PMSのイライラを徹底解説。対策や症状がひどいときの受診目安、治療方法も紹介
PROFILE
1 なぜPMSでイライラするのか?
2 PMSのイライラを抑えるための対策
3 PMSのイライラの治療法
4 PMSのイライラについて理解したいこと
5 PMSのイライラに関する疑問
6 PMSのイライラ解消は生活習慣から見直してみよう
なぜPMSでイライラするのか?
PMS(月経前症候群)でイライラする女性が多いですが、はっきりとした原因は特定されていません。しかし、生理前に起こる身体的変化がイライラや心理的な不調を引き起こす一因とされています。
イライラの原因の可能性があるといわれているものは、以下のとおりです。
●女性ホルモンの分泌量の変化
●カルシウムやマグネシウムの不足
●普段の精神状態
●血糖値の上昇
それぞれ詳しく解説します。
女性ホルモンの分泌量の変化
PMS(月経前症候群)でイライラする主な原因の一つは、女性ホルモンの分泌量の変化です。特にエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの変動が大きく関係しています。一般的に月経周期が28日の女性の場合、月経開始の約14日前に排卵が起こります。排卵をきっかけに、エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの分泌量が変わることが、PMS(月経前症候群)におけるさまざまな身体的、精神的な症状の原因とされているのです。
カルシウムやマグネシウムの不足
PMS(月経前症候群)におけるイライラの一因として、カルシウムやマグネシウムの不足も指摘されています。カルシウムには脳神経の興奮を抑える効果があり、マグネシウムは精神を安定させ、ホルモンの分泌をサポートする役割があります。これらのミネラルが不足すると、PMS時に感じるイライラや不安を感じやすくなるのです。つまり、カルシウムやマグネシウムを適切に摂取することは、PMSによる心身の不調を和らげるうえで重要なポイントとなるといえるでしょう。
普段の精神状態
普段からの精神状態は、PMS(月経前症候群)におけるイライラや不安感に深く関わっています。仕事や人間関係、日々の生活の中で蓄積されたストレスは、心理的な負担となり、これが生理前の感情の不安定性を引き起こす一因となることがあるのです。
特に、日常的に高いストレスにさらされている人は、PMS時にその影響をより強く受ける傾向があります。これは、ストレスが身体的な反応を引き起こし、ホルモンバランスに影響を与えるためです。生理周期に伴う女性ホルモンの変動は、本来ならば自然なプロセスですが、既にストレスに敏感になっている心身には、さらなる負担となり得ます。
また、ストレスが持続することで、睡眠の質が低下したり、食生活が乱れたりすることもあり、これらがPMS時のイライラや不安感をさらに悪化させる場合があるのです。
血糖値の上昇
血糖値の上昇もPMS(月経前症候群)時に感じるイライラの原因の一つです。PMS期における血糖値の変動は、インスリンという重要なホルモンの作用が関わっています。インスリンは、血液中の糖分を細胞へと運び、エネルギーとして利用することを助ける役割を持ちますが、生理前にはこのホルモンの効果が低下することが一般的です。このインスリンの効果が低下する理由には、生理周期に伴う女性ホルモンの変動が大きく影響しています。
特に、エストロゲンとプロゲステロンという2つのホルモンが、インスリンの作用に直接または間接的に影響を与えることが知られています。このホルモンのバランスの変化により、インスリンの効果が不十分になり、血糖値を適切に管理できなくなるため、血糖値が上昇しやすくなるのです。
血糖値が上昇すると、体はそのバランスを取り戻そうとしますが、この過程で甘いものを無性に食べたくなる等、食欲に異常を感じることがあります。さらに、過食によって短期間で血糖値が急上昇し、その後急激に下がることで、気分の落ち込みやイライラといった精神的な症状を引き起こしやすくなります。このように、生理前の特定の時期におけるホルモンの変動は、血糖値の管理を複雑にし、結果としてイライラやその他のPMSの症状を悪化させる一因となるのです。
PMSのイライラを抑えるための対策
PMSのイライラを抑えるための対策は、以下のとおりです。
●血糖値の急激な変動を抑える
●適度に運動をする
●月経周期を把握して精神的負担を減らす
●市販薬を服用する
●ひどいイライラは専門家に相談
それぞれ詳しくみていきましょう。
血糖値の急激な変動を抑える
PMS(月経前症候群)のイライラを和らげるための効果的な対策の1つとして、血糖値の急激な変動を抑えることが挙げられます。お菓子やジュース等、砂糖が多く含まれる食品は血糖値を急上昇させるため、これらの摂取を控えることが推奨されます。
代わりに大豆製品や穀物、イモ類等、血糖値をゆるやかに上昇させる食品を選ぶことで、血糖値の急激な上昇と下降を避け、PMSによるイライラを軽減することが可能です。これらの食品は体にゆっくりとエネルギーを供給し、PMS期間中の心身のバランスを保つのに役立ちます。
適度に運動をする
PMS(月経前症候群)期間中のイライラを和らげるには、適度な運動が効果的です。運動はストレスの解消に役立ち、心身の緊張をほぐして気分をリフレッシュさせることが可能です。特に、ストレッチやヨガ、散歩といった軽い運動は、PMSの症状を緩和するのに役立ちます。これらの運動は、過度な負担を心身にかけることなく、血行を促進し、リラックス効果をもたらします。
ストレッチやヨガは、1回30分程度を目安に行うとよいでしょう。これらの活動は柔軟性を高めるだけでなく、深い呼吸を促進し、精神的な落ち着きも得られます。一方、散歩は気分転換に最適で、20分から30分程度歩くだけでも心が安らぎ、イライラが緩和される効果が期待できます。日常生活にこれらの軽い運動を取り入れることで、PMSに伴うイライラや不安感を軽減し、より穏やかな日々を送れるでしょう。
月経周期を把握して精神的負担を減らす
PMS(月経前症候群)のイライラと効果的に向き合うためには、自身の月経周期を正確に把握することが重要です。基礎体温の記録やPMSの症状を日々記録することで、イライラやその他の症状が表れるタイミングを予測しやすくなるでしょう。
自身の体調変化を知ることで、イライラしやすい時期に重要なイベントやストレスが多い活動を避けることが可能です。また、PMSの影響を受けやすい日には、あらかじめリラックスできる時間をつくって、心と体のケアを意識することが大切です。このように自分の体のリズムにあわせて生活を調整することで、PMS期間中でも穏やかに過ごせるようになります。
市販薬を服用する
PMS(月経前症候群)に伴うイライラやその他の精神的な症状を緩和するために、市販薬を利用することは1つの有効な手段となり得ます。PMSの市販薬には、気分の落ち込みや不安、過度の緊張を軽減する効果がある成分が含まれていることが一般的です。
しかし市販薬を用いる際には、成分や効果、副作用等に関して十分な理解が必要とされます。特に、薬に含まれる成分が個人の健康状態や既存の疾患にどのような影響を及ぼす可能性があるのかを考慮することは、安全に薬を使用するうえで非常に重要です。さらに、薬の用法・用量を正確に守ることも、効果を最大限に発揮させるため、また不要な健康リスクを避けるために不可欠です。
また、市販薬を服用しても症状が改善されない場合や、服用に関して不安がある場合には、躊躇せずに専門家への相談をすることが推奨されます。医師や薬剤師等の専門家は、個々の症状や健康状態に基づいて、より適切なアドバイスや治療法を説明してくれるでしょう。
ひどいイライラは専門家に相談
PMS(月経前症候群)によるイライラが日常生活に大きな影響を与えるほどひどい場合は、専門家に相談することが推奨されます。医師や心理カウンセラー等の専門家は、丁寧なヒアリングをして適切な治療や対策を提案してくれます。
また、個々の状態にあわせた効果的なアプローチをアドバイスしてもらえるため、自身での対処が難しい場合には特に、専門家のサポートを求めることが有効です。専門家に相談することで、PMSに伴うイライラを根本から改善することが期待できます。
PMSのイライラの治療法
PMS(月経前症候群)のイライラには、以下のような治療法もあります。
●カウンセリング・生活指導
●薬による治療
イライラを抑えるための対策を実践しても改善がみられない場合には、治療法も検討してみましょう。
カウンセリング・生活指導
PMS(月経前症候群)に伴うイライラやその他の症状に対処するためには、カウンセリングや生活指導が有効です。この方法では、まず専門家が個人のイライラの強さや症状の具体的な状況を詳しく把握します。そのうえで、専門家は適切な運動量の提案や栄養バランスの取れた食事内容についてのアドバイスを行います。
また、趣味やリラクセーションを通じた気分転換の方法も提案し、ストレスを緩和しながら心身の健康を支える生活習慣の改善をサポートすることが可能です。このようなカウンセリングや生活指導を受けることで、PMSによる不調を軽減し、日々の生活の質を高めることが期待できます。
薬による治療
PMS(月経前症候群)によるイライラの症状に対して、医師や薬剤師の処方薬による治療も有効です。この方法では、主にホルモンバランスに作用する薬を用いて、生理周期に伴う女性ホルモンの変動をコントロールし、イライラの症状を緩和することを目指します。
さらに、精神神経症状や自律神経症状に対しては、安定剤の処方が行われることもあります。これらの薬は、個人の症状や体質にあわせて選択され、専門医の指導のもとで適切に使用することが重要です。薬による治療を受けることで、PMSに伴う不快な症状を軽減し、日常生活の質を向上させることが期待できます。
PMSのイライラについて理解したいこと
PMSのイライラについて理解したいことは、以下のとおりです。
●年齢を重ねるごとにひどくなる傾向がある
●イライラがひどい場合はPMDDの可能性あり
それぞれ詳しく解説します。
中見出し:年齢を重ねるごとにひどくなる傾向がある
PMS(月経前症候群)によるイライラは、加齢とともにその症状が強くなる傾向にあります。特に、20代の女性はPMS時に気分の落ち込みを経験することが多いのに対し、30代になるとイライラや怒りっぽさが顕著になるケースが増えます。これは、生活環境の変化やホルモンバランスの変動、ストレスレベルの変化等、年齢に伴う身体的および心理的な要因が複合的に作用するためです。
したがって、年齢を重ねるごとに、PMSによるイライラを適切に管理するための対策や治療方法を見直し、自身の健康状態にあわせた方法を取ることが重要です。
年齢を重ねるごとにひどくなる傾向がある
PMS(月経前症候群)によるイライラは、加齢とともにその症状が強くなる傾向にあります。特に、20代の女性はPMS時に気分の落ち込みを経験することが多いのに対し、30代になるとイライラや怒りっぽさが顕著になるケースが増えます。これは、生活環境の変化やホルモンバランスの変動、ストレスレベルの変化等、年齢に伴う身体的および心理的な要因が複合的に作用するためです。
したがって、年齢を重ねるごとに、PMSによるイライラを適切に管理するための対策や治療方法を見直し、自身の健康状態にあわせた方法を取ることが重要です。
イライラがひどい場合はPMDDの可能性あり
PMS(月経前症候群)の中でも特にイライラや気分の落ち込み等の精神的症状が強く、日常生活や社会生活に大きな支障をきたす場合、PMDD(月経前不快気分障害)の可能性が考えられます。PMDDはPMSよりも症状が重く、治療を必要とする場合があります。治療法としては、ホルモンバランスを整えるピルの処方、体質にあわせた漢方薬、気分を安定させる抗うつ剤等が一般的です。
PMDDと診断された場合、まずは専門医と相談し、症状や生活環境に応じた適切な治療計画を立てることが重要です。また、ストレス管理や適度な運動、バランスの取れた食事等、生活習慣の見直しも症状緩和に役立ちます。
PMDDによって日常生活や人間関係に悪影響を及ぼしている場合、適切な休息を取ることも重要です。PMDDは精神的な健康問題の一種であり、必要に応じて診断書の取得や障害者手帳の申請が可能です。PMDDは適切な治療とサポートによって症状が改善することが多いため、症状が重い状態に悩んでいる場合は早めに医療機関を受診することをおすすめします。
PMSのイライラに関する疑問
PMSのイライラに関するよくある疑問は、以下のとおりです。
●ミレーナはPMSのイライラに効果がある?
●PMSのイライラを抑えるツボはある?
それぞれの疑問にわかりやすく回答します。
ミレーナはPMSのイライラに効果がある?
ミレーナとは、子宮内に装着し5年間継続して女性ホルモン「レボノルゲストレル」を放出することで作用する薬剤徐放システムです。2014年9月からは「過多月経」の治療、同年11月からは「月経困難症」の治療に保険が適用されています。また、避妊手術以外で最も高い避妊効果を誇る方法としても認知されています。
ミレーナには多くの健康上のメリットがあるものの、PMSの症状、特にイライラに対しては、個人差があると考えられます。ミレーナを装着しても、女性ホルモンの分泌は依然として続くため、PMS(月経前症候群)によるイライラが必ずしも改善されるわけではないからです。したがって、PMSのイライラに対処するためには、ミレーナの使用に加えて、他の治療法や生活習慣の改善も検討することが重要です。
参考:バイエル薬品
PMSのイライラを抑えるツボはある?
PMS(月経前症候群)によるイライラを和らげるために、特定のツボを刺激する方法が効果的です。特に、太衝と関元という2つのツボに効果が期待できます。
太衝は足の親指と人差し指の間、骨が交わる箇所から指先側に少し移動したところに位置し、この部分を両手の親指でゆっくりと押します。一方、関元はおへそから指四本分下の部分にあり、この箇所を心地よい強さで押したり、優しくさすったりすることで、PMSに伴うイライラを軽減する助けになるでしょう。これらのツボを定期的に刺激することで、PMSの不快な症状を自然な方法で和らげられる可能性があります。
PMSのイライラ解消は生活習慣から見直してみよう
PMS(月経前症候群)によるイライラにうまく対処するためには、血糖値の急激な変動を避け、食生活に気を付けることが重要です。また、自身の月経周期を正確に把握し、体調の変化にあわせて日々の計画を立てることで、精神的な負担を減らせます。
しかし、日常生活に支障をきたすほどの強いイライラが続く場合は、迷わず専門家に相談することが大切です。これらの対策を通じて、PMSのイライラと上手に付き合い、より快適な生活を目指しましょう。