平均的な生理周期は?バラバラで安定しないときの対処法を解説
PROFILE
1 生理周期の日数
2 生理周期が乱れる原因
3 生理が始まるまでの周期の流れ
4 生理周期に異常を感じたときの対処法
5 生理周期に関するよくある質問
6 まとめ:生活を見直して生理周期の乱れを防ごう
生理周期の日数
生理が始まった日を1日目として、次の生理が始まる前日まで加算して出た日数が生理周期です。標準的な日数は25~38日とされており、24日以下の場合は通常よりも短く、39日以上は長いといえます。
標準周期(25~38日)
生理周期は25~38日が標準的な日数です。多少増減して、毎月同じ日数にならなくても問題はありません。
また、生理周期は10~20代は長くなり、30~40代は短くなる傾向がありますが、25~38日の範囲内であれば正常な状態でしょう。
※参考:厚生労働省「女性のライフサイクルと健康」
周期が短い(24日以下)
生理周期が24日以下である場合を、頻発月経と呼びます。
頻発月経には「無排卵性」と「排卵性」があります。無排卵性の頻発月経は少ない出血が10日くらい長引く特徴があり、体が未発達な思春期や、卵巣機能が低下する更年期に起こりやすい症状です。
積極的な治療をせずに様子をみることもありますが、妊娠を望む場合は排卵を促す投薬治療が必要となるでしょう。
また、排卵性の頻発月経には、卵子を囲む組織の発育の進み過ぎが原因で起こる「卵胞期短縮性」と、排卵後の組織の機能不全が原因で起こる「黄体期短縮性」があります。それぞれ年齢、生理痛や貧血の有無、妊娠希望の有無等を考慮して、状況に応じた治療がおこなわれます。
周期が長い(39日以上)
生理周期が39日以上である場合は、稀発月経と呼ばれます。生理が開始してから排卵までの期間が長いことが原因の「遅延排卵」や、「無排卵」等によって起こる症状です。
生理周期が長くても、排卵が起きていれば問題ない場合もありますが、卵胞の未発達やホルモンの分泌障害で排卵がない場合は治療が必要です。妊娠を望む場合は卵巣を刺激する薬を用いて排卵を促し、妊娠を望まない場合はホルモン剤の服用で子宮内膜を規則正しく周期的に変化させて、生理周期を正常な範囲に整えます。
周期不安定
24日周期の次は40日周期のように、生理周期が短くなったり長くなったりと安定せずにバラバラになる場合もあります。
一番短い周期と長い周期の差が6日以内の場合は正常範囲のズレといえますが、7日以上ある場合は「不整周期月経」です。ホルモン分泌のバランスが乱れやすい思春期や更年期等に多く、次の生理がいつ起きるのか予測できない状態です。
毎回排卵があれば問題のない場合もありますが、卵巣や子宮の疾患が原因で起こることもあるため、注意が必要です。
生理周期が乱れる原因
生理周期の乱れは、精神的なストレスや過度な体への負担等が原因で起こります。そのほか、体の各器官に潜む病気が原因の場合もあります。
ストレスが溜まっている
仕事や人間関係の悩み等の強いストレスは、生理周期を乱したり、生理が止まったりする原因です。
また、仕事や家庭等で変化があると、自分でも気付かぬうちに心に大きな負担をかけていることも多く、イライラや不安、肩こりや頭痛等がストレスのサインとして表れる場合もあります。
生理は、脳の視床下部や下垂体から分泌されるホルモンにより、影響を受けた卵巣が機能して起こるものです。しかし、視床下部はストレスの影響を受けやすい器官のため、精神的な負荷を感知すると、うまく働くことができなくなる場合があります。
視床下部が正常に働かないと、生理を起こすためのホルモンはスムーズに分泌できず、脳からの指令が伝わらなくなって卵巣の働きが低下し、生理周期の乱れを起こすのです。
体に負担のかかる行動をしている
無理なダイエットやハードな運動、連日の残業や慢性的な睡眠不足等は、体に大きな負担となり、生理周期を乱す原因になります。
体は通常とは異なる大きな負担を感じると、生きるために重要な器官の働きを優先させて、できるだけ負荷を減らそうとします。生殖機能の働きは後回しにされやすく、卵巣の機能が低下すると、生理周期は不規則となるのです。
また、体重減少で生理が止まるケースもあります。急激な体重の減少で体が負担を感じると、脳の視床下部の働きが低下し、卵巣への指令がスムーズに伝わらずに排卵が起こらなくなります。
病気が隠れている
生理周期の乱れは、次のような子宮や膣、脳等の病気が原因で起こっている可能性もあります。
器官 | 生理周期の乱れを起こす病気の例 |
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子宮・卵巣・膣 | ・多嚢胞性卵巣症候群 ・早発卵巣不全 ・卵胞期短縮症 ・黄体機能不全 ・無排卵周期症 |
脳 | ・脳下垂体腫瘍 |
甲状腺 | ・バセドウ病 |
これらは、生理周期の乱れから見つかるケースのある病気です。また、不正出血か生理か判断できないような出血がある場合も、医療機関で医師の診察が必要です。
生理が始まるまでの周期の流れ
排卵から生理が起きるまでの卵巣や子宮等の状態は、卵胞期・排卵期・黄体期・月経期と4つの期間に分類されます。それぞれを体や心の状態とあわせて、詳しくみていきましょう。
卵胞期
卵胞期は、卵子が放出される前の期間です。
脳の下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンにより、卵巣で卵子のもとになる原子卵胞が成熟します。さらに、女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量の増加により、子宮内膜は徐々に増殖されて厚みを増し始めます。
体が感じる主な特徴 | ・基礎体温は低温期 ・新陳代謝が活発におこなわれ、肌や髪の調子がよくなる |
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心の状態 | ・精神的に安定し、ポジティブに行動しやすい |
排卵期
排卵期は卵子が放出される期間です。
生理予定日の14日くらい前に一時的に脳の下垂体から黄体形成ホルモン(LH)が大量に分泌され、刺激を受けた卵胞が卵巣の表面から突出して破裂し、卵子が飛び出します。
体が感じる主な特徴 | ・基礎体温は一時的に少し下がった後、高温期に移行する ・皮脂分泌が増え、肌の調子が不安定になりやすい ・人によっては排卵時に、排卵の起きる卵巣と同じ側に鈍い腹痛を 感じる場合がある |
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心の状態 | ・気持ちの起伏が激しくなりやすい ・落ち込むことが多くなる |
黄体期
黄体期は卵子が放出された後の期間です。
女性ホルモンの一種である黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が増加し、エストロゲンとともに子宮内膜を水分と栄養で満たすために増殖を促進して、受精卵の着床に備えます。
体が感じる主な特徴 | ・基礎体温は高温期を継続 ・おりものの粘度が高まる ・胸のハリや痛み、腰痛や肩こり等を感じやすくなる ・体内に水分を溜め込み、冷えやむくみを感じやすくなる ・ニキビやシミ、そばかすやくすみ等の肌トラブルが起こりやすくなる |
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心の状態 | ・イライラや不安を感じやすくなる ・感情の起伏が激しくなる |
月経期
受精した卵子が着床しなかった場合、生理が起きる期間です。
エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が急激に減少し、子宮内膜が剥がれ落ちて血液とともに排出されます。
体が感じる主な特徴 | ・基礎体温は低温期に移行 ・体温の低下による血行不良が生じやすくなる ・腹痛や頭痛、腰痛等の生理痛を感じる場合もある ・肌が敏感になり、肌荒れしやすくなる |
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心の状態 | ・生理の身体的負担から気分が落ち込みやすくなるが、生理が終わる頃に安定する場合が多い |
生理周期に異常を感じたときの対処法
生理周期の乱れを整えるには、ストレスの軽減や規則正しい生活が重要なポイントです。ただし、病気が原因の可能性もあるため、異常がある場合は医療機関の受診を検討しましょう。
ストレスの軽減に努める
できるだけストレスを減らす工夫をしましょう。ここでは、ストレスの軽減に役立つ行動の例を挙げていきます。
● 散歩やストレッチ等の軽い運動をする
● 好物を食べる
● 親しい人と会話する
● 映画鑑賞や読書等で感情を刺激する
● 料理やお菓子作り等、普段から興味があることを楽しむ
● 手芸や園芸等、単調な作業の繰り返しをする
● アロマや音楽鑑賞等で、五感を刺激する 等
効果的にストレスを軽減するには、「楽しい」や「心地よい」と感じる行動を、一定時間続けることがポイントです。忙しい中でも快適に過ごせる時間を作り、十分に心や体を休めましょう。
規則正しい生活を心がける
栄養バランスの良い食事や十分な睡眠を心がけ、規則正しい生活を送ると、体調が整って生理周期の乱れが改善しやすくなります。
栄養バランスの良い食事をとるポイントは、主食・主菜・副菜の3つを揃えて食べることです。
● 主食:ご飯・パン・麺類等、主にエネルギーとなるもの
● 主菜:肉・魚・卵・大豆製品等、主にタンパク質を多く含むもの
● 副菜:野菜・きのこ・海藻等、ビタミンやミネラル、食物繊維を多く含むもの
ラーメンやパスタ等の主食だけを食べ続けたり、ダイエットを意識して副菜だけにこだわったりせずに、主食・主菜・副菜をできるだけバランス良くとるようにします。主食・主菜・副菜の3つのうち、どれか一つを食べ過ぎた日や、バランス良く食べられなかった日があった際は、翌日の食事で調整しても良いでしょう。
睡眠時間は、個人差はありますが6~9時間を目安にしましょう。ただし、睡眠は量と質のバランスが重要です。睡眠時間は足りているはずなのに、昼間に強い眠気を感じる場合や、起きたときにスッキリしない場合は、睡眠の質に問題があるかもしれません。
ここでは、睡眠の質のアップに役立つポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
● できるだけ規則正しい時間に起きて、体内時計のリズムを整える
● 就寝前の2~3時間前に入浴して体を温める
● 就寝前のカフェインやアルコールは避ける
● 吸湿性や放湿性、保温性の良い寝具で睡眠環境を整える
● 就寝1時間前からはスマホやPC、タブレットなどを見ない
体の調子に関係する要素である食事と睡眠を見直すと、生理周期の乱れが整う場合が多いので、これらを参考に改善に取り組んでみましょう。
適正体重をキープする
太り過ぎや痩せ過ぎは、生理周期が乱れる原因になります。自分の適正体重を把握して、できるだけ維持することが重要です。
適正体重は、身長を用いて次の計算式で算出します。
【適正体重=身長(メートル)×身長(メートル)×22】
また、現在の身長と体重から体格指数(BMI値)を算出すると、オーバーウェイトやアンダーウェイトの度合いが分かりやすくなります。
【BMI値=体重(キログラム)÷(身長(メートル)×身長(メートル))】
BMI値は22前後が理想的です。18.5未満や25以上の場合は適正体重を目指して、運動や食事等の見直しをしましょう。
ただし、体重の急激な増減は逆効果です。3~6カ月の間で、もとの体重から15~20%以上の増加は、稀発月経や無月経を誘発します。また、5キロまたは10%以上の減少は、体重減少性無月経を招きやすいので注意しましょう。
※参考:日本医師会「適正体重」
※参考:一般社団法人 町田市医師会「月経と体重について」
※参考:医療法人社団 冬城産婦人科医院「肥満と月経不順との密接な関連」
医療機関を受診する
生理周期に次のような異常がみられる場合は、医療機関の受診を検討しましょう。
● 生理周期が24日以下の場合
● 生理周期が39日以上の場合
● 妊娠していないのに、3カ月以上生理がこない場合
● 生理の出血が2日以内で止まる場合、または8日以上続く場合
生理周期は人それぞれで個人差がありますが、正常の範囲より短くても長くても病気が潜んでいる可能性があるため注意が必要です。
また、薬剤の影響で生理周期が乱れることがあります。医師から処方されている薬がある場合は、添付文書をみて副作用に月経不順・無月経など当てはまる項目がないか確認してください。もし該当するのであれば、処方している医師に薬剤の変更などを相談しましょう。
生理周期に関するよくある質問
ここでは、生理周期についてよくある質問にこたえていきます。
数え方や計算方法は?
生理周期は、生理が始まった日を1日目として、次の生理が始まる前日までの日数を数えて求めます。1月1日に生理が始まり、1月30日に次の生理が始まった場合は、生理周期は29日です。そして、1月30日を1日目として新たに生理周期を数えます。
この日数を少なくとも3回分集めて平均値を求め、自分の生理周期を把握します。
生理周期が人によって違う理由は?
生理周期は、ホルモン分泌のバランスや年齢等で個人差が出るものです。一般的に20~30代は安定しやすい時期ですが、結婚や妊娠等ライフステージの変化でホルモン分泌のバランスが影響を受け、生理周期を変動させる場合もあります。
また、生理期間(出血している期間)にも個人差があります。子宮の位置や大きさ、子宮を収縮する力等が人によってそれぞれ異なり、経血の排出ペースに個人差が生じて、生理周期に影響を与えることもあるでしょう。
生理が遅れていると判断される日数は?
把握している生理周期から予測した予定日を、1週間以上過ぎても生理が起こらない場合は、遅れていると判断できます。原因を探って適切に対処し、正常な周期に戻すようにしましょう。
まとめ:生活を見直して生理周期の乱れを防ごう
生理周期は25~38日が一般的で、これに当てはまらない場合は頻発月経、または稀発月経の状態です。また、ある程度の安定がみられず、1番長い周期と短い周期の差が7日以上ある状態を不整周期月経と呼びます。
生理周期の乱れは、心や体への過度な負担が原因で起こりやすく、ストレスの軽減や規則正しい生活、適正体重の維持で改善します。しかし、子宮や膣、脳等の病気が生理周期を乱している場合もあるので注意が必要です。
生理周期が24日以下、または39日以上の場合や、3カ月以上生理がない等の異常がある場合は、医療機関の受診を検討しましょう。