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カラダとココロ

【医師監修】更年期に起こる関節痛の原因とは?対策も解説

公開日:2024.11.25
更新日:2025.06.05
【医師監修】更年期に起こる関節痛の原因とは?対策も解説
40代後半から50代にかけて、多くの女性が経験する「更年期」。ホットフラッシュやイライラ等がよく知られていますが、実は「関節の痛み」も見逃せない症状のひとつです。 「朝起きると指の関節がこわばる」「階段の昇り降りがつらくなった」等、年齢のせいだと思っていた不調が、実は更年期に関係しているケースもあります。 この記事では、板橋中央総合病院 医長の阿部一也医師に、更年期に起こる関節痛の実態やその原因、日常生活でできる対策について伺いました。

PROFILE

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専門家/エキスパート 馬場 敦志
筑波大学医学専門学類卒業/現在は宮の沢スマイルレディースクリニック(札幌市)院長として勤務/専門は産婦人科
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専門家/エキスパート 阿部 一也
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業/現在は板橋中央総合病院勤務/専門は産婦人科
INDEX

1 【アンケート調査】更年期に関節痛を感じた人は?

2 更年期に関節痛が起こる原因

3 更年期の関節痛にみられる主な症状

4 更年期症状の関節痛と間違えやすい病気

5 日常生活でできる!更年期による関節痛の対策法

6 更年期の関節痛に関するよくあるQ&A

【アンケート調査】更年期に関節痛を感じた人は?

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アンケートによると、実に7割以上の人が「更年期症状で関節痛を感じたことがある」と回答しています。

更年期における関節痛は決して珍しい症状ではなく、多くの方が悩んでいる症状の一つです。

関節痛を感じた部位の第1位は足!

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最も多かったのは、「足」と答えた方で、全体の54.8%にのぼりました。歩いたり立ったりする動作が多い足は、関節にかかる負担も大きく、痛みが出やすいようです。

次いで多かったのは、「手の指(35.5%)」や「腕(24.2%)」です。さらに、「股関節(3.2%)」や「その他(4.8%)」等の部位が続きます。

このように、更年期の関節痛は体のあちこちにあらわれる可能性があり、痛みの出る場所や程度も人それぞれです。

【調査概要】

調査方法:インターネットアンケート

調査対象:40代以上の女性

アンケート母数:132人

実施日:2024年9月23日~2024年10月7日

調査実施主体:I'm OK? Magazine

調査会社:はなさく生命保険株式会社

更年期に関節痛が起こる原因

更年期になると関節が痛む要因の一つが、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量の減少です。

エストロゲンは、生理をコントロールするだけでなく、関節や筋肉、骨、皮膚の健康にも大きく関与するホルモンです。特に、関節周辺の組織においては、炎症を抑える働きを持っています。

ところが更年期になると、このエストロゲンの分泌が急激に減少します。すると、コラーゲンの生成も追いつかなくなり、関節のクッション性が低下してしまうのです。

その結果、関節がこすれ合ったり、炎症が起きやすくなり、痛みとして感じられるようになります。

さらに、「自律神経の乱れ」も関節痛に関わっているといわれています。特に更年期は、女性ホルモンのバランスが崩れやすくなる時期です。その影響で自律神経が敏感になり、ちょっとした刺激でも痛みを強く感じやすくなることがあります。

また、睡眠の質が落ちたり、気分が沈みがちになったりすることも、慢性的な痛みを感じやすくする要因とされています。

更年期の関節痛にみられる主な症状

更年期に起こる関節痛は、そのあらわれ方にも特徴があります。次のような症状が見られる場合、更年期による影響が関係している可能性があります。
● 朝起きたときに関節がこわばる
● 階段の昇り降りで膝や股関節が痛む
● 指の関節に痛みや腫れが出る
● 痛みの場所が日によって変わる 等

朝起きたときにこわばるのは、関節や周辺の組織が睡眠中に冷えて硬直し、血流が滞るために起こると考えられています。

また、階段の昇り降りで膝や股関節が痛むと感じる方も多いでしょう。長時間同じ姿勢でいたあと、いざ動こうとしたときに痛みが出やすいのが特徴です。特に膝や腰、肩、手首等「よく使う関節」に痛みが集中する傾向があります。

これらの症状が続く場合や、日常生活に支障が出るようであれば、医療機関に相談しましょう。早めの対策で、痛みの進行を防げる可能性があります。

更年期症状の関節痛と間違えやすい病気

更年期の時期にあらわれる関節の痛みは、実はほかの病気とよく似た症状を示すことがあります。そのため、「更年期だから仕方ない」と思い込んでしまうと、見逃してしまうことも。

特に注意が必要なのが、「関節リウマチ」や「変形性関節症」といった病気です。これらは、更年期の関節痛と症状が似ているため、はっきりと区別するのが難しい場合があります。

それぞれの特徴を知っておくことで、適切な対処や早めの受診につなげましょう。

関節リウマチ

関節リウマチは、免疫機能に異常が生じることで、自分の体の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。関節に炎症が起こり、痛みや腫れ、こわばり等の症状があります。

更年期の関節痛と違って、関節の腫れが長く続いたり、左右対称に痛みが出ることが特徴です。また、関節の症状以外にも、微熱や倦怠感、貧血等の全身症状を伴うこともあります。

症状が長引く場合や、手の関節に変形が見られるときには、早めに専門医の診察を受けましょう。

変形性関節症

変形性関節症は、関節の軟骨がすり減っていくことで、関節が変形し、痛みや腫れを引き起こす疾患です。特に膝や股関節に多くみられ、動かすと痛みが強くなるのが特徴です。

加齢によるものと思われがちですが、関節の使いすぎや体重による負担等も関係しています。

放っておくと関節の変形が進行し、日常生活にも支障をきたすことがあるため、違和感を覚えたら医療機関で相談することをおすすめします。

日常生活でできる!更年期による関節痛の対策法

小さな工夫で、症状をやわらげることは可能です。ここでは、今日からできる4つのセルフケアをご紹介します。

栄養バランスの良い食事をとる

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更年期に起こる関節痛には、食生活の見直しがとても大切です。

おすすめなのが、大豆製品を積極的に取り入れること。納豆や豆腐に含まれる「大豆イソフラボン」は、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをし、ホルモンバランスを整える効果が期待されています。

また、ビタミンB1やビタミンEも、神経の働きを整えたり血行を促進する働きがあり、関節痛の軽減に役立つとされています。玄米やナッツ、緑黄色野菜等、栄養バランスを意識した食事を心がけましょう。

適度な運動で関節の柔軟性を保つ

関節は動かさないと、どんどんこわばってしまいます。関節の柔軟性を保つために、無理のない範囲で軽い運動を続けましょう。

ウォーキングやラジオ体操、関節まわりのストレッチ等がおすすめです。毎日の習慣に取り入れて、血流の改善や筋力の維持につなげましょう。

ただし、関節に痛みがあるときは無理をせず、痛みが落ち着いているタイミングで行うようにしましょう。

身体を冷やさないようにする

冷えは関節痛を悪化させる原因の一つです。体をしっかり温めて血流を良くすることが、痛みをやわらげるカギになります。

特に、足首や腰回りは冷えやすいため、靴下を重ね履きしたり、温かいインナーを活用したりと工夫してみてください。カイロや湯たんぽを使って、じんわり温めるのもおすすめです。

ストレスをためないように意識する

ストレスにより、ホルモンバランスの乱れを招くことで、関節痛が悪化するケースもあります。

日々の生活にリラックスタイムをつくることが大切です。深呼吸をしたり、軽いヨガやストレッチ、好きな音楽を聴く等、自分に合ったリフレッシュ方法を見つけてみましょう。

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関節の痛む部位に対して、安静、冷却や温熱、湿布等を使用して痛みを緩和することが良いでしょう。 関節に負担がかかって痛む場合には、関節に負荷がかからないように安静にしましょう。 また、患部を温めることで血行を促進し痛みが和らぎますが、反対に炎症がある場合には冷却が効果的です。 自宅に湿布があれば、それを使用してもいいでしょう。

更年期の関節痛に関するよくあるQ&A

ここからは、実際に医師によく聞かれる質問をまとめています。

更年期の関節痛はいつまで続く?

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更年期の関節痛がどのくらい続くのかは、人によって差がありますが、一般的な傾向はあります。 最も症状が出やすいのは、閉経をはさんだ前後5年間、つまり平均して45〜55歳ごろの時期といわれています。 この時期に痛みがピークを迎える方が多く、ホルモンバランスが安定してくるにつれて、徐々に症状が落ち着いてくるケースもあります。

市販薬やサプリ、漢方薬は効果がある?

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更年期の関節痛には、市販薬・サプリメント・漢方薬といったセルフケアも選択肢のひとつです。 【市販薬】 「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」は、痛みや炎症を一時的に和らげるのに役立ちます。ただし、胃に負担がかかることもあるため、長く使う場合は医師に相談すると安心です。 【サプリメント】 大豆由来の成分「イソフラボン」が腸内で「エクオール」という物質に変わる体質の方は、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きを得やすいとされています。そのため、エクオールを含むサプリメントが更年期症状の軽減に役立つ可能性があります。 【漢方薬】 漢方は体質や症状に合わせて選ばれるのが特徴です。以下のような処方が使われることがあります。 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷え性・むくみ・貧血ぎみの方に 加味逍遙散(かみしょうようさん):イライラや不安、のぼせが気になる方に 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):血の巡りが悪く、肩こりやしこりがある方に 漢方薬は体との相性が大切ですので、婦人科や漢方専門の薬局で相談しながら選ぶとより効果が期待できます。

病院受診の目安は?

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関節の痛みが「だんだんひどくなっている」と感じたり、「日常生活に支障が出ている」ときは、我慢せずに医療機関を受診しましょう。 更年期の関節痛と診断された場合、以下のような治療が行われることがあります。 ● ホルモン補充療法(HRT) ● プラセンタ注射 ● 痛み止めの内服薬や湿布薬 痛みの原因を正しく知ることが、安心と適切なケアにつながります。

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