生理中に腰が痛い…!原因と今すぐできるセルフケア&対処法

PROFILE


1 生理中の腰痛の原因
2 生理中の腰痛をやわらげるセルフケアと対処法
3 生理中の腰痛を予防する生活習慣
4 【注意したい症状】生理中の腰痛には病気が隠れているケースも
5 生理の腰痛に関するよくある質問
生理中の腰痛の原因
生理中の腰痛はホルモンの影響や血行不良等さまざまものが関係しています。改善の必要性を理解するために、まずは原因について見ていきましょう。
ホルモンの影響による子宮収縮・骨盤周辺の緊張
起こります。プロスタグランジンは子宮を収縮させて経血を排出させますが、量が多いと痛みや血行不良、冷えを引き起こし、腰痛が悪化します。リラキシンは骨盤の関節を緩める働きがあり、経血を出しやすくしますが、その結果、筋肉や神経に負担がかかり腰痛を引き起こすことがあります。
子宮の収縮による放散痛
生理で子宮収縮が起きると、「放散痛」として腰痛がみられることがあります。放散痛とは、痛みの原因部位とは離れた場所が痛む現象です。人体の中の神経はつながっているため、痛みが神経を辿り、異なる場所で痛みを感じる場合があります。
放散痛は他の病気でも起こるものですが、女性は生理で経験する方も少なくありません。子宮収縮による放散痛の場合、主に腰あたりや肛門側に痛みを自覚するとされています。なお、ひどい痛みが定期的にある場合は子宮内膜症等も疑われるため、注意が必要です。
冷えや血行不良による腰痛の悪化
生理中の腰痛は、冷えや血行不良によって悪化することがあります。特に長時間のデスクワークや薄着などで体が冷えると、痛みが強くなる傾向があります。生理中はホルモンの影響で血管が収縮し、骨盤周辺の血行が悪くなりやすいため、腰痛を和らげるには体を温め、血行をよくすることが大切です。
月経困難症
日常生活に支障を来すほどの腰痛や腹痛がある場合、「月経困難症」が原因の可能性も考えられるでしょう。月経困難症」は、腰痛以外にも吐き気や頭痛がみられ、日常生活を送るのが難しくなるほど強い症状が現れます。
なお、「月経困難症」には、子宮や卵巣の病気が原因の「器質性」と、明確な原因疾患がない「機能性」があり、それぞれで対処法が異なります。症状緩和のためには、産婦人科で原因を調べ、適切な治療が必要です。
▼ひどい生理痛の原因や対処法は、こちらの記事でも詳しく説明しています。
生理痛がひどいときはどうする?原因や対処法をわかりやすく解説
生理中の腰痛をやわらげるセルフケアと対処法
生理中の腰痛はさまざまなセルフケアによって症状をやわらげることができます。ここからは、気になる腰痛の対処法を詳しく見ていきましょう。あるので、詳しく確認しましょう。
体を温める
生理痛の腰痛をやわらげるには、まず体を温めることを重視し、冷えや血行不良を防ぎましょう。この際に意識することは体の内と外の両方から温めることです。
ブランケットや腰巻き、カイロや湯たんぽを活用し、外から腰回りを温めてみてください。痛む場所を温めることで筋肉の緊張もほぐれ、痛みがやわらぐ可能性があります。
入浴でじっくりと体を温めることもおすすめです。体の内側が温まるため、血行不良が改善されやすくなります。もし入浴に抵抗がある方は、足湯をするのも良いでしょう。足を温めることでも血行不良の改善が期待できます。
ストレッチや軽い運動

生理の腰痛予防には、ストレッチまたは軽い運動も効果的です。体を動かすことで血行が促進し、生理中の腰痛緩和に役立ちます。生理中はどうしても運動を避けがちですが、無理のない範囲で体を動かすことで痛みの軽減につながることもあります。
生理中におすすめの運動としては、散歩やヨガ・ストレッチといった比較的負荷の軽いものです。散歩は有酸素運動なため、20~30分ほど歩くだけでも体に新鮮な酸素を取り込むことができ、血行不良を改善してくれます。
また、自宅から動くのが難しい方はヨガやストレッチを取り入れてみましょう。症状がつらいと体を動かすのもおっくうですが、少し体を動かすことで症状が悪化しにくくなります。
骨盤ベルトやサポーター
生理による腰痛がつらいときは、骨盤ベルトやサポーターを活用するという選択肢があります。根本解決にはなりませんが、ホルモンの影響によって緩んでしまった骨盤を安定させてくれるため、痛みを緩和してくれる可能性があります。
ただし、使用する骨盤ベルトやサポーターが体に合わない場合もあるため、もし試して逆に腰痛や腹痛がひどくなる場合は使用を中止しましょう。
鎮痛剤
生理による腰痛・腹痛の症状がつらい場合は、鎮痛剤で症状を緩和させましょう。痛みが強い場合は体と心の健康のためにも、鎮痛剤をうまく活用することが大切です。
なお、生理痛を緩和したい場合は、「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」や「アセトアミノフェン」で構成された鎮痛剤がおすすめです。生理痛の原因物質である「プロスタグランジン」の生成を抑え、痛みを軽減してくれます。
ただし、「プロスタグランジン」の分泌は抑制しかできないため、多く分泌されてからだと痛みが緩和しにくいことがあります。鎮痛剤は早めに服用するようにしましょう。
生理中の腰痛を予防する生活習慣
日常生活で体を動かすことや食生活を気遣うことは、生理中の腰痛予防に効果的です。ここでは今すぐ始められる生理中の腰痛予防法について詳しくご紹介します。
骨盤底筋を鍛えるエクササイズ
生理中の腰痛予防として、骨盤の下にある「骨盤底筋」という筋肉を鍛えておきましょう。骨盤底筋は骨盤を支えるための筋肉です。この筋肉が弱ってしまうと内臓の働きや血流を悪くさせてしまうため、鍛えておくだけで血行不良等の予防につながります。
▼生理中の予防に役立つ、ホルモンバランスを整える骨盤矯正トレーニングは、次の記事で紹介しています。ぜひ日々の中で取り入れてみてください。
今すぐ挑戦!PMS対策におすすめの骨盤矯正トレーニング3選
体を冷やさない食生活と服装の工夫

腰痛を悪化させる「冷え」を防ぐため、普段の食生活や服装を体を温めるものに切り替えていきましょう。普段の体温が上がることで、生理になったときの腰痛軽減が期待できます。
具体的には、口にする食べ物や飲み物は、温かいもの・体を温める効果があるものを意識すると良いでしょう。
例えば、飲み物ならリラックス効果があるホットハーブティーやホットミルク。食べ物は体を温める効果がある「生姜」を加えた鍋やスープ等がおすすめです。
また、服装選びでは肌着や靴下等を活用し、極端に下半身を冷やしすぎないよう意識しましょう。
月経リズムに合わせた無理のない過ごし方
月経リズムにあわせ、無理のない過ごし方を心がけるのも一つの方法といえます。生理による体調不良は緩和できても、根本的な解決をするのが難しいです。
本調子の時のように動き回るより、調子が悪い時は体にあわせ、いつもより力を抜いて過ごすほうが体にも心にも負担がかかりません。例えば月経周期に重なる期間は外出スケジュールを避けたり、仕事量を調整していつもよりゆとりある時間をつくりましょう。
仕事の場合は、生理休暇を取得するのも検討してみてください。
【注意したい症状】生理中の腰痛には病気が隠れているケースも
生理中に起きる腰痛は珍しくありませんが、中には病気が隠れているケースもあります。特に痛みが強い、精神的な症状を定期的に強く自覚する方は注意が必要です。
ここからは生理痛等との区別が難しく、見過ごされやすい病気について解説します。
我慢できないほどの痛みが毎回続く場合
生理の度に強い下腹部痛があるときは、子宮内膜症や子宮腺筋症などの疾患が隠れている可能性もあります。
子宮内膜症:子宮の内側にあるはずの子宮内膜が、卵巣や腹膜など子宮の外側にできてしまう病気。治療法はピルなどによる薬物療法や手術による子宮内膜除去など。
至急腺筋症:子宮内膜に似た組織が、子宮の筋肉の中に入り込んで増殖してしまう病気。治療法はピルなどを使用した薬物療法や、手術での病巣切除、子宮摘出など。
腰痛以外の症状もあるとき
下腹部ではなくおへそ付近の痛みを来すこともあり、その場合はおへそ部分に子宮内膜症が起きている可能性があります。また胸の痛みを伴う場合では気胸などの可能性もあります。腰や下腹部以外の部分が痛む場合や、発熱などがあれば受診してください。
考えられる婦人科系疾患
子宮内膜症や子宮腺筋症以外に生理中に腰が痛くなる病気には、そのほかにも子宮筋腫が考えられます。子宮筋腫でも過多月経が起きることが多く、それに伴う貧血や強い生理痛が起こりやすいです。また、骨盤内の癒着が強く起きてしまうと凍結骨盤という状態になり、腰の痛みが強くなる可能性があります。凍結骨盤の場合、月経時以外でも慢性的に腰や下腹部に痛みを感じることが多いです。
生理の腰痛に関するよくある質問
生理時の腰痛に悩んでいると、病院を受診すべきかどうか、症状が緩和することはあるのかなどいろいろなことが気になってくるでしょう。生理による腰痛に関するよくある質問に回答するので、疑問の解消に役立ててください。
受診の目安は?
生理にともなう腰痛で悩んでいるけれど、婦人科を受診すべき目安がわからない…このような場合は、痛みの程度で判断しましょう。
鎮痛剤を飲んでも痛みがなくならない場合は、婦人科を受診するのがおすすめです。また、生理のたびに痛みが強くなっていたり、日常生活に支障が出るほど痛みが激しかったりする場合も婦人科で相談してみてください。
腰痛の原因となる病気がある場合は、早めに婦人科を受診することで速やかに治療を始められます。原因となる病気がなくても腰痛を改善する手段を教えてもらえるため、痛みを我慢せずに相談してみましょう。
▼生理痛での婦人科受診の際の持ち物や検査内容をマンガで紹介しています。
【漫画で解説!】生理痛だけで病院に行ってもいいの?
出産したら生理痛や腰痛は軽くなる?
出産後に生理痛や腰痛が軽くなる人もいれば、重くなる人もいます。
出産後に生理時の腰痛が軽くなるのは、子宮口が広がるからです。出産を経験していない女性は子宮口が狭いケースが多いため、経血を排出しようとしてプロスタグランジンが多く分泌され、強い痛みが出てしまいます。出産を経験した女性は子宮口が広がるので、プロスタグランジンの分泌量が少なくても経血が排出され、腹痛や腰痛が軽く済むのです。また、子宮内膜症がある方は、妊娠・出産の期間に月経がなくなるため、子宮内膜症が軽快します。すると、子宮内膜症が原因で起こっていた腰痛は軽くなります。
一方、出産後に生理時の腰痛が重くなる女性は、ホルモンバランスの乱れや骨盤のゆがみ、ストレスなどが影響していると考えられます。出産すれば生理に伴う腰痛が必ずしも軽くなるわけではない点は、覚えておいてください。
更年期になると痛みは軽くなる?
更年期を迎えて生理にともなう腰痛が軽くなる人もいますが、重くなる人もいます。
更年期を迎えると女性ホルモンが低下し、同時に生理痛の原因であるプロスタグランジンの分泌量も減少します。そのため腰痛をはじめとする生理痛が軽くなる方が多いですが、若い頃よりも生理痛が重くなるパターンもゼロではありません。
更年期に腰痛が重くなる原因として考えられるのは、ホルモンバランスの乱れやストレスなどです。子宮や卵巣に病気が潜んでいる可能性もあるため、更年期に生理痛が悪化した場合は婦人科に相談しましょう。