【産後に80.4%の女性が経験!】足のむくみはいつまで?原因と解消法を解説
PROFILE
1 産後のむくみはなぜ起こる?
2 産後のむくみはいつからいつまで続く?
3 特に気になる「足のむくみ」
4 産後の足のむくみを和らげる・解消する方法
5 こんな場合は病院へ!注意が必要なむくみ症状
産後のむくみはなぜ起こる?
出産後のむくみは、多くの女性が経験する体の変化の一つです。妊娠中に起こった様々な体内環境の変化が、出産後も影響を及ぼすことが主な原因です。
ここでは、その原因について詳しく解説します。
ホルモンバランスの変化
妊娠中、女性の体ではエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが多量に分泌されます。これらのホルモンには、水分や塩分を体内に溜め込みやすくする働きがあります。
しかし、出産後にはホルモンの分泌量が急激に減少するため、体内の水分バランスが乱れ、余分な水分が組織にたまりやすくなります。その結果、むくみとして現れます。
体内の水分バランスの乱れ
妊娠中の血液量は、出産に備えて通常の約1.4倍にまで増加します。さらに、妊娠中は子宮内に胎盤や羊水など、水分を多く含む組織が形成されます。出産時にこれらの水分は一気に体外へ排出されることになります。
体は、急激に失われた水分を補おうとして水分を保持する方向に働きます。この水分保持の働きに、産後の冷えや代謝の低下が加わることで、水分が体内でうまく循環できず、むくみとして症状が現れやすくなります。
運動不足
出産直後は、お産のダメージを回復させるため安静に過ごす期間が必要です。さらに、育児が始まると、赤ちゃんのお世話で同じ姿勢を長時間続けることが増えます。
血液やリンパ液の循環は、筋肉の動きによって促されます。特にふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」と呼ばれ、足に溜まった血液を心臓へ送り返すポンプのような役割を果たしています。
産後の安静や運動不足により、この筋力が低下すると、血液やリンパの流れが悪くなり、足を中心にむくみが起こりやすくなります。
骨盤周辺の圧迫とリンパの損傷

妊娠中、大きくなった子宮は骨盤を広げ、周辺の血管やリンパ管を圧迫します。特に、足から心臓へ血液を送る主要な静脈が圧迫を受けるため、血流が滞りやすくなります。
さらに、出産時には骨盤内のリンパ管がダメージを受けることがあります。リンパ管は体内の余分な水分や老廃物を回収する役割があるため、この損傷によりリンパ液の流れが妨げられ、むくみを引き起こす原因となります。
睡眠不足やストレス
産後は、授乳や夜泣き対応などで昼夜を問わず育児が続き、十分な睡眠が取れない日々が続きます。疲労やストレスが蓄積すると、自律神経のバランスが崩れ、体温調節や水分調整機能が低下したり、血流が悪化したりします。
この自律神経の乱れも、むくみを引き起こす一因となります。
産後のむくみはいつからいつまで続く?
多くの女性が経験する産後のむくみですが、一体いつまで続くのでしょうか。
ピークは産後2〜3日目
産後のむくみが最も強く現れるのは、出産直後から産後2〜3日目にかけての時期です。
出産直後は、分娩による出血や悪露(産後の子宮からの分泌物)によって水分が急激に失われます。
この急激な水分の変化により、体が水分を溜め込もうと反応し、むくみが強く現れます。
産後2週間〜1カ月程度で落ち着く
むくみは通常、出産後のホルモンバランスや水分量の変化が落ち着くにつれて、徐々に軽減していきます。個人差はありますが、多くの場合産後2週間から1カ月の間には、ほとんど気にならないレベルにまで改善します。
ただし、自然分娩に比べて帝王切開での出産の場合は、回復に時間がかかり、むくみが長引くことがあります。
長引く場合は医師への相談が必要
通常は時間の経過とともに軽快しますが、2〜3カ月以上むくみが続く場合や、後ほどご紹介する、注意が必要な症状を伴う場合は、自己判断せずにすぐに医師に相談してください。
腎臓疾患や深部静脈血栓症といった病気が隠れている可能性もあります。
特に気になる「足のむくみ」
出産経験がある女性304名へのアンケートでは、80.4%の女性が産後にむくみを感じた経験があると回答しました。さらに、むくみを感じた場所で一番多かったのは足。「靴が入らない」「足首がなくなり、ゾウのようになる」と感じることもあります。
見た目の変化が大きく、不安に感じる方も多いですが、多くは一過性のものです。
【アンケートデータの調査概要】 調査方法:インターネットアンケート 調査対象:全国 出産経験のある女性 アンケート母数:304名 実施日:2025年9月24日~9月26日 |
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産後の足のむくみを和らげる・解消する方法
産後のむくみを和らげるには、生活習慣の工夫が大切です。体に負担をかけず、無理のない範囲で取り組める方法を紹介します。
足を高くして寝る・休む
横になる際は、クッションや枕を足の下に置き、足を心臓より高い位置に保つようにしましょう。これにより、重力の影響で足に溜まった血液やリンパ液が心臓へ戻りやすくなり、むくみの解消につながります。
日中にソファなどで休むときも同様に、足の下にクッションを入れる習慣をつけるとよいでしょう。
着圧ソックスを活用する
段階的に圧力をかける着圧ソックスは、静脈の血流を促進し、足の血液を心臓に戻す働きを高めます。
ただし、サイズが合わないものを使用したり、長時間の着用を続けたりすると、かえって血行を妨げる可能性があります。使用方法を守り、かかりつけの医師に相談してから使用すると安心です。
ふくらはぎ中心を軽くマッサージする


ふくらはぎを優しく揉むようにマッサージしたり、足首を回すような簡単なストレッチは、血行を促し、体内の余分な水分や老廃物の排出を助けます。
オイルやクリームを使うと、肌への摩擦が減り、リラックス効果も高まります。授乳の合間など、リラックスできる時間を見つけて取り組んでみましょう。
簡単なストレッチやヨガを取り入れる

産褥(さんじょく)期(産後6~8週間)を過ぎ、医師の許可が出た後には、軽いストレッチやヨガを取り入れるのがおすすめです。
軽いストレッチやヨガは血行を促し、体内の余分な水分や老廃物の排出を助けます。足首やふくらはぎを中心に、無理のない範囲で行うとよいでしょう。
足浴で血行を促進する
全身浴が難しい産褥期にも手軽にできるのが足浴(そくよく)です。
38〜40℃のぬるめのお湯に15〜20分程度足を浸すことで、足元から全身の血行が良くなり、冷えの改善と同時にむくみの改善に有効です。
こまめに水分を補給する
「むくんでいるから水分を控えよう」と考える方もいますが、これは逆効果です。体内の水分が不足すると、体は濃度を保つためにさらに水分を溜め込もうとします。
特に授乳中の女性は、母乳を通して水分が失われやすいため、こまめな水分補給が非常に大切です。常温の水やカフェインの入っていない飲み物を意識して摂ることで、体内の循環が良くなり、老廃物の排出を促し、むくみの予防につながります。
こんな場合は病院へ!注意が必要なむくみ症状
産後のむくみは多くの場合、一時的なものですが、次のような症状がある場合は、自己判断せずに医療機関に相談してください。

これらの症状は、深部静脈血栓症や心臓・腎臓の病気など、病的なむくみの可能性があります。
心配な症状がある場合は、かかりつけ医に相談しましょう。