生理が短い原因とは?出血が少ないと起きる問題や対処法を解説
PROFILE
1 生理の期間が短いのは過短月経
2 生理周期が短いのは頻発月経
3 生理が短い場合の原因
4 生理が短い場合の対策
5 生理不順に対して行われる治療法
6 生理が短い人から多く寄せられる質問
7 まとめ:生理期間が2日以下が続くなら病院へ相談
生理の期間が短いのは過短月経
健康な状態であれば生理で出血が起きる期間は3~7日、平均で5日間です。出血が起きる期間が2日程度と短い生理を「過短月経」と呼びます。
そもそも生理周期は、月経期、卵胞期、排卵期、黄体期という順に周期が繰り返されています。
周期 | 体に起きること |
---|---|
月経期 | 生理が起き、子宮内膜が剥がれ落ちて、経血として体の外に出る |
卵胞期 | 卵巣からエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌され、排卵の用意が始まる |
排卵期 | 卵子が卵胞から飛び出し、子宮へ向かう |
黄体期 | プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌で子宮内膜がさらに厚くなる |
これらの周期は女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが変動することで移り変わります。
しかし、女性ホルモンのバランスは繊細で、ストレスや生活習慣などさまざまな原因によって乱れがちなものです。するとエストロゲンの分泌量が減って子宮内膜が薄くなったり、プロゲステロンの働きがうまくいかず子宮内膜が剥がれなかったりということが起こります。
結果として生理での出血量が減り、出血期間も2日程度と短くなってしまうのです。
生理周期が短いのは頻発月経
生理周期と生理以外に起きる出血という、2つのトラブルについて解説します。
前回の生理が始まった日を1日目として、次の生理の前日までの日数を「生理周期」といいます。個人差はありますが、正常な生理周期は25~38日間で、毎月6日ほどのズレならばサイクルとしては問題はありません。
この範囲より短い、つまり生理周期が24日以内と短いサイクルで頻繁に来る状態が「頻発月経」です。頻発月経の原因としては、次の3つが考えられます。
● 卵胞期(排卵までの期間)が短い
● 黄体期(排卵から次の生理まで)が短い
● 無排卵周期症により排卵がない
卵胞期と黄体期の短縮は、女性ホルモンの分泌が少ないために起こる状態です。子宮内膜の厚みが薄くなったり、うまく子宮内膜が剥がれ落ちなかったりします。片方だけ起きることもあれば、同時に起きることも珍しくありません。
また、無排卵周期症は生理のような出血は起きているものの、排卵が確認できない状態のことです。そのため妊娠を希望する人にとっては、頻発月経が不妊の原因になることもあります。
一方、妊娠を希望しない場合でも、短期間に何度も生理が起こることで通常より出血量が増え、貧血をおこす可能性があります。疲れやすい、体がだるいなど、日常生活へ支障をきたすこともあるため、注意が必要です。
何度も頻発月経が起きる場合は、基礎体温を記録したうえで婦人科へ受診してみましょう。基礎体温の記録方法はのちほど紹介します。
月経以外の出血は不正出血
不正出血とは、生理以外の期間で性器から出血が起こることをいいます。
不正出血が起こる原因には、次のようなものが挙げられます。
● ホルモンバランスの乱れ
● 子宮腺筋症や子宮筋腫、子宮頸がんなど子宮の病気
● 排卵障害
● 凝固異常
● 女性ホルモン剤や乳がんの治療薬など内服中の薬の影響
● 子宮内膜ポリープ
不正出血は、見た目だけでは原因が特定できません。そのため「生理周期が短いと思っていたら、実は不正出血だった」ということもあります。
生理中以外で出血が生じる状態が長引く、腹痛を伴うといった場合には、早めに婦人科で相談してみてください。
生理が短い場合の原因
生理期間や生理周期が短くなる原因は、ストレスや年齢、病気による異常があります。それぞれ詳しく紹介します。
ストレスが溜まっている
体に病気など異常がなく、過短月経や過少月経が起きている場合、ホルモンバランスの乱れが原因として考えられます。
人間関係や過労、睡眠不足など、女性の生活には体へのストレスの要因がたくさん存在します。ホルモンバランスはちょっとしたことでも乱れやすく、日々の食生活など栄養バランスにも左右されがちです。
また、過度なダイエットや食事制限による急激な体重減少も、ホルモンバランスの乱れを引き起こし、生理周期が乱れる原因となります。
閉経前など年齢的なもの
生理周期が短くなる、生理期間が短くなるといった変化の原因には、思春期や閉経前など年齢的なものという可能性も考えられます。
思春期は女性ホルモンのバランスが安定しないため、生理周期が不安定です。卵巣機能もまだ未成熟で、排卵が伴わない生理が起きることがあります。
また、30代後半ごろから卵巣の機能低下が起こります。50歳ごろに迎える閉経前後の5年間にある、更年期と呼ばれる期間に向けて、体が適応しようと変化していくからです。
卵巣の機能が低下するとエストロゲンの分泌量が減少し、子宮内膜が薄くなり、経血量が減少することで生理が短くなります。
更年期に入る年齢であれば生理的な反応ですが、20代以降40代前であれば卵巣機能の低下が何らかの原因で起きている可能性もあるため、医療機関を受診して原因を把握することが大切です。
病気により異常が起きている
女性ホルモンの分泌異常は、ストレスや年齢以外に卵巣や脳に病気が潜んでいる可能性があります。女性ホルモンの分泌異常によって特に懸念される病気には、次のようなものがあります。
● 無排卵周期症
● 多嚢胞性卵巣症候群
● 排卵障害(高プロラクチン血症など)
● 甲状腺機能異常(バセドー病、橋本病)
● 黄体機能不全
また、女性ホルモンの分泌に関する病気や問題はなくとも、子宮腔癒着(アッシャーマン症候群)のように子宮にトラブルが生じて過少月経や過短月経、あるいは不正出血が起きていることもあります。
ほかにも、生まれつき子宮に奇形があるというケースも考えられます。治療が必要かどうかは生理の短さや経血の量だけでは分からないため、病院で詳しく診断してもらうことが大切です。
生理が短い場合の対策
生理が短い場合、改善のためにどのような対策に取り組めばよいのでしょうか。3つの対策を見ていきましょう。
基礎体温を測る
起床時など、決まった時間に基礎体温を毎日測って記録しておけば、体調の変化に気付きやすくなります。
基礎体温とは、人間が生きていくうえで必要最低限のエネルギーのみ使っているときの体温です。女性の場合、生理周期に影響する女性ホルモンの働きで、体温が一定周期ごとに微妙に変化します。
そのため、毎日基礎体温を記録することで、女性ホルモンの分泌などを正確に把握しやすくなるのです。
具体的には生理周期が28日周期で健康的なホルモンの分泌が起きているとすると、次のように体温が変化します。
期間 | 体温の状態 | 期間の目安(個人差がある) |
---|---|---|
卵胞期 | 低温期 | 約14日 |
排卵期 | 低温期から高温期へ | 2日ほど |
黄体期 | 高温期 | 12~14日ほど継続 |
月経期(生理) | 高温期から低温期へ | 次の卵胞期へ |
高温期に入り体温が高くなるのは、プロゲステロン(黄体ホルモン)の影響です。低温期と高温期の周期が短い場合、生理周期が短い、つまり頻発月経などが起きていることがあります。
基礎体温の測り方
高温期と低温期というと体温が大きく変わるように見えますが、実際の違いは0.3~0.5度程度であり、普通の体温計ではその差がわかりにくく、判断しきれないことがあります。
そこで婦人体温計という0.01度まで測れる体温計を使い、次の手順で測ります。
● 目が覚めたら寝たままの状態で婦人体温計を手に取る
● 婦人体温計の測定部を舌の裏側の付け根へ当てる
● 舌で押さえ、口を閉じる
● 体を横たえたまま、計測まで待機
● 計測できたらアプリや手帳などに体温と計測時間を記録
理想としては3カ月は計測を続け、変化を記録することが大切です。普段と測り方や体調に変化があった際には、その旨を記録しておきましょう。
また、最近では日々の基礎体温を自動で記録してくれるものや、数十秒で検温できる予測式体温計もあります。普段の生活スタイルに合わせて婦人体温計を用意してみましょう。
生活習慣の乱れを改善する
生活習慣の乱れを改善することで、女性ホルモンの分泌が乱れる原因を防ぎ、生理が短くなる原因を改善しやすくなります。バランスの取れた食生活と、十分な睡眠、そして運動不足の改善を目指しましょう。
食生活の面では、日ごろからなるべく多くの栄養素を摂取することが大切です。具体的には、次の8つの食品を1日の中で偏らないように補うことを目指します。
● 肉・魚・乳製品・卵などタンパク質
● 大豆食品
● 青魚(サバやイワシなど)
● 野菜
● 海藻類
● キノコ類
● いも類
● ごまやナッツ類
反対に過剰摂取を避けたいのは、甘いお菓子やコーヒー、アルコールなどです。絶対に食べたり飲んだりしてはいけないというわけではありませんが、摂取しすぎるとホルモンバランスに影響を与え、生理不順が起きる可能性があります。
また、睡眠もストレス解消と体の休息に効果的です。必要な時間は個人差がありますが、毎日6時間以上8時間未満を目安にしてください。朝起きたときに太陽の光を浴びるなど、睡眠の質を高めることも大切です。
また、基礎代謝を高めるために、適度な運動を取り入れてみましょう。ストレッチやヨガのようなリラックスできるゆったりとした運動をおこなうと、血行・代謝もよくなり、ホルモンバランスの乱れを防ぎやすくなります。
病院に行く
生理が短い原因には、無排卵周期症や多嚢胞性卵巣症候群といった病気が潜む可能性もあります。妊娠・出産を希望する場合、異常を早めに発見し、治療につなげることが大切です。
今回紹介した生活習慣の乱れの改善を試しても改善しなかったり、基礎体温を記録して3回以上過短月経や頻発月経が続いたりする場合は、早めに病院へ行きましょう。
問題がなくとも1年に1回は婦人科を受診し、現在の自分の体を把握しておきましょう。基礎体温の記録も継続しておくと、体の異常に気が付きやすくなり、何か不調があった際に婦人科に持参することもできます。
生理不順に対して行われる治療法
実際に病院で生理が短いことを相談すると、どのような治療になるのでしょうか。治療法を解説します。
検査の実施
生理不順が疑われる場合、次のような検査が行われます。
1. 基礎体温の測定
2. 超音波検査
3. 血液検査
4. 細胞診検査
5. 骨盤腔MRI検査
これらの検査では、排卵の有無や脳・子宮・卵巣・ホルモン分泌に異常がないか、がんに罹患していないか、性の染色体に異常はないかを確かめます。
ホルモン剤の投与
検査を行った結果、ホルモンの分泌量が少ない場合にはホルモンの分泌を促進する薬剤が処方されます。ホルモンの分泌を促進させ、できるだけ排卵周期や生理周期を正常な状態に近づけることが目的です。
また、避妊目的や月経困難症などの治療に、経口避妊薬などホルモン治療を受けていることが原因で過短月経や過少月経が起きている場合もあります。これらはホルモン治療による影響のため、現在の状態で問題がないか、薬剤の変更は必要ないか、処方している医師への相談が必要です。
排卵がない無排卵周期症の場合、薬剤により排卵を促す治療を行うこともあります。慢性的に続くと骨密度の低下や子宮がんのリスクを高めてしまうほか、妊娠を望む場合は不妊の原因にもなり得るからです。
手術
子宮や卵巣に病気がある場合には、手術が行われることもあります。以下は手術が行われる可能性がある病気の一例です。
● 子宮がんや卵巣がん
● 子宮形態異常(子宮奇形)
● 子宮発育不全
● 子宮内腔癒着(アッシャーマン症候群) など
実際には手術以外にも、状態に合わせて適切な治療が選択されます。
生理が短い人から多く寄せられる質問
生理が短いと、何かと不安を抱えがちです。多く寄せられる質問を3つ紹介します。悩みを解決する参考にしてください。
生理が短いと将来どうなる?
生理が短い状態を放置すると、将来妊娠しにくくなる、貧血など体への影響が起きるといった可能性があります。
たとえば、黄体機能不全が原因の場合、受精したとしても生理がすぐに始まり、妊娠が中断されてしまう恐れがあるからです。
また、妊娠を希望しない場合でも、卵巣などの異常を放置すると将来的に骨粗鬆症のリスクが高まる可能性があります。生理ではなく不正出血だった場合には、子宮腺筋症や子宮筋腫、子宮頸がんなど子宮の病気が潜んでいるかもしれません。
早めに基礎体温を記録する、不安があれば婦人科や産婦人科へ相談するのがおすすめです。早い段階で問題を解決し、自分の体も心も労わってあげられるようにしましょう。
病院には行くべき?
過少・過短月経はホルモンバランスの乱れが原因のことも多く、治療が不要なケースも多いです。一方で、受診した方がよいのは、次のような場合が挙げられます。
1. これまで生理周期・生理期間が安定していたのに、過少・過短月経になった
2. 20歳を過ぎても過少・過短月経が続いている
3. 下腹部の痛みがある
4. 性交渉時に痛みがある
5. 基礎体温を記録しても生理周期がはっきりしない
また、何か不安なことや気になることがあれば受診して、原因を突き止めておくことも大切です。妊娠や出産を考えている場合、不妊につながる可能性もあります。
経血量が少ないと問題がある?
過短月経と同時に、1日のうちナプキンをほとんど変えなくてよいほど経血の量が少なくなる「過少月経」が併発することが多いです。
ホルモンバランスの乱れのほか、卵巣機能の低下が起きている可能性があります。不正出血の可能性もあるため、経血の量が少ない状態やナプキンに少量だけ血が付くことが何度も続くようなら病院への受診がおすすめです。
まとめ:生理期間が2日以下が続くなら病院へ相談
出血期間が2日以下の場合、過短月経が起きている可能性があります。原因はストレスのため込みによるホルモンバランスの乱れや、閉経前など年齢的なもの、子宮や卵巣などの病気とさまざまです。
また、生理周期が24日以内と短くなる生理不順を頻発月経といいます。黄体機能不全や卵胞期短縮症、無排卵周期症などが潜んでいることもあり、妊娠を希望する場合は不妊の原因となることもあります。
対策として、生理周期を適切に把握する基礎体温の記録や生活習慣の改善がおすすめです。気になることがあれば、早めに病院を受診し、医師からアドバイスを受けるようにしましょう。