PMSの吐き気の原因は?軽減方法や病院での治療について

PROFILE

1 PMSはなぜ起こる?吐き気がする理由や他の症状をチェック
2 PMSの吐き気は市販薬で良くなる?
3 PMSの吐き気を和らげるためのセルフケア方法
4 PMSの吐き気に対する病院での治療方法
5 PMSの吐き気がつらい!病院を受診する目安は?
6 知っておきたいPMSの変化
7 PMSとつわりの見分け方
PMSはなぜ起こる?吐き気がする理由や他の症状をチェック
PMS(月経前症候群)は、生理開始より約3〜10日前から体調を崩してしまう症状を指します。何だか調子が悪く、カレンダーをチェックしてみると生理前のタイミングでPMSだと気づいた経験がある方もいるのではないでしょうか。
PMSは基本的に、生理が始まると症状が軽くなったり無くなったりします。とはいえ、数日限定だったとしても毎月不調を繰り返すのは何とかしたいものです。まずは、PMSで吐き気が起こる原因として考えられることや、吐き気以外に起こることが多い症状を確認しましょう。
PMSで吐き気が起こる原因
PMS(月経前症候群)によって吐き気が起こる主な原因は、ホルモンバランスの変化だと考えられています。
PMSにはイライラや腹痛、眠気等、さまざまな症状がありますが、その原因はまだはっきりとは解明されていません。いくつかの説がある中で、有力とされているのが女性ホルモンの変動です。
女性の体は、黄体期という排卵から月経までの間に、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。そして、月経が近づくにつれて、これらのホルモンの分泌量が急激に減少します。このようなホルモンの大きな変動が、脳内の神経伝達物質やホルモンのバランスを乱し、PMSの症状を引き起こすと考えられています。
中でも、プロゲステロンは胃腸の働きを鈍くさせることがあり、それがPMSに伴う吐き気の原因になっている可能性があります。
特に、プロゲステロンが急激に分泌されると胃腸の動きが悪くなることがあり、これがPMSによる吐き気の原因だと思われます。
吐き気以外のPMSの症状
PMSの症状は、吐き気だけではありません。人によって症状の出方はさまざまで、以下のように大きく3つのタイプに分けられます。

精神的な症状が特に強く出る場合は、「月経前不快気分障害(PMDD)」と診断されることもあります。
生理前にこれらの症状が出る場合は、PMSやPMDDといった女性特有の体のサインかもしれません。つらい症状が続く場合は、無理をせず婦人科等で相談してみましょう。
▼PMSの症状の詳細や、PMSとPMDDの違いなどはこちらの記事で詳しく解説しています。
PMSの症状をわかりやすく解説!病院に行くべきかチェックしよう
PMSがある人とない人の違いは?対処法まで分かりやすく解説
PMSとPMDDは何が違う?症状や原因、治療法を知って対策しよう
PMSの吐き気は市販薬で良くなる?
吐き気止めの薬自体は、ドラッグストアで購入できるものもあります。しかし、PMSによる吐き気におすすめできる市販薬はありません。
一般的な吐き気用の市販薬は、食べ過ぎやストレス、乗り物酔い、風邪等に対して効果を発揮するものであり、女性ホルモンの変動が原因とされるPMSには、効果的とはいえません。
PMSの吐き気を和らげるためのセルフケア方法
PMSは明確な原因が判明しておらず、人によって症状の種類や程度もさまざまなので、治療内容も幅広いのが特徴です。吐き気等PMSの症状を和らげたいのであれば、一度婦人科で相談してみましょう。ここでは、PMSの吐き気を和らげるための対処法をいくつか紹介します。
体を温める
PMSによる吐き気緩和に効果的なセルフケアは、体を温めて血行を促進させること。血行を良くすると、副交感神経の働きが活発になり、胃腸の動きが改善されるため、吐き気が緩和することがあります。
▼PMSに効果的な骨盤矯正トレーニングの方法はこちらの記事をご覧ください。
今すぐ挑戦!PMS対策におすすめの骨盤矯正トレーニング3選
ホルモンバランスを考慮した食事にする

また、ビタミンB6やビタミンE、カルシウム、マグネシウム等を摂取することもPMS症状の緩和に効果的で、吐き気の改善にも期待ができます。それには、牛レバーや赤身肉、大豆を使った食品等がこの時期の食事におすすめです。逆に、カフェインやアルコール、喫煙、塩分やスパイスの強い食事は胃腸を刺激しやすいため、PMSの時期にはできるだけ避けたほうが無難です。
▼PMS対策に有効な温活レシピや、マグネシウムの重要性はこちらの記事でご覧いただけます。
生理痛改善には食事が重要!15分でできるワンパン温活レシピ
マグネシウムでPMSは改善できる?摂取方法や栄養素を解説
PMS日記をつける

PMSによる吐き気を軽減するために、自分の体調の変化を記録する「PMS日記」がおすすめです。症状が出るタイミングや内容を把握することで、対策が立てやすくなるだけでなく、いつどんな症状が出るかという不安によるストレスが軽減されることもあります。
PMSの吐き気に対する病院での治療方法
PMSの吐き気に対して、病院でどんな治療をするのか医師に確認しました。
薬を使って治療をする
PMSは、症状に合わせた薬を服用することで治療できます。吐き気の改善に多く用いられる方法には排卵抑制療法、漢方療法、対症療法という3種類の方法があります。治療法ごとに、次のような薬を使用します。
低用量ピルによる排卵抑制療法
PMSの吐き気を和らげたいときに候補となる治療法が、低用量ピルを使った排卵抑制療法です。PMSは排卵によって女性ホルモンの働きが大きく変動することが原因と考えられているので、排卵を止めれば女性ホルモンの変動がなくなり、PMSの症状が和らぎます。
低用量ピルは飲んでいる期間だけ排卵を止める薬なので、いつか妊娠を希望している方でも服用することが可能。副作用も少ないので、PMSの吐き気に悩んでいる場合は医師に低用量ピルの利用検討について相談してみましょう。
▼PMS対策としての低用量ピルに関する詳細はこちらの記事で詳しく説明しています。
PMSはピルで改善するの?服用における注意点や購入方法を解説
漢方療法
PMSの治療には、漢方薬も多く用いられます。漢方薬は女性一人ひとりの体質や症状に合わせて、適切なものを処方してもらうことが可能です。複数の症状がある場合、同時に改善する効果が期待できます。また、一時的にでも排卵を止めるピルとは異なり、排卵自体は起こるので妊活と並行して使用することもできます。
PMS治療によく使われる漢方薬と、それぞれどんな目的で使われることが多いのかを紹介します。
● 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):むくみ対策
● 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):貧血対策
● 加味逍遥散(かみしょうようさん):イライラや落ち込み等のメンタル不調対策
● 桃核承気湯(とうかくじょうきとう):便秘対策
● 女神散(にょしんさん):めまいや頭痛対策
● 抑肝散(よくかんさん):イライラや眠気の対策
PMSレス注射を受ける
PMSの症状を速やかに改善したい場合には、婦人科でPMSレス注射を受けるのも選択肢の1つです。PMSレス注射は、PMSの症状緩和に効果的とされるビタミン類や必須アミノ酸を配合した注射のこと。PMSの症状は、脳内の神経伝達物質であるセロトニンが少ないことによっても引き起こされると考えられているので、セロトニンの合成を促す栄養素が含まれたPMSレス注射を受けることで改善効果が期待できます。
効果には個人差があるものの、即効性があり注射をしてから3〜4日間はPMS症状が軽くなったという報告が多く見られます。PMSレス注射は、PMSの症状が出るころから症状がなくなるころまで、3日に1度等定期的に打つことで改善効果が期待できます。
PMSレス注射を提供しているかどうかは、婦人科によって異なります。興味がある場合は、普段から通っている婦人科で受けられるかどうか確認してみましょう。
PMSの吐き気がつらい!病院を受診する目安は?
PMSが出現する期間中、吐き気止めの薬を使わなければいけないほど吐き気の症状が強い場合や、実際に吐いてしまう場合は、1度病院を受診してみましょう。PMSには検査値等の明確な基準が存在しないので、病院を受診することにためらいがあるかもしれません。しかし、日常生活に支障が出るなら、受診して症状の改善につなげることが大切です。
PMS症状の種類や強さは、人それぞれ異なります。だからこそ、一人ひとりに合った治療を進めることが必要です。セルフケアや市販薬での緩和が難しいと感じているなら、婦人科を受診して専門家の意見を仰ぎましょう。
知っておきたいPMSの変化
PMSに悩む女性は多く存在しますが、実はPMSの症状は初経が来てからずっと同じというわけではありません。女性は年齢やライフステージの変化に伴って身体に変化が訪れるので、年齢を重ねることによりそれまで出ていなかったPMSの症状に悩むこともあります。
年齢やライフステージの変化によってPMSがどのように変わっていくのか、一般的な傾向を確認しましょう。
年齢によって症状の強さや種類が変化
PMSの症状は、年齢によって強さが変化します。
多くの場合、初経が来ても女性ホルモンはすぐに安定せず、18歳ごろから働きが安定してきます。また、45歳ごろからは更年期に入り、生理不順になり閉経を迎えることでまた女性ホルモンの働きが変動。この18歳~45歳ごろは性成熟期と呼ばれており、PMSを発症しやすい期間です。
PMSに悩む女性は20〜40代に多いですが、症状は年齢を重ねることで強くなっていく傾向があります。30代になって、20代の頃よりPMSの症状を強く感じるようになったら、それは年齢による変化かもしれません。
また、PMSの症状の種類も年齢によって変わります。同じ人でも、20代と30代では症状が異なることもめずらしくありません。たとえば20代の間はPMSで憂うつな気分になることが多かった人でも、30代になると怒りやすくなったりイライラしたりすることが増えることがあります。20代のうちは精神的な症状だけだったのに、30代になってからは吐き気やめまい、頭痛等の身体的な症状も出るようになったという人も少なくありません。
ライフステージの変化に伴い、PMSが変化することも
ライフステージの変化も、PMSに影響を与える要因です。女性は妊娠や出産を経験すると女性ホルモンが変動し、身体的にも精神的にも大きな影響を受けるものです。妊娠や出産を機にイライラしやすくなったり、怒りっぽくなったり、自己否定的な考えが出るようになったりすることもあります。
妊娠や出産を経験すると、日常生活にも大きな変化が生まれます。その変化がストレスの要因となり、余計にPMSの症状が悪化してしまうケースもめずらしくありません。PMSのせいで家族に八つ当たりをしてしまい、自己嫌悪に陥ってしまうという悪循環も多く見られます。
▼産後のPMSについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
PMSは産後に悪化するのか?対策や不調を乗り切る制度まで紹介
PMSとつわりの見分け方

PMSとつわりは吐き気を伴うケースが多い等、症状がよく似ているため、どちらなのか判断しにくいことも。早めに適切な対処法を取れるようにするために、PMSとつわりの見分け方を覚えておきましょう。
症状が出るタイミングで見分ける
PMSとつわりは、症状が出るタイミングが違います。PMSは、生理が始まる3〜10日前から症状が現れ、生理が始まると症状が緩和されたり無くなったりするのが特徴です。
それに対し、つわりは妊娠5週目頃から症状が出始め、数週間継続することが一般的です。直近の生理から5週間たつころに吐き気等の症状が見られた場合は、つわりの可能性があります。
ただし、症状が出るタイミングには個人差があります。吐き気等の症状が出たタイミングで確実にPMSとつわりを見分けられるとは限らないので、あくまで目安の1つと考えてください。
吐き気以外にも、予定日に月経が来ない、胸が張る、眠気、おりものの増加、下腹部の違和感等の妊娠中に見られる症状もある場合には、妊娠検査を行い、まずは妊娠しているかどうかを確認しましょう。
▼妊娠初期症状の詳細は、こちらの記事でも紹介しています。
【妊娠初期症状のチェックリスト】症状や生理前との違いを徹底解説
体温で見分ける
PMSとつわりは、体温で見分けることも可能です。女性の基礎体温は、正常に排卵が行われていれば低温期と高温期に分かれます。基本的には低温期と高温期を、排卵日を挟んで約14日間ずつ繰り返します。
生理が始まると体温が下がり、低温期が続きます。排卵してからは体温が上がり、次の生理まで高温期が続きます。生理予定日を過ぎてからも高温期で高めの体温が続いているのであれば妊娠している可能性があるので、吐き気等の症状がある場合はつわりかもしれません。
PMSの症状があり妊娠の可能性もあるなら、日頃から基礎体温を計測するのがおすすめです。基礎体温を測って記録しておけば、吐き気等の症状が出た際にPMSかつわりか判断しやすくなるでしょう。