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妊娠と出産

安定期はいつからいつまで?過ごし方のポイントや注意点を解説

公開日:2024.07.19
更新日:2024.07.19
安定期はいつからいつまで?過ごし方のポイントや注意点を解説
妊娠における安定期がいつからいつまでなのかは、意外と知られていません。安定期は妊娠初期にみられた体の不調が落ち着くため、妊娠中の女性にとって安心感が増す時期です。安定期に妊娠報告をする方も多いので、時期を知っておくといいでしょう。 そこで今回は、安定期はいつからいつまでなのかを解説します。安定期の特徴や過ごし方のポイント、注意点等も説明するので、参考にしてみてください。

PROFILE

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専門家/エキスパート 馬場 敦志
筑波大学医学専門学類卒業/現在は宮の沢スマイルレディースクリニック(札幌市)院長として勤務/専門は産婦人科
INDEX

1 妊娠の安定期の意味

2 妊娠の安定期はいつからいつまでか

3 妊娠の安定期の特徴・状態

4 妊娠の安定期を過ごすポイント

5 妊娠の安定期の注意点とは

6 妊娠の安定期で気になる疑問

7 安定期がいつからか把握して、適切な行動を取ろう

妊娠の安定期の意味

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妊娠における安定期とは、妊娠初期にみられたつわりや倦怠感等の体調不良が落ち着き、症状が安定してきた時期のことです。安定期になると、胎盤の完成に伴ってホルモンバランスも安定します。その結果、高くなっていた体温も正常に戻るので、だるさや熱っぽさも落ち着くことが多いです。

一般的に使われていますが、実は「安定期」は医学用語ではありません。妊娠初期に見られた症状が落ち着くことから、安定期と呼ばれています。流産全体のうち約85%が、13週目までの妊娠初期に起こっていると判明しているため、流産のリスクが減るという意味でも安定期といえます。

参考:厚生労働省

妊娠の安定期はいつからいつまでか

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妊娠の安定期は医学用語ではないため、いつからいつまでという明確な定義はありません。しかし、一般的に安定期といわれている時期がいつなのかということは、以下を目安にしてみてください。

安定期の目安は妊娠16週目から27週目

安定期の目安は、妊娠16週目から27週目とされています。実際の期間は個人差がありますが、大体妊娠5カ月目から7カ月目が安定期といえるでしょう。

産科婦人科の用語で、妊娠期は初期・中期・後期(末期)の3つに分けられています。妊娠初期は13週目6日まで、妊娠中期は14週0日から27週6日まで、妊娠後期が28週0日以降と定められているので、妊娠中期が完全に安定期にあてはまるわけではありません。

なかには妊娠中期になっても、つわりが治らず安定期に入ったと感じられない方もいます。週数はあくまで目安として、自身の体調を確認しましょう。

参考:厚生労働省

安定期がいつからかわかる計算方法

安定期がいつから始まるかわからない場合は、妊娠前の最終月経の開始日から現在の日付までを数え、妊娠週数を計算してみましょう。月経が終わった日ではなく、始まった日を妊娠0週1日目とするため、間違えないようにしてください。

現在の妊娠週数がわかれば、安定期の目安がわかります。妊娠16週目〜27週目がいつになるか、確かめてみましょう。

また、厚生労働省の委託を受けて一般財団法人 女性労働協会が運営しているWebサイト「妊娠出産・母性健康管理サポート」では、妊娠週数を自動計算できるツールが公開されています。最終月経開始日と妊娠週数を調べたい日付を入力し、「計算する」を押せば、すぐに妊娠週数と月数が表示されます。

参考:妊娠出産・母性健康管理サポート

妊娠の安定期の特徴・状態

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安定期に入ってからも、母体は出産に備えて変化を続けています。妊娠初期とは異なる変化を感じて慌てないように、安定期に見られる特徴や状態を確認しておきましょう。

おなかの膨らみが目立ちはじめる

安定期に入り妊娠16週頃になると、おなかの膨らみが目立ってきます。妊娠16週頃になると子宮が大人の頭ほど、おへその近くまで届く大きさになるからです。とはいえ、妊娠16週頃はまだ、洋服を着た状態であればおなかが目立つほどではありません。

赤ちゃんは、妊娠19週末頃には約25cm、妊娠27週末頃には約38cmの大きさに成長します。妊娠中期が始まる頃と終わる頃を比較すると、体重も4倍ほど重くなるので、安定期に入ってからおなかの膨らみはどんどん目立っていくでしょう。

体のマイナートラブル

妊娠初期の女性ホルモンは、エストロゲンよりプロゲステロンの働きが強くなることから、イライラやうつ状態のような精神的な不安定さに悩まされる妊婦も少なくありません。

一方で安定期に入ると、胎盤が完成してホルモンバランスが安定し、エストロゲンの働きが強くなるのでメンタルの不調は治まる傾向があります。また、高くなっていた基礎体温が下がることで、つわりやだるさ、熱っぽさが治まるケースも多いです。

しかし、妊娠している以上、安定期であってもさまざまなマイナートラブルが発生する可能性があります。安定期に起こりやすい代表的なトラブルと対策方法を以下で紹介するので、確認してください。

貧血

妊娠中は、体内を多くの血液が流れるようになるため、血液の量が増えます。しかし、血液中の赤血球等はあまり増えないので、血液が薄まった状態が続き貧血を起こす妊婦が多いです。赤ちゃんが成長するために妊婦の血液から鉄分を吸収することも、貧血を招く理由として挙げられます。

貧血への対策には赤身肉や卵、大豆製品、小松菜等の野菜を摂取し、鉄分を補給するのが大切です。ビタミンCと一緒に摂取すれば鉄分の吸収率が高まるので、ピーマンやオレンジ等も組み合わせて食べましょう。

便秘や頻尿

安定期に入るとおなかが大きくなり始めるので、子宮に圧迫されて腸の動きが妨げられ、便秘になりやすいです。また、膀胱も子宮に圧迫されるため、頻尿等の症状を招くこともあります。

頻尿を避けるために水分を控えると、便秘や脱水症状等の体調不良を招くため注意してください。便秘を解消するためにも、定期的な水分補給が大切です。加えて、食事に海藻類や芋類等の水溶性食物繊維が多く含まれる食材や、ヨーグルトやチーズ等の乳酸菌が含まれる食品を取り入れることもおすすめします。もし尿意を感じたら、こまめにトイレに行くようにしましょう。

腰痛

安定期に大きくなってきたおなかを支えるために、多くの妊婦が腰を反らせた姿勢を取るようになります。また、体が少しずつ出産の準備をして腰回りの筋肉が硬くなることからも、腰痛が起こりやすいです。

安定期にはできるだけ腰を曲げないよう、背筋を正しく伸ばした姿勢を意識してみてください。腰が沈みにくい硬めの寝具を使うのも、腰痛対策に効果的です。

動悸や息切れ

安定期に入ると、体内を巡る血液量が増えることで心臓にかかる負担が大きくなり、心拍数が高くなります。その結果、動悸や息切れを感じるケースもめずらしくありません。

動悸や息切れを感じたときは無理に動かず、安静にして落ち着くのを待つのが大切です。ゆっくりとした動きを意識する、こまめに休憩する等の方法も効果があります。

皮膚トラブル

安定期に入ってから、体に蕁麻疹のような皮膚トラブルが起こる場合もあります。妊娠性痒疹と呼ばれ、強いかゆみが発生するので、皮膚科を受診してください。

妊婦がもともとアトピー性皮膚炎の場合、妊娠中に症状が悪化することもあります。気になる症状があれば、医師に相談することが大切です。

急激な体の変化で妊娠線ができる

安定期に入るとどんどんおなかが大きくなるため、妊娠線ができてしまうこともあります。妊娠線とは妊娠による皮膚の表面の伸びに真皮や皮下組織が追いつけなくなり、裂けることで発生するひび割れた線のことです。また、妊娠中は胸や太もも、お尻等に脂肪がつきやすくなるため、急激に脂肪がついた部位にも妊娠線ができる可能性があります。

妊娠線はできた当初はピンク色や赤紫色ですが、時間が経過すると黒ずみ、産後は白くなります。次第に目立たなくはなりますが、出産したあとも完全に消えることはないので、予防が大切です。

妊娠線は肌が乾燥するとできやすくなるため、早めに保湿ケアを始めるのがおすすめです。安定期に入っておなかが大きくなり始める頃から、クリームやオイル等を塗って肌を保湿しましょう。妊娠線の予防クリームも販売されているので、使用してみてください。

赤ちゃんの胎動

早ければ安定期に入る妊娠16週頃から、赤ちゃんの胎動を感じる方もいます。安定期に入ると、骨格や筋肉が発達してきた赤ちゃんが手足を自由に動かすようになり、手足が子宮壁にあたることで、胎動が感じられます。

初めて胎動を確認できたときは多くの方が感動しますが、感じ方は人それぞれ。静電気が起きたようなサワサワとした感じや腸が動く感じ、おなかが震える感じ等、はじめの頃は不思議な感覚ととらえる方も多いです。赤ちゃんの成長に伴い、少しずつポコポコと手足があたる感覚がわかるようになります。

胎動を感じ始める時期は人によって異なり、初産であれば20週頃に初めて感じる方も少なくありません。安定期に入ってからなかなか胎動を感じなくても、心拍確認や超音波検査で問題がなければ心配はないでしょう。

妊娠の安定期を過ごすポイント

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安定期に入ると妊娠初期にみられていたつわり等の症状が治まるので、できることが増えていきます。そこで、今後の妊娠生活を健康に過ごすために、安定期にできることを始めてみましょう。ただし、安定期に関わらず妊娠中は体の変化に伴い様々な体調不良が起こりやすいもの。過ごしやすい工夫とともに、心配な症状があれば、かかりつけの産院を受診するなど、医師や助産師に相談してみましょう。

適度な運動

安定期に入って体調に問題がない場合は、母体の健康を維持するために適度な運動が必要です。無理のない範囲で体を動かせば、運動不足を解消できるだけでなく、ストレス発散にもなります。

日本臨床スポーツ医学会 産婦人科部会が提言している「妊婦スポーツの安全管理基準」では、以下のような運動が推奨されています。

・ 真夏の炎天下を避けてできる運動
・ 平坦な場所でできる運動
・ 全身を使う有酸素運動
・ 競技性が高くなく、相手と接触したり転倒したりする危険がない運動
・ おなかを圧迫せず、仰向けにならない運動

頻度は週に2〜3回で1回の運動時間は60分以内にすると、心拍数が150bpm以下で上がりすぎず、体に負担がかかりすぎない運動ができます。

まずはウォーキングやストレッチ等、自宅でできる運動から始めるのもいいでしょう。妊婦向けのヨガやエアロビクス、スイミング等の教室も開催されているので、気になる方は調べてみてください。

参考:日本臨床スポーツ医学会 産婦人科部会

食事は栄養バランスを重視

妊娠初期はつわりで特定のものしか食べられなかったり、食事を受付けなかったりするケースも少なくありません。一方で安定期に入るとつわりが治まってきて、きちんと食事ができるようになります。安定期には胎盤が完成し、赤ちゃんのための栄養が必要になるので、妊娠前より栄養バランスを重視した食事をしましょう。

厚生労働省は、「妊産婦のための食事バランスガイド」を公表しています。1日に何をどれだけ食べればいいかが一目でわかるので、活用してみてください。安定期には主食をきちんと取ってエネルギーを補給し、肉や魚等の主菜を適量にしながら、不足しがちなビタミンやミネラルを副菜で補うのがおすすめです。

納豆やブロッコリー、ほうれん草等に含まれる葉酸は、赤ちゃんの細胞分裂や成熟にかかわる栄養素なので積極的に取りましょう。妊娠中に不足しがちな鉄分を補うために、赤身肉や小松菜等を食べるのもおすすめです。また、赤ちゃんの骨や歯が強くなるよう、乳製品や豆腐等のカルシウムを含む食品の摂取も意識してみてください。

参考:厚生労働省

動けるうちに出産の準備

安定期はまだおなかも大きくなりすぎず、体調不良も治まってくるため妊娠中でも比較的過ごしやすい時期です。妊娠後期に入るとさらにおなかが大きくなり、動きにくくなってしまうので、安定期の間に出産の準備を進めておきましょう。

どこの医療機関で出産するかは、早めに決めておくのがおすすめです。自宅や勤務先からの距離や個室の有無、産前産後教室の有無、無痛分娩を選べるかどうか等、重視するポイントから産婦人科を選んでみてください。

また、妊娠中の過ごし方や出産までの進み方、赤ちゃんのお世話方法等を学べる両親学級にも安定期頃から参加できます。プロから正しい知識を得ることで、妊娠や出産、育児に対する不安を軽減できるため、必要であれば参加を検討しましょう。

意外と忘れがちですが、出産前に虫歯を治療するのも大切です。妊娠中はホルモンバランスの変化が影響し、口内細菌が増えやすくなります。虫歯があるなら早めに治療し、出産までに治しておきましょう。

妊娠の安定期の注意点とは

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安定期は妊娠初期に比べて体調不良や精神的な不調に悩まされることも少なく、元気に過ごしやすい時期です。しかし、安定期だからといってリスクがないということではありません。あくまでも妊娠初期のつわりをはじめとした体調不良が軽減される時期、流産など妊娠におけるトラブルのリスクが低下する時期、ということです。医師の観点からいうと安定期という概念はなく、妊娠中は何が起こるかわからないと考えて診察にあたります。新たな命のためということをしっかり考慮しながら過ごすことが前提となります。

体調不良を我慢しない

安定期であっても、妊娠中はさまざまな体調不良が起こります。もし不調を感じたときは、我慢せずすぐに病院へ行って医師に相談してください。

例えば、妊娠前や妊娠初期には正常だった血圧が、妊娠中に上がってしまう妊娠高血圧症候群が起こることがあります。妊娠高血圧になると、脳出血や胎盤機能低下等のリスクがあるため、早めに治療を受けなければなりません。

妊娠中に高血糖になる妊娠糖尿病も、妊娠高血圧症候群を引き起こしたり流産につながったりするおそれがある症状です。子宮頸管がゆるくなって開いてしまう子宮頸管無力症も流産や早産の原因になるので、早めに治療する必要があります。

子宮収縮によるおなかの張りが頻繁に感じられる、性器出血がある等の場合は、切迫早産の可能性もあります。異変があればすぐ医師に相談し、早めの対処を心がけましょう。

性生活は無理のない範囲にする

安定期でも性行為は可能ですが、リスクを理解したうえで無理のない範囲で行いましょう。

安定期はおなかが出てくるので、おなかを圧迫せず体に負担がかからない体位を選ばなければなりません。また、妊娠中は免疫力が低下しているため、感染症発症のリスクが高まります。性感染症を予防するために、必ずコンドームを使用しましょう。性行為時の刺激が子宮筋を収縮させ、流産や早産につながる可能性もゼロではありません。

性行為をしている間におなかが張ったり、気分が悪くなったりしたら、すぐに中止してください。中止後も張りが続いたり出血したりしたら、速やかに医師に相談しましょう。

妊娠の安定期で気になる疑問

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妊娠の安定期がいつからなのかを理解し、過ごし方のポイントを押さえても、疑問は浮かび上がってくるものです。ここで、妊娠の安定期に関する疑問にお答えします。

安定期であれば旅行に行ける?

安定期は胎盤が完成し体調不良も落ち着いているため、比較的旅行に行きやすい時期ではあります。体調を確認し、医師に相談したうえで問題がなければ、旅行をしてもいいでしょう。

ただし、安定期の旅行が絶対に安全というわけではありません。なるべく体に負担をかけないよう、余裕を持たせたスケジュールを組んでゆったりと過ごすのがおすすめです。混雑しやすい時期の旅行や海外旅行は避け、激しいアクティビティも行わないようにしてください。

また、旅先で病院を受診することになる可能性があるため、母子手帳を持参しましょう。万が一の事態に備え、旅先の病院をあらかじめ探しておくと安心です。

▼妊娠中の旅行に関する詳細は、こちらの記事でも紹介しています。
妊娠初期は飛行機に乗っても大丈夫?リスクやポイントを解説

安定期での流産率は?

医療法人社団 徐クリニックARTセンターが公表しているデータによると、33歳未満の場合、安定期に入る妊娠16週目の流産の割合は2.2%、20週目では1.2%、24週目では0.51%です。

また、世界的な医学誌「THE LANCET」に掲載された論文によると、流産してしまう確率は全妊娠の約15%。安定期が含まれる妊娠中期の流産発生確率は、流産全体の約10%です。約85%の流産が妊娠初期に発生していることを考えると、安定期に入れば妊娠初期より流産のリスクは抑えられるといえます。

参考:医療法人社団 徐クリニックARTセンター
参考:THE LANCET00682-6/abstract)

安定期がいつからか把握して、適切な行動を取ろう

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安定期は妊娠16週目〜27週目頃で、妊娠初期よりも身体的・精神的な不調が落ち着く時期です。しかし、妊娠中の体はどんどん変化していきます。おなかが大きくなることで便秘や頻尿が起きたり、妊娠線が出現したりするのも安定期の特徴です。安定期でも、決して無理をせずに過ごすことを心がけてください。母子共に健康で過ごせるよう運動や食事に気をつけながら、出産準備を進めましょう。

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