする効果があるのです。さらに、酸化マグネシウムは重要なミネラルであるマグネシウムの一形態でもあるため、排卵後に適度に摂取することで、排卵後にだけ便秘症状が出る人にも効果的です。
下腹部痛の緩和
マグネシウムは、PMSに関連する下腹部痛を和らげるのに役立ちます。マグネシウムは筋肉の正しい動作に必要で、特に子宮の筋肉の収縮を調節します。マグネシウムが不足すると、子宮の筋肉が過度に収縮し、血流が悪化することで痛みが生じます。PMS期間中はもちろん、日常の食事で適量のマグネシウムを摂取することにより、これらの症状の緩和を期待することができます。
精神の安定
PMSの期間中は、ストレスが女性ホルモンに影響を与え、PMSの症状を悪化させるため、多くの女性はイライラや理由もなく落ち込む等の精神的な不調を感じることがあります。
このような心の不調には、カルシウムとマグネシウムの摂取が効果的です。マグネシウムは骨にも多く存在し、筋肉の動作や神経伝達の正常化にも効果を発揮します。これらの栄養素は、イライラを鎮め、精神的な安定を促す作用があるとされています。そのため、ストレスを自覚し、これらの栄養素を意識的に摂取することで、PMSに伴う精神的な不調を和らげることが期待できるのです。
マグネシウムの多い食べ物
マグネシウムを多く含む食べ物は、以下のとおりです。
● ナッツ類
● 大豆製品
● 魚類
マグネシウムの1日の摂取量は成人女性でおよそ290mgが理想です。しかしマグネシウムが足りている女性は約20%しかいないと言われています。マグネシウムが不足してしまうと、PMSの症状の悪化以外にも、骨の形成不全や骨粗しょう症、精神疾患、不整脈、心疾患等を引き起こすことが知られています。
そのため、これらの食べ物を積極的に摂取することで、PMSの改善に加えて、その他の病気予防にもつながる可能性が高いといえるでしょう。
通常の食事でマグネシウムを過剰に摂ることはまれです。健康な人の場合、体は不要なマグネシウムを腎臓を通じて排出します。しかし、サプリメントや医薬品を利用して過剰にマグネシウムを摂取すると、下痢等の副作用が生じるリスクがあるため注意しましょう。
マグネシウムを多く含む食べ物を、それぞれ詳しく解説します。
参考:北堀江アクア鍼灸治療院
ナッツ類
ナッツ類、特にアーモンドやごま、くるみはマグネシウムが豊富で、PMSの症状緩和に役立ちます。100gあたりアーモンドは290mg、ごまは370mg、くるみは150mgのマグネシウムを含んでいます。間食としてそのまま食べたり、料理に加えたりすることで簡単に摂取が可能です。ビタミンEも豊富なため、PMS時の気分の不安定に対しても効果が期待されます。日常の食事にこれらのナッツ類を取り入れることで、栄養価が高く、心身の健康をサポートする食生活を実現できます。
食品名 | マグネシウム含有量 (mg) |
---|---|
ごま | 370mg |
アーモンド | 290mg |
くるみ | 150mg |
大豆製品
大豆製品はマグネシウムを豊富に含んでおり、日々の食事に取り入れることが推奨されます。
さらに、大豆イソフラボンはエストロゲンに似た効果を持ち、ホルモンバランスの調整にも繋がります。例えば、100gあたりきなこには260mg、糸引き納豆には100mg、がんもどきには98mgのマグネシウムが含まれています。これらの食品を日々の食事に組み込むことで、PMSに伴う不調を和らげる助けとなるでしょう。
食品名 | マグネシウム含有量 (mg) |
---|---|
きなこ | 260mg |
糸引き納豆 | 100mg |
がんもどき | 98mg |
魚類
マグネシウムは魚介類にも豊富に含まれている栄養素です。近年、日本では食文化が欧米化し、肉の消費が増えています。これは肉の価格や調理のしやすさ等が影響しているためです。しかし、マグネシウムを効果的に摂取するためには、魚介類の摂取を増やすことが望ましいです。特に、いわしやさば、しらす等はマグネシウムが豊富で、女性ホルモンの働きをサポートするビタミンB6も含まれています。100gあたり、いわしは丸干しで110mg、さばは焼きで34mg、しらすは半乾燥品で130mgのマグネシウムを含みます。また、わかめやのり等の海藻類も日々の食事で取り入れやすい、マグネシウムが豊富な食品の一種です。
食品名 | マグネシウム含有量 (mg) |
---|---|
いわし(うるめいわし丸干し) | 110mg |
さば(まさば焼き) | 34mg |
しらす干し(半乾燥品) | 130mg |
PMSの症状に効果のあるその他の栄養素
マグネシウム以外にも、PMSの症状に効果のある栄養素は存在します。
PMSの症状に効果のあるその他の栄養素は以下のとおりです。
● カルシウム
● ビタミンB6
● トリプトファン
それぞれの効果や1日の摂取量の目安等を詳しく解説します。
カルシウム
カルシウムは、脳の興奮を抑え、ストレスによるイライラを軽減することに役立ちます。特にPMSの間にカルシウムを摂取することで、情緒的な安定につながる可能性があります。30代から40代の女性に推奨される1日のカルシウム摂取量は、約660mgです。カルシウムが豊富な食品には、以下があげられます。
1. 乳製品
2. 魚
3. 小魚
4. 干しエビ
5. チーズ
日々の食事では、これらの食品をバランスよく摂取することを心掛けてみましょう。
ただしカルシウムを過剰に摂取すると、健康に様々な問題が生じる可能性があります。これには高カルシウム血症や泌尿器系結石等が含まれ、他のミネラルの吸収を妨いでしまうこともあります。一般的な食事ではカルシウムを摂りすぎることは珍しいですが、カルシウムを強化した食品やサプリメントを使う際には摂取量に注意しましょう。
ビタミンB6
ビタミンB6は、むくみや貧血を予防する効果があります。また、ビタミンB6はPMSによる情緒不安定やイライラの症状の軽減にも役立ちます。30代から40代女性の1日のビタミンB6推奨量は、約1.1mgです。ビタミンB6が豊富な食品は、以下のとおりです。
1. バナナ
2. 鶏肉
3. レバー
4. まぐろ
5. かつお
これらの食品を日常の食事に取り入れることで、PMS期間中の心身の健康をサポートできます。ビタミンB6の不足は、皮膚炎や口内炎等の症状、貧血、リンパ球の減少等を引き起こすことがあるため、推奨量を摂取できるようにしていきましょう。
トリプトファン
トリプトファンは、幸せホルモンであるセロトニンの産生を助けるアミノ酸です。セロトニンは気分の調整に重要な役割を果たすため、トリプトファンが豊富な食品を摂取することで、PMSに伴う情緒不安定やうつ症状の軽減が期待できます。トリプトファンが含まれる食品には、以下があげられます。
1. バナナ
2. 豆類
3. 乳製品
4. 米
5. ナッツ類
6. ヨーグルト
特にナッツ類には、トリプトファンに加えてマグネシウムも豊富に含まれているため、積極的に摂取したい食べ物といえます。
PMSの症状が軽減されない場合の対処法
食生活を改善してもPMSの症状が軽減されない場合は、以下の対処法を実践してみましょう。
● ストレス解消法をみつける
● 日光を浴びながら体を動かす
● 医療機関を受診する
それぞれ詳しくみていきましょう。
ストレス解消法をみつける
PMSの症状は、特にストレスが強い時に悪化する傾向があります。そのため、ストレスを軽減する方法を見つけることが重要です。例えば深いリラクゼーションを得るための方法として、入浴でしっかり体を温めることがおすすめです。その際、のぼせたり湯冷めしたりすることを防ぐためにも、お風呂のお湯は38度〜40度が適切です。これは身体を温め、リラックスさせる効果があります。
また、しっかりとした睡眠は脳と体の回復に役立ち、PMS症状の軽減にも繋がります。睡眠時間は個人差がありますが、一般的に約7時間が理想と言われています。さらに、ブルーライトは脳に過剰な刺激を与えてしまうため、寝る前にはスマホやテレビの使用を控え、寝室の温度を適切に保つことも重要です。寝室の適切な温度は季節によって異なり、夏は25度〜27度、冬は15度〜18度になるように設定するのがおすすめです。
アロマテラピーもストレス軽減に効果的です。リラックス効果のあるラベンダーやローマンカモミール、女性ホルモンのバランスに良いローズやゼラニウム、リフレッシュ効果の柑橘系等、気分や好みにあわせて選ぶと良いでしょう。ディフューザーを使ったりティッシュにアロマをつけたりすることで、気軽に芳香浴を楽しめます。
日光を浴びながら体を動かす
朝日を浴びることには、心身の健康に対する多くのメリットがあります。特にセロトニン、いわゆる「幸せホルモン」の生成を促進し、心の安定と気分の向上に役立ちます。
また、朝の光は体内時計を調整し、日中の活動リズムを整える効果があるため、朝の運動は健康的な1日のスタートを切るのに最適です。朝の散歩、ヨガ、ストレッチ等は、身体を穏やかに動かしながらリラックスを促し、ストレスを軽減し、全体的な気分を高める効果が期待できます。
さらに、朝の運動は睡眠の質を改善し、日中の集中力を高める効果もあります。日光を浴びることでビタミンDの生成も促進され、骨の健康にもつながります。
ただし体調が優れない時は、無理に運動せず、休息を取ることが大切です。日光浴だけでも効果があるため、体調と相談して決めるとよいでしょう。
医療機関を受診する
PMSによるイライラや他の症状で悩む人は、適切な診断と治療のために医療機関を受診しましょう。医師は問診や検査を通じて、イライラの原因がPMSか他の病気かを判断し、個々の症状に応じた治療計画を立てます。治療にはカウンセリング、生活習慣の見直し、運動指導、ピル、漢方薬、抗うつ薬などを使用した薬物療法等が含まれることがあります。
特に、PMSが日常生活に大きな影響を及ぼしている場合やPMDDの症状がある場合は、専門的なアプローチが必要です。1人で辛い状態を抱え込まずに、専門家のサポートを受けることで、症状の緩和が期待できます。また、症状の詳細や発生時期をメモしておくと、医師に状況をより正確に伝えることができます。
まとめ:マグネシウムの摂取でPMSの日々がストレスフリーになる
マグネシウムを摂取することでPMSの改善に期待できます。マグネシウムは日々の食生活を意識するだけで、女性が1日に必要なおよそ290mgの摂取ができるでしょう。
また他の栄養素と組み合わせることで、さらに効果が期待できます。そのため、マグネシウム以外の栄養素も意識するとよいといえます。
食事改善で効果が実感できない場合には、ストレス解消法の実践や積極的に日光を浴びる等、食事以外の対処法にも、目を向けてみるのも大切です。
それでもPMSが辛いと思う時には、辛い状態を我慢せず医療機関を受診しましょう。
無理をしてしまうとストレスが溜まってしまいます。身体だけでなく心の健康にも気を配り、無理をしないようにしましょう。