【医師監修】更年期に起こる関節痛の原因とは?対策も解説

PROFILE


1 【アンケート調査】更年期に関節痛を感じた人は?
2 更年期に関節痛が起こる原因
3 更年期の関節痛にみられる主な症状
4 更年期症状の関節痛と間違えやすい病気
5 日常生活でできる!更年期による関節痛の対策法
6 更年期の関節痛に関するよくあるQ&A
【アンケート調査】更年期に関節痛を感じた人は?

アンケートによると、実に7割以上の人が「更年期症状で関節痛を感じたことがある」と回答しています。
更年期における関節痛は決して珍しい症状ではなく、多くの方が悩んでいる症状の一つです。
関節痛を感じた部位の第1位は足!

最も多かったのは、「足」と答えた方で、全体の54.8%にのぼりました。歩いたり立ったりする動作が多い足は、関節にかかる負担も大きく、痛みが出やすいようです。
次いで多かったのは、「手の指(35.5%)」や「腕(24.2%)」です。さらに、「股関節(3.2%)」や「その他(4.8%)」等の部位が続きます。
このように、更年期の関節痛は体のあちこちにあらわれる可能性があり、痛みの出る場所や程度も人それぞれです。
【調査概要】 調査方法:インターネットアンケート 調査対象:40代以上の女性 アンケート母数:132人 実施日:2024年9月23日~2024年10月7日 調査実施主体:I'm OK? Magazine 調査会社:はなさく生命保険株式会社 |
更年期に関節痛が起こる原因
更年期になると関節が痛む要因の一つが、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量の減少です。
エストロゲンは、生理をコントロールするだけでなく、関節や筋肉、骨、皮膚の健康にも大きく関与するホルモンです。特に、関節周辺の組織においては、炎症を抑える働きを持っています。
ところが更年期になると、このエストロゲンの分泌が急激に減少します。すると、コラーゲンの生成も追いつかなくなり、関節のクッション性が低下してしまうのです。
その結果、関節がこすれ合ったり、炎症が起きやすくなり、痛みとして感じられるようになります。
さらに、「自律神経の乱れ」も関節痛に関わっているといわれています。特に更年期は、女性ホルモンのバランスが崩れやすくなる時期です。その影響で自律神経が敏感になり、ちょっとした刺激でも痛みを強く感じやすくなることがあります。
また、睡眠の質が落ちたり、気分が沈みがちになったりすることも、慢性的な痛みを感じやすくする要因とされています。
更年期の関節痛にみられる主な症状
更年期に起こる関節痛は、そのあらわれ方にも特徴があります。次のような症状が見られる場合、更年期による影響が関係している可能性があります。
● 朝起きたときに関節がこわばる
● 階段の昇り降りで膝や股関節が痛む
● 指の関節に痛みや腫れが出る
● 痛みの場所が日によって変わる 等
朝起きたときにこわばるのは、関節や周辺の組織が睡眠中に冷えて硬直し、血流が滞るために起こると考えられています。
また、階段の昇り降りで膝や股関節が痛むと感じる方も多いでしょう。長時間同じ姿勢でいたあと、いざ動こうとしたときに痛みが出やすいのが特徴です。特に膝や腰、肩、手首等「よく使う関節」に痛みが集中する傾向があります。
これらの症状が続く場合や、日常生活に支障が出るようであれば、医療機関に相談しましょう。早めの対策で、痛みの進行を防げる可能性があります。
更年期症状の関節痛と間違えやすい病気
更年期の時期にあらわれる関節の痛みは、実はほかの病気とよく似た症状を示すことがあります。そのため、「更年期だから仕方ない」と思い込んでしまうと、見逃してしまうことも。
特に注意が必要なのが、「関節リウマチ」や「変形性関節症」といった病気です。これらは、更年期の関節痛と症状が似ているため、はっきりと区別するのが難しい場合があります。
それぞれの特徴を知っておくことで、適切な対処や早めの受診につなげましょう。
関節リウマチ
関節リウマチは、免疫機能に異常が生じることで、自分の体の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。関節に炎症が起こり、痛みや腫れ、こわばり等の症状があります。
更年期の関節痛と違って、関節の腫れが長く続いたり、左右対称に痛みが出ることが特徴です。また、関節の症状以外にも、微熱や倦怠感、貧血等の全身症状を伴うこともあります。
症状が長引く場合や、手の関節に変形が見られるときには、早めに専門医の診察を受けましょう。
変形性関節症
変形性関節症は、関節の軟骨がすり減っていくことで、関節が変形し、痛みや腫れを引き起こす疾患です。特に膝や股関節に多くみられ、動かすと痛みが強くなるのが特徴です。
加齢によるものと思われがちですが、関節の使いすぎや体重による負担等も関係しています。
放っておくと関節の変形が進行し、日常生活にも支障をきたすことがあるため、違和感を覚えたら医療機関で相談することをおすすめします。
日常生活でできる!更年期による関節痛の対策法
小さな工夫で、症状をやわらげることは可能です。ここでは、今日からできる4つのセルフケアをご紹介します。
栄養バランスの良い食事をとる

更年期に起こる関節痛には、食生活の見直しがとても大切です。
おすすめなのが、大豆製品を積極的に取り入れること。納豆や豆腐に含まれる「大豆イソフラボン」は、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをし、ホルモンバランスを整える効果が期待されています。
また、ビタミンB1やビタミンEも、神経の働きを整えたり血行を促進する働きがあり、関節痛の軽減に役立つとされています。玄米やナッツ、緑黄色野菜等、栄養バランスを意識した食事を心がけましょう。
適度な運動で関節の柔軟性を保つ
関節は動かさないと、どんどんこわばってしまいます。関節の柔軟性を保つために、無理のない範囲で軽い運動を続けましょう。
ウォーキングやラジオ体操、関節まわりのストレッチ等がおすすめです。毎日の習慣に取り入れて、血流の改善や筋力の維持につなげましょう。
ただし、関節に痛みがあるときは無理をせず、痛みが落ち着いているタイミングで行うようにしましょう。
身体を冷やさないようにする
冷えは関節痛を悪化させる原因の一つです。体をしっかり温めて血流を良くすることが、痛みをやわらげるカギになります。
特に、足首や腰回りは冷えやすいため、靴下を重ね履きしたり、温かいインナーを活用したりと工夫してみてください。カイロや湯たんぽを使って、じんわり温めるのもおすすめです。
ストレスをためないように意識する
ストレスにより、ホルモンバランスの乱れを招くことで、関節痛が悪化するケースもあります。
日々の生活にリラックスタイムをつくることが大切です。深呼吸をしたり、軽いヨガやストレッチ、好きな音楽を聴く等、自分に合ったリフレッシュ方法を見つけてみましょう。

更年期の関節痛に関するよくあるQ&A
ここからは、実際に医師によく聞かれる質問をまとめています。
更年期の関節痛はいつまで続く?

市販薬やサプリ、漢方薬は効果がある?

病院受診の目安は?
