つわりの症状はいつからいつまで続く?症状別に有効な対処法を解説
PROFILE
1 つわりで起こりやすい症状
2 つわりが起こる時期・期間
3 つわりが起こる原因
4 つわりになりやすい人の特徴
5 つわりの症状別対処法
6 つわりの症状や対処法を把握して妊娠に備えよう
つわりで起こりやすい症状
妊娠すると、女性の心身にさまざまな変化が現れます。その中でも、つわりは妊娠初期の代表的な症状で、つわりの症状により、妊娠に気付く女性も少なくありません。つわりで起こりやすい症状は、次のとおりです。
● 吐き気
● 情緒が不安定になる
● においに敏感になる
● 食べ物の好みが変わる
● よだれの分泌量が増える
それでは、つわりで起こりやすい症状を詳しく見ていきましょう。
▼つわりに関する詳細はこちらの記事でも紹介しています。
つわりはいつから始まっていつまで続く?症状を軽減させる対策について解説
吐き気
つわりの代表的な症状の一つは、吐き気です。健康を維持するためには、食事での栄養摂取が必要ですが、妊娠すると唐突に吐き気を感じ、吐いてしまうことがあります。
つわりによる吐き気は、「吐きづわり」と呼ばれることもあります。吐き気が出やすいタイミングは、空腹時や満腹時です。ただし、吐き気を感じるタイミングには個人差があります。
症状が重い場合、食事や飲水ができず脱水や飢餓状態になり「妊娠悪阻(にんしんおそ)」と呼ばれる状態となります。入院治療が必要になるケースもあるため注意が必要です。
情緒が不安定になる
妊娠初期に多くの女性が経験するつわりの症状は、身体的症状だけではなく、ホルモンの変化により、情緒不安定になることもあります。普段は温厚な性格でも、つわりによって感情の起伏が激しくなることも珍しくないのです。
つわりによる精神的な症状は、イライラや不安感、抑うつ等多岐にわたります。精神的な症状は、マタニティーライフの質を低下させるだけでなく、母体と胎児の健康にも影響を与えることがあるため注意しましょう。
また、つわりによる身体的症状が原因で自律神経のバランスが乱れる、精神的症状が強く現れる等のケースも少なくありません。妊娠中は、特にストレスが溜まりがちです。マタニティーライフを快適に過ごすためにも、ストレスを溜めないように心がけましょう。
においに敏感になる
つわりの症状の一つとして、特定のにおいに敏感になる女性も少なくありません。妊娠前は気にならなかったにおいでも、妊娠を機に特定のにおいが不快に感じられることがあります。
つわりで敏感になりやすいにおいは、次のとおりです。
● タバコのにおい
● 生ごみのにおい
● 排水溝のにおい
● 食べ物のにおい
● 歯磨き粉のにおい
● 香水のにおい 等
妊娠初期の段階でにおいに敏感になる原因は、いまだ解明されていません。一説では、妊娠によって自律神経のバランスが不安定になることで起きるという考えもあります。
食べ物の好みが変わる
妊娠を機に、食べ物の好みが変わることもあります。これも、つわりの症状の一つです。食べ物の好みが変わると、これまで好きだったものが苦手になったり、苦手だったものが食べたくなったりします。
また、食べづわりになると、常に食べ物を口にしていないと気分が悪くなり、食べると和らぐのが一般的です。
食べづわりの症状は、空腹時が特に強く出ることが多いです。症状が強い場合、必要以上に食べ物を食べると、体重増加や栄養バランスが偏るので注意しましょう。
よだれの分泌量が増える
つわりで起こりやすい症状の一つとして、大量のよだれが出ることがあります。これは、「よだれづわり」と呼ばれ、よだれづわりになると、通常よりも唾液が過剰に分泌されます。
よだれづわりが出やすいタイミングは、酸味の強い食べ物を口にしたときです。人によっては、就寝時にもよだれづわりに悩まされることもあります。よだれづわりが起きると、吐き気や倦怠(けんたい)感、頭痛、食欲不振を併発することもあるため注意が必要です。
よだれの分泌は意識的に調整できないため、特に外出時には何らかの対策が必要です。よだれづわりは、一般的に他の症状と同様、妊娠中期を迎える頃には落ち着きはじめます。
つわりが起こる時期・期間
つわりは、妊娠初期に起こるのが一般的です。しかし、つわりの症状が現れる時期や期間には個人差があります。多くの場合、妊娠5~6週目頃から始まり、妊娠8~10週目頃にピークを迎え、妊娠10週目以降に終わりへ向かうことが多いです。
始まりは5〜6週目
つわりが始まるのは、妊娠5~6週目頃です。この時期は、市販の妊娠検査薬で陽性反応が出るタイミングと重なりますが、個人差があるため、妊娠5週目以前から症状が現れる女性もいます。
つわりの始まりが早い場合、市販の妊娠検査薬を使用する前に何らかの症状が現れ、妊娠に気付くこともあるようです。この他には、生理が予定よりも遅れており、PMSだと思っていたものが、実は妊娠によるつわりだったというケースもあります。
症状の現れ方や程度には個人差があるものの、全妊婦の50~80%程度がつわりを経験するといわれています。そのため、妊娠初期に諸症状が現れても、心配する必要はありません。
ピークは8〜10週目
妊娠5~6週目頃からつわりが始まると、徐々に症状が強く現れるようになります。つわりの一般的なピーク時は、妊娠8~10週目頃です。ただし、ピークを迎える時期には個人差があります。
ピーク時は、つわりの症状が最も強く現れます。この時期に症状が強く現れる理由は、妊娠ホルモンのhGC(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の分泌量がピークを迎えるためです。症状が強い場合、日常生活に支障が出ることもあります。
症状がつらいときには、無理せず家事や仕事を休むようにしましょう。ピークを乗り越えるためには、症状別の対処法を把握しておくことも大切です。なお、つわりの症状別の対処法については、「つわりの症状別対処法」で詳しく解説します。
終わりは10週目以降
つわりの症状は、ピーク後にだんだんと治まりはじめます。つわりが終わりを迎えるタイミングは、妊娠10週目以降です。この時期につわりが終わる理由は、妊娠ホルモンであるhGC(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の分泌量が深く関係しています。
hGC(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の分泌量は妊娠8~10週目頃にピークを迎え、妊娠10週目以降に減少します。ただし、個人差があるため、全妊婦が同時期につわりの症状が落ち着くとは限りません。
症状が落ち着いた後に、吐き気やイライラ等のつわり症状が突然現れることもあります。つわりが終わる時期は、あくまでも一般的な目安です。人によっては、出産直前まで症状が続くこともあります。
つわりが起こる原因
前述したとおり、妊娠初期には、多くの女性がつわりと呼ばれる症状を経験します。以下で、つわりの原因について現時点で唱えられている説をまとめました。
原因は解明されていない
全妊婦のうち、50~80%がつわりを経験するといわれています。しかし、つわりが起こる原因は完全に解明されていません。つわりの代表的な症状には、吐き気や情緒不安定等があります。
症状の程度は軽度から重度までさまざまで、人によって異なるのが現状です。つわりに関する研究は進んでいるため、いずれは明確な原因が解明される可能性があります。
※参考:ヒロクリニック
ホルモンの分泌量が変化するという説が有力
つわりに関する研究の進歩により、現在ではさまざまな説が登場しています。その中でも有力な説の一つは、妊娠ホルモンの影響によるものとする説です。
女性が妊娠すると、hGC(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)と呼ばれる妊娠ホルモンが分泌されます。市販の妊娠検査薬は、尿中のhGC(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を検出することで判定する仕組みです。
hGC(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の分泌量は、つわりが始まる頃から増加し、終わる頃に減少するのが一般的です。つまり、つわりの症状はhGC(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の分泌量と連動しているため、つわりの原因の有力な説として考えられているのです。
つわりになりやすい人の特徴
つわりの現れ方や程度には、個人差があります。そのため、誰もが同じ症状や程度を経験するとは限りません。まずは、つわりになりやすい女性の特徴を理解して、改善につなげていきましょう。ただし、生活習慣やストレスに関わらずつわりの症状が酷い人も多く存在します。セルフケアで対策ができなかったとしても、かえってそれをストレスに感じすぎないようにすることも重要です。
生活習慣が乱れている
つわりになりやすい人の特徴の一つは、生活習慣が乱れていることです。hGC(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は、妊娠の維持に重要な役割を果たすホルモンであり、生活習慣が乱れている場合、ホルモンの分泌量に影響を与え、つわりになりやすいとされています。
つわりになりやすい生活習慣の例は、次のとおりです。
● 不規則な食事
● 栄養バランスの偏り
● 睡眠不足
● カフェインの過剰摂取
● 喫煙
● 運動不足 等
つわりになりにくくするためには、規則正しい生活を心がけましょう。また、健康を維持するためには、適度な運動も必要です。ただし、激しい運動は母体や胎児に負担をかけるため、無理なくできる運動を選びましょう。
ストレスが溜まりやすい
ストレスを感じやすい場合は、つわりになりやすい傾向があります。しかし、ストレスの受けやすさは人によってさまざまです。そのため、妊娠の有無にかかわらず、心身の健康を維持できるよう、日頃からストレスを溜めないように心がけておきましょう。
ストレスを受けると体内のホルモンバランスが乱れ、自律神経が不安定になります。吐き気や嘔吐の原因の一つは、自律神経の乱れによるものです。また自律神経の乱れは、吐き気や嘔吐の症状を強める可能性があるので注意しましょう。
妊娠中は、特にストレスが溜まりがちです。家事が負担になっている場合は、家族と協力しましょう。また、仕事が負担になっている場合は、必要に応じて休暇を申請し、無理をしないよう心がけることも大切です。
つわりの症状別対処法
つわりには個人差が大きく、症状の現れ方や程度は人によってさまざまです。しかし、工夫次第で症状を和らげられる可能性もあります。ここからはつわりの症状別の対処法を解説するので、ぜひ参考にしてください。
においづわりの場合
特定のにおいを不快に感じる「においづわり」は、次のような方法な対策があります。
● マスクをつける
● 食べ物を冷やす
妊娠中に感染症にかかると、胎児に悪影響を及ぼすおそれがあるため、マスクをつける女性も少なくありません。マスクはある程度のにおいを遮断してくれるため、においづわりの対処法としても効果的です。
また、妊娠中は炊き立てのご飯や食べ物のにおいが苦手になり、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。温かい食べ物は、冷やすことである程度においの軽減が可能です。
食べづわりの場合
食べづわりの症状は、空腹時に強く現れるのが一般的です。
対処法は状況によって異なりますが、妊娠初期には空腹の状態を可能な限りつくらないことが大切です。空腹を感じたときには、すぐに何かを食べるようにしましょう。例えば飴やグミ、ガム、タブレット等は手軽に食べられて便利です。
妊娠中は、栄養バランスの整った食事を心がける必要がありますが、妊娠初期の胎児は、母体に備えられた栄養で育ちます。空腹が続く場合は、体調の安定を優先し、ある程度はカロリーや栄養バランスを気にせず、食べたいものを食べるようにしましょう。
吐きづわりの場合
妊娠初期に「吐きづわり」の症状が現れたときには、無理して食事を取ると嘔吐を引き起こすリスクがあります。吐き気が強い場合は、無理に食事を取らず、スープ等を飲むのも良いでしょう。
温かいスープのにおいが気になるときには、冷ますとにおいを軽減できます。それでも栄養の偏りが気になる場合は、冷製スープを飲むのも選択肢の一つです。インターネット上には、妊婦向けの冷製スープのレシピが数多く掲載されているので活用しましょう。
また、吐きづわりの症状が強くても、水分は十分に取るようにしましょう。水分が十分に取れていない場合、脱水症状を引き起こすことがあります。下痢が続き、喉の渇きや皮膚の乾燥が見られるときには、脱水症状を引き起こしている可能性があるため注意しましょう。
眠りつわりの場合
つわりの中には、「眠りつわり」と呼ばれる症状があります。眠りつわりとは、日中に強烈な眠気に襲われるつわりのことです。眠りつわりが起こる原因には、プロゲステロンが分解されるときに生成されるアロプロゲステロンが影響していると考えられています。
アロプロゲステロンとは、強い催眠作用がある物質です。プロゲステロンの分泌量は出産まで増加し続けるため、人によっては長期間眠りつわりに悩むことがあります。眠りつわりの症状が強いときには、無理せず休むことが大切です。
日中に寝ていると、怠けていると考えがちです。しかし、つわりは自分ではコントロールが難しい症状であり、怠けていると考えることで、ストレスが溜まる可能性もあります。眠りつわりが出ることは妊娠が正常に維持されている証拠なので、眠気を感じたときには無理しないようにしましょう。
症状がひどい場合は医療機関を受診する
妊娠初期には、多くの女性がつわりを経験します。しかし、つわりには個人差が大きく、症状の現れ方や程度は人によってさまざまです。症状がひどい場合は、母体の健康に悪影響を及ぼすリスクがあるため、迷わず医療機関を受診するようにしましょう。
医療機関を受診する症状の目安は、次のとおりです。
● 激しい嘔吐を繰り返す
● 食事や水分が取れない
● 意識が朦朧とする 等
つわりの症状が重度になると、「妊娠悪阻(にんしんおそ)」と呼ばれる状態に移行します。妊娠悪阻は、医療機関での治療が必要です。症状が重い場合は、無理せず専門医に相談しましょう。
つわりの症状や対処法を把握して妊娠に備えよう
症状には個人差があるため、可能な限り経験したくないと考える女性も多いかもしれません。しかし、つわりの症状があることは、妊娠が正常に維持できている証拠とも言えます。
つわりの症状が現れたら、さまざまな対処法を試してみましょう。対処法を試すことで、症状を和らげられる可能性があります。ただし、症状がひどい場合はさらに悪化する前に、無理せず医療機関を受診するようにしましょう。