「いつか」ではなく「今」できることを──梅宮アンナさんが考えるこれからの生き方【連載Vol.8】
自分のからだやこころの変化に気づくことは、自分らしく過ごすための大切な一歩です。「I’m OK? PROJECT」は、女性が「今のわたしは、どんな状態なんだろう?」と考えるきっかけを届けています。本連載では、I’m OK? PROJECTアンバサダーである梅宮アンナさんに、これまでの経験や日々の中で感じてきたことを伺います。読者の皆さんも「わたしは、大丈夫?」と今の自分自身にそっと問いかけてみませんか?
Vol.8となる今回は、乳がんを経験し、現在も治療と向き合いながら日常を続けている梅宮アンナさんに、これからの生き方について伺いました。病気を経験した後も、日々の生活は続いていきます。その中で、何を大切にし、どのように自分らしく過ごしていくのか。現実の受止め方や、自身の経験を意味のある形にしていきたいという思いについて語っていただきました。
梅宮 アンナ
モデル/ タレント
- 1.病気だからって、自分らしさまで手放したくなかった
- 2.きれいごとではなく、現実を見てこれからを考える
- 3.経験したからこそ見えた景色を、誰かの安心につなげたい
病気だからって、自分らしさまで手放したくなかった
I'm OK? 編集部:現在も治療と向き合いながら日常を過ごす中で、大切にしていることはありますか。
梅宮アンナさん:治療中の過ごし方は、本当に人それぞれだと思います。体を休めることが必要な時もありますし、無理をしないことも大切です。
ただ、私の場合は、家にこもっているほうがよっぽどつらかったんです。もちろん、抗がん剤治療中は体がきついこともありました。でも、ずっと家の中にいて、誰にも会わずに過ごすほうが、私にはしんどかった。太陽を浴びたいし、人と話したい。そういう気持ちがありました。
だから、治療と日常生活を「両立している」という感覚は、あまりないんです。もちろん、周りの人の協力があってのことです。一人で生きているわけではないですし、家族や周りの人たちに支えてもらっている部分がたくさんあります。でも、私の中では「治療と生活を両立しなきゃ」という意識より、「治療がある中でも、日常は続いていくもの」として受止めている感覚に近いかもしれません。
つらいことを全部抱え込むのではなく、「抗がん剤、きついんだよね」と人に話すこともありました。そうやって外に出たり、人と会ったり、話したりすることが、私にとっては支えになっていたんだと思います。
もちろん、外に出ることがつらい人もいるだろうし、人に会うことが負担になる人もいるかもしれません。みんな状況が違うので、全員に同じことを言うのは難しいと思っています。
それでも、私の経験から言えることがあるとすれば、ずっと一人で抱え込まなくてもいいんじゃないかな、ということです。誰かと話すこと、できる範囲で外の空気に触れること。そういう小さなことが、日常を続けていく支えになることもあるし、病気になったからといって、自分らしさを全部手放す必要はないのだと思います。
きれいごとではなく、現実を見てこれからを考える
I'm OK? 編集部:乳がんを経て、今後の生き方について新しく思うようになったことはありますか。
梅宮アンナさん:乳がんを経験して、いつまでも時間があるわけではないんだなと感じるようになりました。今やりたいこと、今やれることをやる。そういう意識は、以前より強くなったと思います。
仕事でも、「これを形にできるかもしれない」と思ったことは、前より早く動くようになりました。やりたいと思うことがあっても、ただ待っているだけでは形になりません。自分がそちらに向かっていく意識が必要だと思っています。
私はもともと、自分が今何をしたいのか、何をしたくないのか、何をしたら幸せなのかを考えるタイプでした。病気を経験してからは、その感覚がよりはっきりしたのかもしれません。
「いつかやろう」ではなく、今できるならやってみる。これからの時間をどう使うのか、何を大切にして生きていくのか。そういうことを、以前よりも現実的に考えるようになりました。
I'm OK? 編集部:これから先のことへの不安や恐怖心とは、どう付き合っていますか。
梅宮アンナさん:私は、どちらかというと現実的なタイプで、もともと、きれいごとは好きじゃないんです。今、自分の身に起きていること。自分が背負っているもの。そういうものを、ちゃんと見ていたいと思っています。
見ないようにして、いざ何かが起きた時に慌てふためいちゃうのが嫌なんですよね。
がんについても、今は安定していても、再発の可能性がなくなったわけではありません。ホルモン剤や飲む抗がん剤を続けていても、いつどうなるか分からない。その怖さはあります。
でも、その怖さも現実として考えておきたいんです。もし次にまたがんと言われたらどうするのか。そういうことも、頭の中には置いています。
家族にも、再発の可能性については伝えています。言わないほうがいいと言われることもあります。でも私は、何か起きた時に周りが慌ててしまうほうが嫌なんです。
もちろん、不安ばかりを見ているわけではありません。ただ、良いことだけを考えていれば大丈夫、という話でもないと思っています。起こり得ることを考えておくからこそ、もしもの時にも落ち着いて受止められることがある。私にとっては、それが自分や家族を守ることにもつながっていくのではと思っています。
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経験したからこそ見えた景色を、誰かの安心につなげたい
I'm OK? 編集部:治療が落ち着いてから新しい活動を始める際、大変だったことや戸惑ったことはありましたか。
梅宮アンナさん:治療が一段落した後、初めてのことが続いた時期がありました。例えばピンクリボンの活動等に関わるようになって、いろいろな場所でお話しする機会も増えました。ありがたいことではあるのですが、初めての世界に入っていく大変さもありました。
どこで力を入れて、どこで気を抜けばいいのか。最初は、その加減がよく分からなかったんです。スケジュールもどんどん埋まっていきましたし、少し不安定になる時期もありました。
私生活の変化とも重なっていたので、自分のペースをつかむまでには少し時間がかかりました。でも、そこも含めて、今の状況の中でどう動いていくかを考えていたのだと思います。
病気を経験した後に新しい活動を始めるというのは、ただ前向きな気持ちだけで進めるものではないのかもしれません。戸惑うこともあるし、慣れないこともある。それでも、私の経験を何か意味のある形にしていきたいという思いがありました。
I'm OK? 編集部:乳がんの経験を踏まえて、今後新しく挑戦したいことや、ずっと続けていきたい活動はありますか。
梅宮アンナさん:「乳がんを経験した、梅宮アンナ」として何かを伝えていくことは、もちろん大切だと思っています。でも、それだけではなく、一人の人間としてこれからどう生きていくのか。そこもちゃんと考えていきたいんです。
私のモットーは、自分の経験をただの「つらかった出来事」で終わらせず、意味のある形にして次へつなぐことです。自分の身に起きたことを、後に続く人たちに伝えていきたい。いろいろなことを語ることで、「そうか、こういう考え方もあるんだ」と少しでも気持ちを楽にしてもらえたら、これほどうれしいことはありません。
治療の中で、患者側と医師側で見えている景色にはギャップがあると感じました。だからこそ、その間をつなぐような発信ができないか、医師や企業の方たちと一緒に何かできないかと考えるようになりました。「I’m OK? PROJECT」の取り組みも、そうした思いからつながった活動だと思っています。
また、当事者だからこそ必要だと実感した「片胸用ブラ」のプロデュースといった、ものづくりとしての取り組みも進めています。
ものを作ること、言葉で伝えること、人と会うこと。その全てが、私にとって経験を未来へつなげる方法です。大きなことを成し遂げたいというよりも、自分が経験したからこそ見えた景色を、誰かの選択肢や安心に変えていく。それこそが、今の私らしい生き方なのだと思っています。








