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カラダとココロ

PMSがある人とない人の違いは?対処法まで分かりやすく解説

公開日:2024.04.23
更新日:2024.07.01
PMSがある人とない人の違いは?対処法まで分かりやすく解説
生理前に体調の変化や精神的な不安があると、「PMS(月経前症候群)になった?」とつい疑ってしまいます。PMSはイライラや眠気、腹痛、頭痛等人によって症状が異なるので、診断が難しい症状です。 でも分からないままにしておくと、いつまでも不安は消えません。「わたしってもしかして、PMS?」と悩むなら、PMSになったときの対処法まで知っておきましょう。 この記事ではPMSの基礎知識だけではなく、PMSの症状がある人とない人の違いや、PMS発症後の対処法まで解説します。

PROFILE

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専門家/エキスパート 阿部 一也
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業/現在は板橋中央総合病院勤務/専門は産婦人科
INDEX

1 PMSがある人とない人の違い

2 PMSがある人向けの今日から始める対処法

3 PMSに関する基礎知識

4 PMSの症状がある人のよくある疑問

5 PMSへの対処法を知ってつらい時期を乗りきろう

PMSがある人とない人の違い

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PMSのある人とない人には、どのような違いがあるのかを解説します。PMSの知識を高めれば、症状が出たときに自覚しやすく、早めの対処ができるでしょう。

明確な違いは不明

PMSになると、生理前に心や体の不調が起こります。PMSの原因は、まだ分かっていません。ただ女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」のPMSへの関与が、原因の一つではないかといわれています。

「エストロゲン」は、乳房や子宮等、女性らしさに深く関わるホルモンです。エストロゲンは、排卵を境に減少します。

「プロゲステロン」は、体温をあげ子宮内膜を着床しやすい状態にする、妊娠を助けるホルモンです。プロゲステロンは、排卵を境に増加します。

エストロゲンとプロゲステロンの変動は、生理のある女性なら誰でも起きる現象です。ホルモンのバランスが悪く水分を体にため込んでしまう場合、むくんだ場所が頭なら頭痛が起き、体全体に水分がたまればだるくなります。

さらにホルモンの影響を受けて脳内のセロトニンが低下すれば、不安やうつ状態を引き起こします。

ホルモンの影響をどのように受けるかは、その人の体質や体調、生活環境等により異なります。生理前にイライラしたとして、それがPMSからくる症状なのか、それとも仕事や育児によるストレスからくるのか、判断は難しいでしょう。

実際にPMSを発症していても「子どもが泣くと最近イライラする」「仕事で寝不足だからだるい」等、他の要因によるものだと考え、PMSの症状だと気づかないケースも多いです。

環境や性格によって症状を自覚しやすい

PMSは環境によって、悪化する場合があります。PMSを悪化させる原因になるのは、不規則な生活や、偏った食事、ストレス等です。

普段PMSを気にかけない人ほど、ホルモンバランスや生活環境に無頓着です。気づかないうちにPMSが悪化して、自分ではコントロールできずに、職場や家庭で感情を爆発させてしまうかもしれません。

生理の約1週間前から、女性ホルモンのプロゲステロンが減少します。気分を落ち着かせるセロトニンがうまくはたらかないことを理解して、仕事量を調整したり気分をリフレッシュしたりできる時間をつくりましょう。たばこ、アルコール、カフェイン摂取も控えたほうがよいです。


また性格とPMSも関係があります。ストレスをため込みやすい性格の人は、PMSを発症しやすいです。几帳面、完璧主義、まじめ、不安や怒りを抑え込みやすい、他人への気配りが過剰な人は気をつけてください。

閉経した人にPMSはない

PMSは生理前の女性ホルモンの変化に影響を受けるので、閉経するとPMSの症状はなくなります。閉経時期は、人にもよりますが40代半ば~50代半ばが一般的です。

閉経はいきなりくるわけではありません。月経の周期が長くなったり短くなったりする、月経不順から閉経が始まりやすいです。

閉経時期にはホットフラッシュ(ほてり)を感じる女性が多くいます。また乳房の張り、感情の激しい起伏、頭痛等が起こりやすくなります。PMSの症状とも似ているので「PMSだと思ったら、閉経前の症状だった」ということもあるかもしれません。

PMSの人は、閉経するとPMS症状が減少するので楽になります。しかし閉経によって骨密度の低下や尿失禁、悪玉コレステロールの上昇等が生じやすくなります。PMSが楽になっても、栄養バランスのよい食事や運動等、規則正しい生活を続けましょう。

PMSがある人向けの今日から始める対処法

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PMSの対処法を、いくつか紹介します。すでにPMS症状が出ているなら、自分でできる対処法から始めましょう。

▼PMSの改善方法に関する詳細は、こちらの記事でも紹介しています。
PMSの改善方法を徹底解説。症状を悪化させる原因や主な治療方法も紹介
PMSがひどいときどうする?対処法から暮らしで役立つ制度まで解説

症状を我慢しないで休息

PMSの症状が出てしまったら、我慢しないで体を休めましょう。休んで症状が緩和するなら、無理して長引かせるよりもずっと効率的です。

めまいや動悸、腹痛等は、うずくまる姿勢がおすすめです。楽な姿勢は人によって異なるので、いろいろな姿勢を試しましょう。

腹部が痛むときには、空腹にならないように軽食や飲み物を少しおなかに入れ、体を温めます。直接温めるのもよいですが、温かいレモネードやココア等を飲んでリラックスするのも効果的です。気持ちを落ち着かせるために、リラクゼーション効果のある音楽をかけてみてはいかがでしょうか。


PMSがひどくて会社に行くのもつらい場合は、休むことも検討してください。女性は労働基準法上、生理休暇を取得する権利を持っています。有給かどうか、何日取得できるのか等は、会社の規定により異なります。

PMSで出勤がつらい旨を事前に上司に話しておけば、休みが取りやすくなりますよ。

実践しやすいストレス解消法を試す

PMSの症状緩和には、ストレス解消法が有効です。いくつか例を紹介しますので、ぜひ試してみてください。

●趣味に打ち込む
●アロマテラピー
●半身浴
●お昼寝
●ヨガやピラティス
●仲の良い人とお茶
●映画鑑賞
●創作(陶芸や絵画等)
●ストレッチ
●ウオーキング 等

落ち着いた雰囲気のなか、趣味に没頭するのもよいです。また適度な運動もストレスレベルを下げる効果があります。

しかしストレスが軽減するからといって、たばこやアルコール、ギャンブル等に向かうのは、PMSが悪化するのでやめましょう。

またPMSでイライラして家族や同僚に強くあたってしまう場合は、怒りのコントロールをするアンガーマネジメントを取り入れると効果的です。

アンガーマネジメントの手法はさまざまですが、一番取り組みやすいのは「怒りが生まれたら6秒数える」方法です。やり方は簡単で、イライラが爆発しそうになったら息を整えながらゆっくり6秒数えるだけです。

イライラは、たいてい長続きしません。イライラの最初の大きな波を6秒間こらえ、イライラが収まるのを待ってみてください。

▼PMSでイライラする場合の詳細は、こちらの記事でも紹介しています。
PMSのイライラを徹底解説。対策や症状がひどいときの受診目安、治療方法も紹介

食事は栄養バランスを意識

PMSの症状は、栄養バランスのよい食事をとると和らぎます。「最近食生活が乱れているな」と思いあたるなら改善しましょう。

食事バランスで気をつけるポイントは、三大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)のバランスです。エネルギー摂取量に占める割合は、たんぱく質13~20%、脂質20~30%、炭水化物50~65%におさめましょう。

ダイエットで野菜ばかり食べていては、たんぱく質も脂質も足りません。主食、主菜、副菜を組み合わせてメニューを組み立て、バランスのよい食事をとるように心がけてください。

またPMSでイライラの症状が出てる場合に、血糖値を急激に上げてしまう砂糖の入ったお菓子(チョコレートやケーキ等)や、果物は避けてください。食べたときは気分がよいのですが、あとで血糖値が急降下してイライラ症状が悪化します。過度なお酒や刺激物もNGです。

ホルモンバランスを整え、PMS症状を和らげる可能性がある栄養素には、カルシウム、ビタミンB6、ビタミンD、ビタミンE等があります。それらの栄養素を多く含んだカツオやレバー、ナッツ類を食事に取り入れてみましょう。

1週間で1時間の運動

適度な運動で、PMSの症状を改善できます。運動すると質の良い睡眠を取りやすく、気分もリフレッシュします。

激しい運動や長時間の運動をムリに行う必要はありません。軽く汗をかく程度でかまわないので、1週間に1時間くらいの運動量をこなしましょう。

PMSに効果的な運動は、有酸素運動です。以下に、いくつか例を紹介します。

ストレッチ
ヨガ
ウオーキング
ジョギング
サイクリング
水泳
縄飛び

ウォーキングなら1回20分を週3回等決めておけば、1週間に1時間くらいの運動量になります。子どもの送迎を自動車から徒歩に変える、1週間に3回駅まで歩く等、自分でルールを決めると続けやすくなります。

自分が取り組みやすいものから、始めましょう。

症状を緩和する市販薬を服用

PMS症状がひどいなら婦人科にかかるべきですが、「ちょっとおなかが痛い」「ちょっと頭が痛い」というレベルなら、市販薬で解決するかもしれません。

ドラッグストアには、PMS専用の薬があります。また頭痛なら頭痛薬というように、気になる症状に合わせて薬を買ってもよいでしょう。身体症状だけではなく、イライラや精神不安にきく薬も置いてあります。

迷ったら在籍する薬剤師に相談すれば、適したものを提案してくれます。用法や用量は各市販薬の説明に従ってください。

PMSに関する基礎知識

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PMSとはなにか、知っておくのは大切です。ここではPMSの基礎知識を解説します。

▼PMSに関する詳細は、こちらの記事でも紹介しています。
PMSとはなにかわかりやすく解説!セルフケアで体調を改善しよう

PMSが発症する時期

PMSが発症するのは、長くて生理の約10日前から。生理が始まると数時間で症状が消えるか、軽減します。生理が終わっても症状が続くようなら、別の病気を疑ったほうがよいでしょう。

PMSの4つの発症パターンは次のとおりです。

●生理の10日くらい前から始まり、生理が始まると治る(典型例)。
●排卵直後から始まり、生理が始まると治る。
●排卵前後に1度症状が出て治まったあと、生理が近くなってまた症状が出る。2度目の症状は、生理が始まると治る。
●排卵直後から始まり、生理が終わるまで続く。

PMSは珍しい症状ではありません。生理のある女性の20〜50%はPMSを経験するそうです。PMSを疑われる症状が出たら、まずは慌てずに自分のPMSパターンを把握しましょう。

生理が過ぎても症状が出るなら別の病気を疑えますし、2カ月ほど同じパターンが続くならPMSの可能性が高いので、対処法を自分で取れます。

PMSの症状一覧

身体的症状

精神的症状

・腹痛
・頭痛
・むくみ

・乳房の張り

・便秘

・めまい

・疲労

・ほてり

・関節痛

・皮膚症状

・体重増加

・持病の悪化

・イライラ
・抑うつ
・眠気

・興奮

・集中力の低下

・混乱

・涙もろくなる

・感情的になる

・神経過敏

・もの忘れ

・お腹がすく

PMSの症状は数が多く、同じ人でも月によって症状が変わる場合があります。月経周期と関与しているのか調べるためにも、「症状日記」をつけるのがおすすめです。

自分のPMSパターンがつかめれば、症状が出そうな時期の仕事量を調整したり、重要な用事を避けたりできます。また婦人科にかかる際に「症状日記」を持参すれば、問診もスムーズに進みます。

「症状日記」は自分で作成してもよいですし、インターネット上でダウンロードできるサイトもあります。記載したい内容は、日付、薬の服用有無、月経周期、月経量、基礎体温、心の変化(イライラ、涙もろい、怒り等)、体の変化(頭痛、腹痛、下痢等)、行動の変化(よく食べる、昼寝が増える等)。ほかに気づいたことがあれば、メモを取っておくとよいですね。

▼PMSの症状に関する詳細は、こちらの記事でも紹介しています。
PMSの症状をわかりやすく解説!病院に行くべきかチェックしよう

PMSの社会的な認知度

福岡市が行った調査によると、PMSの認知の割合は女性で78.7%、男性で20%程度です。女性は自分自身の経験から自覚できますが、男性には女性特有の症状であるPMSを知るのは難しいようです。

PMSは重症化すると、会社や学校に行くのが憂鬱になるほど体がつらくなります。同じ女性でも生理が軽い人にはなかなか理解が難しいため、「同僚は生理でも普通に働いているから、生理休暇が取りにくい」と感じる人もいるみたいです。

また学生の場合は、「腹痛がひどくテストがつらかった。生理だといっても病気じゃないからと休ませてもらえなかった」というケースもあるようです。「生理=病気じゃない」の認識が強すぎるのも、問題かもしれません。

重症化したPMSの場合、仕事や日常生活にまで悪影響がでる可能性があります。家族や友人、同僚等、身近なところから、少しずつPMSへの理解を深めてもらいましょう。


参考:福岡市「福岡市健康課題等と仕事の両立に関する事業所等実態調査 報告書(全体)」

PMSの症状がある人のよくある疑問

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PMSのよくある疑問について、Q&Aでお答えします。

症状はPMS以外でおきている可能性は?

PMSと似た症状が出る病気には、月経困難症や更年期障害等があります。

月経困難症とPMSは、症状の出る時期が違います。月経困難症は生理中に寝込んでしまうほどのひどい腹痛や下痢、吐き気等が生じます。逆にPMSの症状が強く出るのは生理前で、生理中には症状が止まるか軽減します。

また更年期障害になると、ほてりやイライラ、不安感等が表れます。しかしPMSのように生理周期に合わせて症状が表れることはありません。

月経困難症も更年期障害も、PMSとの違いは症状の現れる時期です。症状がいつ起きるのか、症状日記をつけて把握するとよいでしょう。

またPMSの診察には、健康保険が適用できます。他の病気の早期発見にもつながるので、不安なら一度婦人科で見てもらえば安心です。

薬だけで症状はおさまる?

PMSは完治が難しく、単独の治療法だけではなかなか治りません。対処法をとって症状を緩和させたり、処方された薬を服用したりして、上手にPMSとつき合っていく必要があります。

婦人科では、その人に適した治療法を提示してくれます。PMSは女性の排卵周期に合わせたトラブルなので、排卵そのものを抑制するために低用量ピルや低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)を使用する場合があります。

また症状を緩和するために、痛みに対して鎮痛剤、精神症状に対しては精神安定剤、漢方治療薬等が処方されます。

手術により卵巣を摘出するケースもまれにありますが、他の治療がきかなかった重度の症状のための最終手段です。

PMSへの対処法を知ってつらい時期を乗りきろう

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PMSは妊娠可能な年齢の女性なら、誰でも発症する可能性があります。「最近、生理前につらくなる」「生理前にイライラして家族にあたってしまう」等、思いあたる点があるなら、PMSを疑ってください。

PMSの症状は体や心の症例も含めると200以上あるといわれていて、人によっては月ごとに症状も変わります。まずはPMSなのか知るためにも「症状日記」を書くとよいでしょう。

症状日記があればPMS発症時期の予想がつくので、スケジュールをコントロールしたり対処法を取れたりできます。また婦人科で症状を説明する際に、役に立ちます。

PMSは対処法を知れば、上手につき合っていける症状です。自分の状態を知り、うまくつらい時期を乗り越えましょう。

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