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カラダとココロ

生理の出血量の平均は?異常がある場合の原因と対処法を解説

公開日:2024.04.18
更新日:2024.09.12
生理の出血量の平均は?異常がある場合の原因と対処法を解説
年齢を重ねて、だんだんと生理の出血量が増えてきた、あるいは突然出血量が減った等、生理の変化を感じている方はいないでしょうか。経血量を人と比べる機会はないため、このような状況に人知れず悩んでいる女性もいるのではないでしょうか。 そこで今回は、生理の出血量の目安や量り方について解説します。経血量が異常だった場合に考えられる原因や適切な対処法も紹介するので、生理時の悩みを解消したい方はぜひ参考にしてみてください。

PROFILE

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専門家/エキスパート 阿部 一也
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業/現在は板橋中央総合病院勤務/専門は産婦人科
INDEX

1 正常な生理の出血量

2 生理の出血量を知る方法

3 生理の出血量に異常が発生する原因

4 生理の出血量に異常がある場合の対処法

5 生理の出血量に関するQ&A

6 生理の出血量で不安なことがあったら、病院で検査を受けてみよう

正常な生理の出血量

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生理の症状は個人差が大きく、不調が出る部位や経血量、出血が起こる日数等が人それぞれ異なります。また、他の女性と生理の出血量について詳しく話す機会は少ないので、自分の経血量が正常なのかどうか不安になる女性も多いです。

個人差があるとはいえ、正常な生理の出血量の範囲には目安が設けられています。どのくらいが正常なのか、確認しましょう。

20〜140mlであれば正常

公益社団法人 日本産婦人科医会によると、生理の出血量は1回あたり20〜140mlであれば正常とされています。実際に経血量を量るのは難しいですが、ナプキンを1時間おきに変えても経血があふれてしまう、日中も夜用ナプキンでなければ服や椅子等を汚してしまうといった状況でなければ、正常の範囲内といえるでしょう。

参考:公益社団法人 日本産婦人科医会

150ml以上は過多月経

1回の出血量が多く、日常生活に支障を感じている場合は過多月経の可能性があります。過多月経とは、生理の出血量が異常に多い状態のことです。1回の経血量が150ml以上の状態では、過多月経が考えられます。

ただし、病院でも実際に経血量を量るケースはほとんどありません。基本的には、患者さん自身の状況説明と貧血等の症状があることで過多月経であると診断されます。そのほかのケースでは、血液検査によって月経が原因である鉄欠乏性貧血が認められると、過多月経の恐れがあります。

参考:一般社団法人 日本女性心身医学会

20ml以下は過少月経

生理の出血量が少ない場合は、過少月経である可能性があります。過少月経の目安は、1回あたりの経血量が20ml以下であること。最も生理の出血量が多いとされる2日目でもナプキンに少し血がつく程度だったり、おりものシートで十分間に合ったりする場合は、経血量が少なく過少月経であると考えられます。

生理の出血が少ないと、煩わしさがなく快適だと感じるかもしれません。しかし、過少月経の影には子宮の異常やホルモン分泌異常等が隠れている可能性もあります。また、経血量が突然少なくなった場合は妊娠している可能性も考えられます。

参考:公益社団法人 日本産婦人科医会

生理の出血量を知る方法

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過多月経や過少月経ではないと知るためには、自分の生理の出血量を把握する必要があります。しかし、どのくらい血が出ているか正確に量るのは難しいでしょう。そのため、大体の出血量を知る方法を理解しておくのが大切です。

月経カップを利用する

生理の出血量を正確に知るためにおすすめなのが、月経カップを使用する方法です。月経カップはナプキンやタンポン等と同じ生理用品の一種で、膣内に挿入して経血をためるもの。一度挿入したら4〜8時間程度使用できるので、ナプキンのように何度も交換しなくても快適に過ごせます。

月経カップの大きな特長として、メモリが記載されていることが挙げられます。取り出した月経カップをひと目見れば、メモリから経血量を知ることが可能です。出血量を数値で測れるため、過多月経や過少月経の可能性も判断しやすいでしょう。

ただし、月経カップは繰り返し使うものなので、清潔さを保つため煮沸消毒をしなければなりません。また、膣内に直接挿入することに抵抗がある方も多いでしょう。とはいえ、月経カップには出血量が分かるだけでなく、交換する手間が省ける、生理用品を持ち歩かずに済む、ナプキンを買わなくていいので節約できるといったさまざまなメリットがあります。抵抗感がなく、メリットを魅力に感じるのであれば、経血量を知るためにも月経カップを使ってみましょう。

ナプキンの交換頻度をチェックする

生理の出血量を調べるのが難しい場合は、ナプキンの交換頻度をチェックしましょう。正常な生理では、最も経血量が多いとされる2日目でも2〜3時間に1回ほどの交換で済みます。どのくらいの頻度でナプキンを交換しているか、生理のときにメモしておくといいでしょう。

出血量が多い日は1時間も同じナプキンを使い続けられない、日中も夜用ナプキンでなければ経血が漏れてしまうといったケースでは、過多月経が疑われます。生理の出血量が多いと、出血による鉄欠乏性貧血も起こる可能性が高いです。

生理の出血量に異常が発生する原因

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もともとそこまで出血量が多くなかったにもかかわらず、年齢を重ねるにつれて多くなってきたと感じる女性もいます。

生理の出血量が多い過多月経になる原因は、いくつか考えられます。それぞれ確認してみましょう。

器質性疾患の可能性がある

経血量が多い過多月経になる原因として、器質性疾患が考えられます。器質性疾患とは、臓器自体に炎症をはじめとする異常が起きる病気のことです。異常が原因となり、さまざまな症状が発生します。

過多月経の原因になり得るのは、子宮に異常が起こる婦人科器質性疾患です。子宮の病気が原因となり、生理の出血量に問題が発生していると考えられます。婦人科器質性疾患の例として、以下のようなものが挙げられます。

●子宮筋腫
●子宮腺筋症
●子宮内膜ポリープ
●子宮内膜増殖症
●子宮体がん
●子宮頸がん

器質性疾患は臓器そのものに異常が発生しているので、病院で検査を受けることで異常を発見できます。

機能性疾患の可能性がある

機能性疾患も、過多月経で生理の出血量が増える原因になり得ます。機能性疾患は器質性疾患とは異なり、臓器自体には異常が発生していません。異常が確認できないにもかかわらず症状が表れているときは、機能性疾患と判断されます。

婦人科機能性疾患の場合は子宮自体に異常が起きるのではなく、ホルモンバランスの悪化や無排卵等が発生します。以下のような婦人科機能性疾患がある場合、子宮内膜の一部が剥離して破綻出血が発生し、その結果として過多月経を招くこともあります。

●黄体機能不全
●無排卵性周期症

機能性疾患は臓器自体には何も異常がないので、病院で検査を受けても異常は発見できません。臓器の機能を調べる検査では、異常が見つかる場合もあります。

内科系疾患の可能性がある

過多月経は、内科系の疾患によって引き起こされるケースもあります。血小板が減る、血が固まりにくいといった血液疾患があり、血を止める機能に異常が発生して結果的に過多月経を起こすパターンです。

内科系疾患は先天性のものだけでなく、後天的な理由で発生することもあります。また、薬物の作用によって起こることもあるので、病院で詳細な確認や検査が必要です。内科系疾患が過多月経の原因と考えられる場合は、貧血や血液の凝固機能、肝臓の機能等を採血によって調べます。

生理の出血量に異常がある場合の対処法

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年齢を重ねて生理の出血量が増えてくると、病気の可能性も考えられるため不安に思うこともあるでしょう。また、突然経血量が少なくなった場合も、何か異常があるのではないかと心配になることがあるかもしれません。気になることがあれば婦人科で相談するのが近道ですが、自分でできる対処法もいくつかあります。ここで具体的な対処法を確認し、実践してみましょう。

鉄分をしっかり取る

生理の出血量が多いと鉄欠乏性貧血になる可能性があるため、対策のために鉄分を多く摂取しましょう。

経血は血液だけでなく、子宮の壁から剥がれた内膜が混ざったものです。経血にどのくらいの血液が含まれているかは人によって異なりますが、経血量が多いとその分血液が多く排出される可能性が高まります。その結果、鉄欠乏性貧血を引き起こしてしまうのです。

生理の出血量が多いときは、鉄欠乏性貧血を改善するためにも鉄分をしっかりと摂取することが大切です。鉄は赤身肉やレバー、かつおやマグロ等の魚、小松菜やほうれん草等の野菜、納豆や枝豆等の豆類、ひじき等の海藻類に豊富に含まれます。

野菜や豆類、海藻類に含まれる非ヘム鉄は、肉類や魚類に含まれるヘム鉄に比べて吸収率が低いといわれています。動物性タンパク質と一緒に取ると非ヘム鉄の吸収率も高まるので、鉄分が豊富な肉類や魚類と一緒に調理するといいでしょう。

ビタミンCも鉄の吸収率を高めてくれるので、いちごやキウイ、じゃがいも、ピーマン等の果物や野菜も積極的に取るのがおすすめです。鉄分が含まれた食品を摂るだけでなく、バランスの良い食事を心がけましょう。

乱れた生活習慣を改善する

生理の出血量が多いときは、生活習慣が乱れている可能性もあります。特に注意したいのが、体を冷やす生活習慣です。体が冷えると、子宮の働きが低下します。子宮内に血液をとどめておく力がうまく働かなくなり、経血量が増えることも。冷たい食べ物や飲み物を避け、おなかや背中周辺をカイロや湯たんぽで温めると冷えの改善効果が期待できます。

スクワット等の筋力トレーニングを取り入れることも、冷えの改善につながります。スクワットは回数を重視せず、ゆっくりとした動作で丁寧に行うことを意識し、日々の習慣として実践してみてください。

また、睡眠不足は生理の出血量を減少させる一因になることがあります。睡眠時間が足りていないと、女性ホルモンの分泌量が減って卵巣機能が低下することも。卵巣機能の低下は経血量の減少につながることがあるので、十分な睡眠時間を確保してみてください。20代後半以降であれば、6〜8時間の睡眠時間が必要とされています。

婦人科を受診する

生理時の出血量が多い、もしくは少ないと悩んでいるのであれば、婦人科を受診してみましょう。病気が隠れている場合は、早めに治療を始める必要があります。病気がなかった場合も、適切な対処をすることで症状の改善が期待できるので、医師に相談することが大切です。

以下は過多月経や過少月経と思われる際、婦人科を受診すべき症状の目安です。

過多月経と思われるときの受診目安
●1時間ほどでナプキンから血があふれる
●日中も夜用のナプキンを使用する必要がある
●倦怠感やめまい、立ちくらみがある
●月経中仕事に集中できない、熟睡できない等の問題がある

過少月経と思われるときの受診目安
●経血が少ない状態が数カ月続く
●生理が毎回2日間で終わる
●経血が少なく、下腹部の痛みもある

生理の出血量に関するQ&A

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加齢とともに生理の出血量が変化してくると、体のどこかに悪いところがないか心配に思ってしまうものです。生理の出血について気になることがあるなら、以下のよくある質問と回答を確認してみましょう。

出血量が多いときに行われる検査は?

生理の出血量が多く過多月経が疑われる場合に病院を受診すると、以下のような検査が行われます。

●血液検査
●経腟超音波検査
●子宮頸部細胞診
●子宮体部細胞診

血液検査をすることで、血液中の女性ホルモンの量に異常がないか、貧血が起きていないかを調べられます。経腟超音波検査はエコー検査とも呼ばれており、超音波で子宮や卵巣の状態を調べる検査です。子宮頸部細胞診と子宮体部細胞診では、子宮の入り口や内部の細胞の状態を調べます。

過多月経の治療方法は?

過多月経だと診断された場合は、適切な治療を進めることになります。過多月経の治療方法には以下のようなものがあり、原因に応じて選択されます。

●IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)
●ホルモン療法
●手術療法

IUSは、子宮の中に黄体ホルモンを出し続ける装置を入れる方法です。黄体ホルモンには子宮内膜の増殖を抑える働きがあるので、IUSによって経血量を減らせます。体質や状態によっては、女性ホルモンのバランスを投薬で整えるホルモン療法が効果的です。症状が重いケースや器質性疾患が認められるケースでは、手術が必要なこともあります。

レバーのような塊が出るのはなぜ?

生理のときに、レバーのような塊の経血が出てくることがあります。経血量が多く見え、心配に思うかもしれませんが、実は健康な女性に多くみられる症状なので心配は不要です。

剥がれ落ちた子宮内膜が厚いと、体外に排出された際にそのままレバーのような塊に見えます。女性ホルモンの分泌量が多いことが原因ですが、頻繁に塊が出る場合は婦人科系疾患が隠れている可能性もあるので病院を受診してみましょう。

生理の出血量で不安なことがあったら、病院で検査を受けてみよう

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生理の出血量には個人差がありますが、多すぎたり少なすぎたりする場合は疾患が隠れていることもあるため注意が必要です。まずは鉄分をしっかり摂ったり生活習慣を改善したりといったセルフケアを試してみてください。。

1時間おきにナプキンを変えなければいけない、日中に夜用のナプキンを使わなければいけない等の場合は過多月経の疑いがあります。一方、出血量が少なく生理が2日間ほどで終わる場合は過少月経であることも。病院で検査を受けると問題があるかどうかが分かり、適切な対処もできるようになります。自分の体を労わるために、生理の量に不安を感じるのであれば、婦人科の受診も検討してみましょう。

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