つわり中の食べ物はどうするか。おすすめの食材や食べ方のコツまで解説
PROFILE
1 つわり中でも食べやすい食べ物とは
2 つわり中におすすめな食事方法
3 つわり中の食事の注意点
4 食事方法以外のつわりの対処法
5 つわり中の食生活でよくある疑問
6 つわり中は無理せず食べられるものを食べよう
つわり中でも食べやすい食べ物とは
つわり中は胃腸が弱りやすく、強い匂いや刺激で吐き気を引き起こしやすいです。そのため、食べやすいとされるものや消化のよいもの等を摂取するとよいでしょう。
ここからはジャンルごとに詳しく見ていきます。
水分が多い野菜やフルーツ
水分が多い野菜やフルーツは、つわり中におすすめの食べ物の一つです。水分が多いものは消化しやすく、胃への負担も少ない傾向があります。
食べ口も水分が多いおかげでさっぱりとしているため、吐き気に悩む妊婦さんでも口にしやすいです。ビタミンや水分も一緒に摂取できるため、嘔吐した後の体への栄養補給にも向いています。
また、もう少ししっかりしたものが食べられそうな場合は、スープやお茶漬けもよいでしょう。さらっと食べられるうえに、水分と炭水化物が摂取できるためおすすめです。
つわり中におすすめの食べ物一例 |
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● 桃 ● 梨 ● みかん ● グレープフルーツ ● パイナップル ● スイカ ● イチゴ ● キウイ ● トマト等 |
消化のよい主食
主食の中でも、ごはんやパン等の「消化のよい主食」もつわり中に食べやすいでしょう。嘔吐が多いと主食を避けてしまいがちですが、消化しやすい主食類なら、胃腸への負担を減らして栄養を取ることができます。
主食で取れる炭水化物や糖質は大切な栄養素の一つなため、食べられればより栄養バランスを保ちやすくなります。
つわり中におすすめの食べ物一例 |
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● ごはん ● おかゆ ● うどん ● 食パン等 |
冷たい甘味
つわり中は、アイスやヨーグルトといった冷たい甘味も比較的食べやすいといわれています。冷たい食べ物は口当たりもよく、胃に負担がかからない感覚があるため、食欲がない時でも食べやすいです。
また、アイスやヨーグルトなら糖質、水分、タンパク質、カルシウム、脂質等も含まれるため、あまり食事をできていない場合に栄養を補うこともできます。
もう少し栄養を意識したいという方は、果物、きな粉、くるみ等をトッピングするのもおすすめです。果物はビタミン、きな粉は鉄分等の栄養を摂取できます。くるみには妊婦さんが不足しがちな、鉄分、葉酸、カルシウムが含まれています。
つわり中におすすめの食べ物一例 |
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● アイス ● シャーベット(さっぱりしたい時はりんご味がおすすめ) ● ヨーグルト(果物・きな粉・くるみ等のトッピングもよい) |
味が濃い主食や飲料
つわりがある妊娠初期~中期頃は、味が濃い主食や飲料も好みやすくなります。妊娠で女性ホルモンが増加し、ホルモンバランスが変化するためです。
また、ホルモンの分泌で唾液や亜鉛が不足しやすいため、それによって味覚が変化しやすくなっています。味の濃いものだけではなく、酸っぱいもの、甘いものに関しても妊娠以前より食べやすく感じる方もいます。
胃腸への負担をかけすぎる食べ物は推奨できませんが、味覚変化で食べやすいものがあるのなら、栄養摂取としてあえて選ぶのは問題ありません。
つわり中におすすめの食べ物・飲料一例 |
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● お好み焼き ● 梅干し ● ジュース ● 乳酸飲料等 |
香りが弱い食べ物や飲料
香りが弱い食べ物や飲料は、つわり中でも比較的摂取しやすいです。
つわり中は嗅覚が敏感になりやすく、特定のにおいで吐き気をもよおす「においつわり」になることがあります。そのため、つわり中は香りが弱い食べ物や飲料のほうが口にしやすいという方が多いです。
例えば飲み物でもコーヒーではなく、お茶の方が飲みやすい傾向があります。また、食べ物の場合はドライパックされたものや、お米やおかずでも温かいものより冷やしたものだと香りを感じにくく、口にしやすいです。
つわり中におすすめの食べ物・飲料一例 |
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● 水 ● お茶 ● うどん ● ドライビーンズ ● 冷やした食べ物 |
つわり中におすすめな食事方法
つわり中の食事で最も問題なのが、食べても嘔吐してしまうことです。嘔吐しないため、また嘔吐してもなるべく栄養を体に吸収するためには、食べ方にもコツがあります。
ここからはつわり中におすすめな食事方法を解説します。
食べられない時は食事回数を増やす
つわり中は1日3食にこだわらず、食事回数を増やすとよいです。
満腹感が吐き気につながるということも多く、胃腸への負担を軽減するためにも、1度の食事の量を少なくするのはおすすめの方法。たくさん食べても全てを吐いてしまうと、ほとんど栄養として取り込むことはできません。吐く際にも、量が多いと苦しいだけでなく体への負担も大きいものです。
食事を小分けにして回数を増やすことで、吐いてしまうときがあってもそれ以外の栄養を少しずつ取り込むことができます。
食べられるときに食べて、1日を通して必要な総エネルギーを達成するイメージで食事してみてください。
食べられそうなものを優先
つわり中は食べられそうなものを優先して摂取することも大切です。
せっかく食べるなら、前述にてご紹介した食べ物や栄養バランスがよい食事を取るべきと考えるかもしれません。しかし、体によいものでも、結局は体が受付けないときは無理に食べるべきではありません。
食事をうまく取れない場合は無理をせず、とにかく食べられるものを口にすることを意識してください。
また、食事が取りにくい状態や嘔吐が続くと、脱水状態に陥りやすく危険です。食べられないときでも、せめて水分は積極的に摂取するようにしましょう。
料理を冷やしてから食べる
食事中のにおい対策として、料理を冷まして食べるのもよいです。
食べ物は熱いほうが香りが立ちやすいため、冷ますことで感じていたにおいが気にならず食べられることがあります。吐き気を呼び起こさないためにも、本来温かいものも一度冷ますことを試してみてください。
つわり中の食事の注意点
つわり中の食事では、選ぶ食材等にいくつか注意点があります。健康的な妊娠生活を送るためにも、あらかじめ確認しておきましょう。
栄養のバランスを意識
食事に手こずるつわり中でも、ある程度の栄養バランスを意識することも必要です。
思うように食事を取れない場合は、食べられるものを優先して問題ありません。しかし、極端に栄養バランスが偏ると、さらに体調不良を招いてしまうことがあります。
最低限、健康を損なわないための栄養バランスは意識しておく必要があります。食事で必要な栄養を摂取するのが難しい場合は、サプリメントを取り入れることも一つの手段です。工夫して一辺倒な栄養バランスになってしまわないよう気をつけていきましょう。
なお、妊娠中に特におすすめの栄養素を次にまとめたので、参考にしてください。
栄養素 | 推奨量 | 含まれる食材 |
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貧血予防 健康維持に! 【葉酸】 | 1日240μg(30歳~49歳) 妊娠中はサプリメント等で+240μg | モロヘイヤ ほうれん草 ブロッコリー等 |
貧血予防 体づくりに! 【鉄分】 | 1日8.5~9mg(妊娠初期) | ヘム鉄 豚レバー うなぎ あさり等 非ヘム鉄 ひじき あおのり かわのり等 |
骨の強化に! 【カルシウム】 | 650mg | 牛乳 チーズ ヨーグルト等 |
避けた方がよい食べ物を把握しよう
一方で妊娠中は次の5つの食べ物・飲料を避ける必要があります。
● アルコール類
● 非加熱のナチュラルチーズや肉加工品
● 刺身等の生魚
● 貝類や生肉等
● カフェイン
アルコール類
アルコールは妊娠中に摂取すると、へその緒を通して赤ちゃんがアルコールを吸収し、胎児性アルコール症候群や発達遅延となる危険があります。どんなにお酒好きでも出産するまでは確実に禁酒が必要です。
非加熱のナチュラルチーズや肉加工品
非加熱のナチュラルチーズや肉加工品は、リステリア菌が含まれている可能性があります。
リステリア菌が体内に入り感染すると食中毒のような症状を起こしますが、妊婦さんを通して赤ちゃんが感染すると発達に悪影響を及ぼす危険性があります。
刺身等の生魚
刺身等の生魚も、妊娠中は食べるのを避けたほうが懸命です。
妊娠中の方が生魚を食べて寄生虫を体内に取り入れてしまうと、赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症にかかることがあります。先天性トキソプラズマ症は未熟児、黄疸、心筋炎、肺炎等を引き起こす可能性があります。
出産するまでは、刺身は避けて火を通したものだけを食べるのがおすすめです。
貝類や生肉等
生もの系では貝類や生肉等に関しても、食中毒の危険性からおすすめできません。
食中毒になり下痢や嘔吐で脱水症状になった場合、妊婦さんが子宮収縮を起こす可能性があるためです。特に妊娠期間は消化や免疫の機能が低下するため、リスクがある食材に関してはしっかり避けておくと安全です。
カフェイン
カフェインに関しては、唯一絶対に禁止というわけではありません。
ただ、カフェインは鉄分の吸収を妨ぐため、摂取する量に注意しておきましょう。妊娠中のカフェインの推奨量は次のとおりです。
摂取量の目安 | 1日300mg |
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カフェインを含む食品 | コーヒー(60mg/100ml) 紅茶(30mg/100ml) ウーロン茶(20mg/100ml) 玉露(160mg/100ml) 煎茶(20mg/100ml) |
※参考:東京都保健医療局
無理せず医師に相談
ひどいつわりの症状が続く場合は、無理をせず医師に相談する選択肢も頭にとどめておいてください。「つわり」と言うと妊娠中に誰もが経験するもので、我慢して当たり前と感じるかもしれません。
しかし、つわりが悪化すると「妊娠悪阻」と呼ばれる状態になってしまいます。妊娠悪阻は何を食べても受付けなくなり、少しの水分でも吐いてしまうような状態です。
極端な栄養不足になるため、妊娠中でも体重が減少し、脱水状態も引き起こしてしまいます。栄養も水分も取れなくなると、妊婦さんと赤ちゃん共に非常に危険な状態といえます。
だからこそ「たかがつわり」と考えることは禁物です。つわりの症状との付き合いが難しいと感じたときは、一度医師に相談してみましょう。
病院で相談すれば生活や食事の指導や、場合によっては点滴や投薬治療をしてくれることもあります。
食事方法以外のつわりの対処法
つわりの症状が出ている際は食事以外にも日々の中で気遣いが必要です。
ここからは日常のなかでできる、つわりの対処法を見ていきましょう。
体を休める
つわりが始まった妊婦さんは、こまめに体を休めることが大切です。つわりの症状には波があり、体を休めて時間を置くことで食事ができるようになることもあります。
だからこそ休めるときに体を安静にすることが必要です。例えば家事もパートナーや家族に頼り、完璧を求めず最低限で済ますようにするとよいでしょう。つわりの症状がでている時は妊娠中で一番具合が悪い時期と言っても過言ではないため、妊婦さんの体を優先して生活してください。
また、症状がつらいときは仕事を休むことも選択肢に入れましょう。医師によってつわりの症状が重いと診断されると、短時間勤務やつわり休暇を取得することが可能です。
体調がつらい場合は、その点もかかりつけ医と相談しつつ活用していきましょう。
ストレスの解消
妊娠中のお母さんはストレスにも意識を向けておきましょう。
特につわり中の妊婦さんは食事を含め、生活全般に対してコントロールが難しいです。以前のように思うように生活できなくなると、ストレスが溜まります。
ストレスが蓄積してしまうと自律神経が乱れ、より体調不良が悪化しかねません。精神面が原因でつわりの症状が悪化しないためにも、適度にストレス解消することが大切です。
例えばストレッチやヨガ等の軽い運動や深呼吸するのも一つの手です。また、好きな趣味にいつもよりじっくり時間をかけるのもよいでしょう。
ここではストレス解消として、簡単なストレッチの方法を抜粋して紹介します。
妊娠中におすすめなストレッチ | |
ストレッチ例 | 【肩のストレッチ】 両肘を曲げて握った拳を胸の前に置き、ゆっくり息を吐きながら肘を後ろに引いて肩甲骨を寄せる。肩甲骨を寄せたまま肘を下げて力を抜く。(4~5回繰り返す) 【首のストレッチ】 頭頂部を片手で横から抑え、頭を掴んでいる利き手のほうに手の重みでゆっくりと倒していく。少しキープしたらゆっくり首を戻し、反対も同様に行う。 【足首のストレッチ】 座りながら片足をもう片方の膝の上に置き、置いた足の指に手の指を差し込んで握る。ゆっくりと時計回りに足首を回し、回し終えたら逆回しに動かす。反対の脚も同様に行う。 |
運動の頻度 | 毎日がおすすめ(入浴後や寝る前がよい) |
ストレッチ時間 | 10~15分 |
ツボ押し
つわりの症状がつらい時は、ツボ押しをしてみることもおすすめです。
東洋医学では、ツボ押しはさまざまな症状を緩和するものとして考えられています。ツボの中には、つわりの症状緩和に効果があるとされるツボもあります。
つわりの症状におすすめのツボは次のとおりです。症状にあわせて試してみてください。また、症状が出る前に予防としてツボ押ししておくのもおすすめです。
ツボの名前 | 場所 | 効果 |
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内関 | 手と手首の境目から指3本置いたところ | 吐き気・胃の不快感等 |
裏内庭 | 足裏の人差し指の付け根 | 吐き気・食欲不振等 |
百会 | 両耳と鼻の延長線の頭頂部 | 頭痛・肩こり・自律神経等 |
風池 | 耳の後ろと後頭部の中間 | 頭痛・肩こり・のぼせ等 |
合谷 | 人差し指と親指の根本からやや人差し指よりの部位 | 眠気・頭痛・肩こり等 |
中衝 | 中指の爪の生え際の親指側 | 眠気・血行不良等 |
つわり中の食生活でよくある疑問
つわりの知識をつけても、中には初めてで疑問が多い妊婦さんもいるでしょう。そこで最後につわり中の食生活でよくある疑問について2つご紹介します。
気になる疑問が一致する方は、確認してください。
コンビニで食べやすいものは?
つわり中の妊婦さんがコンビニで食べやすいものとしては、アイス、ゼリー、カットフルーツ等のさっぱりした冷たい甘味がおすすめです。
また、固形物が食べられそうならおにぎりもよいでしょう。
酸味のある梅の具は、つわり中でも食べやすいとして妊婦さんに好まれる傾向があります。食べられそうなら、つわりの症状緩和に効果的な「ビタミンB6」等を含む、焼き鮭もおすすめです。
市販薬で症状を抑えてよいか
医師に相談せずに市販薬を服用するのは避けてください。
つわり用の市販薬は存在しないため、妊婦が使用することを前提として成分が調合されていません。そのため、胎児に影響が出る成分が含まれている危険性があります。
また、吐き気があると、「吐き気止め」や「酔い止め」がよいのではと考える方もいるかもしれません。しかし、これらも妊婦向けではないため推奨されません。
症状がつらくても市販薬の服用は避け、必ず医師に相談して処方された薬で対処するようにしてください。
つわり中は無理せず食べられるものを食べよう
妊娠中は胃腸の調子が悪くなりやすいため、消化のよい食べ物中心に切り替えていくことがおすすめです。特につわり中はデリケートになりやすいため、より食べやすいものを選ぶことで栄養が取りやすくなります。
なかでもご紹介した水分が多い野菜や果物、冷たい甘味、消化しやすい主食等はつわり中の食事に向いています。ただ、つわりがあると思うように食事ができないことも珍しくないため、食べられないものがあっても落ち込まないでください。
赤ちゃんのために食事バランスを考え始めるタイミングですが、「食べなければいけない」という意識に縛られすぎずに食事していきましょう。