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カラダとココロ

医師に聞く!更年期に起きる関節痛の原因やセルフケア方法

公開日:2024.11.25
更新日:2024.11.25
医師に聞く!更年期に起きる関節痛の原因やセルフケア方法
更年期の関節痛は煩わしいだけでなく、いつまでこれが続くのか、もう治らないのでは、と不安が募ることもあるようです。更年期の関節痛の痛みに関する内容を、宮の沢スマイルレディースクリニック院長の馬場 敦志先生に伺いました。痛みが出たときの対処法等も理解して、更年期の関節痛を乗り越えましょう。

PROFILE

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専門家/エキスパート 馬場 敦志
筑波大学医学専門学類卒業/現在は宮の沢スマイルレディースクリニック(札幌市)院長として勤務/専門は産婦人科
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専門家/エキスパート 阿部 一也
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業/現在は板橋中央総合病院勤務/専門は産婦人科
INDEX

1 更年期症状の関節痛は次第に良くなる

2 更年期症状の関節痛が出やすい箇所

3 更年期症状で関節が痛いときに試してほしいこと

4 更年期症状の関節痛と間違えやすい病気

5 更年期症状による関節痛に向けた日頃の対策

更年期症状の関節痛は次第に良くなる

更年期に伴う不調は、多くの女性が経験する悩みです。その中でも、特に多い更年期症状の1つが関節痛です。しかし、更年期症状の関節痛は、それほど心配する必要はありません。

関節痛の原因はホルモンの減少

関節痛は、年齢を重ねるとともに起こりやすい症状です。しかし、加齢に伴う関節痛と更年期に伴う関節痛では、原因に違いがあります。加齢に伴う関節痛は、軟骨のすり減りや関節液の減少、筋肉の衰え、骨粗鬆症等が主な原因です。

一方の更年期に伴う関節痛の原因は、ホルモンの分泌量の減少です。年齢を重ねるとともに卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌量が減少します。エストロゲンには、コラーゲンの生成を促す作用があります。

コラーゲンは関節軟骨の主要成分であり、関節を動かす際のクッションのような役割があります。エストロゲンの分泌量の減少に比例し、コラーゲンが生成しづらくなるため、更年期に関節痛が起こりやすくなるというわけです。

痛みのピークは症状が出てから約6カ月

更年期に関節痛に悩んでも、それほど心配する必要はありません。加齢に伴う関節痛とは異なり、更年期に伴う関節痛は徐々に改善される傾向があるからです。痛みのピークは、症状が出始めてから6カ月程度で、長くても閉経後数年程度で消失していきます。ただし、痛みが強く続くようであれば、たとえば関節リウマチや変形性関節症といった別の病気が隠れている可能性もあります。

更年期にこれらの病気を発症すると、更年期に伴う関節痛だと勘違いしてしまうことがあります。痛みの状況によっては我慢せず、病院を受診して医師に相談するようにしましょう。

更年期症状の関節痛が出やすい箇所

更年期に特に関節痛が出やすい箇所を、馬場医師に伺いました。

膝、腰、足首

更年期の関節痛が出やすい箇所の特徴は、重力の影響を受けやすい場所です。特に、膝、腰、足首の痛みを訴える人は少なくありません。

手指、肩、手首

手指、肩、手首のように、日常生活で酷使しがちな場所も、更年期による関節痛が起きやすいといえます。

更年期症状で関節が痛いときに試してほしいこと

関節痛に悩まされたときには、セルフケアで和らげられる可能性があります。ここからは医師のヒアリングをもとに、関節痛の改善が期待できるセルフケアを紹介します。

安静にする

関節痛は、関節に負担がかかって起こっている可能性があります。無理に動かすと悪化することもあるため、痛みが酷いときには無理をせず、まずは安静に過ごすようにしましょう。

痛みが治まるまでは、可能な限り関節を動かさないようにすることがポイントです。痛みがひどいときには、テーピングや固定装具で関節を固定してから安静にしましょう。関節を固定すると関節全体を安定させられるため、負荷を軽減できます。

冷やす

更年期の関節痛には、患部を冷やすのも効果的です。関節痛には、腫れが伴うことがあります。関節が熱をもって腫れているときは、氷や保冷剤、冷湿布等を患部に当てて冷やすようにしましょう。

これは、アイシングと呼ばれる方法です。患部を冷やすことで、痛みや腫れを抑えられます。また、アイシングをする際には、できるだけ患部を心臓よりも高い位置に上げるようにしましょう。こうすることで患部に血液が流れるのを抑え、腫れの悪化を防止できます。

温める

関節が痛む場合は、温湿布やカイロ等で患部を温めてみましょう。患部を温めることで血行を促進し、痛みが和らぐことがあります。指関節が痛む場合は、お湯を張った洗面器に手を入れ、曲げ伸ばしすると効果的です。

また、関節の痛みは、からだ自体が冷えると悪化する傾向があるため、普段からからだが冷えないように工夫することも大切です。お風呂では湯船につかり、全身を温めて血流を促進するようにしましょう。

更年期症状の関節痛と間違えやすい病気

女性は更年期を迎えると、ホルモンバランスの変化によってさまざまな症状が現れます。症状には個人差がありますが、関節痛を経験する女性も少なくありません。しかし、この関節痛は更年期によるものではなく、病気が原因の可能性もあります。

関節リウマチ

関節リウマチとは、免疫機能に何らかの異常が生じることで関節に炎症が起き、痛みや腫れ等の症状が現れる自己免疫疾患です。関節症状の他、貧血や微熱、倦怠感といった全身症状が現れることもあります。一方の更年期に伴う関節痛は、エストロゲンの分泌量の低下によるものです。関節自体に炎症反応がなく、徐々に痛みが和らいでいく傾向にあります。

変形性関節症

変形性関節症とは、軟骨の摩耗や炎症によって徐々に関節が変形し、痛みや腫れが生じる病気です。エストロゲンは、軟骨成分のコラーゲンの生成に関与しています。更年期になるとエストロゲンの分泌量が低下し、コラーゲンが生成されにくくなります。また、エストロゲンには痛みを和らげる働きもあり、分泌量が低下することで痛みを感じやすくなります。

更年期症状による関節痛に向けた日頃の対策

更年期に経験する諸症状の多くは、ホルモンの分泌量が低下することで起こります。ホルモンバランスの乱れにより、関節痛を経験する女性は少なくありません。痛みを軽減し、日常生活を快適に過ごすためには、早めの対策が必要です。

規則正しい生活をする

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更年期の関節痛の予防として、まずは心身ともに健康的に良好な状態を保つことが大切です。よく言われるように、適度な運動・栄養バランスの良い食事・十分な睡眠・規則正しい生活リズムを心がけましょう。

生活習慣の見直しポイントは、次のとおりです。

● 栄養バランスの整った食事
● 十分な睡眠
● 規則正しい生活リズム
● 十分な休息
● 適度な運動 等

更年期に限らず、健康を維持するためには栄養バランスの整った食事が不可欠です。ホルモンの原料となる栄養素(大豆イソフラボン)を積極的に摂取すれば、ホルモンバランスの安定につながります。また、関節痛を引き起こす原因の1つは、体重増加です。体重が増えすぎると関節に負担がかかるため、気になる場合は無理のない範囲でコントロールしてみましょう。

ストレス解消

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ストレスはホルモンバランスの乱れにつながり、関節痛を悪化させてしまう可能性があります。ストレスを緩和するために、深呼吸・瞑想、ヨガ・ストレッチのように、心身ともにリラックスするようなものを積極的に取り入れるといいでしょう。

ストレスを軽減するためには、適度な運動が効果的です。たとえばヨガやストレッチ、ウォーキング等です。

適度な運動によってストレスが解消されると、ホルモンバランスだけでなく、自律神経のバランスも安定しやすくなります。自分の性格やライフスタイルに合うストレス解消法を見つけ、更年期を快適に過ごしましょう。

病院を受診する

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更年期の関節痛の受診の目安は、痛みが徐々にひどくなる場合や、日常生活に影響を及ぼすようなら受診を検討してください。まずは、整形外科等で関節リウマチ等の病気が隠れていないか検査を受けて、問題なければ更年期の関節痛の可能性が高いので婦人科の受診をおすすめします。

更年期による関節痛の治療には、ホルモン補充療法が用いられるのが一般的です。ホルモン補充療法は関節痛だけでなく、ホットフラッシュをはじめとする更年期に伴う諸症状の改善効果が期待できます。

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