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カラダとココロ

PMS(月経前症候群)はいつまで続く?セルフチェックをして受診のタイミングを確認しよう

公開日:2024.04.23
更新日:2024.05.07
PMS(月経前症候群)はいつまで続く?セルフチェックをして受診のタイミングを確認しよう
生理前になると、お腹の張りや頭痛等の不快感に悩まされる女性も少なくありません。このような生理前に起こる不快感の正体は、PMSと呼ばれる症状の可能性があります。 PMSは、生理の度に起こるとは限りません。年齢を重ねるに連れて、PMSの症状を強く感じるようになる人もいます。自分にもPMSと思われる症状が出ており、いつまで続くのか不安を抱えている女性もいるのではないでしょうか。 そこでこの記事ではPMSに悩む女性に向けて、症状がいつまで続くのか、何歳から何歳まで症状が出るのかを解説します。症状がつらくなる要因や抑える方法も併せて解説するので、PMSに対して理解を深めましょう。 

PROFILE

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専門家/エキスパート 阿部 一也
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業/現在は板橋中央総合病院勤務/専門は産婦人科
INDEX

1 PMS(月経前症候群)はいつまで続くの?

2 PMS(月経前症候群)は10代後半から40代後半をメインに発症

3 そもそもPMS(月経前症候群)とは?

4 PMS(月経前症候群)の症状がつらくなる要因とは?

5 PMS(月経前症候群)と似ている症状や疾患

6 PMS(月経前症候群)は病院へ行くべき?

7 PMS(月経前症候群)の症状を抑える方法とは?

8 PMSの期間は人によって異なる

PMS(月経前症候群)はいつまで続くの?

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PMSの症状は生理前に表れるため、月経前症候群と呼ばれることがあります。症状が表れる期間は人によって異なりますが、生理前3~10日ほどから始まり、生理が来ると治まるのが一般的です。

PMSの期間には、上記以外にも次のような複数のタイプがあります。

●生理1週間前から生理開始まで
●排卵日から生理開始まで
●生理終了まで 等

PMSの症状が表れる期間に複数のタイプがある背景には、排卵期と生理が始まるタイミングが深く関係しています。排卵期と生理が始まるタイミングには個人差があるため、PMSが表れる期間は人によって異なるというわけです。

PMSの症状がひどい場合、生活の質を低下させる可能性があります。日常生活や仕事等に悪影響を及ぼすときには、我慢せずに薬の服用や病院の受診も検討しましょう。

PMS(月経前症候群)は10代後半から40代後半をメインに発症

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PMSの症状は、特定の年代に表れやすい傾向があります。症状が表れ始める時期には個人差があるものの、初潮を迎える思春期ごろからPMSによる不快感を感じるケースが多いようです。

好発年齢は、10代後半から40代後半です。PMSの症状は年齢を重ね、生理の回数が増えると、徐々に強くなる傾向があります。ただし、PMSの症状や感じ方は人によってさまざまです。

腹痛や頭痛等の身体的症状が強く表れる人もいれば、抑うつや不安等の精神的症状が強く表れる人もいます。症状の表れ方は、出産経験の有無でも異なるようです。一般的に出産経験のない女性は、腹痛をはじめとする身体的症状が多く見られます。

そもそもPMS(月経前症候群)とは?

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ここで、PMSとは何かを詳しく解説します。発症する原因や具体的な症状を解説するので、PMSへの理解を深めましょう。

発症する原因

PMSの原因はウイルスや遺伝子異常等、はっきりわかっているわけではありません。しかし、現時点では、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の変動が影響しているといわれています。

エストロゲンとは妊娠に備え、子宮内膜を厚くする役割を担う女性ホルモンです。プロゲステロンとは、エストロゲンによって厚くなった子宮内膜を柔らかく維持し、妊娠しやすい状態にする女性ホルモンです。

排卵から生理までの期間に分泌された卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下すると、神経伝達物質の異常が引き起こされ、PMSが発症します。PMSの発症は女性ホルモンの低下だけが原因だけでなく、さまざまな要因から引き起こされると考えられています。

PMS(月経前症候群)の症状|身体面

生理前に発症するPMSの症状は、人によってさまざまです。PMSの症状は、表れ方によって身体的症状と精神的症状の2種類にわけられます。PMSの主な身体的症状は、次のとおりです。

身体的症状

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乳房の痛み・張り

エストロゲンとプロゲステロンが増加することで乳房がむくんで発症する

お腹の張り

プロスタグランジンの分泌量が増加することで子宮の筋肉が過度に収縮し、血行が悪くなることで発症する

関節・筋肉痛

エストロゲンの分泌量が増加することで関節や筋肉を圧迫して発症する

頭痛

エストロゲンの分泌量が低下することで血管の収縮と拡張が生じることで発症する

手足のむくみ

水分をため込む働きのあるプロゲステロンの分泌量が増加することで発症する

食欲不振・食欲増加

プロゲステロンの分泌量が増加することで食欲不振または食欲増加を引き起こす

肌荒れ

プロゲステロンの分泌量が増加することで皮脂腺を刺激して肌荒れを引き起こす

睡眠障害

プロゲステロンの分泌量が増加することで夜になっても体温が下がらず寝つきが悪くなる

上記のほか、生理前にはインスリンの効果が低下して血糖値が上がる傾向にあります。血糖値を下げるためには普段よりも多くのインスリンを必要とし、食後2~3時間程度で低血糖に陥りやすく、甘い物が無性に食べたくなる症状が表れることもあります。

PMS(月経前症候群)の症状|精神面

PMSは腹痛や頭痛等の身体的症状のほか、精神的症状が表れることもあります。PMSの主な精神的症状は、次のとおりです。

精神的症状

詳細

抑うつ状態

エストロゲンとプロゲステロンの分泌量の変化によってセロトニンが低下することで発症する

イライラ

エストロゲンとプロゲステロンの変化によって気分調整に関与するセロトニンやγアミノ酪酸に影響して発症する

八つ当たり

エストロゲンとプロゲステロンの変化によって気分調整に関与するセロトニンやγアミノ酪酸に影響して発症する

不安

エストロゲンとプロゲステロンの分泌量の変化によってセロトニンが低下することで発症する

集中力の低下

エストロゲンとプロゲステロンの分泌量の変化によってセロトニンが低下することで発症する

眠気

眠気を強くするプロゲステロンの分泌量が増えることで発症する

精神的症状がひどい場合は、PMDD(月経前不快気分障害)と診断されることもあります。PMDDは強い抑うつ感や絶望感、不安感が特徴で、アメリカの精神医学会でもうつ病の一種として認められています。

PMS(月経前症候群)の症状がつらくなる要因とは?

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PMSの症状は、普段の習慣や性格によって強く表れることがあります。症状を和らげるためには、状況に応じて生活習慣を見直したり、物の見方を変えたりすることも大切です。
生活習慣の影響
まずは、自分の生活習慣がPMSの症状の強さに影響していないか確認してみましょう。PMSの症状を強くする主な生活習慣は、次のとおりです。

●不規則な生活
●栄養バランスが偏った食事
●カフェインの過度な摂取
●アルコールの過度な摂取
●喫煙 等

PMSにかかわらず、規則正しい生活は心身の健康を維持するために重要です。生活リズムが崩れるとPMSの症状を強くするだけでなく、高血圧をはじめとする生活習慣病を引き起こす可能性もあります。

PMSは、栄養バランスの偏った食事が原因で症状が強く表れることがあります。症状を和らげるためには、カルシウムやビタミンB6、マグネシウムを積極的に取ると良いでしょう。カフェインやアルコールは睡眠リズムに影響を与えるため、PMSの症状が出やすい時期は過度な摂取を控えることも大切です。

喫煙も、PMSの症状を悪化させる原因になります。喫煙によって血液の循環が悪くなると、自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位になります。適切な生活習慣は日々の健康維持にも役立つため、これを機に見直してみるのも良いでしょう。

性格によるもの

PMSの症状の表れ方や感じ方には、個人差があります。これは、人によって性格が異なることも関係しています。PMSの症状を強くする主な性格は、次のとおりです。

●几帳面
●ささいなことでも悩みがち
●負けず嫌い
●自分に厳しい
●我慢しやすい
●真面目
●完璧主義 等

上記のような性格の人は、仕事や人間関係等のストレスを受けやすく、PMSの症状をより強く感じやすいとされています。ただし、PMSと性格の関係性はまだ明らかになっていないため、上記に当てはまるすべての人に必ず症状が強く表れるとは限りません。

運動習慣がない

運動習慣の有無は、PMSの症状の表れ方に影響を及ぼします。体を動かすことで自律神経が整ったり、ストレス発散になったりするためです。しかし、現代人は運動習慣が低下しています。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査(令和元年)」によると、運動習慣のある女性(20歳以上)の割合は25.1%にとどまることがわかっています。年代によって差があるものの、働き世代・子育て世代の割合は少ないのが現状です。

年代

割合

20~29歳

12.9%

30~39歳

9.4%

40~49歳

12.9%

50~59歳

24.4%

60~69歳

25.3%

70歳以上

35.9%

※出典元:厚生労働省
仕事や子育て等で忙しい年代は、PMSの好発年齢と重なるため、運動の習慣をつけることが大切です。普段から体を動かす習慣がなく、体力の低下を感じている人は、軽いストレッチやヨガ、ウォーキング等から始めてみるのも良いでしょう。

PMS(月経前症候群)と似ている症状や疾患

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生理前の不快な症状は、必ずPMSであるとは限りません。PMDDや月経困難症等の病気が隠れているおそれもあるため、気になる場合は病院を受診してみましょう。

PMDD(月経前不快気分障害)

PMSの症状の表れ方は、人によってさまざまです。症状には身体的症状と精神的症状の2種類があり、どちらかの症状が強く表れることがあります。精神的症状が強く表れる場合、PMDD(月経前不快気分障害)の可能性があります。

PMDD(月経前不快気分障害)とは精神的症状が強く出ることで、日常生活や仕事、人間関係等に支障を来しかねない疾患です。PMDD(月経前不快気分障害)の症状は、次の4つが中心となって表れます。

●抑うつ
●不安・緊張
●情緒不安定
●怒り・イライラ

精神的症状が強く表れると、攻撃的、暴力的になる等、感情コントロールが不能になります。原因や病態はいまだ明らかになっていませんが、抗うつ薬や低用量ピル等で症状を和らげるケースもあります。

月経困難症

月経困難症とは、生理直前や生理中等の生理に随伴して起こる病的症状のことです。生理の初日に症状が重くなるのが特徴的で、日常生活や仕事に悪影響を及ぼすことも少なくありません。月経困難症の主な症状は、次のとおりです。

●下腹部痛
●頭痛
●貧血
●吐き気
●疲労感
●食欲不振 等

月経困難症には、機能性月経困難症と器質性月経困難症の2種類があります。機能性月経困難症は、子宮や卵巣に明らかな異常が認められないケースです。一方の器質性月経困難症は、子宮筋腫や子宮内膜症等の子宮または卵巣に疾患を認めるケースです。

器質性月経困難症の場合、子宮やその周辺に何らかの疾患が隠れている可能性が高く、年齢を重ねるに連れて症状が強く表れる傾向にあります。さらに症状が悪化する前に、病院を受診したほうが良いでしょう。

PMS(月経前症候群)は病院へ行くべき?

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PMSで病院を受診するか迷った場合は、症状が表れる回数や強さ等を基準に検討しましょう。PMSで病院を受診する主な基準は、次のとおりです。

●生理前の症状が3回連続で表れている
●生理前5日間のうちに症状が表れている
●生理開始から4日以内に症状が治まり、少なくとも13日目までに症状が表れない
●症状が表れる原因が薬やアルコールではない
●症状が強く、日常生活や仕事等に支障が出ている 等

上記に当てはまるようであればPMSの可能性が高いため、婦人科または産婦人科を受診しましょう。病院では、問診や血液検査等のさまざまな検査を実施します。検査の結果、PMSと診断された場合、医師から適切な治療法が提案されます。

病院には、生理中でも受診することが可能です。ただし、生理中は内診が難しいため、器質性月経困難症との違いを正確に診断できない可能性があります。病院の受診は、生理後から排卵までの期間がベターです。

PMS(月経前症候群)の症状を抑える方法とは?

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生理前の不快な諸症状は、セルフケアや服薬等で和らげることが可能です。ここからはPMSの症状を抑える方法を解説するので、気になる症状がある場合はぜひ試してみてください。

セルフケア

PMSの原因が生活習慣である場合、病院を受診しなくても、セルフケアで和らげられる可能性があります。まずは、自分の生活習慣を見直してみましょう。食事や睡眠に課題があるなら、規則正しい生活を意識することが大切です。

生理前は血糖値が上がりやすく、甘い物を食べたくなりやすいです。甘い物を食べると血糖値が急激に上がり、血糖値の乱高下が続くとイライラや過食等の症状が表れることもあります。食事の際は野菜から食べると、血糖値が急激に上がるのを抑えられます。

また、アルコールやカフェインはPMSの症状を強めやすいため、生理前には控えるようにしましょう。PMSの症状を抑えるためには、リラックスした状態にすることも大切です。忙しくても自分の時間をつくり、気分転換するよう心がけましょう。

低用量ピル等を使用したホルモン療法

PMSの症状が強く表れる場合は、薬を服用するのも手段の一つです。PMSの代表的な治療法は、低用量ピルを用いたホルモン療法です。低用量ピルとは、エストロゲンとプロゲステロンを組み合わせて作られている薬です。

排卵を抑制する働きがあるため、経口避妊薬としても使用されています。低用量ピルを服用することで、脳が排卵する指示を出さなくなります。その結果、女性ホルモンの分泌量が安定し、分泌量が増加することによるPMSの諸症状を抑えられるというわけです。

低用量ピルは28日を1クールとし、継続して服用し続ける必要があります。そのため服用を忘れると、ホルモンバランスが乱れてしまう可能性があります。また、血栓症やめまい、頭痛、体重増加等の副作用もあるため、副作用が強く表れる場合は早めに医師に相談しましょう。

症状に対する治療方法

症状によっては、鎮痛剤や精神安定剤等を服用することで改善が期待できます。たとえばPMSによるむくみがひどい場合は、利尿剤を服用することで体内に溜まった余分な水分が排出されます。

腹痛や頭痛がある場合は、NSAIDsやアセトアミノフェン等の鎮痛剤を服用すると、痛みが改善するでしょう。精神的症状が強い場合は、精神安定剤や抗うつ薬が処方されることもあります。

PMSに関する症状を薬の服用で和らげる際には、市販薬も選択肢の一つです。近年は、さまざまなメーカーからPMS向けの市販薬が販売されています。多くのドラッグストアには薬剤師が常駐しているので、気軽に相談してみると良いでしょう。

漢方療法

PMSの症状を抑えるためには、漢方薬を服用する方法もあります。漢方薬とは、生薬と呼ばれる草や木等の自然の物を原料とした薬です。一つの漢方薬には漢方医学の考えに基づき、2種類以上の生薬が配合されています。

低用量ピルの場合、副作用が表れることがあります。一方の漢方薬は副作用が少ないとされているため、低用量ピルの服用に不安がある人でも安心です。PMSに効果があるといわれている代表的な漢方薬は、次のとおりです。

●当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
●桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
●加味逍遥散(かみしょうようさん)
●抑肝散(よくかんさん) 等

漢方薬には多くの種類があり、国内で承認されているものだけでも294種類あります。症状によって処方内容が異なるため、医師に相談しながら自分に適した漢方薬を選びましょう。

PMSの期間は人によって異なる

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PMSは生理前3~10日ほどから始まり、生理を迎えると症状は治まるのが一般的です。しかし、PMSには複数のタイプがあり、症状の表れ方や感じ方等は人によってさまざまです。基本的には、年齢と生理の回数に応じてPMSの症状が強く表れる傾向にあります。


自分が一般的なPMSの期間と外れていても、生活習慣や性格等によって変動する可能性があります。症状が強く、日常生活や仕事等に支障を来す場合は、我慢せずに病院を受診してみましょう。

PMSの場合、婦人科や産婦人科を受診するケースがほとんどです。近年はPMSを専門とした「PMS外来」も増えているため、症状が気になる場合はPMS外来の受診も検討してみましょう。

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