生理期間は平均何日?短い・長い場合の原因と予防法を解説
PROFILE
1 生理期間は平均何日?
2 生理周期の考え方と標準的な生理周期
3 生理期間が短い・長い場合の原因と治療法は?
4 ホルモンバランスの乱れを防ぐ方法
5 生理期間はピルの服用で移動できる
6 生理期間でよくある疑問
7 生理期間の改善には生活習慣の見直しが重要
生理期間は平均何日?
まずは、標準的な生理期間や生理の日数が変動する理由を説明します。ご自身の生理が正常かどうかの目安にしてみましょう。
標準的な生理期間は3日~7日
正常な生理期間は通常3日から7日間です。2日以下で終わる場合は過短月経と呼ばれ、何らかの病気が背景にある可能性が考えられます。一方で、8日以上生理が続く場合は過長月経とされ、これも健康上の問題が原因となっている可能性があります。どちらの場合も、病気が潜在している可能性があるため、異常を感じたら婦人科に相談することが重要です。
ホルモンバランスや身体の状態で変動する
生理期間の変動は、その多くがホルモンバランスの乱れや体の状態によって引き起こされます。ホルモンの分泌量が変わることやストレス等の影響で、生理の長さは個人によって異なります。さらに、子宮の位置や傾きによって血液の流れが影響を受け、出血期間が長くなることも。このように、生理期間の変動は身体の内外の様々な要因によって引き起こされるため、生理の変化を通じて身体のサインを読み取ることが大切です。
▼生理周期に関する詳細は、こちらの記事でも紹介しています。
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生理周期の考え方と標準的な生理周期
自分の生理が正常なのか異常なのかを把握するためには、生理期間だけではなく、生理周期全体について理解する必要があります。たとえば生理期間は5日間という正常の範囲内でも、生理周期が乱れていると排卵そのものが起きていない可能性なども考えられます。
自身の健康状況をより正しく把握するために、生理周期の考え方と標準的な生理周期について理解しましょう。
生理周期の考え方
生理周期では、一度の生理の開始日から、次の生理の開始日の前日までの日数を数えます。たとえば前回の生理が7月10日から始まり、次の生理が8月7日から始まった場合、その生理周期は28日周期ということになります。
生理周期を数える際には、生理期間そのものの日数は関係ありません。
正常な生理周期
正常な生理周期の期間は、25日~38日と考えられています。さらに、毎月一定の周期でなくても、6日以内のズレであれば大きな問題はないとされています。つまり、前月には28日周期で今月は30日周期だったというケースであれば、周期だけで見れば正常の範囲内ということになります。
また、投薬など考えられる原因がないにも関わらず、24日以内の周期で生理が来るのは頻発月経、39日以上の周期で来るのは稀発月経と呼びます。ホルモンバランスの乱れや卵巣や排卵の異常なども考えられ、該当する状況が3カ月以上続くようであれば婦人科を受診したほうが良いでしょう。
▼生理周期についてさらに詳しい内容は、こちらの記事でもさらに詳しく紹介しています。
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生理期間が短い・長い場合の原因と治療法は?
生理期間が短い場合と長い場合では、その原因が異なります。状況に応じて、薬物治療が効果的な場合もあります。ここでは、生理期間が短くなるまたは長くなるそれぞれの理由と、その対処方法について詳しく紹介します。
生理期間が短い場合
生理期間が2日以下で終わる過短月経は、女性ホルモンの機能低下や排卵機能の乱れが原因で起こりやすい状態です。一部の場合、特に治療を必要としないこともありますが、背後に子宮疾患、無排卵周期症、甲状腺ホルモンの分泌異常等の病気が隠れている可能性があります。
また、妊娠を希望している人は、生理期間が短すぎることが不妊の原因になる可能性もあります。確認のためにも、一度医療機関を受診してみましょう。
▼通常より短い生理の原因や対処法は、こちらの記事でもさらに詳しく紹介しています。
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生理期間が長い場合
生理期間が8日以上にわたる過長月経は、ホルモンバランスの乱れ、特定の体質、または子宮に関連する病気等が原因で起こります。生理が長引くだけでなく、出血量が多い状態は、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ等が背景にある可能性も。これらの状態は、鉄欠乏性貧血のリスクを高めるため注意が必要です。
▼通常より長い生理の原因や対処法は、こちらの記事でもさらに詳しく紹介しています。
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ホルモンバランスの乱れが原因なら薬で治療
生理期間の異常がホルモンバランスの乱れが原因である場合、適切な薬物療法によってバランスを整えることが可能です。生活習慣の改善とともに、ホルモン剤の投与が行われることがあり、症状や体質に応じて漢方薬の併用も検討されます。過短月経や過長月経が病気によるものであれば、その疾患に対する根本的な治療が必要です。
ホルモンバランスが崩れているかどうかは、毎日の基礎体温の記録とそのグラフ作成によってある程度把握できます。ホルモンバランスが乱れると基礎体温が低下することが特徴です。さらに、ストレスの増加や生活習慣の変化がホルモンバランスの乱れにつながることも多いものです。ホルモンバランスの乱れがあるかどうかは、正確には医療機関での血液検査や尿検査により確認でき、検査結果に基づいて治療方針が決まります。
ホルモンバランスの乱れを防ぐ方法
ホルモンバランスを整えて、過短月経や過長月経を防ぐ方法は、以下の4つです。
● 十分に睡眠をとる
● バランスの良い食事をとる
● できるだけストレスを避ける
● 過度な運動を避ける
それぞれ詳しくみていきましょう。
十分に睡眠をとる
過短月経や過長月経を予防するには、十分な睡眠を取ることが大切です。十分な睡眠は、ホルモンバランスを安定させる鍵となります。
「十分に睡眠をとる」とは、成人に推奨される毎晩6〜7.5時間の質の高い睡眠を意味します。睡眠不足は、ホルモン分泌に直接影響を与え、特に生理に関わる女性ホルモンのバランスを乱す可能性があります。これは、女性ホルモンの分泌をコントロールする脳の機能に睡眠不足が悪影響を及ぼすためです。適切な睡眠を確保することで、ホルモンのバランスを保ち、生理周期の異常を防ぐことが期待できます。
十分な睡眠を取るためには、就寝前のリラックスタイムの確保、寝室の快適な環境作り、スクリーンタイムの削減等が効果的です。これらの対策により、良質な睡眠を促進し、ホルモンバランスを整えることにつながります。
バランスの良い食事をとる
ホルモンバランスを整えるためには、バランスの良い食事が不可欠です。これには、主食、主菜、副菜を適切に組み合わせ、各種栄養素を均等に摂取することが含まれます。
バランスの良い食事とは、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルといった必要な栄養素を適切な比率で摂取することを意味します。例えば、主食としてご飯やパン、主菜にはたんぱく質豊富な肉や魚、副菜にはビタミンやミネラルを多く含む野菜や果物を取り入れることで、栄養の偏りを防ぎます。
具体的には、以下のような食材をバランスよく摂取するのがおすすめです。
食事の種類 | 主な食材 | 栄養素の特徴 |
---|---|---|
主食 | ごはん、パン、麺類等 | 炭水化物を多く含み、エネルギー源になる |
主菜 | 肉、魚、大豆製品、卵等 | タンパク質を多く含み、体の修復や成長に役立つ |
副菜 | 野菜、海藻、きのこ等 | ビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含み、健康維持に必要 |
併せて味噌汁を追加すると発酵食品の摂取になり、さらに栄養バランスがよくなります。これらの食品は、ホルモンバランスの維持に必要な栄養素を摂取でき、体内環境を整えるのに役立つため、日々の食事で意識するとよいでしょう。
▼生理痛改善のためのおすすめレシピは、こちらの記事で紹介しています。
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できるだけストレスを避ける
ホルモンバランスの乱れを防ぐためには、ストレスをできるだけ避け、リラックスすることが大切です。ストレスが溜まると、体内のホルモンバランスが乱れる原因となり得ます。自分の好きな趣味に時間を費やしたり、自分だけのゆっくりできる時間を確保したりすることで、心身共にリラックスし、ストレスを軽減できます。日常生活の中で小さな楽しみを見つけ、積極的にリラックスタイムを設けることで、ホルモンバランスを整える手助けとなります。
過度な運動を避ける
ホルモンバランスを保つためには、過度な運動は避けましょう。適度な運動はストレス解消や生理周期の正常化に役立ちますが、極端に激しい運動を続けると、かえってストレスが溜まり、ホルモンバランスが乱れる恐れがあります。特に、エネルギー不足が生じ、生理が停止する「運動性無月経」のリスクも考慮する必要があります。
過度な運動とは、体の限界を超えるほどの長時間または高強度のトレーニングを指します。例えば、日々の疲れが抜けないにもかかわらず激しい運動を続ける、休息日を設けずに毎日長時間トレーニングする等が該当します。ホルモンバランスを整えるためには、自身の体調や体力に合わせた運動量を心がけ、休息を十分に取るようにしましょう。
▼ホルモンバランスの整え方に関する詳細は、こちらの記事でも紹介しています。
ホルモンバランスを整える5つの方法とは?乱れの原因から解説
生理期間はピルの服用で移動できる
生理期間は、ピルの服用によって計画的に調整することが可能です。ただし、ピルの服用は、その効果や副作用を正しく理解し、適切な使用が必要です。そのため、生理期間の調整を考えている場合は、まず婦人科を受診し、専門医の指導のもとでピルの処方を受けることが必須です。医師は健康状態や生活環境を考慮したうえで、適切なピルを選択し、使用方法や注意点を詳しく説明してくれます。
ホルモン剤のピルを使用
ホルモン剤のピルを使用することで、生理や排卵の周期を意図的にコントロールすることが可能です。ホルモン剤のピルには、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが含まれており、これらのホルモンの働きを模倣して生理周期を調整します。服用を開始するタイミングによって、生理の開始を遅らせたり、必要に応じて早めたりすることが可能になります。特に結婚式や旅行等の大切なイベントが予定されているとき、イベント中に生理のマイナートラブルに悩まされることがなくなります。
▼生理に関するピルの詳細は、こちらの記事でも紹介しています。
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生理期間を遅らせたい場合
特別な予定に合わせて生理期間を計画的に遅らせたい場合、生理移動用のピルが有効です。生理予定日の約7~10日前から一般的に中用量ピルを服用することで、生理開始を遅らせることができます。このピルを服用している間は生理が起こらず、ピルの服用を中止して2日から3日後に生理が始まります。
この生理移動用のピルを使用することで、生理を予定日から最大で10日程度遅らせることができますが、使用するにはいくつか注意が必要です。まず、ピルの服用は医師の指示に従い、事前に婦人科で相談することが重要です。また、ピルの種類や個人の体質によっては副作用が現れる場合がありますので、医師としっかりと話し合い、自分に合った方法を選択しましょう。
中用量ピルを服用する場合、生理周期の調整は短期間の使用に限られます。長期間にわたって生理周期を人工的に変更することは、ホルモンバランスに影響を与える可能性があるので、計画的に使用しましょう。
生理期間を遅らせることにより、特別な日をより快適に過ごせますが、自己判断で無理に調整することなく、適切な医療機関での相談を心がけましょう。
人によっては副作用がでる
ピルを使用して生理期間を調整する方法は、安全性が高く、多くの場合、身体に悪影響を及ぼすことはありません。しかし人によっては、ピルを服用することによって副作用が生じる場合があります。副作用には吐き気や胸の張り等の症状が含まれることがあります。
これらの副作用は、ピルに含まれるホルモンの量や種類、個人の体質や健康状態によって異なるため、全ての人に同じように現れるわけではありません。ピルの使用を始める前には、副作用について医師と十分に話し合い、自分の体がどのように反応する可能性があるかを把握しておくことが重要です。副作用が現れた場合は、無理をせず速やかに医師に相談し、適切な対処を受けることが必要です。
▼ピルによる生理期間の調整に関する内容は、こちらの記事でさらに詳しく説明しています。
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生理期間でよくある疑問
生理期間に関するよくある質問は、以下のとおりです。
● 毎月の生理期間にばらつきがあるのは病気?
● 生理期間が短くなったら閉経するの?
それぞれの疑問に回答します。
毎月の生理期間にばらつきがあるのは病気?
毎月の生理期間に多少のばらつきがあることは、必ずしも病気を意味するわけではありません。一般的に生理期間が3日〜7日の範囲内であれば、これは正常な変動と見なされます。生理周期や持続期間には個人差があり、多くの女性が経験している自然な現象です。
しかし、1カ月に複数回生理がある、または生理と生理の間隔が3カ月以上空く等、通常とは異なるパターンが見られる場合は注意が必要です。これらは生理周期の異常を示している可能性があり、ホルモンバランスの乱れ、子宮や卵巣の疾患等、背後に何らかの病気が潜んでいる可能性があります。
このような状況が続く場合は、自己判断せずに専門医に相談しましょう。専門医は詳細な検査を通じて症状の原因を特定し、必要に応じて適切な治療を提案してくれます。安心して日常生活を送るためにも、異常を感じたら早めに医療機関を受診することが大切です。
生理期間が短くなったら閉経するの?
生理期間が短くなることは、閉経に向かう過程の一環であることが多いです。一般的に、更年期に入ると最初は生理周期が短くなることがあり、そのあと徐々に周期が長くなり、最終的に閉経へと至ります。日本人女性の閉経平均年齢は50歳です。
閉経に近づくと、2カ月〜3カ月生理が遅れたり、1カ月に2回生理になったりする等、生理周期が不安定になることが一般的です。また、生理期間が長くなったり、経血量が増減したりする変動が見られることもあります。これらの変化は、体内のホルモンバランスが変動している証拠であり、閉経に向かっている自然な過程と考えられます。
生理の周期や量に変化が見られた場合、それが閉経の兆候かどうかを知るためにも、不安や疑問があれば専門医に相談することが重要です。
※参考:日本産婦人科学会
▼更年期の生理に関する詳細は、こちらの記事でもさらに詳しく紹介しています。
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生理期間の改善には生活習慣の見直しが重要
生理期間の変動は、主にホルモンバランスの乱れに起因します。生理周期や持続期間に影響を与えるこの乱れは、日々の生活習慣や体の内部状態に大きく関連しています。ホルモンバランスを適切に保つことで、生理期間の乱れを最小限に抑え、より快適な毎日を過ごすことが可能になります。
ホルモンバランスを整え、生理期間の乱れを防ぐためには、十分な睡眠の確保とバランスの良い食事が欠かせません。質の良い睡眠は、体内のホルモンを正常に機能させる基盤を作り、バランスの取れた食事は必要な栄養素を供給し、ホルモンの生成と調整を支えてくれます。この2つの要素は、ホルモンバランスを保つうえで最も基本的かつ効果的な手段です。
生活習慣の見直しにより、ホルモンバランスを整えることで、生理期間の変動を改善し、快適な日常生活を送ることが期待できます。生理の乱れが気になる場合は、まずは自分の生活習慣を振り返ることから始めましょう。