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妊娠と出産

つわりでげっぷが出やすくなるのはなぜ?楽になるための対処法について解説

公開日:2024.08.30
更新日:2024.08.30
つわりでげっぷが出やすくなるのはなぜ?楽になるための対処法について解説
つわりが始まったと思ったら、前より「げっぷ」が出やすくなった気がしてお困りではありませんか?実は、妊娠やつわりの影響でげっぷが増えることは珍しいことではありません。 今回はつわりでげっぷが出やすくなる理由や楽にする対処法を解説します。必要以上にげっぷが多い場合は、他の体調不良を招くこともあるため、しっかり対策を講じていきましょう。

PROFILE

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専門家/エキスパート 阿部 一也
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業/現在は板橋中央総合病院勤務/専門は産婦人科
INDEX

1 つわりでげっぷが増える原因

2 つわり期のげっぷを抑える対策

3 つわりによるげっぷの症状を放置するリスク

4 げっぷが多くなる病気

5 げっぷの症状があまりにもひどい場合は病院へ

6 つわり期のげっぷに関するQ&A

7 げっぷが増えて苦しい時は病院へ受診しよう

つわりでげっぷが増える原因

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つわりの時期にげっぷが増えるのは、次のいずれかが原因の可能性があります。

● ホルモンバランスの変化
● 空気や唾液を飲み込んでいる
● 食べづわり
● 疲労やストレス

まずは考えられる各要因を詳しくみていきましょう。

妊娠によるホルモンバランスの変化

妊娠すると女性はホルモンバランスが変化しますが、これらは体つきの変化だけでなく、体内のさまざまな機能にも影響を与えます。

特に妊娠初期に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)は、消化器官の機能を抑制してしまう働きがあるため、胃腸の調子が悪くなりやすいのです。

消化機能が低下すると食物の消化がうまくできなくなるためガスが発生し、げっぷが増えてしまいます。人によっては食事で胃のむかつきも出やすくなることもあります。

無意識に空気や唾液を飲み込んでいる

吐き気を催したとき等に、無意識に空気や唾液を飲み込んでしまうことで、げっぷが増えている可能性もあります。例えば会話する際や食事中に空気を吸う癖があると、空気を取り込みすぎてげっぷが出やすくなります。

また、唾を飲み込む時は空気を一緒に取り込むため、唾の飲み込みが多い人はそれが原因かもしれません。

ただ、妊娠中は唾の分泌量も増えるため、普段より唾を飲みすぎる状況になりやすいものです。元々、空気や唾液を飲み込む癖がある人には、特に考えられる原因です。

食べづわりの影響

妊娠初期の場合は食べづわりの影響も考えられます。

食べづわりとは、空腹状態になると強く吐き気や胸焼けを起こしてしまう「つわり」の一種です。空腹にならないように絶えず食事を取らないといけなくなるため、一度の食事の量を減らし、食事の回数を増やすという対策を取ることが多くなります。

食事の回数が増えることで、結果的に空気を飲み込む回数が増え、げっぷが出やすくなる原因となります。

また、食べづわりがあると食べすぎの状態になることも多く、消化不良を招きやすいです。その結果、消化不良によって体内にガスを発生させてしまうため、げっぷが出やすくなる要因になります。

▼つわりそのものの原因や対策などは、こちらの記事でも紹介しています。
つわりの症状はいつからいつまで続く?症状別に有効な対処法を解説

疲労やストレスの蓄積

疲労やストレスによってげっぷが増えることもあります。疲労やストレスはホルモンバランスや自律神経を崩し、消化不良を引き起こすためです。

妊娠中は日常生活のストレスに加えて体の変化や体調不良等で、疲れやストレスを感じることも多いです。妊娠していない時より体に影響を受けている可能性があります。

また、ストレスの影響が考えられる場合は、「吞気症(空気嚥下症)」という病気も疑われます。ストレスのせいで無意識に空気を吸い込みすぎる病気で、げっぷやおならが増えてしまうことが特徴です。吞気症が疑われる場合はストレスの軽減や、場合によっては心療内科への受診も必要になるでしょう。

つわり期のげっぷを抑える対策

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つわり期はさまざまな要因からげっぷが起きやすいです。ただし、悪化する前なら日常生活の中でげっぷの対策ができます。

ここからはげっぷを抑える対策を具体的にご紹介していきます。

ゆっくり食事をする

まずは空気を取り込むタイミングである「食事」をゆっくり取るように意識しましょう。早食いや食事をかき込むといった癖があると、取り込む空気量が増えてげっぷの原因になります。なるべくゆっくり食事を取ることが大切です。

かき込む・すする等の空気を吸い込みやすい食べ方を避け、よく咀嚼して時間をかけて食事を取るようにしてください。

消化しやすい食べ物を選ぶ

食事を取る際は消化しやすい食べ物を選ぶことも大切です。妊娠中はさまざまな要因で消化機能が低下しやすい状態で、胃腸の調子をコントロールすることが難しくなります。

消化機能が落ちると食べ物が胃の中に滞留し、ガスを発生させてしまいます。そのため、普段から消化しやすい食べ物を選び、ガスの発生を抑えることが大切です。

消化しやすい食べ物は、例えば野菜なら食物繊維が多すぎないもの、タンパク質は脂肪が少ない魚類や植物性のものが良いといえます。食品例は次のとおりです。

● おかゆ
● うどん
● スープ
● ゆで野菜(じゃがいも、かぶ等)
● 果物(りんご、バナナ等)
● 脂肪が少ないタンパク質(白身魚、豆腐等)

ただし、食物繊維が不足すると、便秘になりやすくなる等の影響もあることには留意しましょう。

ストレスを解消する

ストレスによって空気を取り込む癖がある場合は、ストレスをこまめに解消することで吸い込み症状を抑制できる可能性があります。また、ストレスで消化不良を起こしている場合も、ストレスを軽減することが症状の緩和につながります。

なお、ストレス解消には心身をリフレッシュさせる時間をつくることが大切です。一例としては次のような方法があります。

● 深呼吸(瞑想もおすすめ)
● 軽いヨガやストレッチ
● 趣味や好きなことをする

楽な姿勢になる

まったくげっぷが出なくなるということはないため、げっぷを速やかに排出できるような楽な姿勢になることもおすすめです。溜まってしまったガスは我慢しても行き所がないため、排出したほうが体調が楽になります。

例えば食後の場合は体を起こしたまま楽な姿勢を取り、胸や腹部を大きく動かすように深呼吸してみてください。ただ、食後3時間は胃腸が消化のために動いているため、すぐ寝ないようにしましょう。

げっぷがなかなか出ず苦しい時は、背中の真ん中あたりをさする・軽く叩くこともおすすめです。パートナーや家族の手を借りて、排出を助けてもらってください。

十分な睡眠時間を確保する

十分な睡眠時間を確保することも大切です。げっぷと睡眠は関係がなさそうですが、げっぷの原因となる「疲労」や「ストレス」は睡眠によって解消される場合があります。

睡眠を取ることで脳も休まり、乱れがちな体のバランスも整いやすくなります。そのため、しっかりと睡眠を取ることが大事です。

なお、質の良い睡眠が取れるように寝具や室温・湿度等を改善してもよいでしょう。1回の睡眠でたくさん体を回復できるようにリラックスできる環境を意識してみてください。

つわりによるげっぷの症状を放置するリスク

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つわりによるげっぷの症状を放置してしまうと、「妊娠悪阻(にんしんおそ)」を起こしてしまうことがあります。

妊娠悪阻とは、重症化したつわりのことで吐き気や嘔吐がひどくなり、食事が取れなくなってしまう状態です。

栄養を取れなくなることで体重が減少してしまい、繰り返しの嘔吐で脱水症状も引き起こします。重篤な状態に陥る可能性もあるため、病院での治療が必要です。

ただ、妊娠悪阻は妊婦の0.1%程度が発症するといわれており、げっぷがある妊婦が必ず妊娠悪阻になるとは限りません。

もしげっぷの量や胸焼けが気になり、食事もままならない場合は一度病院に相談することをおすすめします。

げっぷが多くなる病気

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妊娠でげっぷが増えることは珍しくありませんが、まれに病気を発症していることもあるため注意が必要です。

ここではげっぷが多くなる病気についてご紹介します。1つの可能性として覚えておきましょう。

食道裂孔ヘルニア

食道裂孔ヘルニアは、腹部の圧力によって胃の一部が胸腔内に引き上がってしまう病気です。胃の内容物が食道に逆流しやすくなり、げっぷや胸焼けを起こすことがあります。

妊娠にかかわらず発症する病気ですが、特に妊娠中は大きくなる子宮によって腹圧が上がるため悪化しやすいです。

例えば、慢性的にげっぷに加え、胸焼け・胃のむかつき・胃痛等があるようなら、食道裂孔ヘルニアが疑われる可能性があります。

逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸が逆流して食道に出てきてしまう病気です。胃酸の逆流によってげっぷや胸焼けの症状があります。

これも妊娠にかかわらず発症するものですが、妊婦はホルモンの増加で食道の筋肉が緩みやすくなるため、通常より逆流性食道炎を引き起こしやすいです。

胃酸の逆流は放置すると食道の炎症の慢性化によって、食道の狭窄(食道の一部が狭くなる状態)やバレット食道(食道粘膜が胃の粘膜に置き換わる状態)という合併症を発生させてしまいます。

食道裂孔ヘルニアと同じく、胸焼け・胃のむかつき・胃痛等が頻繫にある場合は、1度病院でご相談ください。

胃炎

げっぷが増えた場合、胃炎を引き起こしていることもあります。胃炎は胃の粘膜に炎症が起きた状態のことです。

食べすぎやストレス、またはピロリ菌が要因となって発症するといわれており、症状としてげっぷ・胃痛・胸のむかつき・嘔吐があります。胃炎には急性胃炎と慢性胃炎がありますが、どちらも同様の症状を引き起こします。

胃炎は悪化する場合もあるため、病院での治療が必要です。

げっぷの症状があまりにもひどい場合は病院へ

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げっぷの症状があまりにもひどい場合は、病院で相談することをおすすめします。妊娠中のげっぷの増加は、ホルモンの影響や唾の飲み込み等が要因なことがあります。しかし、放置すると重篤な状態になることもあり、軽く見ることは禁物です。

げっぷは恥ずかしいことではなく生理現象で仕方がないことなので、ためらわずに受診しましょう。
病院を受診する目安は、慢性的にげっぷが続いて苦しいと感じた時や、食事ができないほど胸焼け等がある場合です。医師による診察や処方で症状が緩和できる可能性もあるため、受診をおすすめします。

つわり期のげっぷに関するQ&A

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ここではつわり期のげっぷに関連した疑問についてQ&Aでお答えします。

げっぷの多さと性別の関係は?

げっぷが多いことと赤ちゃんの性別は全く関係がありません。

げっぷやつわりの頻度が赤ちゃんの性別を表すという話もありますが、科学的根拠はない噂です。げっぷやつわりは赤ちゃんの性別にかかわらず発生します。

げっぷの症状はいつから始まる?

妊娠初期の4~15週からげっぷが出やすくなるようです。

同時期のつわりの症状と共に現われやすいです。ホルモンバランスの変化や身体的な変化、体調不良やストレス等でげっぷを引き起こしやすくなります。また、げっぷが増えるということはガスが増えているということなので、おなかの苦しさや息苦しさ、おならも増えがちになる可能性があります。

▼つわりに関する詳細は、こちらの記事でも紹介しています。
つわりはいつから始まっていつまで続く?症状を軽減させる対策について解説

げっぷが増えて苦しい時は病院へ受診しよう

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つわりが始まる頃になると体や体内ホルモンの変化等で消化不良を引き起こし、げっぷが増えると考えられます。

食べづわりもある場合は、空気の取り込みすぎや食べすぎで特にげっぷが増えて苦しくなってしまう可能性もあります。もしげっぷが増えすぎて苦しいと感じる場合は、ためらわず、かかりつけの病院で相談してください。

げっぷは症状が悪化していくと妊娠悪阻等の重篤な状態につながることがあるため、放置は禁物です。妊娠に関係ない病気が隠れていることもあるので、症状が気になる場合は診察を受けましょう。

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