分からないままでいる方が怖い──梅宮アンナさんが乳がん経験を通して伝えたいこと【連載Vol.7】
自分のからだやこころの変化に気づくことは、自分らしく過ごすための大切な一歩です。「I’m OK? PROJECT」は、女性が「今のわたしは、どんな状態なんだろう?」と考えるきっかけを届けています。本連載では、I’m OK? PROJECTアンバサダーである梅宮アンナさんに、これまでの経験や日々の中で感じてきたことを伺います。読者の皆さんも「わたしは、大丈夫?」と今の自分自身にそっと問いかけてみませんか?
Vol.7となる今回は、10月のピンクリボン月間に合わせて、乳がん検診やブレスト・アウェアネス(※1)について考えます。乳がんを経験し、発信や啓発活動を続ける中で感じたこと、当事者になって初めて知った乳がん検診だけでは安心しきれない理由について、梅宮アンナさんに伺いました。そして「わたしは、大丈夫?」と立ち止まり、体の変化に目を向けるために今できることを一緒に探ります。
※1 ブレスト・アウェアネス:日頃から自分の乳房に関心を持ち、意識する生活習慣のこと。
https://magazine.life8739.co.jp/breast/
梅宮 アンナ
モデル/ タレント
- 1.怖いからこそ、「分からないまま」にしない
- 2.更年期かもしれないと感じた乳房の変化が、乳がんのサインだった
- 3.「わたしは、大丈夫?」と、良い意味で疑ってみてほしい
怖いからこそ、「分からないまま」にしない
I'm OK? 編集部:乳がんについて伝える中で、難しさを感じることはありますか。
梅宮アンナさん:乳がんについて話すようになって感じるのは、本当に一人一人状況が違うということです。同じ乳がんでも、使う薬剤や治療期間、手術の方法等が違うこともあるんです。だから、みんなに同じメッセージを届けるのは難しいなと思っています。
「怖くて病院に行けない」という声を聞くこともあります。もちろん、怖い気持ちは分かります。でも私は、そういう声を聞くと「行かないままで大丈夫かな。不安があるなら、なおさら行ってほしい・・・」と思うんです。私は、自分の体のことを「分からない」ままでいることの方が嫌でした。モヤモヤしちゃうのが嫌だから、違和感があった時点ですぐに病院を予約したんです。
怖いから見ないようにするのではなく、怖いからこそ、自分を守るためにも、分からないままにしないことが大切なんじゃないかなと思っています。
ただ、「検診に行って」と伝えるだけでは、すぐに行動につながらない難しさも感じています。私もがんになるまでは、どこか人ごとのように感じていたところがありました。
だからこそ、乳がんのお話をする時も、「乳がんはこういうものです」と一つの形で決めつけるのではなく、同じ乳がんでも治療も感じ方も人によって違うということを伝えたいと思っています。そのうえで、あなたの体に何か変化が起きていないか、「自分にも起こり得ること」として考えるきっかけにしてもらえたらと思っています。
I'm OK? 編集部:不安な時ほど、さまざまな情報に触れやすくなると思います。発信する側として正しく伝える難しさもある中で、受取る側は情報をどのように見極めることが必要だと感じますか。
梅宮アンナさん:インターネットやSNS上には、医学的根拠がはっきりしない危険な情報も多いと感じています。まるで毒リンゴみたいな情報がたくさんあるんです。私も、さまざまな民間療法を勧められました。
当事者は不安だからこそ、いろいろな情報を探しますよね。何かにすがりたくなる気持ちもあると思うんです。医療機関での標準治療ではなく、民間療法や代替療法を選ぶ人もいますし、それも本人の選択ではあります。だからこそ、私は「これはだめ」と一方的に言い切ることの難しさも感じています。
ただ、私自身は標準治療だけに絞ると決めました。私の場合は、標準治療の中で使える薬があり、手術も受けられる状況でした。だから、抗がん剤、手術、放射線以外のものは入れないと決めたんです。ほかのものを取入れることで、治療の効果が分からなくなるのが嫌でした。
不安な時ほど、情報に引っ張られやすくなると思います。でも、そこで一人で結論を出さない方がいい。インターネットやSNSで見た情報をそのまま信じるのではなく、まずは主治医に確認しましょう。信頼できる医師や医療機関に相談することが、自分を守ることにもなると思います。
更年期かもしれないと感じた乳房の変化が、乳がんのサインだった
I'm OK? 編集部:ご家族の闘病を見守ってきた経験もあり、がんについて知っていることは多かったと思います。それでも、ご自身が乳がんの当事者になって初めて気づいたことはありますか。
梅宮アンナさん:父のがん治療を家族として近くで支えていたこともあり、小さい頃から、がんになったら抗がん剤治療や放射線治療を受けるというイメージはありました。だから、乳がんになった時も、「私にもそういう番が来たんだ」と、どこか現実として受止められた部分がありました。
でも、当事者になってみると「あれ、これも知らなかったんだ」と思うことがたくさんありました。例えば、抗がん剤治療を受けると、必ず髪の毛が抜けるものだと思っていたんです。でも実際には、薬剤によっては髪の毛が抜けないものもあると知りました。
抗がん剤といっても、薬によって体に起きることは違いますし、治療にかかる時間も人によって違う。だから、誰かの経験をそのまま自分に重ねすぎないほうがいいのだと思います。乳がんという言葉だけで、一括りにはできないんです。
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I'm OK? 編集部:「定期的に検診や人間ドックを受けていても、がんが見つかりにくいケースがある」という事実について、当時はどのように捉えられていましたか。
梅宮アンナさん:私は、乳がんが発覚する1年前に人間ドックを受けていて、その時は「異常はない」と言われていました。でも、「1年前に検査をしたのに、なぜ分からなかったの?」とは思いませんでした。先生から、「がんは隠れるのがうまい」と聞いたんです。
もちろん、検診や人間ドックはとても大切です。ただ、受けていれば絶対に大丈夫、というものでもないのだと実感しました。たまたまその時に発見できなかったということもあるし、定期的な検診の間に変化が起きることもあるかもしれません。
だからこそ、定期的に検診を受けることに加えて、日頃から自分の体の変化を知っておくことも大事なのだと思います。
乳がんは、自分で気づくこともできるがんだと思っています。体の中の臓器の病気はなかなか目には見えないですよね。でも胸は、形や皮膚の状態、左右差等、日々の中で自分の目で見て確かめることができる部分でもあります。
検診したから安心で終わらず、普段の自分の体の状態を知っておくこと。それも、早く気づくための一つの方法になるのではないかと思っています。
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I'm OK? 編集部:実際に乳がんの当事者になられてみて初めて気づいたことや、それまで盲点だった乳がんのサイン等はありましたか。
梅宮アンナさん:私の場合、しこりはありませんでした。だから、「乳がん=しこりがある」とは限らないということを伝えたいです。しこりだけじゃないんです。
きっかけは、今まで感じたことのない痛みと、見た目の違和感でした。がんは痛くないと言われているので、最初はがんではないと思っていました。自分の年齢を考えると更年期の影響かもしれないとも思っていて。
でも、胸の形が変わっていたんです。大きくなるのではなく、しぼんで中央に集まるような感じでした。硬くなって、シリコンの胸のように見えたんです。「あれ、左右を比べて、右側だけが小さく硬くなっている」と思ったことが、違和感に気づくきっかけでした。
その後、気になった胸の状態を娘に話すと、「今すぐ写真を撮って見せて」と言われました。胸の写真を送ることには抵抗もありましたが、自分でも「やっぱりおかしいよね」と感じていて、誰かに見てもらいたい気持ちもあったのだと思います。
すると、写真を見た娘から「これは明らかに異常だから病院に行ったほうがいい」と言われました。さらに「今日中に予約を取って。予約が取れたらすぐ連絡して」とも言われて、その言葉に背中を押されるように、その日のうちに予約を取りました。
乳がんのサインは、必ずしも一つではありません。しこりがないから違う、痛みがあるから違う、検診で異常がなかったから違う。そうやって一つの思い込みで判断しないことも大切なのだと、自分が経験して初めて分かりました。
「わたしは、大丈夫?」と、良い意味で疑ってみてほしい
I'm OK? 編集部:「I’m OK? PROJECT」の読者に向けて、自分の体に目を向ける大切さを伝えるなら、どんなことを届けたいですか。
梅宮アンナさん:乳がん啓発は、怖がらせるためのものではないと思っています。今の状態を知り、早めに相談する選択肢を持つため、自分を守る行動につなげるためのものです。
「I’m OK?」という言葉は、「わたしは、大丈夫?」と、良い意味で疑ってかかることだと思っています。自分の体って、なんとなく分かることがあると思うんです。風邪をひいたかもしれない、という感覚と同じように、「ん?いつもと違う感じかも」と思う瞬間がある。その違和感を後回しにしないでほしいです。
人生はポジティブに生きようという話が多いですが、必ずしも良いことばかり考えることが正解ではないと思っています。私自身、精密検査で細胞を取る段階から、「多分がんだろうな」と思うようにしていました。もちろん診断を受けた時のショックはありましたが、「絶対にがんじゃない」と思い込んでいたら、もっと受止めるのが難しかったかもしれません。
悪いほうに決めつけるということではなく、幅広く可能性を見ておくことも、自分を守る方法の一つなのだと思います。
ピンクリボン月間をきっかけに、「わたしは、大丈夫?」と問いかける時間を持ってほしいです。怖がるためではなく、自分を大切にするために知る。日頃の変化を気にしておくことは、不安を増やすためではなく、必要な時に相談する選択肢を持つためのものだと思っています。
検診を受けること、日頃から体の変化を気にしておくこと、少しでも気になることがあれば相談すること。そうした一つ一つの行動が、あなた自身を守ることにつながると考えてもらえたらと思います。







