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妊娠と出産

つわりによる吐き気がつらい…妊娠初期にできる対策と緩和方法

公開日:2024.09.20
更新日:2025.05.09
つわりによる吐き気がつらい…妊娠初期にできる対策と緩和方法
妊娠が分かって喜んだのも束の間、「吐き気が止まらない」「食べ物の匂いもダメ」等、つわりの症状に悩まされていませんか?つわりは妊娠初期に約8割の女性が経験するといわれ、なかでも「吐き気」は多くの妊婦さんが苦しむ代表的な症状です。本記事では、あおば通りかずみクリニックの佐藤綾華医師に話を伺い、つわりによる吐き気の原因やメカニズム、日常生活での対策法、吐き気を和らげる食べ物やツボまで幅広くご紹介します。自分に合ったケアを見つけ、少しでも楽に妊娠期を過ごすヒントを見つけてください。

PROFILE

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専門家/エキスパート 馬場 敦志
筑波大学医学専門学類卒業/現在は宮の沢スマイルレディースクリニック(札幌市)院長として勤務/専門は産婦人科
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専門家/エキスパート 佐藤 綾華
2018/3北海道大学医学部医学科卒業 2018/4-2020/3石巻赤十字病院初期研修修了 2020/4-2021/3石巻赤十字病院産婦人科勤務 2021/4-2022/3東北公済病院産婦人科勤務 2022/5-2023/3東北大学病院産婦人科勤務 2023/4-2024/3仙台市内の婦人科クリニック等で勤務
INDEX

1 つわりの吐き気に関する基礎知識

2 つわりの吐き気はなぜ起こる?原因と仕組み

3 つわりの吐き気を和らげる生活習慣とセルフケアのポイント

4 つわりの吐き気の緩和方法

5 病院で相談すべき目安と妊娠悪阻との違い

6 パートナーや家族に伝えておきたいこと

7 つわりの吐き気に関してよくある疑問

つわりの吐き気に関する基礎知識

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つわりが原因で起こる吐き気についてよく知らない場合、いつからいつまで続くのか、自分だけが悩んでいるのではないか等、さまざまな不安に苛まれてしまうこともあります。まずはつわりで吐き気が出やすい時期はいつなのか、つわりの吐き気はなぜ起こるのか等、基礎知識を確認しましょう。

【調査概要】

調査方法:インターネットアンケート

調査対象:妊娠経験がある女性

アンケート母数:281人

実施日:2025年2月20日~2025年2月23日

調査実施主体:I'm OK? Magazine

調査会社:はなさく生命保険株式会社

つわりの吐き気はなぜ起こる?原因と仕組み

つわりの原因は完全には明らかになっていませんが、2023年につわりとホルモンに関する論文が発表されました。

妊娠初期に起こるホルモン変化と関係

2023年12月、つわりの原因がGDF15というホルモンだとする論文が、総合科学学術雑誌「Nature」に掲載されました。これによると妊娠前にGDF15の値が低かった人ほど、妊娠してGDF15の値が高くなることで、つわりの症状が出やすいとされています。

また、つわりの吐き気はホルモンバランスによって引き起こされているとも考えられています。これは妊娠によって活性化した体内のホルモンが、嘔吐中枢を刺激することで吐き気が生じるためです。そのほかにも妊娠中は黄体ホルモンのプロゲステロンが増加し、体内にガスが溜まりやすくなるため、吐き気につながると考えられています。

※参考:Nature GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy

多いのは匂いづわりや、空腹時の吐き気

つわりの症状には個人差がありますが、中でも多いのは妊娠前には不快に感じなかった特定の匂いで気分が悪くなる「匂いづわり」や、空腹時に吐き気を感じる「食べづわり」、タイミング問わず吐き気を感じる「吐きづわり」です。そのほかにも、強い眠気を感じたり、よだれが多くなったりという症状が代表的です。

つわりのピーク時期と一般的な継続期間

先ほど紹介したアンケートの、つわりが終わった時期に関する質問では、28.4%の人が妊娠16週~19週に該当する、妊娠5カ月と回答しました。それ以前につわりが終わった人も含めると、約7割以上の人は妊娠5カ月目までにつわりの症状がなくなっています。つわりが終わる時期には個人差があり、中には出産直前まで続くこともあります。

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つわりの症状は一般的に妊娠5〜14週頃に出ることが多く、症状の重さのピークは9~10週頃であるケースが多いです。

つわりの吐き気を和らげる生活習慣とセルフケアのポイント

つわりの吐き気を和らげるためには、食事の取り方や普段の過ごし方でセルフケアを行っていく必要があります。ここからはセルフケアのポイントを詳しく見ていきましょう。

少量ずつ小分けにして食べる食事のコツ

つわりがひどい時、食事は1日3食に限らず、少量ずつ小分けにして食べてみましょう。吐き気がある中では食事がおっくうになりがちです。しかし、全く食べないのは母体や赤ちゃんの体に良くありません。

また、空腹状態が続いて余計に吐き気を引き起こすこともあるので、胃が空っぽになる時間を減らすことが大事です。

小分けで少しずつ食べれば、胃へ負担をかけることなく空腹状態を減らせます。吐き気の要因を減らせるため、つわりの際の食事法として取り入れられています。

おすすめの食べ物・飲み物

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つわりの際に口にする食べ物や飲み物は、主に「さっぱりしていて口にしやすいもの」がおすすめです。例えば、フルーツや野菜、他にはアイスやヨーグルト等の冷たい食べ物も食べやすく、口の中をスッキリさせてくれるため、つわりのときでも食べられたという人が多いです。

また、あわせて吐き気止めの作用がある「生姜」、胃のむかつきを抑える「クエン酸」等の摂取も、つわりの症状緩和におすすめです。

避けたい食材や調理法

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つわりに悩んでいる間は、唐辛子等刺激が強い食材やアルコールの摂取は避けましょう。胃に負担がかかり、吐き気を誘発しやすくなります。

調理法で言えば、揚げ物、極端に酸味が強いもの、塩分が強いものがおすすめできません。弱っている胃腸を刺激しない、体に優しい食材・調理法を意識しましょう。

寝起きや移動中の吐き気対策

つわりがある期間は終始何かしらに刺激を受けてしまい、吐き気を催してしまいます。例えば朝は空腹や歯磨きで吐き気を覚える方が少なくありません。

このような場合、「匂い」によって刺激を受けていることが多く、歯磨き粉等が原因になっていることが考えられます。そのため、歯磨き粉なしで歯磨きをする方法に切り替えてみましょう。歯磨きすら難しいという場合はデンタルリンスを活用するのもおすすめです。

また、屋外を移動する場合は、マスクで匂いを遮断するのが効果的です。街中はさまざまな匂いが氾濫しているので、マスクで匂いを防ぐことである程度の吐き気対策を行うことができます。

ストレスとつわりの関係性

つわりの症状はストレスが与える影響も大きいといわれており、症状を左右することがあるとされています。

例えば妊娠していることへの期待やプレッシャー、体の変化による戸惑い、つわりや食事ができないことへの不安感等、さまざまなストレスにさらされ、症状を悪化させてしまっていることがあるのです。

そのため、つわりに悩んでいる方は適度なストレス発散を行うことも重要になってきます。趣味の時間を取ることや、軽い散歩をするのも良いでしょう。精神的にもリフレッシュする時間をつくることが何より大事です。

また、もしあまりにつわりの症状がひどい場合は、無理して食事を取るのはやめてください。無理に食事をして吐くのを繰り返していると、症状がさらに悪化し、体調不良を招く恐れがあります。

まずは脱水にならないよう水分補給をしっかりと行い、食べられるタイミングで食べられる物を中心に栄養摂取を行ってください。

つわりの吐き気の緩和方法

事前にさまざまな対策を行っても、つわり中の敏感な体では、どうしても吐き気を防げないことのほうが多いです。そこで、ここからはつわりの吐き気が起きてしまっている際の緩和方法をご紹介します。

吐き気を軽減するツボ

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東洋医学ではつわりに効果的とされるツボが複数あります。例えば胃の不快感等を解消する「内関(ないかん)」、食欲不振やストレスを改善する「裏内庭(うらないてい)」等があります。

また、嘔吐や腹痛、下痢等に効く「足三里(あしさんり)」もつわりの吐き気緩和におすすめです。深呼吸をしてリラックスし、痛くない程度に2~3回ツボを押してみてください。

アロマやハーブティー

アロマやハーブティーで気を静め、つわりの症状を緩和する方法もおすすめです。香りでリラックスすることで体の緊張状態をほぐし、つわりの症状の緩和が期待できます。また、ハーブティーはノンカフェインなので妊娠中の方でも安心して摂取が可能です。

ただしハーブティーにはレモングラス、シナモン、ローズマリー、リコリス、ジャスミン、マテ、ハトムギ等、一部のハーブに子宮収縮の働きがあるものが存在します。もしハーブティーを取り入れる場合はこれらの効能も注視し、妊娠中に適切なものか確認してから摂取するようにしましょう。

病院で相談すべき目安と妊娠悪阻との違い

脱水にならないように水分が取れているのであれば、妊婦健診まで様子をみても問題ありません。水分を取るのも難しいときや、症状がつらいときは、まずは受診してみましょう。病院で処方される吐き気止めや、点滴で脱水を予防することも可能です。
つわりの中でも症状が重く、脱水や飢餓状態を起こし、治療が必要な状態を妊娠悪阻といいます。妊娠悪阻では入院して加療するケースもあります。

パートナーや家族に伝えておきたいこと

つわりは母体に大きな負担となります。同居するパートナーや家族には「つわり」について知ってもらい、生活面でのサポートをしてもらうと乗り越えやすくなるでしょう。

つわりの辛さは「病気ではないけど苦しい」こと

まず第一に伝える必要があるのは、つわりは病気ではないものの、人によってはとても苦しいものだということです。病気でないと言うとリスク管理として軽度と見られがちですが、病気と同じような体調不良がみられることも珍しくありません。

そのため、具体的にどのように苦しいのか話し、どのような助けが必要になるのか伝えておきましょう。特にパートナーにとっては、これから生まれる赤ちゃんのために起きている事柄なので無関係ではありません。

例えば吐き気の原因となるものを遠ざけてもらうことや、食事の用意、体調不良時の家事分担等で協力してもらうことで、妊娠中もより生活しやすくなるでしょう。

協力してもらうための伝え方や頼り方

個人差はありますが、つわりの症状は、一日の疲れが出やすい夕方や、匂いが気になりやすい料理の際等に出やすくなります。つわりの症状が重たくなるタイミング等に傾向があれば、家族やパートナーに伝えておくと家事の協力等が得られやすいでしょう。症状だけでなく、どんなサポートがあれば楽になるか等、とにかく具体的に伝えることが大切です。

また、地域によっては母子手帳の交付と一緒に、パートナーが読むための父子手帳が配られています。赤ちゃんのことだけではなく、妊娠中の女性の体調についても記載があるので、パートナーや家族に勧めてみましょう。産院でもパートナー用のリーフレット等を用意していることがあるので、必要に応じて活用してください。

つわりの吐き気に関してよくある疑問

つわりの吐き気を和らげる方法は分かっても、妊娠中は普段と異なる体の変化が起こるため、不安になることも多いでしょう。つわりの吐き気に関して、多くの方が疑問に思うポイントを以下で紹介するので、チェックしてみてください。

つわりの吐き気で胎児に影響は出るか

つわりで吐き気や嘔吐がある場合でも、通常であれば胎児に影響はありません。つわりの吐き気が起こるのは主に妊娠初期であり、この頃の胎児は小さいため、多くの栄養を必要としないからです。吐いてしまって食事が十分に取れなくても、成長が阻害される可能性は低いといえます。

ただし、食事や水分がほとんど取れずに脱水症状に陥る妊娠悪阻の場合は、母体に影響が出るおそれがあります。早めに医療機関を受診し、点滴治療等を受けましょう。

妊娠後期でも吐き気は起きるか

妊娠後期は、妊娠初期のつわりとは異なる理由で吐き気が起こることがあります。

妊娠後期は子宮が大きくなるため、胃や腸が圧迫されて吐き気を感じやすくなります。また、消化器官の働きを弱めるホルモンが増えることも、吐き気が起こりやすくなる原因の一つです。出産が近づくにつれて強まるプレッシャーがストレスとなり、吐き気や胃のムカつきが起こる妊婦の方もいます。

吐き気への対処法は、妊娠初期のつわりと同様です。水分補給を意識しながら、食べられるものを少量食べたり、ストレスを発散したりしてください。妊娠後期はおなかが大きいため、胃や腸を圧迫しないよう寝るときの姿勢も工夫が必要です。体の左側を下にするシムス位は、胃酸が逆流しにくいため楽に感じやすいでしょう。

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